内之浦宇宙空間観測所(USC)とは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が運用するロケット打上・通信施設である。
今後の打ち上げ予定 |
平成28年度 |
平成29年度 |
鹿児島県肝属郡肝付町の南東部(北緯31度12分 東経131度06分)に存在する。内之浦はこの地の合併前の町名より。かつては鹿児島宇宙空間観測所とも。
1962年に開設され、以来科学観測系の調査を行う宇宙科学研究所(ISAS)の最前線として使用されてきた。1970年に日本初の人工衛星「おおすみ」を打ち上げたのもこの地からである。
大隅半島南東部海岸線の切り立った崖に拓かれた704,345㎡の敷地内に観測用・衛星打上用の打上施設や通信・管制施設、広報施設などが存在する。初めて訪れる者はその国際救助隊やウルトラ警備隊テイストな秘密基地っぽさ手狭さとボロさ物もちのよさにきっと驚くことだろう。
他国の打上施設はもちろん同じ国内の種子島宇宙センターと比べても、非常に見劣りする印象を与えずにはいられない当施設ではあるが、その歴史とこれまで成し得てきた輝かしき実績は他の打上施設にも勝るものであり、当施設を訪れたNASA職員が語ったとされる、
という言葉が、内之浦宇宙空間観測所の姿を明確に表している。
大きく分けて「観測用ロケット打上施設(ΚSセンター)」「衛星打上用施設(Μ台地)」「コントロールセンター」「通信関連施設(パラボラアンテナ・テレメータセンター等)」「その他(宇宙科学資料館・ゲート等)」が存在する。
基本、施設にある建造物は1970年~80年代に造られた物であり、それらを騙し騙し改修しながら運用している。
Μ-Ⅴロケットからイプシロンロケットに衛星打上ロケットが転換されたことにより、当施設内もやっと色々なものが新規のものに入れ替わったり廃用され撤去されたり大雨でいままで何とかごまかし持ちこたえさせていたものが壊れたり崩れたり飛ばされたりでどうしようもなくかたしたりして2010年代には色々様変わりした。近年まれにみる大改装である(約四半世紀ぶり?)。
また当施設はゲートにて申し込むことにより自由に施設内を散策することができる(除く、打上前)。かつてはそれこそ打上ランチャーに触れる所まで車でそのまま乗り入れられる無頓着さ自由度を誇っていたのだが、JAXAへの統合後に元大学風土バリバリの自由奔放さあふれるISASにもお役所風土の規制・形式の嵐風が吹き込みそれまで立ち入り自由だった場所への立ち入り制限が掛けられ、今日ではΜ台地のほぼすべてなど重要区画に立ち入る事が出来ない。
当敷地内の中腹、標高276mの場所に拓かれた区画。
面積約7,000㎡の平地に組立施設と風向風速塔、危険物操作室、S-520とM-3Sの実物大模型、高さ17mの鉄筋コンクリートに覆われたランチャードームが存在し、ランチャードームの中には観測用ロケット打上用の車両型ランチャーが格納されている。
製造工場から運ばれてきた観測用ロケットは恒温室と10tクレーン2基がある組立施設で組立・整備後ランチャーに据え付けられ、ランチャードームへ移動したのちドーム天井のシャッターと(排煙の為に)前後側面の扉を解放、ドーム内で点火・発射される。
ここではSS-520、S-520、S-310といった高度100km弱~300km超の電離層~熱圏での観測・実験を目的とした観測ロケットを今現在も定期的に打ち上げている。
それ以外にも過去にはS-160、S-210、MT-135が、さらにはランチャードームが出来る前の時代にはカッパ・ラムダ各シリーズの打上も当地で行い、日本初の人工衛星「おおすみ」もこの場所から打ち上げられた。
(この時使われていたランチャーが東京 上野の国立科学博物館に収蔵展示されている)
当敷地の低い場所、標高210mの海岸に面した場所に拓かれた区画。
面積約25,000㎡にΜロケット組立室、風向風速塔、クリーンルーム、L-3HとΜ-Ⅴの実物大模型と使用済火焔偏向板、森記念庭園、そしてΜロケット発射装置などが存在する。
また以前はラムダロケット用ランチャー(~2001年)や半地下の発射管制塔(~2013年)も運用されていた。
JAXA相模原キャンパスで検査を受けたロケット各部品は組立室に運ばれ再チェックを受けたのち50トン門型クレーンに吊られて発射装置の整備棟で垂直に組まれていく。
搭載衛星はクリーンルームにて最終チェックを受けたのちクリーンブースで最終段ロケットモーターと結合、フェアリングに格納され、頭胴部運搬台車に乗せられ整備棟に運ばれ組み上げられる。
危険物取扱法の関係でΜ-Ⅴの頃は法律の隙間を突いて第1段モーターを2分割し組立室で組み立てていた。イプシロンロケットでは第1段モーターが一体成形製造な事から分割搬入が出来ないため法律を捻じ曲げ改正して推進剤が充てんされた1本モノを搬入することとなった。
大型ロケットを打ち上げるために1982年につくられた、整備棟とランチャーが一体化された施設。
ロケット組立施設やクリーンブースで整備されたロケット各段は発射装置の整備棟内で組み上げられランチャーに装着。その後、発射直前に整備棟南側の扉を開放しランチャーが180度旋回して海に面した発射位置に移動、ロケットが発射される。
Mロケット発射装置の最大の特徴(だった)。
ISASが運用してきたロケットは政治的理由などによりロケットの誘導に不確かな部分が存在した事もあって、「重力ターン方式」という"積極的な姿勢制御は行わない飛行経路"をとらせるために世界的にも珍しいな斜め方向への発射を行ってきた。誘導装置が確かなモノになり重力ターン方式の飛行経路をとる必要も無くなった後も射点付近の安全確保の観点から一刻も早く海上にロケットが出るよう傾斜発射が採用されてきた。
ただ、この方法は、
という欠点も持っていた。
イプシロンロケットからは①一段目の信頼性が十分な為、海上に早急に打ち出す必要が無くなった ②第1段の推進特性をパワー重視から燃焼時間重視にして発生衝撃を緩和させた といった理由から、火焔偏向板を廃し煙道が新設され垂直に打ち上げる方法が採られることとなった。
東大宇宙航空研がペンシルロケットでロケット推進の研究を始めた頃から研究全般に携わりISASに改組された際には初代所長に就任、その在任中に逝去した森大吉郎教授を偲び、発射装置の南に整備された芝生の庭園。
その一角には森教授の遺影を刻んだモニュメントが作られ、その目線は氏が情熱を注いだロケットの発展と無事を見守るかのようにランチャーを見据えている。
そしてロケット発射の度に、燃焼時に発生する熱風と塩素が芝生を焼き(モニュメントの影となっている所を残して変色してしまう)、マンホールが浮き飛ぶような突風(飛ばないように鉄の板とボルトで補強処理がされている)に耐えている…。(´;ω;`)
KSセンターから打ち上げる観測ロケットの発射・管制を取り仕切る施設。
また軌道計算を行う計算機や各テレメーターからの情報や気象情報、海上監視レーダーからの情報なども当施設に送られるようになっており、Μロケット時代はロケット射出後の管制中枢として指揮所となり、イプシロンロケットに切り替わってからは売りの一つである高度な管制ネットワークを支える電算機の設置施設として運用されている(これにより衛星打ち上げ時には当施設は無人化されることになった)。
建物自体が出来たのが1970年代であるため非常にボロい。床はめくれ、雨が降ると雨漏りがするほどである…。おまけに置かれたコカコーラの自販機も非常に古かった(2003年当時)。
敷地内の風向風速塔からの気象データや気象衛星「ひまわり」からの画像データ、気球データ収集装置、気象ファクス、雷検知予報装置からの情報等々、ロケット打上の実施(ひいては打上見学の成否)に関わる重要な影響を与える天気予報に必要な情報を集めて処理している当施設であるが、そんな施設らしい霊験あらたかなアイテムが気象班の机そばに鎮座している。それが
「下駄」
である。
かつての内之浦は地上の最果て、辺境の極地。あらゆる情報が手に入り辛い場所であった…って今も通信端末事情は変わらないような…(大汗)。
気象情報も同じく、いくら自前の観測装置があったとしてもあくまでそれは"点の情報"。総合的に予報を出すにはより多くの観測点の情報を元に"面の情報"をもってあたらないと正確な予報は出せないものだが、如何せんISASは予算も設備も絶対的に足りない。かくして予報は的を外れる…。関係者のイライラは積もっていく…。
そんな状況を打開せんが為いつしか持ち込まれたのがこの下駄である!
その身の表裏側面にびっしりと気象に関する記号や予報、気構え等々が描かれ、ひと蹴り出せばアラアラたちまち関係者のイライラは解消するという凄い科学技術の最先端の場所で非科学的なユーモア満載な下駄なのである!!…あれ?予報は?
無人化された今もこの下駄は好天と打ち上げの成功を祈るように気象班の机のそばに鎮座しているはずである。
掲示板
1 ななしのよっしん
2013/06/22(土) 01:33:38 ID: 5Q7kqYzptM
下駄に関してはこれを参照にしたらどうか?
http://b
2 ななしのよっしん
2013/11/29(金) 16:04:02 ID: 14tU17cc63
イプシロンロケットで使われるようになったんだから
カメラを更新してください...
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最終更新:2025/04/08(火) 10:00
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