合成地名

合成地名とは、複数の既存の地名の一部を組み合わせて作った地名である。

この記事では日本の合成地名について扱う。

概要

おもに市町村合併の際に各町村に配慮して作られることが多い。歴史ある地名を破壊するものとして批判されることもあるが、明治の大合併の頃から作られており、作られてから何十年と経過して住民に受け入れられたものや、そもそも合成であるということ自体知られていないものもある。

合成地名の一覧

ニコニコ大百科に記事があるもののみ掲載。また由来の列には合併に参加していても地名の由来になっていないものは記載しない。

「地名誕生年」の（）内は自治体区分に関係なく、地名そのものが生まれた年。

都道府県・市区郡町村

所属	地名	由来	地名誕生年	備考
北海道亀田郡	七飯町	七重村+飯田村	1957年 （1879年）	二村が合併してできた七飯村から町制施行した。
秋田県	大仙市	大曲市+仙北郡	2005年	仙北郡は一部のみ合併。
福島県双葉郡	大熊町	大野村+熊町村	1954年	大川原村+野上村+下野上村→大野村。
茨城県	つくばみらい市	筑波郡+みらい平駅	2006年	伊奈町と谷和原村が合併して誕生した。
埼玉県	日高市	日和田山+高麗村+高麗川村	1991年 （1955年）	二村が合併してできた日高町から市制施行した。
埼玉県入間郡	毛呂山町	毛呂村+山根村	1939年
千葉県	山武郡	山辺郡+武射郡	1897年
東京都	大田区	大森区+蒲田区	1947年
東京都	墨田区	墨堤+隅田川	1947年	本所区と向島区が合併して誕生した。
東京都	中野区	中野町+野方町	1932年 （1591年以前）	「中野町」からそのまま取ったという説もある。
東京都	昭島市	昭和町+拝島村	1954年
東京都	国立市	国分寺+立川	1951年	国分寺駅と立川駅の中間に作られた駅が両駅から1文字とって国立駅と名付けられ、それが自治体の名称となった。
東京都	東大和市	東京都+大和町	1970年	神奈川県大和市との同名回避。
長野県	東御市	東部町+北御牧村	2004年
	岐阜県	岐山県+曲阜県	1872年 （1568年？）	諸説あり。岐山県、曲阜県は中国の地名。なお岐山県は現在も中国にあり、曲阜県は現在は曲阜市。
岐阜県	岐阜市	岐山県+曲阜県	1889年 （1568年？）
岐阜県	海津市	海西郡+下石津郡	2005年 （1897年）	二郡が合併してできた海津郡に由来する。
岐阜県	羽島市	羽栗郡+中島郡	1954年 （1896年）	二郡が合併してできた羽島郡に由来する。
愛知県	蒲郡市	蒲形村+西之郡村	1954年 （1876年）	二村が合併して蒲郡村が誕生した。
愛知県西春日井郡	豊山町	豊場村+青山村	1972年 （1906年）	二村が合併して豊山村が誕生した。
三重県	松阪市	松ヶ島城+大坂	1933年（1588年）	1889年の町制施行時、松坂城下が松阪町になった。
三重県多気郡	明和町	斎明村+三和町	1958年	二村が合併してできた神郷町が即日改称して誕生した。
京都府	京田辺市	京都府+田辺町	1997年	和歌山県田辺市との同名回避。
京都府	京丹後市	京都府+丹後国	2004年	同名回避ではない。
	和歌山県	和歌浦+岡山	1871年 （1585年）	「岡山」は岡山県や岡山市とは無関係。
和歌山県	和歌山市	和歌浦+岡山	1889年 （1585年）
岡山県	玉野市	玉村+宇野村	1940年 （1889年）	玉村と宇野村が合併し玉野村が誕生し、その後一旦消滅したが市名として復活した。
広島県広島市	安佐南区	安北郡+佐東郡+南（方角）	1980年	高宮郡と沼田郡が合併してできた安佐郡の南部。もともと高宮郡は安北郡、沼田郡は佐東郡と呼ばれていた。
徳島県板野郡	藍住町	藍園村+住吉村	1955年
香川県	三豊市	三野郡+豊田郡	2006年 （1899年）	二郡が合併してできた三豊郡に由来する。
福岡県	みやま市	三池郡+山門郡	2007年	合成し「三山」をひらがなにした。
福岡県朝倉郡	大福村	大庭村+福成村	1909年	現在は朝倉市。

都道府県内の地域名

所属	地名	由来	備考
北海道	日勝峠	日高国+十勝国
福島県相馬市	日立木	日下石+立合+赤木+柚木	1900年に磯部村の一部（日下石・立合・赤木・柚木）が分立して発足した日立木村に由来する。
栃木県佐野市	安佐	安蘇郡+佐野市	現在は全域が佐野市。
千葉県習志野市	津田沼	谷津村+久々田村+鷺沼村	1889年に三つの村と藤崎村・大久保新田が合併して誕生した津田沼村に由来する。
東京都	京王	東京市+八王子町	1910年当時の自治体。
長野県	大北地域	大町市+北安曇郡	長野県のかつての地域区分の一つ。現在は北アルプス地域。
大阪府	阪堺	大阪市+堺市
兵庫県	神姫	神戸市+姫路市
福岡県	筑豊	筑前国+豊前国	福岡県の地域区分の一つ。ただしそれぞれの国の一部。

複数県にまたがる地域名

地名	由来	備考
甲信越	甲斐国+信濃国+越後国	現在の山梨県・長野県・新潟県。
北信越	北陸道+信濃国+越後国	現在の福井県・石川県・富山県・長野県・新潟県。
上越	上野国+越後国	現在の群馬県・新潟県。また、新潟県西部の意味もある。
京成	東京都+成田市
東横	東京都+横浜市
東名	東京都+名古屋市
東名阪	東京都+名古屋市+大阪市 東京都+名古屋市+大阪府 東（方角）+名古屋市+大阪市 東（方角）+名古屋市+大阪府	前の二つは「とうめいはん」。 後の二つは「ひがしめいはん」。
名神	名古屋市+神戸市
名阪	名古屋市+大阪市 名古屋市+大阪府
京阪	京都市+大阪市 京都府+大阪府
京阪神	京都市+大阪市+神戸市 京都府+大阪府+神戸市
阪神	大阪市+神戸市 大阪府+神戸市
阪奈	大阪市+奈良市 大阪府+奈良県
札仙広福	札幌市+仙台市+広島市+福岡市

数による合成地名

複数の地名に共通する文字に、合成した地名の数をつけたもの。

所属	地名	由来	地名誕生年	備考
宮城県本吉郡	南三陸町	南（方角）+陸前国+陸中国+陸奥国	2005年	三陸海岸の南部。
福島県双葉郡	双葉町	楢葉郡+標葉郡	1956年（1896年）	二郡が合併してできた双葉郡に由来する。

人名の合成地名

複数の人名を合成したもの。

所属	地名	由来	地名誕生年	備考
栃木県	黒磯市	黒館五郎+磯勝光	1970年 （1185年）	1185年に黒磯を開いたと伝えられているうちの二人。現在は那須塩原市。
	広島県	大江広元+福島元長	1871年 （1591年）	広島城築城の際に毛利輝元がこの二人の名前をとって周辺地域を広島と命名した。
広島県	広島市	大江広元+福島元長	1889年 （1591年）

連称地名

連称地名とは、複数の地名をそのままつなげたものである。合併した地名をそのままつなげるタイプと、広域地名の後に狭域地名を付けるタイプがある。地名の原形を保つため、合成地名よりは批判が少ない。

複数の地名をそのままつなげたもの

所属	地名	由来	備考
東京都世田谷区	二子玉川	二子村+玉川村	世田谷区の地域の通称。二子村は神奈川県。
大阪府南河内郡	千早赤阪村	千早村+赤阪村
和歌山県東牟婁郡	那智勝浦町	那智町+勝浦町	宇久井村と色川村も同時に合併に参加している。
山口県	山陽小野田市	山陽町+小野田市	「山陽地方の小野田」ではない。
福岡県	糸島市	怡土（いと）郡+志摩郡	二郡が合併してできた糸島郡に由来する。

広域地名の後に狭域地名を付けたもの

所属	地名	由来	備考
岩手県	陸前高田市	陸前国+高田町	新潟県高田市（現・上越市）との同名回避。
福島県	会津若松市	会津郡+若松市	福岡県若松市（現・北九州市若松区）との同名回避。
茨城県	ひたちなか市	常陸国+那珂郡	常陸那珂港に由来するとの説あり。
栃木県	那須塩原市	那須郡+塩原町	旧黒磯市に那須塩原駅があったことにもよる。
東京都	武蔵村山市	武蔵国+村山町	山形県村山市との同名回避。
東京都千代田区	神田神保町	神田区+神保町	神田区と麹町区が合併し千代田区になったとき、旧神田区内の町名にはすべて「神田」がつけられた。
東京都千代田区	神田旅籠町	神田区+旅籠町	由来は上と同じ。現在は外神田。
岐阜県	美濃加茂市	美濃国+加茂郡	新潟県加茂市との同名回避。
愛知県	尾張旭市	尾張国+旭町	千葉県旭市との同名回避。
大阪府	泉佐野市	和泉国+佐野町	栃木県佐野市との同名回避。和泉を同音の泉に置き換えた。
奈良県	大和郡山市	大和国+郡山町	福島県郡山市との同名回避。
愛媛県	伊予三島市	伊予国+三島町	静岡県三島市との同名回避。現在は四国中央市。
高知県	土佐清水市	土佐国+清水町	静岡県清水市（現・静岡市清水区）との同名回避。
鹿児島県	薩摩川内市	薩摩郡+川内市 薩摩国+川内市	宮城県仙台市との同音回避。

関連項目

• 日本の市町村の一覧
• 神浜市（架空の市、神戸市+横浜市）
• 武漢市（中国・湖北省の市、武昌+漢陽+漢口）
• 平和最終処分場（静岡県浜松市のゴミ処理場、平松町+和地町）