Krita 単語


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クリタ

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Krita ロゴ

Kritaとは、オープンソースで開発されているフリーのペイントツールである。

読み方は「クリタ」など。

概要

フリーでありながら、ペイントツールの中では有償のものを含めてもトップレベルの高機能を誇るペイントツール。強力なブラシ・キャンバス操作機能と、ペイントツールというよりレタッチソフトの様な高度な色管理・変形・レイヤー関係の機能を特徴とする。

だがそれにもかかわらず日本での知名度は低い。Pixivの使用ツール一覧からもハブられている2015年11月28日付でKritaがPixivの使用ツール一覧に記載されたことを確認。やったぜ。そして使われてもしばしばPsd読み込み機として使われたりCMYK出力機として使われたりと殆どの高機能は腐ったままにされる。多分そうやって使っている人のペイントツールより大抵Kritaは強力な機能を備えてるのにである。かなしい。

現在の最新安定版のバージョンは3.0.0.02016年5月31日に3.0シリーズが正式リリースされたことにより2.9シリーズから大きく変化した箇所が出ている。

対応OSはLinux及びWindows(Vista以降)。本来Linux向けのデスクトップ環境KDEの描画ツールとして開発されているのだが、現在はKDEを使用しないLinuxディストリビューションやWindows向けに単独で配布も行われている。

多言語対応であり、日本語はもちろん、エスペラントからマイティリー語まで世界中の70の言語に対応している。バージョン3.0からWindows版についてはデフォルトで英語ではなくシステム言語で起動するようになり、英語UIから日本語UIに変えるのにもたついたり、間違えて変な海賊版翻訳リソースを突っ込んでしまう心配がなくなった。

ちなみにKritaユーザーはKritanとよばれる。かわいい

特徴

項目 説明
豊富かつ強力なブラシ機能 Kritaはペン・鉛筆・筆など描画ツールに加え、消しゴム・指先などのツールまでがブラシに統合され、100を超える膨大な数のブラシが使用可能になっている。そしてこれと下記のポップアップパレットの組み合わせによりスムーズなお絵描きが可能になっている。

Gペン、エアスプレー等現実の画材に準拠した必要十分な数のブラシがずらりとそろっており、さらにラフ画の様な線を描けるスケッチブラシ、ペンタブのペンの傾きセンサーを利用して彫刻するように法線マップを描画できる接線法線ブラシ等のこのソフト以外では見られないようなユニークなブラシも備えられている。

さらに多数の設定からそれらのブラシをカスタマイズ・新たにブラシを作成することもでき、また第三者の制作したブラシについてもリソースバンドルシステムによりブラシがたくさんあっても簡単に導入・管理できる。基本的にKritaのサードパーティーブラシセットには数十個のブラシが入っているのが標準的であるため、それを加えると洒落でなく数百のブラシを使用できるソフトと言えよう
ポップアップパレットKritaのポップアップパレット Kritaのハイライトともいえる機能。キャンバス上で右クリックすることで左のような、カラーサークル(中心の三角とそれを囲むグラデーション色の輪)・現在使用している色と背景の色(左上)・最近使用した色(カラーサークルの一つ外側の色の輪)・現在のタグ(右下のアイコンで切り替えられる)に含まれるブラシ(外側の輪)がコンパクトにまとまったポップアップパレットが表示される。

膨大なブラシの中から使用するものを予め複数のタグに分類しておけば、カラーサークルとブラシ一覧を常時表示しておかずともキャンバス上で殆どの作業を完結させることが可能になる。Kritaの膨大な数のブラシを使いこなすためにも重要となる機能である。
自動保存 設定した時間間隔で自動でファイルに上書き保存が行われる。これより保存するの忘れたままソフトが落ちて数時間分の作業がパーに…ということはなくなっており、作業の安定性が非常に高まっている。
アニメーション製作機能 タイムライン前後フレームの表示(所謂オニオンスキン)機能を持つ本格的なフレームバイフレーム方式(一枚づつコマを書いて動かす方式)アニメーション機能を実装している。ラスターベースでこれほどの本格的なアニメーション製作機能と描画機能を持つフリーソフトは他に例がないだろう。

各レイヤーがタイムラインを持つシステムを採用しているため、普通にイラストを描く感覚で各フレームに複数のレイヤーを使いながらコマを描く、あるいは影、ハイライトなどのレイヤーを各個にアニメーションさせていく感覚で直感的にアニメーションを作ることが可能になっている。これはレイヤーをフレームとして扱うFireAlpaca・GIMP、非直感的なシステムを採用するClip studio paintでは得られないものと言える。

なお、GSoC 2016で透過・変形マスク等を補完曲線を使ってアニメーションできるようにするための開発が行われる予定である。これが実現した場合、フリーでありながら、フレームバイフレーム方式とトゥイーン方式と高度な描画機能を両立したラスターベースアニメーション製作ソフトという前例のないソフトが誕生することになる。
G'micフィルタ 境界線を認識して自動で色の塗り分けを行う機能。線画が完全に閉じていなくても塗り分けを行うことができる。(ただしG'micはKritaとは異なる独立したプロジェクトであり、単にそれだけのための機能ではないが、そのまま行くとKritaではなくG'micの話になるので詳しくは割愛)
手ブレ補正 フリーハンドブラシツール選択時にツールのオプションドッキングパネルから選択可能。基本平滑化、重みづけ平滑化、安定化の3種があり、さらにパラメータで細かく設定できる。
様々なキャンバス操作 キャンバスの拡大縮小・回転はもちろん、上下・左右の反転、キャンバス全画面表示、上下・左右に対称に描画したり、はてはシームレスにキャンバスを上下左右に連続して繰り返し描画するラップアラウンドモードなど、自分の目的に合わせてキャンバスを様々に操作することができる。
描画補助線 ブラシをスナップさせられる補助線をキャンバス上に展開することができる。特に遠近法グリッドを用いるとパースを簡単に描画することが可能となる。(その他にも直線、楕円などの補助線を設置可能である)
高度な変形機能 殆どの有償ペイントツールを上回る高度な変形機能を備える。Photoshopと同様のゆがみツール、変形させたい部分をアンカーポイントで囲ってその移動によって滑らかに変形させるケージ変形、パースに基づいて変形する遠近法変形などがある。

また、下記の変形フィルタを使用することで、非破壊的に変形を行うことも可能である。
高ビット深度・CMYK対応・フルカラーマネジメント機能 32ビットまでの高ビット深度に対応、そしてCMYKのみならず、グレースケール、XYZ、Labなどほとんどあらゆるカラーモデルに対応し、Little CMS(所謂ICM・ICCプロファイルを使うもの)とOpenColor IO(映像関連で用いられる。HDRサポートの項で後述)による非常に高性能の色管理システムを持つ。

特筆すべきことはペイントツールでちゃんとした色管理システムを持つものは、実は有償まで含めてもCorel Painter以外にはKritaぐらいしか例がないということである。
SAI、FireAlpaca等通常のペイントツールはプロファイルを指定せず単にRGB値をモニタのRGBプロファイルに従って表示するだけであるため、使用するデバイスそれぞれのRGBプロファイルの違いによって色味が変化してしまうことが避けられない。
それらのツールを単体で使用する場合、CMYK変換による色味の変化以前に実はそこで色味の変化が発生してしまっているのである(なお、Clip studio paintはCMYK対応を謳ってはいるものの、作業時はやはり単にRGB値をモニタのRGBプロファイルに従って表示しているだけであり、しかもそのモニタのRGBプロファイルをCMYKの変換元に指定している等、実は色管理システムが破綻している)

それらに比べてKritaは最初からICCプロファイルを指定してどのデバイスでも同じ色味で見える画像を作ることが可能である。CMYKでの色味の変化が気になってしょうがないなどという人は、まず絵の描き始めからKritaを使うことが強く推奨されるであろう。
SAI・Photoshop互換ショートカット SAI及びPhotoshop互換のショートカットに簡単に切り替えを行える機能を持つ。メニューの設定→Kritaを設定→キーボードショートカット及びキャンバス入力の設定から可能。
高度なレイヤーとマスク機能 Kritaのレイヤーの種類は7つ(ペイント、グループ、複製、ベクター、フィルタ、塗りつぶし、ファイル参照)、マスクの種類は4つである(透過・フィルタ・変形・ローカル選択)。レイヤーのクリッピングやグループ化はもちろんだが、特に強力なのはマスクである。

Kritaのマスクは非常に高機能であり、これによりペイントツールの中では突出した非破壊編集能力を持っている。具体的に言うと、透過・フィルタ・変形・選択範囲をレイヤーから切り離して保存し、必要な時に適用の有効無効を切り替えられるのである。

またPhotoshop準拠のレイヤースタイルに加え、レイヤーを分割(単独のレイヤーを色ごとに新たなレイヤーに分割する機能)、タイル状繰り返し複製(あるレイヤー、例えばシームレステクスチャ画像を任意の回数繰り返して貼り付ける機能)などの強力な機能を備える。

ちなみにKritaにはレイヤーの枚数の上限がプログラム上では存在しない(つまりメモリの上限まで無限にレイヤーを追加できる)というペイントツールの中では結構レアな特徴を持っている(SAI1、FireAlpacaでは256枚、Clip studio paintでは999枚)なおこれは最初の安定版1.4からの仕様である。
ベクター図形の編集 ベクター図形を扱うことができる。どちらかというとSVGライク(厳密にはODGと呼ばれるオフィス系のフォーマット)。文字はベクター図形として入力・編集可能。
膨大な数の合成モードとフィルタ Photoshopのブレンドモードの数を上回る膨大な数の合成モードが備わっている。またフィルタの数もペイントツールとしてはかなり多い(レタッチソフトと比べるとやや力不足ではある)
対称ブラシ 様々な対称図形を描画できるマルチブラシ機能が搭載されている(上下・左右の対称描画はキャンバスに設定される別個の機能であることに注意)。アラベスク文様などを簡単に描画できる。
HDR・OpenColorIO・OpenEXR対応 HDR(ハイダイナミックレンジ。大きくダイナミックレンジを取れる方式で、映像関連でよく用いられる)画像の編集・保存が可能となっている。これはペイントツールの中では有償のものまで含めてもKritaにしかできない。またHDR画像のための形式であるOpenEXR、HDR画像のためのカラーマネジメントシステムであるOpenColorIOもサポートしている。これによりBlender等の映像系ソフトとも連携が可能になっている。
PSD対応 PSDを開ける…と謳っている。残念ながらおそらく日本で最もよくKritaが使われている(そして直後に捨てられる)用途である。

なお、余談ながらAdobe公式から配布されているソフトウェア開発キットに「アドビの知的財産権を第三者にライセンス供与する必要がある、または第三者と共有する必要があるライセンス条件求められるソフトウエアと併合、統合、または使用しないものとします。」と書いてあるように、GPLライセンスのKritaはAdobeの公式ソフトウェア開発キットという正規のルートが使えず、リバースエンジニアリング(非正規的にソフトウェアの動作を解析してソースコードを割り出す方法)頼りでこの機能は実装されている。

このためKritaはしばしばPSDファイルを開けないことがあることに注意が必要である(かつて上記の条項が追加された際にKritaの開発者は新たな工業規格ファイル形式としてORAという形式を開発したが、現在はMypaintのネイティブ形式としてしか利用されていない)ある意味当然のことだが、PSDファイルはAdobe社の製品を買って開いた方がいろんな面においていいのだと言えよう。

高頻度ショートカット

これはKritaのデフォルトのショートカットであるが、前述のようにPhotoshopとSAI互換のショートカットに切り替えることも可能であることに注意

キャンバス平行移動
操作 ショートカット(デフォルト)
キャンバス平行移動 マウス中ボタンドラッグ
スペースキー+マウス左ボタンドラッグ
キャンバス回転
操作 ショートカット(デフォルト)
キャンバス回転 Shiftキー+マウス中ボタンドラッグ
Shiftキー+スペースキー+マウス左ボタンドラッグ
左に15°回転 4
回転リセット 5
右に15°回転 6
キャンバス拡大縮小
操作 ショートカット(デフォルト)
キャンバス拡大 マウスホイール上へ
キャンバス縮小 マウスホイール下へ
キャンバス拡大縮小 Ctrlキー+マウス中ボタンドラッグ
Ctrlキー+スペースキー+マウス左ボタンドラッグ
キャンバス拡大 -(マイナス)
キャンバス縮小 =(イコール)
拡大縮小リセット 1
ページに合わせる 2
幅に合わせる 3
その他キャンバス操作
操作 ショートカット(デフォルト)
キャンバスのみ表示/表示解除 Tabキー
全画面表示 Ctrlキー+Shiftキー+F
キャンバス左右反転表示 M
ラップアラウンドモード W
ブラシ・色
操作 ショートカット(デフォルト)
ポップアップパレット マウス右クリック
カラーピッカー(全体から) Ctrlキー+マウス左クリック
カラーピッカー(現在のレイヤーのみ) Altキー+Ctrlキー+マウス左クリック
ブラシ B
ブラシサイズ変更 Shiftキー+マウス左ボタンドラッグ(水平方向)
合成モードを消しゴムモードに切り替え E
直前のブラシプリセットに切り替え /
レイヤー
操作 ショートカット(デフォルト)
キャンバス上からレイヤーを選択 R+マウス左クリック
キャンバス上から複数のレイヤーを選択 Shiftキー+R+マウス左クリック
現在のレイヤーを背景色で塗りつぶす Backspaceキー
選択
操作 ショートカット(デフォルト)
左右比固定 Shftキー+
中心を固定 Ctrlキー+
範囲の大きさを保って移動 Altキー+
交差選択 Shiftキー+Altキー+
追加選択 Shiftキー+
A
減算選択 Altキー+
S
全選択 Ctrlキー+A
全選択解除 Shiftキー+Ctrlキー+A
移動
操作 ショートカット(デフォルト)
矢印の方向に既定のピクセル(デフォルトでは1px)だけ移動 矢印キー
矢印の方向に既定のピクセルの10倍(デフォルトで10px)だけ移動 Shiftキー+矢印キー
変形
操作 ショートカット(デフォルト)
左右比固定 Shiftキー+(拡大縮小中)
遠近法変形 Ctrlキー+
アニメーション
操作 ショートカット(デフォルト)
一つ前のフレームへ ←キー
一つ後のフレームへ →キー
フレームをコピー コピー元のフレームを選択し、コピー先のフレームへCtrlキー+マウス左ボタンドラッグ
フレームを追加選択 Ctrlキー+マウス左クリック
アクティブなフレームとクリックしたフレームの間の全フレーム選択 Shiftキー+マウス左クリック

弱点

【重い】
しばしば言われること高速プレビューモード(LoD機能)の実装により大幅に改善された。OpenGLと高速プレビューを有効にすれば、かつてのように大きなキャンバスサイズやブラシサイズで大きくカクつくことはほとんどない。
【バグ】
Kritaは非商業的に開発が行われているため、常勤開発者が2人しかおらず、その結果バグがやや多くなりがちと言える。これに対して開発は長期的な目標としてさらなる常勤開発者の確保、短期的な対策としてバグ対処へのユーザーの積極的参加のためのガイドラインの作成等を行っている。
現状では特にOpenGL関連でトラブルが起きやすい。3.0でOpenGLに関するトラブルはほぼ完全に解消された。ただし古いバージョンのグラフィックドライバを使っているとこの問題が稀に発生することがあるので、特にIntel製のグラフィックについてはドライバをなるだけ最新版に保っておくようにした方がいいだろう。
ただし殆どのバグについては自動保存機能のおかげで途中でクラッシュしても実害はそれほど大きくなく、むしろ作業の安定性自体は他のツールと比べても高いと言える。上のガイドラインを軽く読み、後はあまり気負いせず使っていけばよいだろう。
【OSXは正式サポートされていない】
OSXでの正式サポートは未だになされていないことに注意である。公式で配布されているものは開発版であり、WindowsやLinux系ディストリビューション版とは異なり未だにOpenGL関連の機能を実装できていない。この大きな原因の一つにKritaがOpenGLに大きく依存しているにもかかわらず、Appleが自社製品のドライバのOpenGLの実装をおろそかにしていることがあげられる。
ただし現在も正式サポートを目指して開発中であり、GSoC 2016でのQtの開発とKrita本体の開発によってOSX版Kritaは2016年後半のリリースが予定されているバージョン3.1での正式サポートが予告されている。
【Krita Geminiが有償にもかかわらず若干微妙】
Krita GeminiはSteamで配布されているタッチパネル用のUIを持った特殊バージョンのKritaであり、開発資金を集めるため有償で配布されているが、バージョンがなぜか最新版になっていない、そもそもKritaはタブレットで動かすには若干重すぎるなどがあり、Krita Desktopの方が使い勝手がむしろいいというよくわからないことになっている。開発にお金を貢ぎたいなら素直に公式サイトから寄付しに行った方がいいだろう。
【消しゴムが独立したツールではなくショートカットを割り当てられないブラシプリセットとして存在している】
使っている際の違和感としてわりとよく上げられるもの。Kritaで消しゴムツールはブラシの一種として存在しており、独立したツールとしては存在しない。代わりにブラシの合成モードを消しゴムに切り替えるボタンなどもあるが、これはポップアップパレットにどれだけ慣れるかという側面もあるだろう。
Kritaのブラシの豊富さは単にブラシ機能が強力というだけではなく、様々なツールがブラシ機能に統合されている(例えば指先ツールなど。Krita内では混色ブラシという形で使用できる)側面があり、ブラシプリセットにショートカットキーを割り当てられないことも重なってポップアップパレットの活用はKritaを使用するうえで非常に重要となっている。
ただし消しゴムについてはあるバグの存在を発端として現在改善策が開発によって検討・開発されている。将来に期待である。
【漫画関係の機能が欠落している】
漫画が描けないわけではないのだが、コマ割りやページ管理など、漫画を描くうえで重要な機能が欠落している。特に後述の様に文字入力機能の力不足が大きく、縦書きができないのは日本語の漫画を描くうえではかなり致命的であり、ほぼ他ソフトとの連携が前提となってしまう。
なお本2016年度のKickstarter縦書き機能を含めたテキスト機能の大幅強化を開発目標として掲げており、また2017年度の開発目標としてもコマ割りなどの漫画系機能の大幅強化が検討されており、先行きが暗いわけでは全くない。
【ベクター図形・文字の編集がやりにくい】
いまいちよく分からない作りになっており、特に文字周りは日本語入力は一応できるものの編集が非常にやりづらくなっている(縦書きができず横書きしかできないというのは漫画などを描く際には大きな弱点の一つと言える)。本2016年度のKickstarterテキスト機能の大幅強化及びベクターのODGからSVGへの移行等のベクター機能の大幅な強化を開発目標に掲げている。
【初見殺しのカラーマネジメントの仕様】
まず大前提として一般に色管理、カラーマネジメントはそんなに簡単なものではないのだが、それに加えてKritaは

レイヤー(メニューの「レイヤー」>「レイヤーカラースペースを変換」で色プロパティ(色モデル・深度・プロファイル)の変更が可能)

画像ファイル(メニューの「画像」>「プロパティ」で色プロパティの変更が可能)

のそれぞれに別個にカラーマネジメントを行う仕様であり(かつ色プロファイルを指定しないということができない)他のソフトを使っている人でも分かっていないと混乱してしまう可能性がある(この仕様上、同一の画像ファイルに色プロファイルどころか色モデルの違うレイヤーを共存させることすら可能となっている。まあそれを高機能と言われれば確かにそうなのだが…)それぞれのカラーマネジメントの担当は

それぞれのレイヤー上での編集はそれぞれのレイヤーの色プロパティで行われる

画像をエクスポートした場合に出力される画像の色プロパティは画像のカラーマネジメント設定に基づいて行われるすなわちレイヤーの色プロパティが画像のそれらとは異なった場合、それらはエクスポートの際には強制的に画像の方の色プロパティに変換される。またメニューの「画像」>「画像のカラースペースを変換」を使うと画像ファイル及び画像ファイル内の全レイヤーの色プロパティを統一して変換できる。

という感じである。またKritaには現在のところソフトプルーフ機能が存在しないただし今年夏にGSoC 2016の課題として開発が行われ、その後随時実装される予定である)点も注意すべきである。CMYKが使えるPhotoshopの代替ソフトとしてKritaを用いたい人はここら辺の仕様をちゃんと理解しておくべきであろう。
【日本語の資料がほとんどなく、英語資料すらそんなにない】
ある意味最大の弱点の一つ。ユーザー数の少なさから資料が少なく、日本語資料に至っては数えるほどしかない。一応公式で日本語ガイドは配布しているものの、途中までであり、公式Wikiは割と充実しているものの全部英語である。みんなもぜひガイドとかチュートリアルとか記事書いてうpってほしい…

Kritaの歴史

Qtのライセンスの問題で対立していたKDEとGnomeの間で発生した1998年のGIMPを巡る炎上騒ぎによって、1999年5月31日にKDEがそのオフィススイートKOfficeに所属するKDE独自の描画ツールKImageShopとして開発を開始したのがKritaの始まりである。

しかしここからが長く、数回の放置プレイを経て初の安定版1.4のリリースはその約6年後の2005年6月21日だった。初版なのに1.4である理由は所属先のKOfficeが1.4だったからである、ちなみにKritaの開発開始時にKOfficeはまだリリースもされていなかった。ほんとだらしねぇな。

そこからはちゃんと継続して開発が進み現在に至る。初期は安定性がかなり低かったこと、長らくKOfficeの一部としてしかインストールできなかったこと。(特にWindowsへの対応は遅れに遅れた。)そもそもどこにいてもGIMPというあまりに強大なソフトに存在を覆い隠され続けたことが、現在まで続く不当な知名度の低さとユーザー人口の少なさの原因である。

開発当初はPhotoshopをモデルにして開発が行われていたが、初の安定版リリースに向けて開発が加速していた2004年8月6日にはレタッチツールではなくペイントツールとして開発モデルをCorel Painterに切り替えることが開発陣によって検討されていたそうでもしないと当時バージョン2が発表されようとしていたGIMPに存在意義そのものを消し飛ばされかねなかった

レタッチツールとしての開発をしばらく続けたあと、2009年から寄付による資金を少ない開発者に集中させてフルタイム雇用を行うとともに、開発モデルを本格的にペイントツールとしてのものに転換した。それ以降フルタイム雇用の開発者に開発を行わせることにより、オープンソースアプリケーションとしては非常に早い開発速度を実現した。

最終的にKritaが名を挙げたのは、クラウドファンディングサイト「Kickstarter」において、フルタイム雇用の範囲を拡大するため近年行われたキャンペーンによる開発資金募集と、その資金によるフルタイム雇用開発者たちの圧倒的な開発力を生かしたかなり早いペースでの機能追加が大きい。前回のVer3.1台向けのKickstarterキャンペーンでは1か月で3万ユーロ(日本円で約400万円)を集めることに成功している。

2014年Kickstarterキャンペーン "Accelerate Development"
目標:次バージョン2.9に24個の開発目標の中から12個を実装する
期間:2014年6月10日~2014年7月10日
目標金額:15000ユーロ/最終金額:19955ユーロ(約267万円)
成果:上記にあるように24個の中から12個が選ばれたが、結果的に選ばれなかったものの中からもいくつかが実装されることとなった。最終的に約束した機能はバージョン2.9.7.で全て実装された。
2015年Kickstarterキャンペーン "let's make it faster than Photoshop!"
目標:次バージョン3.1で高解像度画像及び巨大ブラシでのパフォーマンスの大幅向上とアニメーション製作機能の実装を実現する
期間:2015年5月4日~2015年6月4日
目標金額:20000ユーロ/最終金額:30521ユーロ(約409万円)
結果:上の開発目標に加え、目標金額超過による追加目標が11個加わることになった。アニメーション製作機能及び動作の高速化機能の開発は既に完了し、現在追加目標の開発が行われている。
2016年Kickstarterキャンペーン ”Let's Make Text and Vector Art Awesome!”
目標:縦書き機能の導入や組版機能の強化、自動での吹き出し付け等のテキスト機能の大幅強化、及びODGベースからSVG 2ベースへの移植・UIの改良等のベクター機能の強化
期間:2016年5月9日~2016年6月9日
目標金額:30000ユーロ
Kickstarter本ページの日本語翻訳はこちらから

ちなみに上述の様にKritaは過去2回名称が変わっている。最初はKImageShopという名前だったが、流石にパクリはどうなんという意見によりKrayonに改名された。しかし実はこちらの方がパクリ判定を喰らって問題を引き起こし、最終的に現在の名称になった。Kritaはスウェーデン語でクレヨン(Crayon)の意であり、サンスクリット語で「完璧」を表すकृत(発音は/kɹ̩t̪ɐ/)、KDEのK+書くという意味の動詞ritaという意味もかかっているとは言ってるがおそらく後ろ二つは単なる偶然の一致である

Kritaの開発

KDEに所属するソフトであるが開発元としてKrita Foundation(Krita財団)と呼ばれる組織を持っている。Krita財団はBlender財団と同じ国(Blender財団はアムステルダム)オランダのデーフェンテルに所在する。ただし下記のように開発者はヨーロッパを中心にアメリカ、インド等各国に存在している。

Kritaの開発の特徴はとりわけそのユーザーフレンドリーな姿勢にある。自らユーザーフォーラムでユーザーの質問に答える・作品投稿フォーラムに感想リプを付けてくれるのはもちろん、最も重要な事項は「ユーザーによる新機能の提案等を開発が真面目に検討し、しばしば実際に採用、実装してくれる」ことである。公式も自ら

オープンソースのいいところの一つに自分自身の手で機能を追加することができるということがあります。そしてたとえ自分はプログラミングができなくても、自分の作業に必要な機能について開発者に直談判することも可能です。これはオープンソースでない商業ソフトウェアでは不可能なことです!

と表明し、ユーザーが機能提案を行う上でのガイドラインを公式で提供する等、ノリノリでユーザーたちの参加を歓迎している。下線部のように商業ソフトウェアでは不可能な、オープンソースソフトウェアならではの特徴と言える。

また開発に必要な分の金額を直接寄付することで目的の機能を実装させることも可能であると開発自らが表明している(ただし当然然るべき金額が必要になってくるので実際は法人向けと言える)

そもそも開発者たちはボランティアであり、ソースコードが公開されていることからプログラミングの知識さえあればだれでも開発に携わることが可能である(事実今まで開発に何らかかわりをもってこなかった人が突然パッチを提出して機能が実装されたという例は稀ではない)このように開発とユーザーの境界がある種あいまいになっており、誰もが開発に貢献しその成果を利用できるというあり方はオープンソースが本来意図するところであるが、Kritaは特にそれがよく表れたソフトであると言えよう。

Kiki

Kritaのマスコットキャラクタ。ケモノのアンドロイド。いちおうリス(Kritaはアルバニア語でリスを意味するそうな)。デザインは中国のイラストレーターTyson Tan氏。Kritaのスプラッシュ画面にはよく氏書き下ろしのKikiのイラストが登場する。耳など随所に花を思わせるデザインが施されており、季節に合わせて姿が進化する。

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ニコニコ市場は2023年11月に終了しました。

Kritaの開発チームの一員であるScott L. Petrovic氏(公式サイトの管理人でもある)による解説書。すなわち現時点で最も公式に近い解説書である。

著者は開発チームの一員であり、開発者本人たちとタッグを組んで書かれただけあり、2.9台でのKritaについては最も詳しい書籍と言える。

現在は英語版しかないが、公式サイト日本語版管理人たちによる日本語への翻訳プロジェクトが進行中。現時点ではKindle版が購入しやすいであろう。

内容はやや百科事典的な機能解説。現在世に出ているどのKrita解説書よりも詳細な機能解説が行われている。英語が読めないという場合を除けば一番勧められる解説書であろう。

ニコニコ市場は2023年11月に終了しました。

実は世界初のKritaの解説書がコレである。世界初のKritaの解説書が日本語によるものであった事実は公式にとっても大いなる驚きだったらしく、わざわざ言及の上、サンプルを公式サイトに上げるなど、中々テンションの上がった様子であった。

なお最初にKritaの読み方を「ケリッタ」だと言い出したのはこの本である。いや普通にクリタって呼びゃあいいのになぜ…(公式によれば「いや、どう読んでくれたって別にかまわないけど、俺らは「クリ・タ(Kree-tah)」って読むよ」だそうである。少なくとも「正しい読み方はケリッタなんやで」とドヤ顔すると痛い目を見るのは確実だろう。)

内容はKritaの解説書というよりKritaを使ってデジタルイラストを描く講座と言った方が近いものになっている。買う時はそこら辺を考慮して買うべきであろう。イラスト講座としては初心者にもわかりやすい良質な本である。

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雑誌月刊I/Oのスピンオフのような立ち位置の解説書。上の解説書と異なりこちらは百科事典的にKritaの機能を解説する本である。レイヤー・フィルタなどレタッチよりな機能については詳しいが、ブラシ等の機能についてはかなり記述不足である。

関連項目

  • ペイントツール
  • アニメーション
  • オープンソース(KritaのライセンスはGPLv2)
  • Qt(使用しているフレームワーク。KDEの基盤であり他にはSkype、FireAlpaca等もQtである)
  • C++(Kritaで使用されているプログラミング言語。Qtの使用する言語でもある)
  • KDE(所属母体であるLinuxデスクトップ環境。ただしGIMP等を擁するGnomeに押され気味)
  • GIMP(もう一人のフリー描画ツールの巨頭。上記のように初期からライバル関係にある)
  • Mypaint(Linux環境でのもう一つのペイントツール。GIMPとは違い機能の移植等友好関係にある)
  • Blender(フリーの3DCG制作ソフトの巨頭。開発体制などの範をとっている。時々媚びを売っている
  • Painter(開発にあたってモデルとされたソフト。ブラシ周りの仕様は特にPainterの影響が見られる)
  • Photoshop(時々ライバル視している。でも流石にAdobeに勝つのは無理なので基本単なる煽り
  • 描画ツールの一覧

関連リンク

  • IRC(Krita開発者たちが普段の連絡や議論、雑談などに使っている。サーバーはfreenode、チャンネルは#krita)

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