黄金比とは、幾何学において1:1.618…として表される比である。人間にとって最も美しい比率と称される事が多い。
概要
まず、長方形を1つ考える。そこから、短いほうの辺の長さを1辺とする正方形を切り取る。すると、小さい長方形ができる。この長方形が、元の長方形と相似であるようにしたときの、辺の比を黄金比という。
長方形を使わずに、線分で考えることもできる。ある線分を、長さの異なる2つの線分に分割する。そのとき、長さの比が(長いほう):(元の線分)=(短いほう):(長いほう)となるようにしたときの、線分の長さの比を黄金比という。
もっと具体的にいうと、1:(1+√5)/2である。記号では主にφを用い、1:φと書く。このφはオイラーの等式には出てこないが、れっきとした重要な数学定数のひとつである。
この比は自然界でたびたび出現するだけあって美しい比と言われている。人工物でも芸術作品や建造物に多く使われている。2辺の比が黄金比であるような長方形は黄金長方形とも呼ばれ、名刺にも使われている。ちなみに印刷紙は機能面を重視するため、辺の比は1:√2である。
作図法
- 正方形ABCDを作図する。
- 辺BCの中点Mをとる。
- Mを中心とした、半径MDの円を描く。
- 辺BCをCのほうに延長し、3.で描いた円との交点をPとする。
- Pを通り、辺BCに垂直な直線を描く。
- 5.で描いた直線と、辺ADの延長線との交点をQとする。
- 長方形ABPQが、黄金長方形である。
証明
上記の通り作図したとき、長方形ABPQが黄金長方形であることを示す。
辺BCをBのほうに延長し、3.で描いた円との交点をP'とする。
P'を通り、辺BCに垂直な直線を描く。
それと辺ADの延長線との交点をQ'とする。
AP',APをそれぞれ結ぶ。
線分PP'は円の直径なので、三角形P'APは、
角Aが直角となる直角三角形である。
ABとPP'は垂直なので、三角形P'BAと三角形ABPも直角三角形である。
三角形P'APと三角形P'BAは、角AP'Bを共有しているので相似。
三角形P'APと三角形ABPは、角APBを共有しているので相似。
よって、三角形P'BAと三角形ABPは相似。
したがって、長方形P'BAQ'と長方形ABPQも相似である。・・・(1)
点Mは円の中心なので、線分MP'と線分MPは長さが等しい。
点Mは辺BCの中点でもあるので、線分MBと線分MCは長さが等しい。
よって、線分BP'と線分CPは長さが等しい。
線分ABと線分DCは長さが等しいので、長方形P'BAQ'と長方形PCDQは合同である。・・・(2)
(1),(2)より、長方形PCDQと長方形ABPQは相似である。
したがって、長方形ABPQは黄金長方形である。
別証
辺ABの長さをaとする。
Mは辺BCの中点なので、線分BM,線分MCの長さはいずれもa/2である。
辺CDの長さはaなので、ピタゴラスの定理より、線分MDの長さは√5a/2。
よって、線分MPの長さも、√5a/2。
よって、線分BPの長さは、a/2+√5a/2 = a・(1+√5)/2 = φa
したがって、辺ABと線分BPの長さの比は、1:φである。
ゆえに、長方形ABPQは黄金長方形である。
この証明は前述の証明より短いが、黄金比の具体的な値を2次方程式により求めなければならず、純粋に幾何的な証明ではない。
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関連項目
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