概要
具体的には、耳介[1]が長く張り出し、先端が尖っている形状の場合に与えられる名称である。なお「エルフ」のページにもある通り、これは主にアジア圏におけるイメージであり、西洋では単に尖っているだけでそれほど長くない場合もある。またエルフ耳はあくまで耳介の変型であり、人型生物の側頭部に位置するものである。この形状のまま頭部上方、犬や猫の耳と同じ位置に描かれることはまず無い。
現生人類は体格や肌、瞳の色等は千差万別であるが、こと耳の形状においては共通して縦長であり、丸いか角ばっているか程度の違いしかない。先端が尖ることも一般的ではなく、再現するためには整形手術が必要となる。よって明らかに特殊な形状をしているエルフ耳は、創作物においての外見的な特徴づけ、あるいはヒトとヒト以外の種族を区別するパーツとして活用されている。
"エルフ"耳とは言うものの、神話や伝承におけるエルフと呼ばれる存在は必ずしも長く尖った耳を有しているわけではない。今日におけるエルフのイメージを形作ったのはJ・R・R・トールキン著『指輪物語』とされているが、作中のエルフ種の耳は設定上尖ってはいるものの特に長くはない。これは映画版でも同様である。エルフ耳の成立過程は不明瞭であるが、日本において西洋ファンタジーが広まりを見せた1980年台にディードリットというキャラクターが登場した。彼女は今日に見られるような長く細く尖った耳、エルフ耳を明確に有していた。そして彼女が登場する小説『ロードス島戦記』が様々なメディアに展開、人気を博したことにより、ディードリット=エルフ種族が広く認知され、その耳は長くて尖っているというイメージが決定的なものになったと考えられる。なおディードリットのデザインについてはイラストレーターの出渕裕氏は以下のように語っている。
それこそ自分の中のイメージでは、エルフの耳はあれぐらい長いものだって、なぜかインプットされていたんです。あとで気がついたというか、自分でそういうことなのかなと思ったのは、『ダーククリスタル』に出てくるキアラ(キーラ)というヒロインの女の子がいますよね。あの子の耳がけっこう長い笹耳なんですよ。
『ロードス島戦記』出渕裕×『ペルソナ』副島成記:対談】「エルフの耳はなぜ長い?」次世代に受け継がれるビジュアル作りに隠された秘密を探る【新生・王道ファンタジーを求めて②
電ファミニコゲーマー
このようにディードリットのエルフ耳は決して意図して生み出されたものではなく、ある種偶発的なものであった。余談だが対談中で言及されている『ダーククリスタル』はアメリカの映画であり、キアラ(キーラ)は羊の擬人化のような種族である。耳という部位は顔の中でも目立つパーツであり、架空の種族のデザインとして長く伸ばすのは普遍的なテクニックなのかもしれない。
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関連項目
脚注
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