年金積立金管理運用独立行政法人 単語


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年金積立金管理運用独立行政法人とは独立行政法人の一つ。

英語名称はGovernment Pension Investment Fund、通称GPIF。

厚生年金国民年金の積立金を運用する世界最大の年金基金であると同時に世界最大規模の投資ファンドでもある。運用総資産額は2019年度第3四半期末時点で168兆9,897億円、累積での収益額は75兆2,449億円。当然のことながら経済危機の時などには赤字を出していて左記の数字である。

概要

組織の特徴

年金事業団が運用していた積立金を引き取り現在運用している。

所管は厚生労働省資本金は一億円で全額政府出資。

年金の積立金運用はグリーンピア(保養所)などで散財した年金事業団が財政投融資に預託していた(平成13年の財投改革にて預託止)。それが特殊法人改革に伴いが直接運用することとなったことから、純資産運用機関として新しく構築した独立行政法人がGPIFである。年金事業団から2006年から運用を引き継いでいる。

現在の役員は5名で職員は79名。実際の資産運用は運用部門毎に複数の金融機関に委託する形で行っている。これはカナダ所得年金(=CPP 2012年度時点で資産額14兆6000億円)の811名と較しても桁違いに少なく世界最大の資金運用を、世界でも例を見ない「最低賃金」で運用してるといわれる所以となっている。そうなっている最大の理由は独立行政法人である為、人件費と人数にキャップが掛かっているためである。

現在東京都千代田区霞が関一丁にある事務所だが、運用の多様化に伴い職員が増えて手狭になっていることから、東京都港区の虎ノ門ヒルズに事務所を移す予定となっている。

資産運用実績

平成30年度の運用資産額は、159兆2,154億円。収益額は2兆3,795億円で収益率1.52%

令和元年度の運用資産額は、150兆6632億円。収益額は-8兆2831億円で収益率-5.2%

令和2年度の運用資産額は、1861624億円。収益額は37兆7986億円で収益率25.15

令和3年度の運用資産額は、196兆5926億円。収益額は10兆925億円で収益率5.42%

令和4年度の運用資産額は、200兆1328億円。収益額は2兆9536億円で収益率1.5

上記のように運用資産額は増えているのがわかる。

運用資産額の増減としては令和3年実績として年金特別会計から1兆1758億円の寄託金の受け入れ、年金特別会計への寄託金の償還が200億円、別途年金特別会計への納付が7500億円、運用手数料等435億円。

概算として入金(年金特別会計からの出金)1兆1758億円出金(年金特別会計への入金)7700億円、差額は4058億円の入金となっている。あくまで年金特別会計との間で入出金していることに注意すればわかりやすい構造となっている。

年金特別会計への寄託金償還等(キャッシュアウト)は、財投債の満期償還金や利金、内債券(市場運用分)からの資金回収などで行っている。これは換金するタイミングカモにされにくくする為の工夫である。

年金特別会計 増資
→ → →
1兆1758億円
GPIF 償還・納付
→ → →
7700億円
年金特別会計

なお、毎年黒字を出せるわけではなく2008年度にリーマンショックで9.3兆円の赤字を出したりしているが、ファンドである以上やむをえない。累積収益額が1083842億円なので安定性を要されるファンドとしては健闘している部類といえる。マスコミ赤字のときはトップ記事で取り扱い黒字の時には小さく三面以降の記事にしているあたり、なかなか報われない組織であるともいえる。

勘違いしている人が多いが外貨準備額(政府アメリカ国債保有)とこのファンドは直接の関係はない。
そちらを取り扱っているのは外為替資金特別会計であり全に別である。

また財投債財政投融資の為の専用国債)も購入しているとから、年金国債消化に使用されているという論を一部メディアが展開することがあるが、あくまで国債という金融商品を買っているにしか過ぎないGPIFとしては特に問題はない。財政投融資国債残額の問題はここの運用とは直接は関係しないのである。

運用ガイドライン

以下は全資産に対しての共通事項である。

  • 買占め等の仕手戦には参加しない。また、企業の経営支配を的とした投資は行わない
  • 信用買い、売り等の信用取引は行わない
  • 有価券の頻繁な売買に伴う取引費用の増大により、かえって全体としての収益率を下げるようなことは避ける

基本的には損をしにくいことを眼とした運用方針となっている。

責任投資原則

GPIFは国連の「責任投資原則」の署名機関となっている。
これによりこの組織は社会環境企業統治への取り組みが優れた企業に投資することを基本としている。
運用としては運用委託機関国連責任投資原則の署名状況について報告をまとめてもらっている。

運用受託機関

運用は選定した金融機関に委託しており運用手数料等は302億円。

その為、マスメディアによる「素人による運用」という論述はただの不勉強か誤解、もしくは意図的な誤報のいずれかである。また、運用委託先金融機関開されている。

GPIFの基本ポートフォリオ
モデルポートフォリオ 中心値範囲

最新の構成割合

内債券 25% 左記±7 26.79%
株式 25% 左記±8 24.49%
国債 25% 左記±6 24.39%
株式 25% 左記±8 24.32%
短期資産 - - -

令和5年3月末時点情報、中心値範囲は値の動きによってズレが許容される範囲。

2014年10月末の改定でポートフォリオが大きく変化した。これは運用利回り1.7を最低限のリスクで確保することを標として組みなおされたものである。想定としては今後10年間はキャッシュアウト年金支払いのため基金の基金の切り崩し)が発生すると想定し、その後の15年は更なる支払いに備え基金が積みあがることを標に再設計されている。論見どおりに動作するかどうかは今時点では未だ不明である。

国内債券運用受託機関

パッシブ運用(ベンチマーク:NOMURA-BPI「除くABS」)
パッシブ運用(ベンチマーク:NOMURA-BPI 国債)
アクティブ運用(ベンチマーク:NOMURA-BPI「除くABS」)

国内株式運用受託機関

伝統的アクティブ運用
スマートベータ型アクティブ運用
国内株式パッシブ

上記にあるように情報に運用受託機関ベンチマークが提示されている、かつ委託額が巨額であるため売買の動きが市場に読まれてしまうことも往々にしてある。また、運用先は変更されることがある。

エイジェンシー問題

通常、ファンドには委託者(プリンシパル)と代理人(エージェント)が発生する。

株式会社であればオーナー)が委託者であり経営者が代理人にあたる。この関係がこじれたり動作しなくなったりすることはエイジェンシー問題と呼ばれる。

GPIFの場合、出資者は民(保険料を払ったすべての人)であり取りまとめているのが日本国政府資産の管理団体がGPIF、そして実際に運用するのは委託された金融機関という間に二段挟まった形となっている。

ここに問題が発生する。

通常、委託者は代理人に対して透明性(情報開示)を要することが多いが、ことファンドにおいては詳細な運用針の提示は絶好のかもにされてしまうのである。

実際、GPIFは上記のように運用委託先を明示している。特に運用額が大きすぎるGPIFの場合は売買の結果がはっきりと他の投資に認識されてしまうことが過去に何度か発生しており、その上でさらに詳細な運用針を提示した場合には、かつて日本国政府が行ったPKO(価格維持操作)と同様にむしられて終わってしまう可性が高まってしまう。これを回避するのはある程度はGPIFを信用し、その上で長期をみてリスクヘッジをさせる必要が出てくると思われる。

少なくともマスコミが下がったときだけ過大にたたく現状は信用してるとは言いかねることは事実である。

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