高岩成二(たかいわ せいじ)とは、JAE(ジャパンアクションエンタープライズ)所属のスーツアクター、俳優である。
来歴
真田広之に憧れてJAC養成所に入所。元々は顔出しのアクション俳優を志望していたそうだが、仕事欲しさに遊園地のヒーローショーに出演、その時に岡元次郎のアクションを見て「ヒーローのアクターも悪くないな」と考えを改め、ヒーローショーの仕事も積極的に取り組むことになる。
特撮映像作品のデビュー作は「仮面ライダーBLACK RX」にゲスト出演したライダーマン。後に劇場版ディケイドでもヒゲを剃りながら同じライダーを演じている。
スーパー戦隊シリーズでは恐竜戦隊ジュウレンジャーの追加戦士ドラゴンレンジャーを演じ、その後忍者戦隊カクレンジャーのニンジャレッドで主役戦士を演じた。この時ニンジャホワイトを演じた村上理恵と後に結婚することになる。
2002年より平成ライダーシリーズの主役ライダーを演じ続けている。(逸話等は後述)
人物
近年のスーパー戦隊シリーズ、平成仮面ライダーシリーズにて主に主役ヒーローのスーツアクターを担当する。
通称「ミスター仮面ライダー(ミスター平成ライダーとも。因みにもう一人のミスター仮面ライダーは中屋敷鉄也(現:中屋敷哲也))」。これはクウガ、響鬼を除く平成仮面ライダー全ての主役ライダーを演じている事に由来する。
作品ごとにきっちりとアクションスタイルを使い分けるだけでなく、変身前の役者との人物描写の一体化にも力を入れており、その鋭い観察眼と高い演技力が多方面で評価されている。
役作りのためにライダーのマスクを持って正面から見据え、様々な角度に向けてどのような表情が出るか確認する。
また卓越したアクションやアドリブは現場のスタッフ達も何が出てくるか楽しみにしており、高岩氏のアクションの見せ場は「高岩オンステージ」と呼ばれ休憩している者すら見に来る程のものであるらしい(超電王ムックのインタビューより)。
最近ではライダー関係のイベントなどで顔出しで出る事も多くなり、素面でアクションを披露したり福山雅治のモノマネをするなどファンサービス旺盛な姿を見せると共に、こなれたトークで会場を沸かせた。
ちなみに映像から分かるがスタイルが抜群に良く、永徳氏とほぼ同じ身長(175㎝前後)にも関わらず同氏よりも10㎝も足が長い。
アクションの特徴
前述したようにとにかく多彩かつ正確なアクションスタイルと、変身前の役者の細かい癖まで取り込む高い演技力を併せ持ち、平成ライダー(&戦隊)だけでも、きっちりとすみ分けられている。
注:アクションの説明の都合上、作品中の重要なネタバレを多少含むかもしれません。ご了承ください。
2001年:アギト
怪人の攻撃を力強く避けつつパンチやキック等を決めていた動作が印象的で、ヒーローとしては非常に王道であると言える。1シーン毎に動きを止めて見え切り(ポーズ)を決めることが多く、これは当時のアクション監督である山田一善監督のアイデアで「居合い抜きの形を取り入れて欲しい。」との指定に起因する。ライダーキックの一連の所作を見ると手の位置や体捌きなどに抜刀の動作が現れている。
当時は長い事スーパー戦隊シリーズでレッド役を務めていたことから動きすぎることが多かったらしく、アクション監督からはその度に「高岩ー、動くなー。」と言われており、ライダーと戦隊の演出の違いを肌で感じたという。試しに全く動かないままでいたら監督からOKをもらい、動かないことも演技のひとつだと学んだそうだ。
ディケイドにて久々にアギトのスーツを纏った高岩氏は当時を振り返って「(現在のように新設計のスーツでは無かったとはいえ)何で当時はあんなに(上手く)動けなかったんだろうなぁ?」と首を捻っていた(雑誌インタビューにて)。
余談だがカオスで名高い仮面ライダー龍騎のハイパーバトルビデオではアギトの声を担当している。
2002年:龍騎
電撃に痺れてジタバタしたり、怪人に逃げられて頭を抱えたりケツを掻いたりと、コミカルだが主人公の性格を色濃く反映している。ある意味、高岩氏の真骨頂。
撮影時は主演の須賀貴匡と会う前であったにもかかわらずコミカルなキャラクターを確立。回を重ねるごとに変身前と後のシンクロ率はどんどん上がっていった。
龍騎は撮影方法が特殊であり、ミラーワールド内の撮影時はスーツアクター全員が鏡写しの動きでアクションし、それを編集でひっくり返すという手法がとられた(つまり高岩氏は撮影段階ではドラグセイバー等を左腕で使用し、ライダーキックも左足で蹴っていた)。
とにかく現場スタッフは大混乱な上、慣れない左利きでのアクションに苦労したらしくディケイドのDVDに収録の座談会にて「(剣で斬る動作をしつつ)あんなもん腰が入るわけないよ。」とか「あれ看板だけ逆にすりゃよかったんじゃ…。」と冗談混じりに語っていた。
余談だがディケイドの龍騎の世界では看板を逆にしただけでミラーワールドが出来てしまった。
ちなみに、
との事である。
2003年:ファイズ
平成ライダーの中でもファイズのアクションのキレのカッコよさには特に人気がある。
放送当初はヤンキーみたいなケンカをするかのようにオルフェノクと戦い、変身者の乾巧の性格を反映させていたと言える。
また変身直後に手首をスナップさせたり、キック前に腰を落としたりと印象に残るポーズを多数残した。キック前のポーズが生まれたのには理由があり、元々腰を落とすポーズで撮影をする予定で、撮影に入る前に照明を調節するために長時間そのポーズを維持しなくてはならず、疲れたので肘を膝に乗せるようなポーズで休憩したところ、思いのほか様になったのでこれを本採用にしたという話がある。
ただでさえ視界が困難な面でありながらさらに複眼や全身を光らせた状態の所謂「電飾ファイズ」の時は視界が殆ど無いに等しく「何か向こうに黄色い光が見えるからカイザはあの辺かな?」というくらいにしか分からないにも関わらず見事なアクションを披露した(ちなみにカイザを演じる伊藤氏も同様の状況だった)。このスーツは内部に配線が走っており動いていて相当気持ち悪かったらしい。
ちなみにこのファイズのスーツは後の「ディケイド」に登場するためにスーツ改修を行い、技術の進歩の結果発光時にも視界が確保できるようになった。
さらにファイズは主人公の巧のみならずもう一人の主人公の木場や海堂、果ては敵まで変身することがあったが、一部を除き高岩氏が全て演じ分け、カイザを担当した伊藤慎氏、デルタの押川善文氏と共にスーツアクターの凄さをを見せつけた。また劇場版の「とある人」が変身したカイザも担当しており、そこで見せる「555」では珍しいコミカルなアクションは必見である。 なお、巧が変身するデルタのスーツアクターも担当している。
2004年:ブレイド
職業仮面ライダーということで逆に型にはまったアクションで纏めたという。
劇場版の撮影は監督と共に思い入れがあるらしく、特に冒頭数分の雨の中でのブレイドVSジョーカーを上げている。
真っ暗で時折雷の光が輝く夜の廃工場での撮影だったが、床は足首がつかるほど水浸しな上に、カメラに雨を映りこませるために大量の雨が必要となり(画面で見ると土砂降りの大雨を降らせて、やっと雨が降っているのが分かるというレベルらしい)、そんな状態でアクションをすると目の前の動きがストロボ撮影のようになるらしい。そこで目の前のアクションがよく見えず伊藤氏演じるジョーカーの蹴りが顔に入ってしまい面が割れてしまった。そのまま止まってしまうとNGになってしまうので一応続けたものの、結局面を取り替えて撮影し直した。
劇場版はCGに頼らない肉弾戦が多く、凄まじく疲れたらしいがその分印象に残っている場面が多いそうである。
ちなみに最終回では仮面ライダーレンゲルを演じた岡元次郎らと共に顔出し出演をしている。
2006年:カブト
2005年は「魔法戦隊マジレンジャー」にてマジレッドを演じていたため約1年ぶりとなったライダー。基本的に大きな動作をすることが少なく、立ち姿も足を閉じて背筋をきっちり伸ばしている(余談だがデザインとも相まってカブトは立ち姿や後ろ姿が非常に人気)。天を指差すあのポーズは前半では正面を向いてポーズを取っていたが、それでは寸胴に見えてしまうということで中盤以降は「体は真横を向きながら上半身を目いっぱいひねって正面を向く」ポーズに変わった。これにより腰部分が引き締まりより美しく映るようになったそうだ。
戦闘スタイルは主人公としては珍しいカウンター主体となっており、バックステップを踏みながら相手の攻撃をいなし的確に相手にダメージを与えていく、正に戦闘のプロといった雰囲気を強く打ち出している。
カブトの必殺技「ライダーキック」はこれまでのライダーキックの定説であった飛び蹴りではなく、「敵に後ろを向いてからの上段回し蹴り」という新しいパターンになっており、前述の高岩氏の足の長さがとてもよく映える必殺技になっている。
そしてカブトの代名詞と言える天を指差すポーズも変身前としっかりとシンクロしており、主演の水嶋ヒロ氏はオンエア時に高岩氏の演じるカブトを見て「うわ、俺がいる!」と驚いたらしい。
カブトには他にも多数のスーツアクターが様々なライダーを演じており、かつ殆ど武装が一つだけで生身のアクションをかなり堪能出来るのでスーツアクターファンにもオススメである。
2008年:キバ
本能によって戦っていると設定のため、やや猫背になり人差し指と薬指を曲げた状態で連続でパンチする「猫パンチ」が特徴的。ぶらさがって逆さまになったりジャンプ攻撃をしたりとコウモリの動きを取り入れたアクションも見られた。
必殺技の「ダークネスムーンブレイク」は右足を高く上げた状態を維持しながらキックするため、CG演出と相まってカブトと同じくプロポーションの良さが映えるキックとして人気を得ている。
またフォームチェンジの動きも、荒々しいガルル、優雅なバッシャー、武骨なドッガと前年とは違ったタイプのアクションで住み分けられており、しっかりとキャラクター付けが成されていた。
実は撮影の序盤では高岩氏は昨年演じたモモタロスのクセが完全には抜けきっておらず「油断すると何かギャグっぽいことしようとしちゃうから困った」と語っていた。
またスーツのパーツの多さからか、ディケイドの時点まででキバの甲冑が一番重いのではないかと思っていた(ネット版ディケイドで実際に量ってみたところ一番重いのはディケイドアーマーでキバは三番目)。
「キバ」では他にアームズモンスターの一体であるガルルも演じた。
2009年:ディケイド
この作品でスーツアクターを担当していなかったクウガと響鬼も担当し、平成仮面ライダーを文字通りコンプリートした。
ただし変身する人間が門矢士で変わらないため、とりたてて演じ分けはしていなかったという。
余裕ぶった態度や技を決める前に手を軽く叩いたりなど士の性格が色濃く表れており、主演の井上正大氏も「何時の間にやら自分の動きを取りいれられていた」と驚くほど動きがシンクロしていた。
また、その異様な姿から様々な方面で物議を醸し出した強化フォームであるコンプリートフォームだが、頭が余りの重量で普通にしてても俯いた感じになってしまう事から必死で顎を突き出すようにして前を向いており、胸に張ってあるカードはマグネット式で張り付けられていた。
このためか定かではないが設計の都合上アクションのしづらいスーツだったらしい。
2009/2010年:W
基本フォームとなるサイクロンジョーカーは武器を持っておらず、久々に徒手空拳主体となった。回転やジャンプをしながら蹴りを浴びせるなど伸びやかな動きが多い。特に主題歌のPVで見せた蹴りのアクションは本人もお気に入りらしく、その後他の作品でも似たような動きが見られる。
そしてWの特徴はなんと言っても「二人で一人の仮面ライダー」という点である。
左半身(キザっぽく見せたい翔太郎)と右半身(斜に構えたフィリップ)の性格を保ったままで、キック主体のジョーカーメモリや、パンチ主体のヒートメモリなど、メモリチェンジによる戦闘スタイルの変化を表現していた。
また、中間フォームであるファングジョーカーでは、逆にフィリップの体に翔太郎の精神が宿る上に野生の獣の如く立ち振る舞いをするという状態を見事演じ切った。
余りにも演じる難易度が高いせいか、企画当初から「この作品には高岩成二が絶対参加すること」と塚田P直々の指名がされていたとか。
ちなみに決め台詞である「さぁ、お前の罪を数えろ」を言う時のポーズは映画に先行登場した時に氏がその場で考えたポーズとのこと。その後このポーズと台詞はWを象徴するものとなり、自身の作品への影響力を改めて実感したという。
2010/2011年:オーズ
オーズのアクションの特徴について高岩氏は「あえてヒーローっぽくない動き」に挑戦しているという。
自動販売機にメダルを入れたり、やたらとコミカルな動き(「はい変わったー!」や水に濡れた顔を拭くなどアドリブも多数)だったりと、一言で例えるなら「とても人間くさい」と言える。変身者である火野映司の真面目で誠実な性格がにじみ出る動きも特徴。お辞儀をするライダーは恐らく史上初。
これまでの仮面ライダーに存在した決めポーズ(Wの「さぁ、お前の罪を数えろ」やアギトのキック前の独特の動き)が存在しない。これも「ヒーローっぽくない動き」の結果であるという。
以前に中国拳法を少し習っており、変身直後などにその動きを取りいれたりもしていた(タジャドルなどに最も顕著に表れている)。
劇場版では映司が変身した仮面ライダーバースも演じる。基本的にはオーズと変わらないがマスクの視界がオーズより狭いため慣れるのに大変だったらしい。(曰く「(レギュラーでバースを演じる)永徳はすごいよ」とのこと)
また、キバ以来となる動物モチーフのライダーであることから、各種モチーフの動物っぽい動き(クネクネしたウナギアームや、素早い動きのチーターレッグなど)にも注目。殆どがその動物らしさを活かした派手な動きだが、一歩間違えれば暴走状態に陥るプトティラコンボを演じる際はあえて大きな動きはせず、小さく構えていたそうだ。
2011/2012年:フォーゼ
フォーゼに変身する如月弦太朗は高校2年生という史上初の高校生主役ライダー、そしてケンカも強いバッドボーイという設定である。そのためフォーゼに変身してもケンカの要領で戦うのだが、氏曰く「ケンカっぽい戦い方というとどうしてもモモタロスになってしまう」という問題があったという。そのため、例年以上に弦太朗役の福士蒼汰とのシンクロを大事にしているそうだ。
その上弦太朗は戦いと関係ない所でフォーゼに変身する事も多く、「この場面は俺(フォーゼ)である必要があるのだろうか?」と疑問も抱いたそうだが、この演出が福士蒼汰と一心同体である氏の活躍の場が増えるのは言うまでもないだろう。
「宇宙キター!」のあのポーズは「何かやって」と言われて「もう何も出ません!」というヤケクソ気味にやったポーズから生まれたらしい。
また、フォーゼにはアストロスイッチを用いた多数のモジュールを使い戦うが、「どうアクションすればいいのか困っている」モジュールもちらほら見受けられる。苦心の末のモジュールアクションを見るのも一興。
2012/2013年:ウィザード
中国武術とエクストリームマーシャルアーツを組み合わせたショーアクション。
ウィザードの特徴として、エクストリームマーシャルアーツ(以下XMA)を取り入れたトリッキーな動きが挙げられる。本格的なXMAのシーンは専門のアクターが演じているが、その直前の動きや敵に蹴りを入れたり武器で攻撃をする瞬間は高岩氏が演じている。
また中国武術も本格的に取り入れ、武器と足技を駆使した華麗なアクションは近年の主役ライダーとは一線を画した特徴と言える。スーツが従来演じてきたキャラクターのスーツと比べて比較的動きやすいのもこれらのアクションに拍車を加えていると言っていいだろう。
ウィザードは両手に魔法の指輪「ウィザードリング」をはめているため、パンチができない(してはいけない)制約がある。これにはアクション監督と
というやり取りがあったとか。この制約のため、高岩氏は「拳を握っているとパンチを出してしまう」ため、アクションの最中は常に手を開いている。
余談だがウィザードを演じるにあたって高岩氏はダイエットに取り組み、かなりの減量に成功した。先輩のようにリバウンドを起こさないか心配である
2013/2014年:鎧武
鎧武に変身する葛葉紘汰は中の人こそ類まれな運動神経を持つが戦いに関しては素人であり、序盤は刀を使った殺陣は素人丸出しの立ち回りだった。しかし戦いを重ねるにつれ殺陣が様になり、ジンバーレモンアームズではソニックアローを使った遠距離戦、カチドキアームズでは圧倒的な防御力による堂々とした立ち回りと成長してきたと言える。特に武器が同じであるジンバーレモンとエナジーロックシードのライダーとは弓矢の撃ち合いになり、本作屈指の名アクションシーンとなった。
昨年のウィザードではダイエットに取り組んだ高岩氏だが、鎧武を演じるにあたり筋力を増強し一昨年以前のマッシブな体型となった。
2014/2015年:ドライブ
ドライブに変身する泊進ノ介は刑事であるため、警察が行う逮捕術のような格闘技を駆使して戦う。またドア銃の構え方は「ドライブ」というまさにそのまんまな名前の構えがあり、ヒーロー然としたポーズではない両手で銃を構えることにこだわった。
最終フォームであるタイプトライドロンは進ノ介が変身して戦うほかベルトさんと交代して戦うことも可能で、もはやお家芸となった複数の人格を演じ分けるキャラクターとなった。
余談だが仮面ライダードライブの画像がネタバレされ始めた頃に「ドライブの写真の手の形が毎年のライダーの写真と似ているから今年も高岩さんが演じるのか」とにわかに噂が広がっていたことがある。そしてその通りにドライブは高岩氏が演じることとなった。お前らどこの探偵だ。
その他の特徴
ダンスのアクションと高い所が苦手らしく、前者は何とかそれっぽく見える動きでカバーし、後者は何とか我慢してアクションしている。
ちなみに型にはまった感じのアクションよりも、がむしゃらな動きが得意だと語っている。
近年は番組中や劇場版などで高岩氏が演じたキャラクターが同じ画面内で共演する機会が多く、その場合は基本的に最新作のキャラクターを担当し、他は代役を立てている(永徳や渡辺淳は電王やWなど多くの代役を演じている)。
例外としてモモタロスはあらゆる映像作品で高岩氏本人が演じており、殆ど代役を立てていない。
アクションの特徴2:電王アクションについて
2007年の電王ではモモタロスに加え、「中身のキャラ」が異なる電王全フォームを一人で演じ切った。当初は大変だと感じたらしいが、それぞれのキャラクターに特徴があったお陰でアクションの組み立て自体はうまくいったらしい。
とはいえ一年で7つ近いキャラをコロコロ変えながらの戦闘は苦労の連続で「二十年近いキャリアの全てを使いきった」と雑誌にて語った(詳細は後述)。
(近年ではこのような一つの作品での一人複数役は珍しい状況の為、この項目で詳しく明記しています。)
<プラット&ライナーフォーム>
主人公の良太郎を反映して、やや猫背で腰の引けた動き。
しかし弱々しくも意志の強さを感じさせる若者らしい動きである。
<ソードフォーム&モモタロス>
宮崎アクション監督からは「とにかく暴れて下さい。」と言われている。ただしチンピラにはならないようにとの指定も受けている。モモタロスの子供っぽさや破天荒さを随所に動きに取り入れ、解りやすい強さとある種の可愛らしさも感じさせ、それがこれまでライダーには関心のなかった女性にも受けた(インタビューでもあまり暴力的にならないように留意していることを語っている)。
また、モモタロスのまぶたが半開きになっている表情は赤いテープを貼るという高岩氏のアイデアだとか。
<ロッドフォーム>
得物が長いため一定の間合いを保ちつつ、ロッドで敵の足を引っかけるわ、倒れた相手をさらにボコボコに追撃するわとウラタロスらしい卑怯くさい動きが特徴的。そしてエロイエロイと共演者にさんざん言われる、くねり腰。
高岩氏によると、ガンフォームが登場した頃にロッドとガンの動きが若干カブっていると感じ、そうこうしているうちにロッドフォームのくねり腰がだんだん激しさを増し「何かオネェになってきたんですよ。」とイベントにて暴露し会場が騒然となった。それに合わせてデンライナー内の永徳さん演じるウラタロスの腰のひねり具合も激しさを増し、「デンライナーの中でも(ウラタロスが)チョロチョロし始めた(高岩氏)」と語った。
<アックスフォーム>
腰を落としてあまり動かず相手が来たら受け切り、押し返すパワー型。
よく見ると足の開き方がアギトのキック時に近いかもしれない。アックスとガンを交互に見ると体格まで違って見える不思議。
大本のキンタロスを演じる岡元次郎氏は当初に「キンタロスはどすこい系にはしたくないなー」と語っていたらしく、どんな動きにするのかと観察していたら初登場回にて既に腹をパーンと叩いており、「結局どすこい系じゃん!」と高岩氏は心の中でツッコんだらしい(雑誌のインタビューにて)。
<ガンフォーム>
ステップを踏みながら銃を乱射しまくる。くるくると回転したり、リュタロスの性格を反映しての座り込む動作が劇中では多々見られた。
ダンスアクションな為とにかく高岩氏が苦手(嫌い)なフォームとあらゆるメディアで話題に出して辟易する(リュウタロス演じるおぐらとしひろ氏も同様に苦手)。撮影中はダンスの先生にステップを習って、それっぽく見えるよう努力していた。それでも軽快な動きで見事にリュウタロスらしい戦い方を見せた。
<ウイングフォーム>
映画とテレビ数話の超限定フォーム。ジークのぴしっとした動きがそのまま戦闘スタイルになったかのようで、彼の性格を反映して背筋をピンと伸ばし後ろに手を組んで優雅に闊歩する。テレビでは(劇中の状況もあり)自分から向かっていったが本来の強さを見せつけた劇場版では片手や武器で敵をいなす等、カウンター重視の戦い方であった。
カウンターと聞くとカブトを思い出すが、ウイングフォームはカブト程素早くは無く、距離を取って基本的にゆっくりした流れるような動作が特徴的(片手を天に掲げるなど似た部分はあったが)。
<クライマックスフォーム&超クライマックスフォーム>
高岩氏を改めて伝説たらしめ、劇中内でもパワーアップなのに「キモい」「ダサい」呼ばわりされた前代未聞の伝説フォーム。頭がソード(皮が剥けたー!)で胸と両肩に各フォームのデンカメンがくっ付いており、喋る時は各顔がガタガタと動き体がそこに引っ張られる。
高岩氏は劇中にて各顔の部分をまるで意思を持っているかのごとく忠実に動かしつつ、さらにアクションをこなすとんでもない離れ業をやってのけた。初登場時の凄まじさは一見の価値有り。
「さら電」イベントでは各フォームに加えて素面でこのアクションを披露し、会場を熱狂の渦に巻き込んだ。
高岩氏の凄さを語る上で真っ先にこれが出てくる人は多い。ちなみに初めてこのフォームの詳細を知った時に高岩氏は「久々に泣きたくなった」らしい。
そして「超・電王」にて遂に背中にジークのデンカメン(モモタロスが言うところのビラビラ)がくっ付いた、「超・クライマックスフォーム」が登場。
まだやらせるのかと唖然となった高岩氏は表現方法に困った結果「正面からのカメラに対して後ろを向き背中を揺らしながらジークのポーズを取り、モモタロスが喋るときは正面を向く」という方法で乗り切った。
本人は流石にこの動きはスタッフにドン引きされるのでは?危惧していたらしいが、逆に大ウケだった模様。
<NEW電王・ストライクフォーム>
「さら電」にて初登場。幸太郎の性格を反映して澄ました態度の正統派の剣劇アクション。
登場時にさりげなく指を鳴らして足を組んだり、軽やかなアクションを見せたりと幸太郎のクールさ、あるいは若さが色濃く表れている。
が、実は登場時のポーズ(足を組んで指を鳴らす)をNEW電王のメインポーズにしたことを高岩氏は後々になって後悔したらしい。というのも、立ったまま片足を組むポーズは撮影時に時間がなく適当に決めたのだが、非常にバランスが悪く最初は危うく転びそうになったらしい(その時の体のグラつきを誤魔化す為に指を鳴らしたのが、あのポーズの始まりとなった)。
加えて武器であるマチェーテディには相当な重量があり、それを抱えてアクションするには相当な苦労があったそそうである(ちなみに「超・電王」でメインでNEW電王を担当したのは伊藤慎氏で、同様の事を高岩氏との対談の際に語っていた)。
アクションの特徴その3:その他作品について
スーパー戦隊シリーズにおいてはレッドを演じる事が多いが、これまでのレッドの品行方正なイメージを良い意味で壊したのが高岩氏である。きっかけは「電磁戦隊メガレンジャー」でメガブルーを演じたことにあり、変身者の松風雅也演じる並木瞬のキャラや特徴を演技に取り入れる事を始めたのがこの作品からだそうだ。レッド以外のキャラクターを演じたことで演技の幅が広がり、その後演じたレッドのイメージを大きく変えた。
中でも「魔法戦隊マジレンジャー」は平成ライダーシリーズが始まって以来久々のスーパー戦隊シリーズ出演作であり、
マジレッド・小津魁の「小学生みたいな動き」とからくる猪突猛進ぶりは、同じく小津魁を演じた橋本淳が役を固めるきっかけになったという。
メタルヒーローシリーズの「ビーファイターカブト」ではビーファイターゲンジの声とアクションを担当するという珍しいケースになった。
2013年3月23日より、宮城県石巻市の石ノ森萬画館内で上映の「シージェッター海斗 特別編」にて、「カブト」にて加賀美新/仮面ライダーガタックを演じた佐藤祐基とのW主演を務めている。
高岩氏は鳴海光真役。素面でのキレのあるアクションとシージェッター海斗のアテレコを披露している(海斗のスーツアクトは担当していない。また、2013年3月の時点で石ノ森萬画館以外での上映は予定されていない)。
逸話
- 2002年放送の「仮面ライダー龍騎」の第1話にて、龍騎ブランク体が敵モンスターに突っ込んで剣を振りかざすアクションの際にアドリブで「折れたぁ!?」と発言(その後壁に吹っ飛ばされた時もオンエアでは吹き替えられているが「折れた・・・」と呟いていたらしい)。
これにより、監督の田崎竜太と主演の須賀貴匡は主人公のキャラを掴むきっかけになったと語っている。 - 夜の撮影時に車の通りが多い所で時間待ちをしていた際にファイズエッジ(ファイズの武器で、赤く光る姿は誘導灯そっくり)で交通誘導していたらしい。
- 電キバ祭りにて電王ソードフォームの絵を披露した際に、目の部分がハッピーターンのようになった電王の顔の絵を披露し会場が騒然となった。
- さらば電王のクランクイン当日に酸欠でぶっ倒れる。(詳細はウィキペディアの高岩成二の項を参照)。
- 「笑ってコラえて!3時間スペシャル」の『金の卵の旅』にてJAE養成部の生徒に特別講師として登場しアクション指導を行った(他にもおぐらとしひろ氏など数名のスーツアクターが参加)。
- 最近Twitterを始めた。
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- 0pt