上九一色村

上九一色村とは、かつて山梨県にあった村である。

概要

山梨県西八代郡上九一色村。2006年3月1日に2分割し甲府市と富士河口湖町に編入され消滅した。現在の甲府市梯町・古関町から精進湖・本栖湖・富士ヶ嶺の辺りが範囲だった。

「九一色」とは「工一色」が語源で耕作地に向かない山間のため代わりに手工芸品を年貢として納めていたからと言われている。他には9つの村が合併して成立したからとも。

1874年に「九一色村」が生まれ、その後1889年に「上九一色村」（芦川上流側）と「下九一色村」（同下流側）に分かれた。上九一色村域は「梯」、「古関」の（芦川流域、いわゆる北部）と「精進」、「本栖」と本栖三ヶ水に満州からの引揚者である富士ヶ嶺開拓団が入植し「富士ヶ嶺」と地名が変わった地区（富士五湖地域、いわゆる南部）の5つの地区で構成されている。

1989年より富士ヶ嶺地区の国有地に新興宗教「オウム真理教」が進出し、サティアンと呼ぶ出家信者向けの施設が作られ、地元住民と盗聴器設置などの問題で摩擦が起きる。教団は地下鉄サリン事件等を起こしたため、上九一色村には「オウムの村」との負のイメージが持たれるようになった。

その後の平成の大合併において、通勤圏・経済圏が北部（古関・梯）と南部（精進・本栖・富士ヶ嶺）で異なっていたため、最終的に北部は甲府市、南部は富士河口湖町に分割編入されることになった。字名にも村名を使用しないこととなり、「上九一色」は住所の名前としては消滅した。

ただし、現在でも「上九の湯」「上九一色郵便局」など一部の施設には名前が残っている。

北部と南部の間には女坂峠があり、甲府精進湖有料道路が開通するまでは徒歩道しかなかった。

1997年に開園したテーマパーク富士ガリバー王国もあったが、公共交通機関が不便とのことで2001年に閉園した。

村役場は古関地区にあり、現在は甲府市上九一色出張所である。

年表

• 1874年　合併により九一色村成立
• 1874年　古関郵便取扱所（のちの旧上九一色村郵便局）開設
• 1889年　九一色村より梯、古関、精進、本栖が分離して上九一色村成立
• 1912年　上九一色村郵便局三代目局舎「旧上九一色郵便局（国登録有形文化財）」竣工
• 1966年　台風26号、精進地区に大きな被害。青木ヶ原樹海内に精進湖民宿村ができるきっかけになる
• 1968年　陸上自衛隊により右左口峠車道開通。旧山梨県道13号指定
• 1973年　山梨県、甲府精進湖有料道路を開通させる（精進湖トンネル、右左口トンネル）
• 1989年　オウム真理教進出
• 1994年　甲府精進湖有料道路が無料開放。国道358号指定。右左口峠が山梨県道113号指定
• 1996年　オウム真理教が撤退
• 1997年　富士ガリバー王国開園
• 1998年　富士ヶ嶺公園開園
• 2001年　富士ガリバー王国閉園
• 2006年3月　北部は甲府市に、南部は富士河口湖町に分割編入

湖沼

富士五湖のうち下記のものがある。富士急の創業者、堀内良平が命名したものが広く知れ渡ったもので、富士五湖の記事によると「富士五湖を擁する山梨県の小学校中学年においては、最終的に五湖の名称をすべて暗記できるか否かがバカかどうかの境目になっている」と書いてあり、こういう空気はどこの地域にもあるのかと苦笑いした（山梨県の例のアレ）。

• 精進湖
• 本栖湖

ごくまれに、精進湖の南に「赤池」という小さな池が出現することがある。

河川

• 芦川 - 一級河川富士川水系笛吹川の支流

地区

北（甲府盆地）より南へ、梯、古関、精進、本栖、富士ヶ嶺と続く。

梯

かけはしと読む。芹川沿いで旧下九一色村に隣接。中道往還の中道往還右左口峠の出口だった時代もある。現在は甲府市梯町。

古関

ふるせきと読む。芹川沿いで旧上九一色村の村役場があったところ。この地域の中心部であろう。中道往還右左口峠の出口で関所があった。見所は国の重要文化財に指定されている旧上九一色村郵便局。

気象庁甲府気象台のアメダス観測所がある。1952年（昭和27年）に上九一色小学校に設けられ、1961年（昭和36年）に個人の敷地に移転、1978年（昭和53年）からは降水量、風向、風速、気温、日照時間を観測している。

現在は甲府市古関町。

精進

富士五湖のひとつ精進湖がある地域。

現在は南都留郡富士河口湖町精進。

本栖

富士五湖のひとつ本栖湖がある地域。本栖湖湖面上での市町村境界線は未確定である。

現在は南都留郡富士河口湖町本栖。

富士ヶ嶺

ふじがね。旧本栖三ヶ水。水のある場所の意味。延宝年間に本栖村が畑を開いた。上九一色村の最南端で静岡県富士宮市に接する。戦後1945年（昭和20年）に国が始めた緊急開発事業によって満州からの入植があった地域でオウム真理教のサティアン群の一部があったところ（富士ヶ嶺公園）。酪農地帯で産品は富士ヶ嶺高原牛乳（共同牛乳、神奈川県横須賀市）とふじがね高原牛乳（販売：クレイン農業協同組合富士豊茂支店、朝霧乳業）、チーズ。オフロードコース「富士ヶ嶺オフロード」もそこそこ有名らしくニコニコ動画に車載動画がある。

またダイヤモンド富士が撮影できるという。

現在は南都留郡富士河口湖町富士ヶ嶺。

オウム真理教がこの地を選んだ理由は麻原が予言する世界最終戦争から生き延びるためとされる。

公共交通

鉄道路線はない。

北部（現甲府市内）

北部の古関へは甲府市方面からのコミュニティバス路線がある。

南部（現富士河口湖町）

南部の精進・本栖へは、富士急行河口湖駅または富士山駅からタクシー（30分）または路線バスで向かう。また、本数は少ないが、静岡県の新富士駅・富士宮駅からも特急バスで向かうことができる。かつては山梨県身延町の下部温泉からもバスがあったが、2021年4月に廃止された。

富士ヶ嶺は集落内にバスが通っておらず、西端の「県境バス停」から歩いて１時間以上かかる場所もあるので、タクシーやレンタカーでのアクセスが推奨される。

主要道路

国道

• 国道139号 - 同村のメイン道路。中道往還のルートの一部であり、富士ヶ嶺地区から静岡県富士市へ、精進地区からは御坂山地越えを諦めて甲府市へ向かわず東京都奥多摩町へ向かう
• 国道300号 - 本栖地区から身延町へ向かう
• 国道358号 - 精進地区から甲府市へ向かう。精進地区以降の中道往還

県道

• 山梨県道71号 - 国道139号より富士山側を通る主要道。静岡県側は静岡県県道71号。オウム事件現地検証動画で現地へ向かう道はこちらの道かと思う。詳しい人の修正希望。
• 山梨県道113号 - 古関地区から甲府市へ向かうが険道

教育施設

中学校

• 上九一色中学校
• 本栖中学校
• 富士豊茂中学校

小学校

• 上九一色小学校
• 精進小学校
• 富士豊茂小学校

険道車載の村

武田信玄時代には静岡県と山梨県を結ぶ軍用道路であった街道「中道往還」の要衝であった。「塩の道」「魚の道」ともいわれたが身延線が開通すると廃れた。ニコニコユーザーにとっては山梨県道113号（旧県道13号）の右左口峠の車載動画が一番魅力があるだろう。陸上自衛隊が車道を切り開いた険道になっている。よって別名「自衛隊道路」とも呼ばれている。道路状況は林道といえる酷い道。

他にはオウムの村、テーマパーク廃虚との廃要素などからYouTuberやニコニコユーザーが訪れることが多い。オウムが撤退してもなかなかいいイメージを持たれていないと思う。

右左口峠（うばぐちとうげ）車載動画

走破は非常に難しいようだ。

富士ガリバー王国

すでに閉園。

富士ヶ嶺公園

村がオウム真理教による犠牲者の鎮魂や事件を風化させない目的で1998年に作った公園。教団サティアン群「第1上九（第2サティアン、第3サティアン、第5サティアン）」の跡地で慰霊碑もある。

青木ケ原樹海

鳴沢村にかけての富士山麓に鬱蒼と繁る原始林地帯。日本トップクラスの自殺の迷所といわれている。心霊要素で訪れるネット配信者が多い。

有名人

• セッド・ジニアス - プロレスラー

関連項目

• 山梨県
• 甲府市
• 富士河口湖町
• 鳴沢村
• 身延町
• 静岡県
• 富士宮市
• 青木ヶ原樹海 

外部リンク

• 甲府市上九一色出張所 - 旧役場
• 富士河口湖町上九一色出張所 - 富士ヶ嶺地区にある上九一色コミュニティセンター内に設けられている
• 富士河口湖町精進出張所 - 本栖地区にある精進健康センター内に設けられている