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ニフェジピン
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ニフェジピン(Nifedipine)とは、カルシウム拮抗である。先発医薬品の販売名アダラート®

概要

有機化合物
ニフェジピン
ニフェジピン
基本情報
英名 Nifedipine
略称 NFD
化学 C17H18N2O6
分子量 346.34
化合物テンプレート

ニフェジピンは、ジヒドロピリジンカルシウム拮抗(Ca2+チャネル遮断)である。血管を拡して血圧を低下させる作用があるため、高血圧症狭心症の治療に用いられる。オキシトシン拮抗子宮収縮抑制)として、WHO必須医薬品モデルリストにも収載されている。

セリ科植物Ammi visnagaの果実に含まれる成分ケリンをもとに、ドイツの製企業バイエル開発を進め1966年に発見された。日本では、1976年にアダラート®の名で販売開始された(2019年に販売中止)。1985年には1日2回内12時間持続製剤であるアダラート®L錠(2020年に販売中止)、1998年には1日1回内24時間持続製剤であるアダラート®CR錠が販売開始された。さらに、それぞれジェネリック医薬品が製造販売されている。

グレープフルーツダイダイブンタン夏ミカンなどの柑橘類、およびそれらの果汁を含むジュースは、ニフェジピンと相互作用を引き起こすフラノクマリン類を含み、ニフェジピンの作用を強めるおそれがある。そのため、ニフェジピン内中はグレープフルーツなどの摂食を避ける。温州ミカンレモンカボスにはフラノクマリン類がほとんど含まれておらず、摂食してもは少ない。[1]

効能・効果

狭心症に適応があるのはCR錠のみ。上記のほかに、切迫に適応外使用される[2]レイノー病(手の細動脈狭)、アカシア(食の蠕動運動低下による嚥下障害)などに対しても使用される。

用法・用量

高血圧症の治療の場合、ニフェジピン1回10mgを1日3回経口投与する。徐放性製剤であるL錠なら1回10~20mgを1日2回、CR錠なら1回20~40mgを1日1回経口投与する。いずれも症状に応じて適宜増減。最大でCR錠1回40mgを1日2回まで投与可

狭心症の治療の場合、ニフェジピン1回10mgを1日3回経口投与する。徐放性製剤であるL錠なら1回20mgを1日2回、CR錠なら1回40mgを1日1回経口投与する。いずれも症状に応じて適宜増減。最大でCR錠1回60mgを1日1回まで投与可

作用機序

カルシウム拮抗は、細胞膜に存在する電位依存性Ca2+チャネルを遮断して理作用を示す。電位依存性Ca2+チャネルには、L、N、Tなどのサブタイプがあり、ジヒドロピリジンカルシウム拮抗血管滑筋細胞に存在するLCa2+チャネルを遮断する。LCa2+チャネル遮断によって細胞内へのCa2+流入が抑制され、血管滑筋が弛緩して血管が拡するため、血圧は低下する。

また、末動脈の拡により末血管抵抗が減少するため、後負荷(心臓の収縮期に心筋にかかる負荷)は軽減される。冠動脈の拡により冠血流量は増加し冠攣縮(発作性の異常血管収縮)も緩解する。これらの作用は狭心症の症状を善させる。

抗炎症作用や抗化作用の報告もある。

禁忌・副作用

過敏症の既往歴のある患者、心原性ショックの患者への投与は禁忌である。ニフェジピンカプセルやニフェジピン細粒など1日3回内する速放性製剤は、急性心筋梗塞の患者への投与も禁忌である。

妊娠20週未満の妊婦妊娠している可性のある女性への投与は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合に可。以前は添付文書上禁忌となっていたものの、この適正性について検討され、2022年12月に禁忌の項より削除された。

副作用として、動悸、頭痛、熱感(ほてり)、浮腫(むくみ)、肥厚(ぐきの腫れ)などがある。また、1日3回内する短時間作用の製剤は、血圧の急な低下によるめまいや反射性頻脈を引き起こすおそれがある。急な降圧や心拍数の上昇が心血管疾患の予後を悪化させる報告もあり、高血圧緊急症でも使用は推奨されていない。ただし、現在では短時間作用の製剤はあまり用いられておらず、多くは徐放錠とりわけCR錠が処方されている(緩徐に作用する徐放錠のほうが副作用の心配が少ない)。

同種同効薬

ジヒドロピリジン系

ニフェジピンは、カルシウム拮抗(Ca2+チャネル遮断)であり、その構造からジヒドロピリジン系(DHP系)に分類される。これらは以下に示すように、“-dipine”(~ジピン)という共通の幹をもつ。

第1世代DHP系Ca拮抗は、ニフェジピン(アダラート®)、ニカルジピン(ペルジピン®)。第2世DHP系Ca拮抗は、マニジピン(カルスロット®)、ベニジピン(コニー®)、シルニジピン(アテレック®)など。第3世代DHP系Ca拮抗は、アムロジピンアムロジン®ノルバスク®)、アゼルニジピン(カルブロック®)が該当する。概ね第1世代<第2世代<第3世代の順に作用時間が長い。

カルシウム拮抗DHP系のほか、ベンゾチアゼピン系のジルアゼムヘルベッサー®)、フェニルアルキルアミン系のベラパミル(ワソラ®)などがある。DHP系は末血管への選択性が高く、ベラパミル心臓への選択性が高く、ジルアゼムはその中間程度の作用をもつとされる。

関連動画

関連商品

関連項目

脚注

  1. *Ca拮抗薬と「グレープフルーツ」以外の柑橘系は大丈夫?~フラノクマリンを含む果実と相互作用 - お薬Q&A ~Fizz Drug Information~exit
  2. *海外では、リトリンよりも副作用が少ないことから、ニフェジピン(アダラート®)が切迫産の治療に使用されている。システマティックレビューでも切迫産治療としての有効性が報告されており、エビデンスレベルが高い。”(産婦人科診療ガイドライン産科編2020exit

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