特撮ファンの間では一文字隼人 / 仮面ライダー2号(声)役としてあまりにも有名である。
同シリーズにおいては、藤岡(アギト)や、宮内(THE FIRST)とは異なり、一文字隼人(2号)以外は演じていない。
養成所時代は八代悠(やしろ・ゆう)という芸名だったが、1970年に現在のものに改め、以降定着している。
『仮面ライダー』で大怪我をした藤岡弘、の代わりに別役「一文字隼人」で作品の主役を代わりに務め、藤岡が復帰するまでの穴を埋めた。しかし「一文字隼人」が決まったことで、当時売れっ子だった佐々木の多忙さは極限に達し、そのストレスから若い頃から脱毛症に悩まされる。そのため映像作品には度々カツラを被って出演していた。
確固とした地位を築いたと思われた矢先の1982年、泥酔して帰ってきた際、ストーブの消し忘れによる失火で住んでいたアパートが全焼、隣家も消失する。さらに自身も全身火傷の重傷を負う。現在こそ皮膚移植で往年の面影を取り戻しているが、このことは役者の命とも言える顔に深い傷を残すことになり、さらに入院や皮膚移植の治療費の工面のため、借金苦に陥る。(本人曰く「本当に改造人間になった気分」)
その後の生活は、役者とは思えないものになった。「新人と同じ扱いでも構わない」として声優への転向を目指すものの、既に大物と化していた佐々木にどれほど謙虚な思いがあっても、声優業界における居場所は存在しなかった。あげく、芝居の師匠にも「役者の道を諦めろ」と突き放された。
役者としての仕事が来なくなった佐々木は、家族を養うために焼き芋屋などを始め仕事を4つ掛け持ちする。掛け持ちしていたため、労働時間は半日を越えており、それはかつて一時代を築いた国民的ヒーローを演じた人間とは思えない、非常に凄絶な毎日であった。
その間、客からは「一文字隼人の佐々木剛じゃないですか!?」と騒がれたが、惨めだったのか「佐々木剛?事故で死んだはずだよ」と白を切り、自らを死んだように扱っていた。
この生活の中、出演したのは『10号誕生!仮面ライダー全員集合!!(仮面ライダーZX)』1本のみで、しかも火傷治療の途中だったためか、声の出演のみであった。
それだけ家族に尽くしてきたものの、結局妻とは離婚という結末を迎える。家族にも突き放されたことで、完全に佐々木の心は荒み、稼いだ金を酒やギャンブルに投じるようになった。
以来数年間は、1日パチンコ屋に入り浸る、泥酔して暴れる、ホームレスに落ちるなど、惨憺たる有様だったという。
しかし、ようやく佐々木に転機が訪れる。かつての劇団仲間であり石橋正次が舞台に誘ってくれたのである。出演時間は短かったものの、長年のブランクによるプレッシャーから、開演前に逃亡したこともあった。しかし、石橋が「無理もない」と許してくれたことで、なんとか舞台出演をやり遂げる。
このことで「自分は芝居だけをやっていればいい」という思いに至り、佐々木は名実ともに俳優としての復帰を果たした。前述の火事から約10年後の出来事だった。
火事による家庭崩壊や、自暴自棄となった生活から多くのことを学んだ佐々木は、これまでの自堕落だった自分を大いに反省したと後に語っている。
現在は舞台活動を中心に、その貫禄ある風貌で様々な役を演じている。
佐々木が「人生の一部」とまで語るほど、氏を語るには切っても切り離せない代表作である。
1971年、撮影中に事故で一時戦線離脱を余儀なくされた藤岡弘、の穴を埋めるべく、『仮面ライダー』の新たな(代理も)主役として登板。以降ほぼ年度末まで仮面ライダー2号こと一文字隼人役として『仮面ライダー』ブームの確立に貢献する。
今や特撮ヒーローには欠かせない変身ポーズの元祖は2号と言われているが、変身ポーズ誕生の背景には「バイクに乗って変身する」という設定なのに佐々木がバイクの免許を持っていなかったために考案した、というエピソードがある。
さらに初登場時の変身ポーズではベルトを見せる→変身ポーズという段取りだったはずが、本番では変身ポーズ(途中まで)→ベルトを見せる→変身ポーズと間違えてしまい、しかも間違えたカットがTVで放送されてしまった。
佐々木曰く「今なら絶対NGだけど、(低予算だったから)フィルム代が勿体無いってことでOKが出たんでしょうね」と語っている。これ以降は正しい変身ポーズを見せている。
藤岡弘、の完全復帰後は、主役としてのバトンを藤岡に返した。
元々、この一文字隼人役は「藤岡が復帰するまでの代役」としての起用であり、スタッフはダブルライダー路線の定着を望んでいながらも、佐々木があくまで「約束」にこだわり、固辞したためである。
そもそも、一文字隼人役でオファーを受けた時も、藤岡の役を奪うようで気が引けるとして佐々木は断っていた。藤岡とは劇団時代の同期であり、彼の主役を奪うような真似をしたくなかったためであった。
降板こそしたものの、その後も仮面ライダーの劇中ではたびたび客演として佐々木は一文字隼人役を演じている。人気絶頂の放送当時、ダブルライダーが揃う回の視聴率は並外れたものがあったという。
仮面ライダー終了後も同役を度々演じる機会があり、本人が記憶する限り客演のオファーを断ったことはないとのこと。
このように藤岡の立場をしっかり立てている一方で、新たな主役として抜擢された当時は増長気味で、遅刻や不穏当な発言で周囲からの反感を買っていた。
が、おやっさん役の小林昭二の苦言などもあり、その点は徐々に改められていくようになる。
しかし当時からの酒癖の悪さは治らず、それが上述のストーブ失火につながっている。
火傷による事故前後問わず、仮面ライダー関係の事柄には積極的に参加。近年では藤岡ですら渋りがちな変身ポーズを客の前で自己申告して魅せるなど、サービス精神旺盛である。ただ、当時は変身ポーズを取るということに恥ずかしさを感じていたようで、初期はなかなか上手くいかなかったという。
その代わり、火災で全ての思い出の品々を消失させてしまっており、藤岡と違い当時のものは残っていない。
だが、その間にファンから仮面ライダー2号のグッズをたくさんプレゼントされたことは、俳優を続けていくうえでの心の支えとなっているという。それらのプレゼントの一部を自宅に飾っている映像がテレビで放映されたことがある。
頼まれずとも変身ポーズを惜しまず披露してくれるのは、上記のように客演を断らないと豪語するほどの思い入れの深さと、ファンからの支えあってのものであろう。
ちなみに佐々木は、大体人前で変身を披露する際は初変身の台詞をイメージした
「ショッカーの敵、そして人類の味方、お見せしよう!」
という前口上をほぼ毎回付けてくれており、ファンを沸かせている。
正義の系譜で久々に一文字隼人の声を担当。
さらに40周年記念映画、「オーズ・&電王&オールライダー レッツゴー仮面ライダー」において、実に27年ぶりに映像作品で仮面ライダー2号の声を演じる機会があった。
試写会では「生身で演じられなくて寂しいから、変身ポーズを見せる」と自らあのポーズを披露している。
それ以降も、仮面ライダーのイベントには昭和ライダーの演者の中でもかなり高い頻度で出演しており、ファンへの感謝を伝えている。
余談だが、藤岡は当時仮面ライダーのスーツアクターも演じアクションしていたことは有名であるが、佐々木もまたスーツに入ってアクションを経験したことがある。
藤岡時代に起こった件の事故以降、役者にスーツを着た殺陣をやらせることは基本的にはNGとされており、スカイライダーで主演を務めた村上弘明も「怪我されたら困る」と断られたほどである。
そんな中、当時の佐々木はなんとプロデューサーに内緒で何回か2号のスーツを着てアクションをしたことがある。
2号が左利きになっている場面は、主に佐々木が演じているとのことである。
佐々木剛自身が2012年に開業した、板橋区にある居酒屋。
「これまでの俳優人生を応援してくれたファンや仲間に少しでも感謝がしたい」という目的で開業したものである。
昭和ライダーのファンや昭和ヒーローなどなどが時折顔を出すという、夢のようなお店である。速水亮はよくこの店に来店していることをブログで綴っている。
もちろん店の料理は佐々木剛の手作りである。佐々木がいるかどうかは日によるようだが、高い頻度で調理場に立っているとのことで、居るか居ないかは事前に問い合わせ可能である。
近くに行く機会があれば、是非寄ってみてもらいたい。席数の問題で入れない場合もあるので、事前予約していくと良いとのこと。
ちなみに店のイメージイラストは佐々木剛ファンクラブ『弐剛会』の会長でもある漫画家・村枝賢一が描き下ろしている。
掲示板
25 ななしのよっしん
2019/08/15(木) 00:02:07 ID: DMj4llK4dG
仮面ノリダーとは別の意味で非公認だけど、『改造人間哀歌 the movie』は実質的に「一文字隼人のその後」が描かれた特撮映画だと思う
26 ななしのよっしん
2021/06/05(土) 00:36:07 ID: OBcH6qzpOe
バッタモンもしばらくは営業みりだよなぁ
いつか行ってみたいと思ってるだが
27 ななしのよっしん
2024/03/16(土) 01:57:34 ID: 4G5Yg69BK5
問題の火事の前に、NHK番組『お笑いオンステージ』に子供達三人と共に出演してた映像が残ってる(NHK行けば視聴可能。ちなみに森次晃嗣も別な回で娘達と出てた)。番組内で当時新潟住まいだと話していた佐々木(福井)父子のほのぼのとした家族関係が、後の悲劇で壊れてしまうと見ると…つらい…。佐々木さんが立ち直った後、父子で一回くらいは再会機会はあったのだろうか…。
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最終更新:2025/04/24(木) 02:00
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