Kritaとは、オープンソースで開発されているフリーのペイントツールである。
読み方は「クリタ」など。
フリーでありながら、ペイントツールの中では有償のものを含めてもトップクラスの高機能を誇るペイントツール。強力なブラシ・キャンバス操作機能と、ペイントツールというよりレタッチソフトの様な高度な色管理・変形・レイヤー関係の機能を特徴とする。
だがそれにもかかわらず日本での知名度は低い。Pixivの使用ツール一覧からもハブられている2015年11月28日付でKritaがPixivの使用ツール一覧に記載されたことを確認。やったぜ。そして使われてもしばしばPsd読み込み機として使われたりCMYK出力機として使われたりと殆どの高機能は腐ったままにされる。多分そうやって使っている人のペイントツールより大抵Kritaは強力な機能を備えてるのにである。かなしい。
対応OSはLinux及びWindows(Vista以降)。本来Linux向けのデスクトップ環境KDEの描画ツールとして開発されているのだが、現在はKDEを使用しないLinuxディストリビューションやWindows向けに単独で配布も行われている。
バージョン2.9から多言語対応になり、日本語で使用できるようになった。インストール後最初に起動した時点では英語表示だが、一番上のメニューの「Setting>Switch Application Language」から「Japanese」を選び、再起動することで日本語表示にできる。
ちなみにKritaユーザーはKritanとよばれる。かわいい。
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 豊富かつ強力なブラシ機能 | Kritaはペン・鉛筆・筆など描画ツールに加え、消しゴム・指先などのツールまでがブラシに統合され、100を超える膨大な数のブラシが使用可能になっている。そしてこれと下記のポップアップパレットの組み合わせによりスムーズなお絵描きが可能になっている。 Gペン、エアスプレー等現実の画材に準拠した必要十分な数のブラシがずらりとそろっており、さらにラフ画の様な線を描けるスケッチブラシ、ペンタブのペンの傾きセンサーを利用して彫刻するように法線マップを描画できる接線法線ブラシ等のこのソフト以外では見られないようなユニークなブラシも備えられている。 さらに多数の設定からそれらのブラシをカスタマイズ・新たにブラシを作成することもでき、また第三者の制作したブラシについてもリソースバンドルシステムにより簡単に導入・管理できる。 |
| ポップアップパレット |
Kritaのハイライトともいえる機能。キャンバス上で右クリックすることで左のような、カラーサークル(中心の三角とそれを囲むグラデーション色の輪)・現在使用している色と背景の色(左上)・最近使用した色(カラーサークルの一つ外側の色の輪)・現在のタグ(右下のアイコンで切り替えられる)に含まれるブラシ(外側の輪)がコンパクトにまとまったポップアップパレットが表示される。 膨大なブラシの中から使用するものを予め複数のタグに分類しておけば、カラーサークルとブラシ一覧を常時表示しておかずともキャンバス上で殆どの作業を完結させることが可能になる。Kritaの膨大な数のブラシを使いこなすためにも重要となる機能である。 |
| 自動保存 | 設定した時間間隔で自動でファイルに上書き保存が行われる。これより保存するの忘れたままソフトが落ちて数時間分の作業がパーに…ということはなくなっており、作業の安定性が非常に高まっている。 |
| アニメーション機能(ベータテスト中) | タイムライン・オニオンスキン(前後のフレームを薄く表示する機能)を持つ本格的なアニメーション機能を実装している。ラスターベースでこれほどの本格的なアニメーション製作機能を持つフリーツールはKritaぐらいである。現在Krita 2.9安定版をベースに作られた2.9アニメーションベータ版が利用可能となっている。 各レイヤーがタイムラインを持つシステムを採用しているため、普通にイラストを描く感覚で各フレームに複数のレイヤーを使いながらコマを描く、あるいは影、ハイライトなどのレイヤーを各個にアニメーションさせていく感覚で直感的にアニメーションを作ることが可能になっている。これはレイヤーをフレームとして扱うFireAlpaca・GIMP、非直感的なシステムを採用するClip studio paintでは得られないものと言える。 |
| G'micフィルタ | 境界線を認識して自動で色の塗り分けを行う機能。線画が完全に閉じていなくても塗り分けを行うことができる。(ただしG'micはKritaとは異なる独立したプロジェクトであり、単にそれだけのための機能ではないが、そのまま行くとKritaではなくG'micの話になるので詳しくは割愛) |
| 手ブレ補正 | フリーハンドブラシツール選択時にツールのオプションドッキングパネルから選択可能。基本平滑化、重みづけ平滑化、安定化の3種があり、さらにパラメータで細かく設定できる。 |
| 様々なキャンバス操作 | キャンバスの拡大縮小・回転はもちろん、上下・左右の反転、キャンバス全画面表示、上下・左右に対称に描画したり、はてはシームレスにキャンバスを上下左右に連続して繰り返し描画するラップアラウンドモードなど、自分の目的に合わせてキャンバスを様々に操作することができる。 |
| 描画補助線 | ブラシをスナップさせられる補助線をキャンバス上に展開することができる。特に遠近法グリッドを用いるとパースを簡単に描画することが可能となる。(その他にも直線、楕円などの補助線を設置可能である) |
| 高度な変形機能 | 殆どの有償ペイントツールを上回る高度な変形機能を備える。Photoshopと同様のゆがみツール、変形させたい部分をアンカーポイントで囲ってその移動によって滑らかに変形させるケージ変形、パースに基づいて変形する遠近法変形などがある。 |
| 高ビット深度・CMYK対応 | 32ビットまでの高ビット深度に対応、そしてCMYKのみならず、グレースケール、XYZ、Labなどほとんどあらゆるカラーモデルに対応するなど、非常に高性能の色管理システムを持つ。ペイントツールでこれほどまでに強力な色管理システムを持つものは有償まで含めても他に例がない。 |
| 高度なレイヤーとマスク機能 | Kritaのレイヤーの種類は7つ(ペイント、グループ、複製、ベクター、フィルタ、塗りつぶし、ファイル参照)、マスクの種類は4つである(透過・フィルタ・変形・ローカル選択)。レイヤーのクリッピングやグループ化はもちろんだが、特に強力なのはマスクである。 Kritaのマスクは非常に高機能であり、これによりペイントツールの中では突出した非破壊編集能力を持っている。具体的に言うと、透過・フィルタ・変形・選択範囲をレイヤーから切り離して保存し、必要な時に適用の有効無効を切り替えられるのである。 またPhotoshop準拠のレイヤースタイルに加え、レイヤーを分割(単独のレイヤーを色ごとに新たなレイヤーに分割する機能)、タイル状繰り返し複製(あるレイヤー、例えばシームレステクスチャ画像を任意の回数繰り返して貼り付ける機能)などの強力な機能を備える。 ちなみにKritaにはレイヤーの上限数がプログラム上では存在しないというペイントツールの中では結構レアな特徴を持っている(SAI1、FireAlpacaでは256枚、Clip studio paintでは999枚)なおこれは最初の安定版1.4からの仕様である。 |
| ベクター図形の編集 | ベクター図形を扱うことができる。どちらかというとSVGライク。文字はベクター図形として入力・編集可能。 |
| 膨大な数の合成モードとフィルタ | Photoshopのブレンドモードの数を上回る膨大な数の合成モードが備わっている。またフィルタの数もペイントツールとしてはかなり多い(レタッチソフトと比べるとやや力不足ではある) |
| 対称ブラシ | 様々な対称図形を描画できるマルチブラシ機能が搭載されている(上下・左右の対称描画はキャンバスに設定される別個の機能であることに注意)。アラベスク文様などを簡単に描画できる。 |
・レイヤー(メニューの「レイヤー」>「レイヤーカラースペースを変換」で色プロパティ(色モデル・深度・プロファイル)の変更が可能)
・画像ファイル(メニューの「画像」>「プロパティ」で色プロパティの変更が可能)
のそれぞれに別個にカラーマネジメントを行う仕様であり、初見だと相当の混乱をもたらすこと請け合いである。(この仕様上、同一の画像ファイルに色プロファイルどころか色モデルの違うレイヤーを共存させることすら可能となっている。まあそれを高機能と言われれば確かにそうなのだが…)それぞれのカラーマネジメントの担当は・それぞれのレイヤー上での編集はそれぞれのレイヤーの色プロパティで行われる。
・画像をエクスポートした場合に出力される画像の色プロパティは画像のカラーマネジメント設定に基づいて行われる。すなわちレイヤーの色プロパティが画像のそれらとは異なった場合、それらはエクスポートの際には強制的に画像の方の色プロパティに変換される。またメニューの「画像」>「画像のカラースペースを変換」を使うと画像ファイル及び画像ファイル内の全レイヤーの色プロパティを統一して変換できる。
という感じである。またKritaには現在のところソフトプルーフ機能が存在しない(開発目標の一つには上がっている)点も注意すべきである。CMYKが使えるPhotoshopの代替ソフトとしてKritaを用いたい人はここら辺の仕様をちゃんと理解しておくべきであろう。Qtのライセンスの問題で対立していたKDEとGnomeの間で発生した1998年のGIMPを巡る炎上騒ぎによって、1999年5月31日にKDEのオフィススイートKOfficeに所属するKDE独自の描画ツールKImageShopとして開発が開始されたのがKritaの始まりである。
しかしここからが長く、数回の放置プレイを経て初の安定版1.4のリリースはその約6年後の2005年6月21日だった。初版なのに1.4である理由は所属先のKOfficeが1.4だったからである、ちなみにKritaの開発開始時にKOfficeはまだリリースもされていなかった。ほんとだらしねぇな。
そこからはちゃんと継続して開発が進み現在に至る。初期は安定性が低かったこと、長らくKOfficeの一部としてしかインストールできなかったこと。(特にWindowsへの対応は遅れに遅れた。)そもそもどこにいてもGIMPというあまりに強大なソフトに存在を覆い隠され続けたことが、現在まで続く不当な知名度の低さとユーザー人口の少なさの原因である。
開発当初はPhotoshopをモデルにして開発が行われていたが、初の安定版リリースに向けて開発が加速していた2004年8月6日、開発モデルをCorel Painterに切り替え、ペイントツールとしての開発を行っていくことを宣言するそうでもしないと当時バージョン2が発表されようとしていたGIMPに存在意義そのものを消し飛ばされかねなかった。その後もGIMPに対して存在意義を確保するためかなり野心的な目標を掲げての開発を行い、これが現在の高機能の礎となることとなった。
Kritaが名を挙げたのは、クラウドファンディングサイト「Kickstarter」において、近年行われたキャンペーンによる開発資金募集と、それによる早いペースでの機能追加が大きい。前回のVer3.1台向けのKickstarterキャンペーンでは1か月で3万ユーロ(日本円で約400万円)を集めることに成功している。
ちなみに上述の様にKritaは過去2回名称が変わっている。最初はKImageShopという名前だったが、流石にパクリはどうなんという意見によりKrayonに改名された。しかし実はこちらの方がパクリ判定を喰らって問題を引き起こし、最終的に現在の名称になった。Kritaはスウェーデン語でクレヨン(Crayon)の意であり、サンスクリット語で「完璧」を表すकृत(発音は/kɹ̩t̪ɐ/)、KDEのK+書くという意味の動詞ritaという意味もかかっているとは言ってるがおそらく後ろ二つは単なる偶然の一致である。
KDEに所属するソフトであるが開発元としてKrita Foundation(Krita財団)と呼ばれる組織を持っている。Krita財団はBlender財団と同じ(Blender財団はアムステルダム)オランダのデーフェンテルに所在する。
Kritaの開発の特徴はとりわけそのユーザーフレンドリーな姿勢にある。つまりどういうことかというと、ユーザーたちの意見が開発に非常に反映されやすいのである。どのくらい反映されやすいのかというと、特に開発に参加しているわけでもないこの記事の編集者の提案が通るぐらいのレベルである。このソフトについては「ただ隠れて文句を言うより直接開発に文句言いに行けよ」という無茶にかなりの現実性があるのである。
開発者たちはボランティアであり、自らユーザーフォーラムやIRCでユーザーと会話しているほか、そもそもプログラミングの知識さえあればだれでも開発に携わることが可能である。このように開発とユーザーの境界がある種あいまいになっており、誰もが開発に貢献しその成果を利用できるというあり方はオープンソースが本来意図するところであるが、Kritaは特にそれがよく表れたソフトであると言えよう。
Kritaのマスコットキャラクタ。ケモノのアンドロイド。いちおうリス(Kritaはアルバニア語でリスを意味するそうな)。デザインは中国の絵師Tyson Tan氏。Kritaのスプラッシュ画面にはよく氏書き下ろしのKikiのイラストが登場する。耳など随所に花を思わせるデザインが施されており、季節に合わせて姿が進化する。
Kritaの開発チームの一員であるScott L. Petrovic氏(公式サイトの管理人でもある)による解説書。すなわち現時点で最も公式に近い解説書である。
著者は開発チームの一員であり、開発者本人たちとタッグを組んで書かれただけあり、2.9台でのKritaについては最も詳しい書籍と言える。
現在は英語版しかないが、公式サイト日本語版管理人たちによる日本語への翻訳プロジェクトが進行中。現時点ではKindle版が購入しやすいであろう。
内容はやや百科事典的な機能解説。現在世に出ているどのKrita解説書よりも詳細な機能解説が行われている。英語が読めないという場合を除けば一番勧められる解説書であろう。
実は世界初のKritaの解説書がコレである。世界初のKritaの解説書が日本語によるものであった事実は公式にとっても大いなる驚きだったらしく、わざわざ言及の上、サンプルを公式サイトに上げるなど、中々テンションの上がった様子であった。
なお最初にKritaの読み方を「ケリッタ」だと言い出したのはこの本である。いや普通にクリタって呼びゃあいいのになぜ…(公式によれば「いや、どう読んでくれたって別にかまわないけど、俺らは「クリ・タ(Kree-tah)」って読むよ」だそうである。少なくとも「正しい読み方はケリッタなんやで」とドヤ顔すると痛い目を見るのは確実だろう。)
内容はKritaの解説書というよりKritaを使ってデジタルイラストを描く講座と言った方が近いものになっている。買う時はそこら辺を考慮して買うべきであろう。イラスト講座としては初心者にもわかりやすい良質な本である。
雑誌月刊I/Oのスピンオフのような立ち位置の解説書。上の解説書と異なりこちらは百科事典的にKritaの機能を解説する本である。レイヤー・フィルタなどレタッチよりな機能については詳しいが、ブラシ等の機能については記述不足である。
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最終更新:2026/01/11(日) 01:00
最終更新:2026/01/11(日) 01:00
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