マイク・グリーンウェルとは (マイクグリーンウェルとは) [単語記事]

マイク・グリーンウェルとは、阪神タイガースに在籍したバイトの兄ちゃん元プロ野球選手（外野手）である。

ボストン・レッドソックス時代

　1982（昭和57）年のMLBドラフト3巡目でボストン・レッドソックスと契約。1985（昭和60）年にメジャーデビューを果たした。

　メジャー2年目の1986（昭和61）年はまだレギュラーではなかったが、ニューヨーク・メッツとのワールドシリーズに出場。1988（昭和63）年には打率（.325）・打点（119）でリーグ3位に入り、勝利打点（当時は表彰タイトル、日本でもあった）はメジャー新記録の23打点を挙げ1位、出塁率1位（.416）、長打率5位（.531）、敬遠四球数1位（18）でシルバースラッがー賞を受賞。MVP投票でも2位に食い込んでいる（受賞者はメジャー史上初の40本塁打・40盗塁を達成したホセ・カンセコ）。

　そして、1997（平成9）年、MLBオールスター2度出場、通算打率.303という実績を引っ提げ、日本の阪神タイガースと3億円超という破格の条件で契約した。

暗黒の阪神時代

　当時の阪神甲子園球場は7文字しか入らなかったため、グリーンウェル入団のために電光掲示板を変えた。

　ところが、春季キャンプで背中の痛みを訴え一時帰国。阪神ファンに不安が募る。

　シーズン開幕後の4月下旬に再度来日。当時の阪神は、グリーンウェルの開幕出遅れにより、もっぱら桧山進次郎が4番を務めていた。5月3日の広島戦で5番左翼手で初出場、決勝打を含む2安打2打点を放つ。

　それから8日後の5月11日巨人戦で自打球を右足甲に当て骨折すると、5月16日に早々と帰国する。その際に、名言「野球を辞めろという神のお告げ」が生まれた。これを受けて当時の吉田義男監督は「嵐のように来て嵐のように去って行った。まるでつむじ風のような男だった。」とコメントした。また、チームメイトの久慈照嘉は「外野からの返球がチェンジアップだった」とコメントした（守備は下手だった）。

　また、星野仙一（現東北楽天ゴールデンイーグルス監督）が2002年に、スポーツ紙記者との雑談（俗に「星野語録」などとして記事化）で、グリーンウェルに関して次のような回想をしている。「グリーンウェルは、当初は中日と契約するはずだった。しかし自分と親しい大リーグ事情に詳しい人物に『彼（グリーンウェル）を獲るのか? やめておけ。彼は日本でゴルフがしたいだけだ』と止められたので結局獲らなかった、そうしたらしばらくして阪神が契約した」。

　阪神球団はグリーンウェルを迎えるにあたり、家賃は月150万とも200万とも言われる超高級マンションを用意した。しかし、球団が用意したこのマンションに対し、彼は「狭い」とクレームをつけた。そのため球団は隣の部屋をもう1部屋借り、壁を取り払って2倍の広さにすることで対応した。結局、球団は居住期間1ヶ月にも満たない選手のために、拡張と原状回復の2度のマンション工事の費用を支払うハメになった。

　これらの1件があり、ファンからは「（歴代の12球団に来た外国人選手の中で）史上最悪の詐欺師だ」と言われた。また、ダメ外人のお手本のようなパターンとしても日本中に知れ渡る存在となった。

　余談だが、阪神に2009（平成21）年、彼と同じ外野手のケビン・メンチが入団した。彼もメジャー通算89本塁打をマークするなど、メジャーでは実績豊富だったが、日本では全く打てず、守れず、走れずでシーズンオフに戦力外になった。その際に、一部ファンからは「グリーンウェルの再来だ」と揶揄された。実際、阪神を応援する某新聞社が「バースの再来」と書くと外れるとということがジンクスになっており、グリーンウェルもメンチも「バースの再来」と書かれた一人だった。また、元阪神ランディ・バース氏は「最初からプレーする気はない人で、日本の練習のきつさにはなれないだろう」と、グリーンウェルが活躍しないことを予想してた。

引退後　

　引退後しばらくして、契約不履行を理由に阪神との間で裁判を起こす。この損害賠償問題は古巣のレッドソックスをも巻き込みメジャーリーグでも騒動として扱われ、マスコミにも大きく取りあげられた。

　また、2005（平成17）年にステロイド剤（禁止薬物）を使用していたことを告白したホセ・カンセコに対して「彼のせいで1988年に自分がMVPになれなかった」と非難し、「ステロイド使用の選手はMVPから除外すべきだ」等と主張した記事で久々に日本のメディアに登場した。ちなみに、カンセコとグリーンウェルは1995（平成7）年から1996（平成8）年までレッドソックスで一緒にプレーしている。

　引退後はフロリダに甲子園球場の約20倍の面積を誇る広大な“マイク・グリーンウェルズ・ファミリー・ファン・パーク”という遊園地のオーナーをしている傍らカーレーサーとしても活躍している・・・らしい。

　2008（平成20）年2月25日、ボストン・レッドソックスのチーム殿堂入りが発表された。