菅野ひろゆきとは、数々の名作ADVを世に送り出したゲームクリエイター、シナリオライターである。
本名は菅野洋之、ペンネームは「剣乃ゆきひろ」、「妃路雪≠卿」。
株式会社アーベルの創業者で代表取締役社長を務めた。
アーベルを核とするアーベル・グループの中心人物でもあった。
2011年12月19日、脳梗塞にともなう脳内出血により死去。享年43歳。
代表作には『エクソダスギルティー』『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』『不確定世界の探偵紳士』などがある。
趣味は数学とピアノの演奏。週刊新潮を愛読していた。高校時代に『ウィザードリィ』『ウルティマ』などのコンピュータゲームに熱中するが、この頃の感動が菅野の原点となっていた。
少年期からコナン・ドイル、エラリー・クイーン、ディクスン・カーなどのミステリー小説と、アシモフなどのSF小説を愛読していた為か、その作品には科学と推理サスペンスを題材としたものが多い。それまでADVでは取り上げられることが少なかったタイムリープ、並列世界などのSF的題材を『DESIRE背徳の螺旋』『YU-NO』などで、いち早く本格的に取り上げ、ストーリー優先の大作ADVを続々と発表、それらの作品を次々とヒットさせ市場を開拓。後世の作品、多くの作家たちに多大な影響を与えた。
物語を多角的視点から読み解いて謎を探る「マルチサイトシステム」や「A.D.M.S(アダムス)」、「マルチタイム・ザッピングシステム」など画期的システムを考案し、ゲームにおけるマルチシナリオシステム、ザッピングシステムの進化に貢献した。
ストーリーテラーとしても秀逸で、悠久の時の螺旋に囚われたヒロインの悲哀を描いた『DESIRE』、一匹狼の私立探偵と凄腕女性捜査官が活躍する冒険サスペンス『EVE burst error』、現代と異世界で倫理観を超越した愛のかたちと宇宙の根源の謎にふれる『YU-NO』などで得られる感動と大きな喪失感による悲劇的カタルシスは、後の泣きゲーと称されるゲームの先駆けであった。自己犠牲、友情、愛憎関係、家族愛、生命倫理、背徳などがテーマと思われる作品が多い。
また尋常ではあり得ない驚異的な製作スピードでも知られており、『DESIRE』『EVE burst error』は僅か4ヶ月、『エクソダスギルティー』は6ヶ月、『YU-NO』は8ヶ月という凄まじいものであった。
『YU-NO』に至っては複雑なゲームデザインとフラグ管理もさることながら、過去例に無い膨大なテキスト量を誇っており、通常長めといわれるADV(2MBくらいで多いほど)の3倍から4倍もの文字情報(8MB以上)である。『YU-NO』の製作中、短期間のうちに100曲近いBGMを作曲することになった梅本竜は、あまりの仕事の過酷さに途中で失踪して消息不明となった逸話も知られている。
著名な共作者は原画家ではアニメーターの田島直、イラストレーターのCARNELIAN、アニメーターの長岡康史。
作曲家ではシンガーソングライター、ギタリストの佐藤龍一、FM音源の魔術師と呼ばれた梅本竜、高見龍、ヨナオケイシ、神奈江紀宏。
近年、権利関係の問題で菅野の手から離れていたEVEやDESIRE、YU-NOなどの『菅野3部作』と呼ばれる一連の名作ADVの再リメイク、再リマスターが続いており、菅野作品を知らない新しいゲームユーザーも遊びやすい環境が整えられている。
伝説のゲームクリエーター、多くの作家たちを生んだ強く眩しい色褪せない物語が今蘇る。
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最終更新:2025/12/24(水) 09:00
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