大島康徳とは (オオシマヤスノリとは) [単語記事]

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大島康徳（1950年 10月16日～2021年 6月30日）とは、中日ドラゴンズ、日本ハムファイターズに所属していた元プロ野球選手である。

概要

OB
大島康徳
基本情報
出身地	大分県中津市
生年月日	1950年 10月16日
没年月日	2021年 6月30日（満70歳没）
身長体重	182 cm 85kg
選手情報
投球･打撃	右投右打
守備位置	三塁手、一塁手、外野手
プロ入り	1968年ドラフト3位
引退	1994年
経歴
選手歴大分県立中津工業高等学校中日ドラゴンズ(1969年-1987年) 日本ハムファイターズ(1988年-1994年) 監督・コーチ歴日本ハムファイターズ(2000年-2002年) WBC日本代表(2006年)
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中学時代はバレーボール部に所属しており、その時は「バレーボールで金メダル」という夢を持っていたが、高校では中津工業高校の監督が大島の素質にほれ込み、スパイクとグローブをプレゼントされたことをきっかけに野球部に入部。
1968年のドラフト会議で中日ドラゴンズから3位で指名され入団。この時は投手だったが、監督だった水原茂の進言で野手に転向した。

最初の2年は一軍への機会がなく二軍暮らしとなったが、この間二軍コーチでかつて中日の俊足外野手としてならした本多逸郎から「3年間、酒、タバコ、女禁止。野球のことだけを考えろ」と厳命され、みっちりしごかれた。
3年目の71年に一軍昇格を果たし、初出場となった6月17日のヤクルト戦では石岡康三からセンターバックスクリーンに飛び込む2点本塁打を放つという輝かしいデビューを飾り、以降代打として一軍に残ってこの年7本塁打を記録。

72年は8月2日に1イニング2本塁打を放つ記録を作り、シーズンでも規定打席に到達したものの安定感がなく、14本塁打38打点ながら打率は.230に留まる。
このため72年から指揮を執っていた与那嶺要監督からは「あいつは3日先になると別のバッターになってしまう」と信頼を得られず、さらに守備が苦手なため内外野たらい回しとなり、左翼手から三塁手にコンバートされたことで島谷金二（ドラフト同期生だが6学年上）に出場機会を奪われたため、掴みかけたレギュラーを手放すことになってしまう。

74年にはレギュラー奪取ならずもチームのリーグ優勝に貢献し、日本シリーズでは6戦目にて村田兆治からソロ本塁打を放つも日本一は達成ならず。

76年は代打の切り札として活躍し、シーズン代打本塁打記録となる7本塁打をマーク（同年に記録した本塁打数は11本）。無類の勝負強さこそ発揮するものの、この時もレギュラー定着を果たせずにいた。

転機となったのは2歳上の兄が亡くなったこと。この際「このままではだめだ」と奮起し、基礎練習量を増やすなどして自らを追い込んだ。
ライバルの島谷が阪急ブレーブスにトレードされたのも追い風になった。77年はトレード相手の森本潔が当初サードのレギュラーとして起用されたが、与那嶺監督は森本を諦め大島をサードのレギュラーとして起用するようになった。規定打席にも到達して打率.333、27本塁打71打点の成績を残し、また8月9日には2度目となる1イニング2本塁打を記録した。

谷沢健一がアキレス腱痛でシーズンを棒に振った79年は、一塁手として開幕から安定した打撃で長打を量産し、10月8日のヤクルト戦から17日の広島戦にかけて5試合連続本塁打を記録する等の活躍を見せた。この年初めて全試合に出場し、打率.317、36本塁打 103 打点、リーグ最多の159安打という自己最高成績を叩きだす。

82年には三塁手のケン・モッカが加入したため、再びレフトにコンバートされた。やや不振に陥るも自身2度目となるチームの優勝に貢献し、日本シリーズでも5戦目に杉本正から先制ソロを放ったがまたも日本一は叶わず。

83年は7月末時点で本塁打数が14本で、トップの山本浩二から13本差を付けられていたが8,9,10月に猛追し、最終的に山本と同数の36本塁打で初の打撃タイトルとなる本塁打王を獲得した。

84年も好調を維持し、西武ライオンズからトレードの申し出があるも破談となる（代わりに田尾安志がトレードされた）。だが、翌年から徐々に出場機会が減っていく。

ロッテオリオンズから落合博満がトレードで加入した87年は先発落ちする機会も増え、77年にレギュラーを獲って以降で最低の打席数、安打数となった。すでに37歳であったが、日本ハムファイターズからの熱望により田中富生・大宮龍男とのトレードが決まった。

88年は主砲アンソニー・ブリューワが故障したため、四番ファーストで開幕を迎えた。最終的に全試合（130試合）出場を果たし、見事に復活を果たした。翌89年も全試合出場を果たす。

90年はスタメン落ちする機会も増えたが、それでも引き続き主軸を打ち続け、8月21日のオリックス・ブレーブス戦で2000本安打を達成した。39歳10ヶ月での達成は当時の最年長記録であり、2290という試合数も当時の最長記録であった。翌91年もレギュラーを守り、2000本が通過点でしかないことを見せつけた。

しかし年齢による衰えは隠せず、92年は中島輝士に追いやられる形で出場機会が半減する。翌93年は完全に代打要員となった。

「配球が読めて楽しい」と語った94年は代打中心ながら打率.323、21安打で22打点、得点圏打率.371と御年44歳とは思えぬ活躍を見せたが同年現役を引退した。
内野手としても外野手としても1000試合以上出場という記録を作っている（残念ながら守備の迷手なのがその理由だが）。

現役引退後

現役引退後は解説者を務めていたが、2000年に日本ハムの監督に就任し、同年はAクラスとなる3位になった。
しかし2001年は開幕戦となった近鉄バファローズ戦にて一時は6-1と大幅にリードしていたにも関わらず、いてまえ打線と呼ばれた強力打線に投手陣が打ち込まれて9-10の大逆転負けを喫し、これで勢いを挫かれたのかこの年は最下位から浮上することが出来なかった。
翌2002年も5位に終わり、監督を解任された。

2006年にはWBC日本代表の打撃コーチを務め、チームの世界一に貢献。金メダルを掛けられた際には歓喜のあまり涙を流していた。

その後は再び解説者に復帰。NHK BSのメジャーリーグ中継などを担当していた。
余談だが2015年にシアトル・マリナーズに所属する岩隈久志がノーヒットノーランを達成した際の解説が大島である。

2017年 2月7日に、自身のブログで大腸がんであることを公表した。
余命1年と宣告されていたが、4年余りの闘病生活の末、2021年 6月30日に死去。

エピソード

なかなかレギュラーを掴めなかったのは打撃の安定感が無かったこともあるが、もう一つ守備難という理由があった。その守備は当時現役を共にした星野仙一が自身が被害を被った宇野ヘディング事件の当事者・宇野勝と比べて「宇野は捕れば安心できたけど、大島は捕球しても審判がアウトを宣告するまでまったく安心できなかった」と語るほど。
ちなみに宇野ヘディング事件の際、宇野がこぼしたボールを処理したのはこの日レフトに入っていた大島。また1984年 5月5日の対大洋戦にて宇野がレフトに打ち上げた打球を目で追いながら全力疾走したせいで一塁走者を追い抜きアウトになったのは有名だが、この時の一塁走者が大島だった。
さらにこの14日後の5月19日の対ヤクルト戦、今度は大島がレフトに打ち上げた打球を目で追いながら全力疾走したせいで一塁走者の谷沢健一を追い抜き大島がアウトになるという全く同じようなやらかしを見せるなど、妙に珍プレーと宇野に縁がある。

本塁打王と最多安打（当時は表彰なし）を1度ずつ記録しているが、何故かベストナインには一度も選ばれていない。
一塁手として自己最高成績を残した79年は打撃3項目全てで王貞治を上回ったにも関わらず、ベストナインには王が選ばれた。だが大島は「王さんは雲の上の人。悔しくはない」とコメント。
また外野手として本塁打王を獲得した83年は同数で本塁打王を分け合った山本浩二、盗塁王の松本匡史、最多安打の田尾安志がベストナインに選ばれている。

長嶋茂雄のファンで、監督時代には長嶋の言動を真似ている様子が珍プレーとして取り上げられている。
また同じく監督時代、投手交代をしにマウンドへ行くも集まった選手たちと話すうちに選手交代を忘れてしまい、そのままベンチに引っ込むと、コーチから投手交代について聞かれ、その時初めて投手交代を忘れたことに気付いた際に舌を出してとぼけ、マウンドにいる高橋憲幸に対しベンチから「行け！」と指示を出し、高橋はランナー三塁の場面から2者連続三振に仕留めている。この一連のやり取りはもまた珍プレーとして取り上げられた。