トリシティとは、ヤマハ発動機が製造しているトライク(特定二輪車)である。
日本では2014年9月10日発売。のちにABS搭載モデルに変更。
2017年1月20日より、155ccモデルが発売される。
エンジンのボアアップだけでなく、足元およびメットインの拡大・LEDヘッドライト・パーキングブレーキやシガーソケットつきグローブボックスが装備される。
2018年より、パーキングブレーキが搭載されていないことを除き、125ccの方も155cc版に準じた仕様になった。
2020年8月24日、東京モーターショー2019で発表済みの300cc版が9月30日に発売されることが正式発表。
概要
欧州では、石畳の道路が多いために安定感のあるこの車種は一定の需要がある。
これ以前にも、イタリアのピアッジオがMP3を発売している。
最大の特徴は、左右の前輪が独立したサスペンションを持っており、段差やデコボコ道のショックを吸収する点。
フロントフォークにはパラレログラムリンクを採用しており、曲がるときには各フォークが平行四辺形に傾く。そのため、見た目以上に小回りがきき、普通の二輪車のような感覚で走ることができる。
ヤマハは、このシステムをLMW(リーニング・マルチ・ホイール)と呼んでおり、本車をその第1弾と位置づけている。
もちろん、三輪あるため直進安定性とグリップは抜群。LMWのために曲がるときも安定しており、バイク初心者でも扱いが容易である。
ヤマハ発動機もそのようなライトユーザー層に対して積極的に売り込みを行っている。排気量が、小型二輪限定で乗れる125ccと、PCXやマジェスティに採用されている150cc帯であるのもその一環と思われる。
また、長距離走っていても疲れにくい構造であるため、ロングツーリングにも比較的向いている。
ネットニュースでは「トリシティでトットリシティに行く」というダジャレのような企画が行われたこともある。
警察でも、大阪府警がスーパーカブやスクーターに代わる交番用パトロールバイクとして110台導入したのを皮切りに、神奈川県警・愛知県警などでも配備されている。
弱点は主に加速の悪さと、「見た目から実際以上に安定していると勘違いされがち」な点である。
自立せず、当然ながら後輪は通常のバイクとほぼ同じ仕様である。
あくまで「普通のバイクよりは」安定していて転びにくい、ということであり、普通のバイクで無謀な運転まで保証するものではない。無茶なバンク角や、急加速・急ブレーキは他のバイクと同様危険である。
また、後輪…すなわち駆動輪が一輪であり、これが滑ると車体全体も滑る。
前輪のグリップで割と耐えられるが、砂利や濡れたマンホールの上に後輪を載せたりするとヒヤっとする。
あくまで、「通常の安全運転をした上で、それでも起こるヒヤリハットを防いでくれる」ものであるため、過信して無謀な運転をせず、教習所で教わった安全運転を忠実に行うようにしよう。
よくある質問
前述のとおりバイク初心者を想定したモデルであり、また街乗りなどしていると他の人からの質問も多いと思われるため、本車および原付二種や特定二輪車(二輪車扱いされる三輪の自動車)全般についてのよくある質問を記す。
なお、このFAQは、無改造の場合に限られることに注意されたい。
トリシティについて
先行のMP3とよく比較されるが、実際はかなりの別物である。乗り味は二輪のスクーターとあまり変わらない。
スタンド立てなくても自立するんでしょ?
自立しない。
他のトライクと異なり、本車は前2輪が別々に動くため、自立できない構造である。
そのため、センタースタンドとサイドスタンドが搭載されている。
走ってさえいれば抜群の安定性を誇るが、立ちごけ・握りごけのリスクは下手な二輪よりも高いことに注意。
また、125cc版にはパーキングブレーキがないため、長時間や坂道での駐輪にはかならずセンタースタンドを使うこと。
300cc版には「スタンディングアシスト」という機能が追加され停車時や押して歩く際に倒れにくくする機構が追加された。ただしメーカーでは「車両単独で完全に自立するシステムではない」と謳っている。
デカそう・重そう・足つき悪そう
(排気量の割には)デカいです。重いです。足つき悪いです。
総重量150kgと、この排気量にしてはかなりの重量があるので、押して歩く際は注意。
また、この重量の割に馬力やトルクが抑えられており、加速も控えめである。
125cc版でも普通自動二輪クラスに見えるので、小型だと言うと周囲に驚かれる。
足つきに関しては、オプションパーツでローダウンシートが存在する。
曲がる?
(三輪の割には)曲がります。
これこそがLMW最大の特徴。パラレログラムリンクのおかげで、安定性と曲がりやすさが両立している。
山道などでも安定して曲がることができ、二輪の基本である「車体と同時に体を傾ける」をそれほど恐怖感なく覚えることができる。
ただし、それは交通法規を守り、安全運転すればの話。スピードの出し過ぎや無茶なバンクは禁物。
特定二輪車について
「トライクは四輪扱いだから、普通免許で乗れる/ヘルメットいらない」という誤解が生じている。
2009年より特定二輪車というカテゴリーができ、ピアッジオMP3やトリシティは特定二輪車として二輪と同じ扱いになった。MP3が出た頃は確かに四輪扱いだったのだが、事故が多発したため変更になった。
ホンダ・ジャイロXなどは若干改造するとミニカー登録できるが、この扱いは原付一種のみである。原付二種以上に分類されるトリシティは、ミニカー登録できない。
これ、何なの? 三輪なのにバイクなの?
普通四輪免許で乗れるんでしょ?
二輪免許必須。
本車は自動二輪車であり、50ccを超えるため道交法上の原付でもない。
ヘルメットいらないんだよね?
原付二種について
50cc超125cc以下のバイクのこと。道路運送法上の分類であり、道路交通法上は原付ではない。詳しくは原付二種の項にて。
以下は、トリシティ125のみに当てはまり、トリシティ155にはあてはまらない。
制限速度や二段階右折の義務は?
制限速度は60km/h、二段階右折義務はなし。
50ccを超えるため、道交法上は原付にあたらない。
二人乗りできる?
二人乗り可能。
ただし、二輪免許取得後1年以内は二人乗りできないことに注意。
高速走れる?
125㏄では通行不可。
すべての高速道路、ほとんどの有料道路、静清バイパスなどの一部バイパスは通行できない。
関連動画
TVCMには大島優子や菅田将暉を起用。本車のために二輪免許を取得する動画がYouTubeに公開されている。
関連項目
関連リンク
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