仕訳とは、簿記において、帳簿に取引などを記録することである。
簿記において、勘定の数値が変化する出来事が発生したとき、仕訳を行う。逆に、そのようなことが起きなければ、なにか起きても記録されることはない。
ただし、同じ取引であっても、組織(これには事業を営む個人も含む)によって採用するやり方が異なれば当然仕訳も異なってくる。
まず、話を簡単にするために、仕入単価100円、販売単価150円の品物が、在庫100個、期首に存在するとする。また、この価格は期を通して変化することはないとする。仕入・販売はすべて現金で行うものとする。また、現金は2万円期首に所持しており、これが業務に用いる全資産であるとする。また、棚卸しの際に減耗(商品の実際の個数が、帳簿上の個数より減っていること)は発生していないものとする。
また、この組織は株式会社であり、法人税や消費税などの税金は考慮しないものとする。未処分利益はすべて利益準備金へ入れるものとする。
この場合、期首には以下のようになっているはずである。
商品 | |
---|---|
10,000 |
現金 | |
---|---|
20,000 |
資本金 | |
---|---|
30,000 |
ここから何が起きるかを見ていこう。
では、商品をここで40個仕入れたとする。何が起きるかというと、こうなる。
商品 | |
---|---|
10,000 | |
4,000 |
現金 | |
---|---|
20,000 | |
4,000 |
わかりやすくいえば、現金が減って商品が増えた、ということである。
このあと、商品が60個売れたとする。何が起きるかというと、こうなる。
商品 | |
---|---|
10,000 | |
4,000 | |
6,000 |
現金 | |
---|---|
20,000 | |
4,000 | |
9,000 |
商品売買益 | |
---|---|
3,000 |
商品が減って、現金が増えたわけだが、当然その差額が発生する。その差額は収益であり、商品売買益勘定に記録する。
では、このまま期末を迎えたものとする。何が起きるかというと、こうなる。
商品売買益 | |
---|---|
3,000 | |
3,000 |
損益 | |
---|---|
3,000 | |
3,000 |
利益準備金 | |
---|---|
3,000 |
まず、商品売買益を損益へ振り替えする。これにより損益が出る。今回、話を簡単にするために、営業費や給与などその他の支出、及び銀行の利息などその他の収入はなかったものとしよう。この場合、この損益3,000円は当期純利益になる。これを利益準備金に振り替えして、この期を締め切る。
この場合、期首には以下のようになっているはずである。
繰越商品 | |
---|---|
10,000 |
現金 | |
---|---|
20,000 |
資本金 | |
---|---|
30,000 |
繰越商品というさっきとは違う勘定科目が出てきていることがわかるだろう。これこそが三分法の特徴である。
先ほどと同様、商品を40個仕入れたとする。何が起きるかというと、こうなる。
仕入 | |
---|---|
4,000 |
現金 | |
---|---|
20,000 | |
4,000 |
この段階で一度、費用にしてしまう。ただし、実際に費用になるのは売り上げたタイミングであるから、それの調整をあとで行う必要があることは念頭においておくこと。
先ほどと同様、その後、商品が60個売れたとする。何が起きるかというと、こうなる。
売上 | |
---|---|
9,000 |
現金 | |
---|---|
20,000 | |
4,000 | |
9,000 |
このように、繰越商品・仕入・売上の3勘定を用いることから、このやり方を三分法と呼ぶ。
では、先ほどと同様にこのまま期末を迎えたとする。先程よりも仕訳は複雑になる。何が起きるかというと、こうなる。
繰越商品 | |
---|---|
10,000 | |
10,000 | |
8,000 |
仕入 | |
---|---|
4,000 | |
10,000 | |
8,000 | |
6,000 |
売上 | |
---|---|
9,000 | |
9,000 |
損益 | |
---|---|
6,000 | |
9,000 | |
3,000 |
利益準備金 | |
---|---|
3,000 |
何やってるか「わけがわからないよ」という人がいるかもしれないので、順を追って説明していく。
これは、特に多く仕入れて販売する業種に適したやり方である。仕入れる人と販売する人が異なっても、売上原価を把握することなく、単に「仕入れた」「販売した」の記録を残して、期末に責任を持って残っている商品の残高を把握すればよいからである。
今、元帳を直接操作したが、これでは何が起きたかわからないし、取引の記録漏れがあってもすぐにはわからなくなってしまう。このため、仕訳帳を使って管理をする。今回、話を簡単にするために、三分法を用いることとし、先程の取引はそのまま用いるものとする。仕入と売上のタイミングはそれぞれ4月1日、7月1日とし、期は1月1日から12月31日とする。繰越記入は仕訳帳には記載しないものとする。
月 | 日 | 摘要 | 元丁 | 借方 | 貸方 |
---|---|---|---|---|---|
4 | 1 | (仕入) | 31 | 4,000 | |
(現金) | 12 | 4,000 | |||
xx商店から仕入 | |||||
7 | 1 | (現金) | 12 | 9,000 | |
(売上) | 71 | 9,000 | |||
yy商店へ販売 | |||||
12 | 31 | (仕入) | 31 | 10,000 | |
(繰越商品) | 11 | 10,000 | |||
決算のため繰越商品を仕入へ | |||||
〃 | (繰越商品) | 11 | 8,000 | ||
(仕入) | 31 | 8,000 | |||
期末商品残高を繰越商品へ戻入 | |||||
〃 | (売上) | 71 | 9,000 | ||
(損益) | 91 | 9,000 | |||
売上を損益へ振替 | |||||
〃 | (損益) | 91 | 6,000 | ||
(仕入) | 31 | 6,000 | |||
仕入を損益へ振替 | |||||
〃 | (損益) | 91 | 3,000 | ||
(利益準備金) | 53 | 3,000 | |||
利益処分案に基づき振替 |
まず、「元丁」には転記した先の元帳のページ番号を記入する。転記が不要な仕訳の場合は、ここにはチェックマークを記入するのが通例である(繰越仕訳を行う場合のそれなどが該当)。
1つの出来事が2以上の勘定科目にまたがる場合、諸口と書いて、その下に続けることが多い。例えば、「100円の商品を100個仕入れ、4,000円は現金、残りは掛けにした」場合、貸方に「諸口」と書いて、その下に現金と買掛金を書くことになる。もちろん、借方が複数になる場合もある(逆側の立場なら現金と売掛金がそうなるのはわかるだろう)。両方が複数になる場合もある。例えば、手形を裏書譲渡した場合、どのようになるかを簡単に書くと、このような形になる。
摘用 | 借方 | 貸方 |
---|---|---|
諸口
諸口
|
||
(現金) | 10,000 | |
(受取手形) | 10,000 | |
(保証債務費用) | 100 | |
(保証債務) | 100 | |
A商店へ手形を裏書譲渡 |
手形を裏書譲渡した場合、無事に決済されれば良いが、決済に失敗した場合、裏書譲渡した相手から手続きに要した費用などを含めて請求される可能性がある。このため、それを記録しておく必要がある。それが保証債務である。今回、それが発生する確率が1%であると見積もったため、100円を計上している。
決済が無事に完了したり、不渡りが発生したときの仕訳に関しては省略する(あくまでも両方が複数ある具体例を例示しただけのため)。
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最終更新:2025/04/22(火) 18:00
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