オスカー・フォン・ロイエンタールとは銀河英雄伝説のキャラクターである。
若本の真面目な演技と美声を聞くことが出来る、近年では数少ないキャラといわれている。
CVは若本規夫。座乗艦はトリスタン。黒に近いブラウンの髪、逞しい長身、ヘテロクロミアの目を持つ。ミッターマイヤーとは親友で、ラインハルトやキルヒアイスとは盟友である。
ミッターマイヤーが、ブラウンシュバイク公に連なる貴族将校を軍紀違反で処刑したことで逆に収監されてしまい、この窮地を救うべくラインハルトに援助を頼んだことから彼の知己を得る。この出来事の後、ミッターマイヤーと共に「ゴールデンバウム朝打倒」というラインハルトの思惑を聞かされる。ラインハルトがキルヒアイス以外の人間に思惑を披瀝したのは初めてのことで、よって信頼も厚かった。
以後、ラインハルト陣営の重鎮としてミッターマイヤーと共に「双璧」と呼ばれ、特にキルヒアイスの死後はその役割の重要性が増した。
ラインハルトがアスターテ会戦で同盟軍を破り元帥に任じられ、彼の元帥府が設置されるとそこへ所属する。同盟軍の帝国領侵攻作戦への対応、リップシュタット戦役で活躍。同盟領侵攻作戦「ラグナロック」では、当初はイゼルローン方面に同盟の耳目を引きつける囮役を担う。本隊がフェザーンを突破して同盟領へ入った時は、ヒルダの提案でミッターマイヤーと共に同盟首都ハイネセンを急襲。同盟政府を降伏に追い込みラインハルトを救う。
ローエングラム朝成立後は元帥昇格と同時に統帥本部総長に就任し、同盟領再侵攻に携わる。ヤン暗殺後に旧自由惑星同盟領「ノイエラント(新領土)」を統治するノイエラント総督に就任。総督は各省の尚書と対等で、皇帝に対してのみ責任を負うものとされた。ノイエラントにはノイエラント治安軍が駐留し、総督はその司令官も兼ねた。
新帝国暦2年、地球教の策謀により起こされたウルヴァシー事件によって、皇帝暗殺未遂の嫌疑をかけられる。当然本人に覚えのないことであったが地球教の陰謀とは知らず、ラング内務次官とオーベルシュタイン軍務尚書による罠と確信した彼は、冤罪によって屈辱を味わうよりは自ら反逆者の汚名を着ることを選んだ。同年、戦闘中の負傷によりハイネセンポリスの総督府執務室で死亡。
その遺体を見たミッターマイヤーは、執務室にあった黄金獅子旗をかけ親友の死を弔った。反乱鎮圧後帰途につくベイオウルフでの、バイエルライン大将の言葉がこの出来事の重大さをよく表わしている。
「俺は一生この光景を忘れられないだろう。ウォルフ・デァ・シュトゥルムが泣いてるぜ・・・」
尚、ロイエンタールは死に先立って、ヨブ・トリューニヒトを恣意的に銃殺している。
元帝國宰相リヒテンラーデ公の親族である、エルフリーデ・フォン・コールラウシュとの間に男子がいる。この子はロイエンタールの死後にミッターマイヤー家に引き取られ、フェリックスの名をつけられて養育を受けることになった。
白兵戦ではワルター・フォン・シェーンコップと対等で、艦隊指揮においてはミッターマイヤーやヤンなどと同等の能力を持ち、ノイエラント統治においては柔軟で寛容、公平な治世を行うなど、様々な面において優秀である。当時の歴史を作った人々の中では、あらゆる面でバランスの取れた優れた人物と言えるだろう。
ヤンは軍人の資質が疑わしいほど白兵戦能力はなく、格闘戦はもとより銃を目標に当てることもままならない。シェーンコップは艦隊指揮能力はないと思われる。政治的背景が違うとは言え、民衆を尊重する姿勢は自由惑星同盟の政治家を凌駕している。これらとの比較を考えても、ロイエンタールがいかに優れているかが良く分かる。
特に統治に於いては、その優れた能力や人物像がよく表れている。
同盟併呑前のレンネンカンプ高等弁務官が軍人の型に嵌りすぎていたのに対し、不敬罪を除いて言論の自由を保障し、帝国批判やヤン・ウェンリー賛美の声を弾圧せず、その自由を認めていた。全体的に見ても公平を心がけ、不正を正し、ほぼ民衆を擁護する立場を取るなど高い柔軟性を持つ。グエン・キム・ホア広場事件では、地球教と思われる者による策謀から暴動に発展し帝国兵が発砲するに到ったが、この事についても「武器も持たぬ民衆に発砲するとは、俺は良い部下を持ったものだ」と痛烈な皮肉を述べた。
但し、これらのことは言論の自由も民衆擁護も、今日で言うところの権利の尊重とは異なる。飽くまでロイエンタール個人の器量に依存したものであり、社会構造としてそれらを尊重するものではないという点で注意を要す。事実、ロイエンタール亡き後はオーベルシュタイン軍務尚書による俗に言う「オーベルシュタインの草刈り」が行われ、不穏分子の弾圧が行われた。これはユリアンらイゼルローン共和政府を潰す意図があった一方で皇帝及び各提督とも、政治弾圧に対しては否定的な態度を示しており、ローエングラム朝において自由の尊重を重視する視点が全くないわけではない。これは前王朝の政治弾圧に対し、ローエングラム麾下の諸提督らが苦い思いを抱いていたことあったと思われる。(前王朝の政治弾圧に関しては、ウルリッヒ・ケスラーの項目も参照)
私生活は荒んでいた。原因は彼の幼少期の家庭環境と、それによって醸成された彼の人格にある。
ロイエンタールの父は下級貴族ながら事業で成功し家は裕福であったが、実家を経済的に助ける為に父と結婚した伯爵家の母は若い愛人と不倫をしていた。ロイエンタール曰く、この結婚は不幸であったという。年と身分の離れた妻に対し夫は金品で愛情を示すしかなく、妻は愛人に走ったと。母は、自分と夫が青い目であるのに片目が黒いヘテロクロミアの赤子を見たとき、黒い目の愛人の子ではないかと疑いロイエンタールを殺害しようとしたものの未遂に終わる。この事を気に病んで彼女は自殺し、幼少の頃は「お前は生まれてくるべきではなかった」という父の怨嗟の声を子守唄にして育つ。この経験から「女は男を裏切る為に生きている」という強い女性不信を抱いており、 女性には好かれたものの終始冷たい態度をとっていた。漁色家としてもつとに有名で、女性関係は派手であった。エルフリーデとの関係も破滅的と知りながら続けたこと、ウルヴァシー事件を罠と気付きつつも反逆者の道を歩むなど、自己破滅的な考え方は最期まで続いた。
余談だがヘテロクロミア(虹彩異色症)は遺伝子疾患などで現れるものであり、異なる目の色の父母の遺伝として表れるというわけではない。
人々からの人物評は概ね良好であった。その能力の高さと公平さから部下からの信頼は厚く、これは上席者たるラインハルトも同様である。一方で、ヒルダは彼の気質は謀叛に向かうのではないかと以前から懸念しており、司法尚書ブルックドルフは漁色家ぶりを快く思っていないなど、彼の気質や生活態度を快く思わない人々もいた。ラングは会議で罵倒されたことから深く恨んでいたが、これは単なる逆恨みに過ぎない。
ロイエンタールが叛乱した時、多くの人は驚きながらも納得する部分もあった。彼のプライドと能力は、人類史に輝くラインハルトに歯向かうに足ると思われたからだ。これは人物が高く買われていた証左であろう。
ロイエンタール謀反に直接繋がるきっかけとなった、惑星ウルヴァシーにおける皇帝暗殺未遂事件。ロイエンタール麾下の帝國軍治安部隊が叛逆した。
新帝国暦2年10月7日。ノイエラント視察へ向かう途上にあった皇帝一向は、宿泊の為に惑星ウルヴァシーに立ち寄った。深夜、随行員のルッツ、ミュラー両上級大将は治安部隊の不穏な気配を察知し、地上車に分乗して皇帝の旗艦ブリュンヒルトと合流の為に宿泊所を出発。キスリング親衛隊長が運転する地上車にルッツ、ミュラー、皇帝、従卒のエミール・フォン・ゼッレが乗り、他の随行員は別の地上車に乗った。移動中に叛乱部隊に遭遇し攻撃を受ける。キスリング隊長は、グレーサーZやセリカXXを操るように地上車を巧みに操縦し、これを強行突破。しかし他の随行員が乗車した地上車は攻撃を受け破壊される。
途中で車両を放棄し、ブリュンヒルトと合流する為に森を徒歩で移動。森の中で皇帝副官のリュッケ大尉と合流したものの、叛乱部隊の追っ手と遭遇し銃撃戦になる。 これを辛くも凌いだものの追っ手は絶えず、 ルッツが足止め役を引き受けた。皇帝らは無事にブリュンヒルトに乗り込み脱出したが、ルッツは叛乱部隊の銃撃により殉職する。またミュラーは被弾により腕を負傷した。 ウルヴァシーを脱出したブリュンヒルトは追撃を逃れる為に通信を封鎖しフェザーン方面へ撤退し、無事に本隊と合流することができた。
この事件は地球教、潜伏中のアドリアン・ルビンスキー、ロイエンタールを罠に嵌めたい内務次官ラングの策謀によって起こされた。しかし三者が同一の目的を持っていたかというと、そうではない。地球教は復興の為に双璧の一人をラインハルトと分離し、不穏な情勢を作り出す目的があった。歴代のフェザーン自治領主は地球教徒深い関係があり、ルビンスキーもそうであったが、彼は自身が再び返り咲くという目的を有していた。ルビンスキーは帝國にとっては政治犯であり、ラングはこれを追う立場にあったものの、彼はロイエンタールに対する私怨をルビンスキーに利用されて加担した。
ロイエンタールは事件が自分を貶める為のものだと察した時、ラングと軍務尚書の思惑を疑った。しかし実際には軍務尚書は事件の発生に一切関係がく、一方で地球教のことは思いも寄らなかった。
またこの事件にはそこに至る経緯があった。
皇帝のノイエラント視察に先立って、ルビンスキーはフェザーンに残っていた元同盟特使のオーデッツを言葉巧みに誘い、ロイエンタール謀叛の噂を市井に流布させた。これは上記に記した思惑を実行する前の準備段階であり、総督と皇帝の気質を利用してノイエラント視察を確実に実行させ、その上で治安部隊の叛乱により「噂が事実であった」と人々に思わせる効果を狙ったものである。
両者の気質とは何か。ロイエンタールにしてみれば事実無根の噂であるから、臆することなく堂々と視察を要請するだろう。一方のラインハルトにしても、ロイエンタールは盟友であるから噂に怯むことなく彼への信頼に基づき、視察を実施しようとするだろう、と。この見込みは正しく、視察は実施され、三者の思惑通りに事は進んだ。
さらに遡れば、エルフリーデとの関係が周囲に発覚したことで謀叛の意図を疑われたこともルビンスキーの意図であり、彼と手を組んだラングが司法尚書を利用した結果である。
事件がロイエンタール謀叛に到った要因として、グリルパルツァー大将の故意による怠慢も重要である。彼は事件調査の為に総督命令によって現地へ派遣された際に、地球教徒が何らかの形で関わっていることを知るに到ったものの、総督に対する報告を故意に怠り調査結果を隠蔽した。その意図はロイエンタールを反逆に到らせ、彼の首を取ることで昇進の機会を得ようとしたもの。意図を達成する為に、ロイエンタールに一度は恭順の姿勢を見せ、後に裏切った。ロイエンタールが死に到る傷を負ったのも、グリルパルツァー艦隊の攻撃によるものである。この経緯は事件を再調査したメックリンガー上級大将が知るところとなり、グリルパルツァーは自裁させられた。
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最終更新:2025/12/06(土) 08:00
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