旁(つくり)とは、漢字の構成要素の一つである。字の右側の部分。
とはいえ、世の漢字は多数派が偏であるため、どれが旁に属するかは覚えるしかないのが現状である。
たとえば「利」「料」「取」は旁に属するが、「飲」「投」などは偏に属する。
「漢」であれば堇(の変形)が旁で、「字」に旁にあたるものはない。
概要
いくつかの旁は部首になっていて呼び名がついている。代表的な旁を以下に挙げる。
- 刂 - 部首(刀部)。りっとうと呼ばれる。刀という字を崩したもの。例:刊、制、到、剛
- 力 - 部首。ちから。例:助、勧、動
- 彡- 部首。さんづくり。例:形、彩、彫
- 欠 - 部首。あくびなどと呼ばれる。例:歌、欺、歓
- 攵(攴) - 部首。ぼくづくり・のぶんなどと呼ばれる。部首。左側の構成要素を叩く意味がある。例:教、数、放
- 殳 - 部首。るまたなどと呼ばれる。攵と同じで左側の構成要素を叩く意味がある。例:殺、殴、毅
- 斗 - 部首。とますなどと呼ばれる。例:斟、斜、料
- 斤 - 部首。おのづくり。例:新、断、斬
- 又- 部首。また。取、叙
- 寸 - 部首。すんづくり。対、封
- 戈 - 部首。ほこづくり。戦、戯
- 月 - 部首。つき。朝、期、朔
- ふしづくり。例:印、卸、却
- 隹- 部首。ふるとり。例:雄、雌、離
- 頁 - 部首。おおがいと呼ばれる。例:頭、顔、額
- 阝 - 部首(邑部)。おおざとと呼ばれる。例:邦、郊、郵
- 鳥 - 部首。とり。例:鶏、鶴、鴎
漢字として
- 意味
- 広い、大きい、あまねく、かたわら、片側、両側、嫡流以外の、偏った、近く、という意味がある。
- 字形
- 形声。声符は方。
- 旁は隷書以降の形で、〔説文解字〕には㫄の字形で載っている。㫄は〔説文解字・巻一〕に「溥(ひろ)きなり。二に從ひ、闕、方聲」となっていて、字形の解説の一部が失われている。字の上側がなんなのかはよく分かっていない。下に挙げた異体字でも、下部は方だが上はフリーダムである。
- 音訓
- 音読みはホウ(漢音)、ボウ(呉音)、訓読みは、かたわら、つくり、かたがた。
- 規格・区分
- 常用漢字でも人名用漢字でもない。JIS X 0213第二水準。
- 声符
- 旁を声符とする漢字には傍、嗙、徬、搒、滂、𨜷、𣂆、榜、膀、䅭、謗、騯などがある。
- 語彙
- 旁引・旁求・旁午・旁旁
異体字
- 㫄は、〔説文〕の本字。
- 㝑は、〔説文〕、〔玉篇〕に載っている古文である。
- 𣃙は、〔説文〕、〔玉篇〕に載っている古文である。
- 雱は、〔説文〕に載っている籀文。ただ〔玉篇〕や〔集韻〕では別の字とされている。JIS X 0212補助漢字。
- 𣃟は、〔玉篇〕に載っている古文。
関連項目
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