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キウイフルーツ

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キウイフルーツとは、ニュージーランド原産(実は改良品種であり、大本は中国原産)の果物である。名称は、ニュージーランドに棲息する小鳥、キーウィに因む。かつては表記揺れが多く、キーウィなどとも言われたが、今日ではキウイ、あるいはキウイフルーツが一般的な呼称となっている。本稿では以下、キウイで解説を続ける。また、一般に知られ、食される緑色のキウイは、ヘイワードという品種である。

概要

日本では和名(鬼木天蓼《おにまたたび》とかシナサルナシとか言われた)が全く浸透していないように、メロン、パイナップルなどとともに外国発のフルーツとして著名な存在。生食のほか、フルーツサンドやフルーツポンチなど他のフルーツと盛り合わせで使われることが多く、またジャムやワイン、ドライフーズなどの加工品もある。果樹としては珍しくクロロフィル(葉緑素)を多く含む食品として有名で、栄養効果も高い。

特に高度経済成長の1970年以後、食卓に出回るようになった。

案外知られていないが、日本の重要作物(農水省が毎年統計をとっている主要果樹の一つ)であり、国内でも栽培が盛んで、初春に旬を迎える(それ以外のものはほとんどニュージーランド産である)。

日本で栽培が盛んな県は愛媛県福岡県が2強であり、和歌山県がそれに次ぐ。そして神奈川県、静岡県が並び、佐賀県以下の順位となっているなど、日当たりの良い斜面で盛ん。ここで「おや?」と思うかも知れないが、産地がかなりみかん産地と被っている。それもそのはずで、日本でキウイ栽培が盛んになった背景には、みかん過剰生産による価格暴落とオレンジ自由化などに伴うみかん産地の転作が大きく関係しているからである。幸いにも、日当たりの良い斜面、そして通気性のよい土壌の性質がみかんと酷似していたことで、一部のみかん産地はキウイ産地に生まれ変わった(他にはハウスみかん栽培に変えた産地が多い)。

そして、日に当たらないと死んじゃう病を発する長時間の日照条件が求められるみかんとは異なり、キウイは日当たりを好むとはいえ、1日3~4時間程度日に当たれば大丈夫という耐陰性であり、みかん以上に寒さにも強い。ただ、みかんとの決定的な違いは、乾燥に強いみかんと真逆に、キウイは乾燥にめっぽう弱く保水性のある土地を好む(常に水分がないと枯れてしまうらしい)。そして潮風にも弱いため、日当たりが弱く湿り気の多い内陸の斜面などみかん栽培にとって不利な土地は、逆にキウイ栽培には好都合だったわけである。それゆえ、ミカン産地のキウイ畑が全国で急激に増え、1980年代後半にはピークを迎えた。尤も、キウイバブルは金融バブル崩壊に合わせるように弾けとび、全国で大きく生産量が落ちるが、その後は国内産キウイの消費も順調に伸び、産地で連携して安定供給を図るなどして持ち直し、今日に至っている。

日本一の産地は愛媛県であり、これもかつて年産60万トンを誇ったみかん王国の没落深い事情が絡んでいる。そして、今日キウイ栽培が盛んなのは松山市(旧北条市含む)、西条市(旧丹原町)、大洲市(旧長浜町)、砥部町、伊予市(旧双海町)、など、みかん産地としては二流レッテルを貼られた条件的に不利だった(オレンジのダイヤといわれたみかんバブル全盛期に、山あいだからといって無理に開発したような場所、すなわち、本来みかん生産に不向きな北側や内陸の斜面も多かった)場所であり、ハウスみかん、いよかん(中晩柑で、みかんより寒冷な気候でも育つため、同様にみかんからの転作が多い)などと共に同地区を支える主力農産物となっている。今日では自治体や生産者などが一枚岩となって安定した生産、供給体制を整えているなど、日本一のキウイ産出県としてみかんといよかんの陰に隠れて地位を築いている。

福岡県の八女市(旧立花町)が自治体単位では日本一の産地(産地が分散している愛媛と違い、この立花で県産キウイの9割以上)である。ここはみかん栽培も盛んだが、県内一の名所、みやま市山川(旧山川町)の北斜面にあたり、やはり地形条件的にハンデを背負っていたため、多くがキウイに鞍替えした。この立花ではキウイワインやキウイジャムといった加工品生産も盛ん。続く和歌山県だが、ここも主力産地は紀の川市(旧那賀町と旧粉河町)であり、やはり、かつてはみかん栽培のために切り開いた北斜面にキウイ畑が展開している。そして、静岡県では富士市、神奈川県では南足柄市など、揃いも揃ってみかん産地としては条件的に不利だった(それゆえ、単価が低く食味が劣っていた極早生中心だった《むしろ、それしか作れなかった》ために、今後を憂慮していた農家が多かった)場所が、皮肉にも生産者らの努力あって今日のキウイの名産地となっているのである。なお、和歌山県では熟姫(うれひめ)という独自品種を売り出し、静岡県ではレインボーレッドという人気品種(ゼスプリのライセンス品種を除けば国内で2番目に多い)の発祥となっており、神奈川県は周辺自治体が一体化してあしがらキウイとして産地をブランド化して売り出すなど動きは活発である。

それとは別に栃木県、群馬県、山梨県などみかん産地とは無縁だった県でもキウイ栽培が盛んになっている。これは気候条件がニュージーランドと似ているなどの理由で、自治体や農協が栽培を奨励したからである。このような産地の例として、群馬県甘楽町(ただ、ここはこんにゃく畑からの転作で、群馬ならではの事情がある)がある。

なお、キウイというとゼスプリ社という生産、販売会社が有名で、ゼスプリ・ゴールドキウイは世界に名の通るブランドとなっており、日本では愛媛県と佐賀県にだけ栽培ライセンスを与え、農家と契約を結んでいる。また、宮崎県都農町はニュージーランド資本の大型農場が開発され、今後が期待されている。

キウイを取り巻く問題

今日、キウイ農家を一番悩ませている問題は、キウイかいよう病という樹病(キウイの木が感染するものであり、人間には感染しない。また、それに感染したキウイ果実を食べても何の健康上問題もないのでご安心あれ)であり、これに感染した樹木は高確率で枯死してしまうので、世界レベルで対策が求められている。

また、キウイはごくまれに重篤なアレルギーを発することがあるため、小学校給食では出されないことが多い。そこまで重篤さはなくても、キウイに含まれるタンパク質(アクチニジン)が原因で、舌がピリピリすることがあり、ラテックスアレルギーを持つ人には注意が必要といわれる。好物だからといって生で食べ過ぎないこと、そして7歳未満の幼少時にあまり食べさせないことが重要である。

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