PhysX 単語


ニコニコ動画でPhysXの動画を見に行く

フィジックス

3.1千文字の記事
これはリビジョン 3353334 の記事です。
内容が古い・もしくは誤っている可能性があります。
最新版をみる

PhysXとは、物理演算エンジンライブラリ及び、そのライブラリをハードウェアで動作させる為の専用チップの名称である。

概要

元々は米カリフォルニア州に本拠を置くAGEIA社が開発したものだが、2008年にNVIDIAがAGEIAを買収、以降はNVIDIAから提供されている。

2010年の時点では公式情報によるとPhysX対応ゲームは、PC向けゲーム・家庭用ゲームを含めて150タイトル以上存在する。

PC向けのPhysXは、NVIDIAの3DグラフィックスチップであるGeforce上でアクセラレーションを行うような仕組みになっているが、PhysXのアクセラレーションを利用する為には、Geforec8000シリーズ以上が必要である。

ただ、GeForce上でのPhysXの実行には、グラフィックス描画に使われるストリーミングプロセッサ(SP)の一部を使う為、グラフィックス描画のパフォーマンスが低下するという弱点を持っていた。なのでNVIDIAは、この弱点を補う為に一台のPCに複数枚のGeForceを挿す事の出来るSLI環境下で、180.48番以降のGeforceドライバにより、GeForceの一枚をPhysX専用として割り当てる事ができるようにした。また、GeForce GTX 275+GeForce GTS 250のチップを一枚のグラフィックボード(VGA)に搭載し、GTS250側をPhysX用として割り当てる事ができるようにするものも現れ、一枚のボードにGeForce GTX470+GT240を搭載するといった、GeForce世代を超えてPhysX性能を補う製品も販売されるようになった。

尚、GeForceがPCに搭載されていない場合は、PhysXの物理演算をCPUで実行するが、CPUでは物理演算に必要なベクトル演算性能が低い為に、リッチな物理演算表現は難しくなっている。また、PhysXにCPUパワーを使う為、結果的に全体の描画パフォーマンスが低下してしまう。

以前はAMDのRADEONシリーズなど、NVIDIA製以外のグラフィックボードと、PhysXに対応したGeforceを一つのPCに乗せ、メインボードとしてRADEONを使い、GeforceのPhysXの機能だけをプラスして使うという事も出来ていたが、186番台以降のGeforceドライバでPhysXの機能を強制停止させられてしまうようになり、公式にはこの使い方ができなくなった。(※非公式パッチなどを使用する事で、現在もこの使い方が可能)

※2025年にNvidiaは(PhysXが動作する)32ビットCUDAアプリのサポートを終了、64ビット版のPhysXは存在が確認されないため、実質的にPhysXのサポートは終了したと見られている。

PhysXソフトウェアライブラリ(PhysX SDK)

浮動小数点など、物理演算の為のライブラリ。
慣性など物理学に沿った物体の挙動を演算する為に、物理解析やゲームなどで用いられる。

このライブラリは、PC向け(Windows/Linux)と家庭用ゲーム機向け(PS3/Xbox360/Wii)に、無償でライブラリの一部が配布されている。

PhysXボード

PhysX SDKに対応する物理演算を、CPUではなく、PhysX用の専用チップ(PhysX PPU)が計算する事により、リッチな物理演算表現と描画パフォーマンスの低下を抑える事を目的とした拡張ボードのことで、AGEIAが2008年2月にNVIDIAに買収される以前に販売していた。
このボードは、2006年~2007年中盤にかけて複数の有名メーカーから3万円後半~4万円台という高値で販売されていたが、対応するソフトウェアが少なかった為か、秋葉原をはじめとしたPCショップなどで2007年後半には6千円以下で投げ売られ、AGEIA社買収後2009年前半には秋葉原PCショップで2千円以下で処分される姿が見られた。

NVIDIAに買収された後、NVIDIAのGeForceの8000シリーズ以降の製品でSPを利用したPhysXアクセラレーションが利用できるようになった事で、AGEIAのPhysXボードよりも遥かに高い物理演算性能が出せるようになり、PhysXボードの存在意義は無くなった。

ライバルの物理エンジンと、物理エンジンを取り巻く流れ

NVIDIAが推進するPhysXに対抗する物理エンジンには、ライバルのATI(後にAMDに買収)とIntelが推進するHAVOK社の『Havok Physics』、(※ATIでは『ATI Stream Physics(後にAMD Stream Physics)』として提供)や、『Bullet Physics』などのオープンソースの物理演算エンジンがあり、グラフィックス業界の物理エンジンサポートの足並みはそろっていない状況である。

代表的な物理エンジン名 採用ソフト例
PhysX Physics BATMAN Arkam Asylum、Metro2033、Cryostasis、Mafia II、Mirror's Edgeなど
Havok Physics ゲーム:Bioshock、LA Noire、Skyrim、Assassin's Creedなど
映画:マトリックス、トロイ、ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団など
Bullet Physics ゲーム:Disney’s Cars2、トイストーリー3、Riptide GP for Androidなど
映画:Megamind、シュレック4、How to train your dragonなど
3DCGツール:MikuMikuDance、Blender、MAYAなど

PhysXだけに対応したソフトやHavokだけに対応したソフトもあるが、Skyrimのように複数のPhysicsに対応したゲームもあり、対応状況は様々。

足並みが揃わなくなった背景には、2006~2009年に大きな動きがあった将来におけるCPUとGPUの関係性問題で、IntelがNVIDIAと敵対関係になった事や、HAVOKがNVIDIA・ATI両社のグラフィックボードに対応したHavokFXを開発中であったものの2007年9月にIntelのHAVOK買収により開発中止になった事、物理エンジンPhysXをアクセラレーションする汎用PhysXボードを2006年頃から販売していたAGEIAが、2008年2月にNVIDIAに買収され、NVIDIAとライバル関係であるATIがPhysXをサポートできなくなった事などの複雑な業界の動きが関係している。
加えて、IntelとCPUでライバルであるAMDが、2大GPUメーカーの一つであったATIを2006年に買収している事や、2008年にはAMDがHavokを最適化していく事を発表した事、IntelとAMDとの間で長らく続いていた独占禁止法やクロスライセンス問題が2009年11月に和解するなどの事があり、会社では「NVIDIA VS Intel+AMD」、 物理エンジンでは「PhysX VS Havok」という構図が描かれる事となった。

ただし、物理演算・物理エンジンがネット上で話題になったのは2006~2009年頃までで、DirectX11世代のグラフィックボードが登場した2009後半~2010年以降、話題は単純なグラフィックス描画性能に関する事や、テッセレーションなどの新たな描画表現に関する最新の話題にシフトし、NVIDIAからもPhysXに関する目立ったニュースは無くなっている。

関連動画

関連項目

  • NVIDIA
  • ATI
  • AMD
  • INTEL

外部リンク 

おすすめトレンド

ニコニ広告で宣伝された記事

記事と一緒に動画もおすすめ!
もっと見る

急上昇ワード改

最終更新:2025/12/31(水) 14:00

ほめられた記事

最終更新:2025/12/31(水) 14:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP