反米保守とは、アメリカ合衆国に批判的で政治的には保守派に属する勢力、思想のこと。日本における右派・保守派思想の一種である。対義語は親米保守。
幕末の尊皇攘夷運動や戦前の大日本帝国を思想の起源としている。そのため親米保守以上に日本の歴史的連続性を重要視する傾向にあり、天皇や皇室にたいする敬愛の念は親米保守派以上に強い。また、「国民の生命・財産」などといった物質的価値よりも「民族の誇り」や「日本の伝統」といった精神的価値を上位に置く。
歴史認識に関しては、従軍慰安婦問題や南京大虐殺は「中韓のプロパガンダである」と否定的であり、大東亜戦争(太平洋戦争)に関しては「アジア解放および自存自衛のための戦いである」と肯定する。「アメリカは日本を戦争へと追い込み空襲・原爆投下などの残虐行為を行い、日本を占領し憲法などの諸制度を押し付けた国である」と認識しており、それらを反米を唱える理由の一つとしている。第二次世界大戦の戦勝国(アメリカ、イギリス、フランス、オランダなど)や隣国(中国、北朝鮮、韓国、ロシアなど)にたいして批判的であり、拉致問題の早期解決のために経済制裁の発動を主張するなど強硬策を支持する。領土問題(尖閣諸島・竹島・樺太ないし千島列島を含む北方領土)においても比較的強硬な立場を取る。その一方で、日本が太平洋戦争を通じてアジア諸国の独立を援助したと評価しているため、「現在の日本もアジア諸国との共存の道を歩むべきだ」と特定アジア以外のアジア諸国に対しては好意的な傾向にある。
国防に関しては他国とは一線を画した形での軍備増強を強く望み、そのことにより日本の主権は守られるとしている。日本がアメリカによる核抑止力(いわゆる核の傘)の中にいることについては否定的で、親米保守派が日米同盟の枠内で米国との核の共同開発を主張するのに対し、単独核武装を強く望む傾向にある。また、イラク戦争に対してはアメリカの侵略戦争であると考えており、ここも親米保守派と相容れない点である。ただし、一方で日米同盟の即時撤回を求めるような反米保守派は全体でもごく一部であり、現在憲法9条によって戦争を行うことが出来ない日本が日米同盟にある程度依存することは仕方ないことであると認めた上で、「日米同盟を現在の対米従属的なものからなるべく対等なものへと見直し、日本国憲法の改憲を行い、アメリカに依存する必要がなくなる程度の武力を身に付け、アメリカから自立するべきである」と主張する。
また、経済的には比較的大きな政府を志向する傾向にあり、小泉・竹中内閣の構造改革やTPPといった新自由主義政策にたいしては批判的である。
親米保守陣営からは「極右」と呼称され、「反米を唱えて日米同盟にひびを入れることは中国や北朝鮮などの共産主義国を利する行為であり、反米保守派は実質的に『左翼』と同じである」と批判される。一方で左翼・革新陣営からは「右翼」と認識されている。
大手マスコミも反米保守派と対立しがちな新自由主義者を持て囃すようになったため、メディアへの出演は少ない。政界に於いても、親米保守に比べると非常に勢力は小さくなっている。一方で、1990年代からはアメリカ主導のグローバリゼーションへの反発や小林よしのりの著作『ゴーマニズム宣言』シリーズの影響などもあり、一部の若年〜中年層や戦中派(1920年代生まれの人々)には支持を広げているとも言われる。
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最終更新:2025/12/23(火) 23:00
最終更新:2025/12/23(火) 22:00
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