全日本吹奏楽コンクールとは、全日本吹奏楽連盟と朝日新聞社が主催するアマチュア吹奏楽団体を対象にした最大規模のコンクールである。主な略称には「吹コン」など。
概要
1940年に朝日新聞が国内吹奏楽の発展と躍進を目的に設立。以来60年以上(太平洋戦争による中断を除く)中高大職一般にわたり1万を超す幅広い団体が憧れる大会として君臨し続けている。
特に中高生に関しては”吹奏楽の甲子園”とも言えるべき存在であり、大小様々なバンドが全国大会の地である名古屋国際会議場を目指し、夏季の猛練習と予選大会に青春を費やす経験は、吹奏楽部員なら一度は味わったことがあるだろう。『響け!ユーフォニアム』などのアニメ作品にも取り上げられ、ニュース番組などの各メディアでも特集が組まれるほどの知名度を持つ。
その他コンクールの詳しい歴史、規定及び審査に対する変遷などはWikipediaの記事を参照にされたし。
全国大会までの流れ(2018年時点)
前年12月:課題曲発表
吹コンは各団体が吹連が指定する課題曲、団体ごとに厳選する自由曲の2曲を演奏し、12分以内に纏めるのが大きなルール。その課題曲が発表されるのがこの月である。
課題曲はI-Vまでの5曲が発表され、演奏時間は大体3~5分程度。このうち2曲に必ず演奏難易度が高すぎない行進曲(マーチ)が含まれている。Vについては「吹奏楽の開発を意図した多様なもの」という位置づけで、中学では選曲不可の難易度の高いものになっている。
課題曲にも長い歴史があり、創設当初の戦前は国威高揚を図る楽曲であったり、J.P.スーザの行進曲が指定された時期もあれば、「ディスコ・キッド」「吹奏楽のためのラメント」など今に至るまで愛される地位を獲得した楽曲まである。過去には團伊玖磨、三善晃ら一線級の作曲者による楽曲が輩出されたことも。
この月以降に行われる楽団の演奏会では、先立って課題曲を発表したりする機会が多くなる。「どんな楽曲で、どんな演奏をすればいいんだろう」と思ったら会場に足を運んでみよう。
7月-9月:予選大会
吹連に加盟後、課題曲と自由曲を決定し手続きを済ませたら、地区予選が始まる。全国大会への道のりは険しく、地区→県→支部という予選を突破し、全部門合わせて僅か100団体ほどがその地に訪れることを許されている。
支部は全部で11(北海道、東北、北陸、東/西関東、東京、東海、関西、中国、四国、九州)に分かれており、地域によって"地区大会無しで県大会からスタート"など、予選の流れが異なる。一例として、最も早く名古屋(大職一般は各県持ち回り)行きの団体が決まるのは富山、石川、福井での3県で構成された北陸支部で8月半ばに大会が行われる。東京支部は都大会が支部大会を兼ねた一発勝負となっている。
審査結果は金賞、銀賞、銅賞の3段階で評価される。この内金賞団体から上位の団体を選出し、より上の大会へと駒を進めることになる。地域によっては最優秀賞的位置付けである朝日賞が授与されることも。
編成についても地域によってバラつきがあり、頂点を目指すA編成/少人数でそれぞれの目標を目指すB編成など構成も様々。小学生の部も存在する地域があったりする。特に関東周辺では吹コンとは別に「東日本吹奏楽大会」という独自のコンクールの代表選考も兼ねているため、B編成だからと侮るなかれ。
10月:全国大会
熾烈極まる支部予選を突破したのち、10月下旬に全国大会が開催される。中高の部は上記通りの名古屋市国際会議場、大学/職場/一般の部は各県で毎年異なる会場にて行われている。大会の模様はTV朝日系列のCS放送、Sky-Aでも放送され、実況録音CDの予約も毎年長蛇の列を作る。また名古屋での開催当日、年によっては名古屋まつりや大須大道町人祭などの大規模イベントと被るため、車での来場は非推奨。できるだけ公共交通機関を利用し早めの来場を。
名古屋会場以降前は東京杉並区の普門館が会場とされていたが、耐震関係の問題上使用不能(後に解体予定)になり、利便性などを考慮した後に同会場へと舞台を移すことになった。キャパも普門館が5000人規模だったのに対し、名古屋国際会議場は3000人規模。これによりバンドの傾向も爆音、迫力重視から緻密なアンサンブルの追求へと変遷を遂げている。
またこのコンクール、特に中高の部はチケット即完売がザラであり、ダフ屋や転売も相次ぐプラチナチケットでもある。連盟側もここ数年間から先行抽選販売へ移行したりと毎年対策は練っているのだが、抜本的なものになっていないのが現状のようだ。ライブビューイングやインターネット配信さえ開催すれば…
関連動画
全日本吹奏楽コンクールに関するニコニコ動画の動画を紹介してください。
関連項目
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