Q.E.D. 単語

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キューイーディー

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曖昧さ回避
  1. 数学などで明の終わりに用いられる語句。
  2. 加藤元浩著の漫画タイトル。正式タイトルは「Q.E.D. 証明終了
  3. 高田崇史による歴史ミステリー小説シリーズ。表記は「QED」(.がい)。→「QED
  4. 東方紅魔郷Exボスが使用するスペルカードの符名。QED「495年の波紋
  5. 量子電磁力学(Quantum ElectroDynamics; QED)の略称
  6. Acid Black Cherryの2枚アルバムタイトル2009年に発売。

この項では1の数学でのQ.E.D.を紹介する。

概要

古典ギリシア語の "ὅπερδει δεξαι" (ホペル・エデイ・デイクサイ頭字語は«ΟΕΔ»)の古典ラテン語訳 "quod erat demonstrandum" (クウォッド・エラット・デーモーントランドゥム)の頭字語である。

学校では大体「よって~は~を満たす」あるいは「明終わり」として教わるはずだが、より厳密には「以上がかねてより明されるべき事柄であった」(英語で言えば "which had to be demonstrated") という意味になる。

複数形「以上がかねてより明されるべき事柄の数々であった」もあり、こちらは "quae erant demonstranda" (クワエ・エラント・デーモーントランダ)。

ピンと来ない人へ

学生のとき、こんなの終わりにで書いてませんでしたか?

「//」これもQ.E.D.みたいなもんです。

数学者がQ.E.D.をあんまり使わない理由

……とここまで紹介してきたように、Q.E.D.は「了」の代名詞として広く知られているが、

  1. 元になったラテン語が長くて理解しづらい
  2. というかどういう意味か覚えてない
  3. 書くのが面倒
  4. ラテン語をそのまま理解すると文章が意味不明になる場合がある
  5. そもそもAMS-LaTeXなどの数学用組版ソフトウェアを使ったら勝手に別の記号をつけてくれる
  6. 気取ってる感じがする
  7. みんなが使ってないので一人だけ使うのも恥ずかしい

等々の理由で不人気である。

そもそもQ.E.D.は「以上で明された」とか「これで明は終わり」という意味ではなく、「以上が明されるべき事柄であった」というなんともちんぷんかんぷんな略称であり、日本人のみならず英語圏の数学者にとっても意味不明で使うのはなんとなくわれるらしい。

というわけで参考までに、現在よく用いられている了の記号をいくつか紹介する。

他の証明終了を表す記号

まず日本語で書く場合、

(明終) もしくは (明終わり)

と最後につける。高校教科書などではこうなっている場合が多い。これで全く問題はないので、中学生高校生であればこれを書いておけば良い。あと「了」とかそういうのでも構わない。ただ、「(了)」や「(終)」はあまり好まれない。何が終わったのかよく分からないからである。好まれないだけで、別に悪いわけではない。嫌いじゃないけど好きじゃないよ。

もし「~~を明せよ」という問題が出て、明終了の事実を丁寧に書きたいなら、

よって題意は示された。

と書くのが良い。大学入試などで明問題が出た場合、こう書き添えるのが最も難だろう。(この場合、別途「Q.E.D.」など他の記号を付け加える必要はないが、後述の「」とかを書き添えておくとちょっとやさしさが出る)

他言語を見てみると、サンスクリット語では

इ.सि.

と書くらしい。

タミル語では、

நி.வே.

と書く。……とこのように意味不明だと思われたかもしれないが、日本人以外にとっては「明終」も意味不明の類いなので、今日では了の記号として、世界的に、以下のように書くことが多い。

 もしくは ■

これはtombstone(墓石)、もしくは最初に「Q.E.D.」の代わりとして使った数学者名前を取ってハルモス記号と呼ばれる。tombstone(墓石)と呼ばれる所以には、「この定理了なので、今後の明の必要性を葬り去った(=墓を建てた)」とかいう意味も込められているらしいが、後付けの逸話である可性も高い。

この正方形でも長方形でも構わない(ただし長方形の場合、横長ではなく縦長を使う)。数学組版ソフトウェアTeXの場合、抜き正方形で記されることが多いため、現在では抜き正方形が圧倒的多数となっているが、伝統的には縦長の塗り長方形が正しいらしい。事実、少し昔の数学書だと味海苔のような細長い長方形が書き込まれている。

黒板で記す場合は塗りつぶすのが面倒なのでの方が好まれる。ある数学者書する際に■の代わりとしての中に×マークを書き入れたが、その人物く「の中に斜線を書くのも可」らしい。もし講義などをする立場になるなら、「了のサインはこれ」とあらかじめ定義しておくのが望ましいだろう。

書く場所は、数学書によって「文章の直後」「段落の一番右」などと一定しないが、基本的には了の事実を示した文章(もしくは数式)の後の近い場所に置くのがマナーである。現在では了したのと同じ行に、一番右寄せで「」と書くことが流。

さて、やはり手書きだとを隅っこに書くだけではなんとなく頼りないのも事実。というわけで、

//

と書くのも認められている。他にも、「xx=yyであることを示せ」という問題なら、「以上によりxx=yy」と書いて「xx=yy」の下に二重線を引いても了の印として認められることがある。

そして何も書かないで下に空白けることでも了を意味させることは可である……が、「明せよ」といった問題が出ている場合や、新たに定理を提示する場合、定理に対する明と、その明終了のサインをつけておくことは読み手に対するマナーとも言える。

……とにかく了のサインはやたら多い。とはいえ、「Q.E.D.」はほとんど使われることがなく、最も不人気な「//」にすら劣る場合があり、現在では圧倒的に「」が流である。

ちなみに、フェルマーの最終定理を三日間にわたるセミナーで黒板を使いながら明したアンドリューワイルズは、最後にフェルマーの最終定理に直接つながる山・志村予想の了を示した後、黒板フェルマーの最終定理の式を書くと、

これで終わりにしたいと思います。

と宣言した。前に述べている定理と、フェルマーの最終定理が同値であることを聴衆は知っているので、了と言わなくても、一言添えるだけで十分だったのである。会場は総立ちとなり、かが持ち込んだシャンパンけられたとかなんとか。(ただし、その後出版された論文ではきちんと「」が添えられている)

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