鎧伝サムライトルーパーとは、1988年に放送開始されたテレビアニメである。
概要
鎧伝サムライトルーパーは、サンライズの製作したテレビアニメである。1988年4月30日から1989年3月4日まで、名古屋テレビ(テレビ朝日系)で毎週土曜日17:30~18:00に全39話が放送された。
名古屋テレビ(テレビ朝日系)の土曜日17:30は、1970年代後半から機動戦士ガンダムに代表される日本サンライズ制作のロボットアニメの放送枠であった。しかし、機甲戦記ドラグナーの商業的不振により、1988年1月30日の最終回放送と同時にサンライズのロボットアニメはついに終了してしまう(ドラグナーは一年間放送されたので、打ち切りではない)。
そして、翌週からは東京ムービー新社の制作した宇宙伝説ユリシーズ31の放送枠となってしまった。
三ヶ月後、サンライズは新たな広告代理店とスポンサー(タカラ)と共にこの枠で再びアニメを放送することになった。しかしそれはロボットアニメではなく、五人の美少年が鎧をまとって戦うアニメであった(聖闘士星矢人気への便乗企画なのは、否定しないしする必要もない)。
ちなみに、同年同月には同じくタカラがスポンサーで、こちらはロボットアニメの魔神英雄伝ワタルが日本テレビ系で放送開始されている。
目論見(?)どおり女性ファンの獲得に成功するが、その一方で男児の人気を得ることには失敗する。タカラから発売された超弾動シリーズ(内部にバネが仕込まれた人形)は全く売れず、加熱する女性人気と対比して、積み上がった在庫の山がテレビ番組で放送される事態にまでなった(タカラは巨額の赤字を出したという)。
ちなみに、プラモデルはお城シリーズで有名な童友社から発売されていた(アラゴ城は未発売)。
アニメ人気は「中の人」にまで飛び火し、1989年には主人公サイドの声優五人でユニットを組んでデビューするという「事件」まで起こしてしまう。NG5と名付けられたこのユニットのアルバムはヒットし、コンサートやイベントも大盛況であったが、若手揃いのメンバーの中で唯一天空のトウマ役の竹村拓氏はすでに三十代半ばだったため、一部の心ないファンの中傷に心を痛めていたという(非アンチからはパパと呼ばれていた)。
ちなみに、四魔将もこれに対抗してOK4というユニットを結成しようという話が持ち上がっていたが、結局実現しなかった。
後期OP/EDは、バラドルとしてブレイク直前の森口博子が歌っていた。
ちなみに、監督の池田成氏、作画監督の村瀬修功氏、絵コンテの高松信司氏は後に『新機動戦記ガンダムW』を製作。こっちも主人公5人組かつ殆ど15歳という設定。ガンダムに関するムック本『大人のガンダム』でも『W』のトピックにて、少し触れている。どっちの作品も、途中で監督の池田成が逃げた。
2009年から「アーマープラス」シリーズにて遼のフィギュアが発売されて以来音沙汰がなかったが、2011年を境に続々とフィギュア化が決まった。また、8月にはサンライズ主催のイベントも開催され、ゲストに草尾氏と西村氏が登場した。
因みに第2弾はリペイント版の遼、第3弾は当麻、第4弾は輝煌帝、第5弾は征士、第6弾は伸。
登場人物
- 真田遼(烈火のリョウ):CV草尾毅
本編主人公。火の鎧「烈火」と白い鎧「輝煌帝」に武装して戦う。武器は双刀「烈火剣」、輝煌帝武装時は双剣「剛烈剣」。受け継いだ心は「仁」。
仲間思いの優しい性格だが無茶も多くTV版前半では力尽きて倒れて肩貸されるのが定番(?)だったが、後半を境に肩貸されることはなくなっている(しかし、倒れるのは後半になっても変わっていない)。
先祖は真田忍軍。因みに中の人は『戦国無双』で真田幸村を演じている。 - 羽柴当麻(天空のトウマ):CV竹村拓
空の鎧「天空」に武装して戦う。武器はゴーガンソード「翔破弓」。受け継いだ心は「智」。
IQ250の天才児で普段は冷静だが土壇場で熱くなる。前半ろくに出番がなかったが、後半は遼とコンビ組んで活躍。復活直後に「どうしたんだ遼?そんなにボロボロになって?」と凄い大ボケをかます。
先祖は豊臣秀吉。 - 毛利伸(水滸のシン):CV佐々木望
水の鎧「水滸」に武装して戦う。武器は二又槍「二条槍」(手甲爪と小刀があるが劇中で全く活用されなかった)。受け継いだ心は「信」。
争い嫌いの優しい性格だが妙に黒い一面も。一人だけ高校生(全員1973年生まれだが伸のみ早生まれ)なので、お兄さんでまとめ役。料理上手。大体、秀か遼と一緒。
先祖は毛利元就。 - 伊達征士(光輪のセイジ):CV中村大樹
光の鎧「光輪」に武装して戦う。武器は大剣「光輪剣」(分解可能だが劇中で全く活用されなかった)。受け継いだ心は「礼」。
生真面目で厳格な性格だが、年相応にやんちゃな一面も見せている。初登場は逆さま。見せ場は何気に多い。偶に一人称が「俺」になっていた。
先祖は伊達政宗。 - 秀麗黄(金剛のシュウ):CV西村朋紘
大地の鎧「金剛」に武装して戦う。武器は三節棍「金剛杖」。受け継いだ心は「義」。
単純明快で食いしん坊だが義理人情にあつく、マメな性格。因みに彼を助けたのは遼ではなく征士。
先祖は武術家(チンギス・ハン=源義経という説あり)。中国人だが生まれも育ちも横浜の浜っこ。 - ナスティ柳生:CV日下部かおり
トルーパー達のお姉さん的存在で事実上、5人の後ろ盾。よく人質になる。5人の飛ばされた場所の鍵となる歌を解読した功労者。 - 山野純:CV渡辺久美子
妖邪の戦いに巻き込まれた小学生。ナスティ同様、よく人質になる。存在の必要性を疑われたが後半で重要なポジションになる。 - 白炎(びゃくえん)
本作の癒しを一手に引き受ける白虎。もともとは迦雄須が連れていたが遼に譲られ、純の遊び相手や護衛をになった。遼や純などを乗せて運搬することも多い。肉食獣としての本能をむき出しにしないのは、普通の虎ではなく霊獣の一種のため。 - 迦雄須(かおす):CV若本規夫
古くより妖邪から人間界を守ってきた一族の末裔で、肉体はすでに滅んでいるが、特殊な錫杖の力により実態化している。トルーパーたちがまとう鎧を作った人物で、五人の師匠的存在。普通に渋い若本。 - 阿羅醐(あらご):CV笹岡繁蔵
妖邪界の首領で「妖邪帝王」を名乗って四魔将たちを指揮する。もとは上記の迦雄須により打ち倒され、善の心を持つ9つの鎧に分解・封印された、古代の邪悪な地方豪族。その後、力を取り戻し下記の四魔将の鎧を手中に収め、残る五つの鎧奪還による完全復活をもくろんだことから、サムライトルーパーの物語は始まる。
人の悪しき想念によって生まれた不滅に近い存在で、体格も巨大なら戦闘力も巨大。かつて迦雄須と戦って敗れた際に実体化する能力を失っており、劇中では殆ど半透明である。 - 朱天童子(しゅてんどうじ):CV梁田清之
阿羅醐の部下・四魔将のひとりで「鬼魔将」。本来の鎧は「貴力」といい、鎧の心は「忠」だが、阿羅醐の妖力により歪み、本来の姿とはかけ離れた姿となっている(以下の3名もの鎧も同様)。
天文20年生まれの戦国武将で、山城の国(京都)出身ながら小勢すぎて上洛もかなわなかったという経歴を持つ。 烈火のリョウのライバル的ポジションで、ストーリー前半で何度となく激突する。武器は邪鬼鎌。弱点は豆。
やけにゴリラっぽい役の多い梁田氏が演じた数少ない美形キャラ。 - 那唖挫(なあざ):CV二又一成
阿羅醐の四魔将のひとりで「毒魔将」。本来の鎧は「薬師」といい、鎧の心は「悌」。
天文19年、薩摩の国生まれの武将。水滸のシンのライバル的ポジションで、六本の刀を装備する二刀流剣士。残りの四本の刀は必殺技の時に連結して使う。コブラをモチーフにしており、初期設定では東南アジアの蛇神の化身だった。 - 螺呪羅(らじゅら):CV小杉十郎太
阿羅醐の四魔将のひとりで「幻魔将」。本来の鎧は「夢幻」といい、鎧の心は「忍」。
天文18年、武蔵の国生まれの武将。蜘蛛をモチーフにした鎧のため、六本の長刀を連結したような六足長刀という武器を使う。直情型な金剛のシュウのライバル的ポジションとして、幻術で惑わす戦法を好む。初期設定ではアマゾン川上流のサソリと蜘蛛の悪霊だった。「つきましては阿羅醐様……」などとおねだり上手。 - 悪奴弥守(あぬびす):CV松本保典
阿羅醐の四魔将のひとりで「闇魔将」。本来の鎧は「漆黒」といい、鎧の心は「孝」。
天文19年、陸奥の国生まれの武将。犬というか狼をモチーフにしており、闇を操る黒狼剣と左手の鉤爪が武器。 闇ということで、案の定光輪のセイジのライバル的ポジション。アヌビスという名前は初期設定の「エジプトの死神の化身」だった名残り。 - 迦遊羅(かゆら):CV勝生真沙子
阿羅醐の秘蔵っ子的な幹部で、四魔将より高い権限を持つ女戦士。実際、四魔将やトルーパーたちより断然強い。
初登場時の「オホホ」笑いが印象的。武器は星麗剣の二刀流。後半から登場するキャラクターで、前半出番があまりなかった天空のトウマのライバル的ポジションだが、格の違いからトウマの苦戦が多い。
ちなみに、12歳である。 - 剣舞卿(けんぶきょう):CV市川治
物語中盤に登場する妖邪の剣豪。本来、「勇」の心を持つ10体目の鎧となるはずだった。
かつて妖邪界で阿羅醐と覇を競ったが敗れ、リョウの輝煌帝の鎧をもって再戦を狙う。妖邪ではあるが悪辣な雰囲気はなく、気高い性格の持ち主。また声を担当した市川氏は、当時声優業を引退していたが、音響監督の千葉耕一氏の要請によって本作から声優業に復帰している。
伝説の放送事故
鎧伝サムライトルーパーはのちに何度もOVA化を果たす人気作となったが、それよりも日本のテレビ放送史上、唯一となる「二重放送事故」が起きた作品としての方が、重要度は高いかもしれない。
1988年9月3日、本来ならば第18話「恐怖の妖邪帝王」が放送されるべきところを、テープの取り違えから前回の第17話「明かされた鎧伝説」が再び放映されてしまったのである。しかも放送局がこの失態に気づいたのは、放送開始後かなり経ってからで、お詫びテロップが流れたのはエンディングと次回予告の時点だった。
あくまで噂レベルながら、本作は全40話の可能性があったものの、この放送事故と昭和天皇崩御の影響で御破算になったという話もある。ただし全39話は3クール丁度の区切りでもあるので、単にファンの願望であろう。
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関連項目
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