エレベーターガールとは、エレベーターの操作などをその業務とする従業員である。
概要
「エレベーターのボタンを乗客に代わって操作する」ことが主な役割だが、乗客の乗降時にドアが乗客に当たらないようにドアを手で押さえたり、乗客に各階の案内をしたり、現在その建築物内で行われている催し物のアナウンスをしたりといったことも業務内に入る。
自動化が進んでいなかった古い時代のエレベーターにおいては、スムーズで安全な運用のためには確かに必要性が高い存在であったという。特に「エレベーターがある施設」の代表的な存在であった「百貨店(デパートメントストア)」においてエレベーターガールが活躍した。そもそも日本のエレベーターガール(古い言い方だと「昇降機ガール」)の初登場は昭和9年に百貨店「松坂屋」の上野店であった、と松坂屋は自サイト内に掲載している[1]。
こういった百貨店・デパートでのエレベーターガールは、帽子を含む制服を着こみ、「上へまいります」「下へまいります」「○階、○○売り場でございます」などなどの独特の言葉遣いを行うなどと特徴が多い一種「特別な存在」であり、憧れの目で見られることも少なくなかったという。
しかし機械技術の進歩によってエレベーターが洗練されていくと、乗客自身が操作することは難しくなくなり、ドアを押さえていなくても「開」ボタンを押していればドアが閉まることも無く、仮に閉まりかけても人に当たればドアは再度開くし、案内やアナウンスも録音放送などに任せることが出来るようになった。そのため「エレベーターの運行に必須の存在」ではなく、「百貨店・デパートなどにおいて、乗客をおもてなしする姿勢を示すために配置される人員」という性質が強くなっていった。
そして百貨店やデパートという存在が日本全国で衰退し始めた1990年代以後は、百貨店・デパート自体が閉業したり、あるいはエレベーターガールの配置を中止したりすることが多くなった。2020年現在の日本ではエレベーターガールが存在している施設はあまり多くない。ただし絶滅しているわけでもない(日本橋高島屋など)。
「ガール」と付くところからもわかるように、通常は女性の(あるいは女性のように見える)従業員を指してこう呼ぶ。男性版を指す「エレベーターボーイ」という言葉もあるが[2]、「エレベーターガール」と比べると知名度に劣る。
「エレベーターを操作する従業員」という存在そのものは日本国外にも存在するワールドワイドなものであった。しかしその中で、「エレベーターガール」という女性に限定した呼び名だけが広く普及したのは、日本独特な現象とされることが多い。台湾などの近隣国家にも同様の例は見られるが、日本から伝播した文化であるようだ。英語には「elevetor operator」(エレベーターオペレーター)という言葉があるが、この呼び名には「ガール」のように女性に限定する含意は含まれていない。
関連動画
関連静画
関連項目
脚注
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