FLASH黄金時代とは、Webアニメーション黎明期から動画共有サイトの台頭までの期間、人気を博した動画を収録するタグである。
概要
Youtube、ニコニコ動画が流行を見せる前、一世を風靡した動画達があった。 それはFlash動画。かつてはニコ動のプレーヤーに使われたりして(2020年現在はhtml5に完全移行)目にする機会も多く、一時期はネット上の動画≒flashと言っていいくらいのシェアを誇っていた。作られていた動画は時事ネタ、アニパロ、MAD、空耳などなど多岐にわたっており、現在のニコニコ動画の動画達の源流ともいえるような動画が生まれていたのである。
「FLASH黄金時代」に当てはまる期間は人によって差があるが、「始まりは98~02年」「終焉は05~07年」という解釈が一般的である。
Flashの時代
黎明期
Flash登場以前にもShockWaveなどによる動画が公開されることもあったが、Flashが動画の形式として知名度を上げ始めたのは1999年でバージョンアップされたFlash4からである。サイズが比較的軽い・ベクターイメージが利用できるという特性と、4からmp3をBGMとして利用可能になったことで、Flashは手軽に作れる動画作成ツールとして重宝されていくことになる。
1999年はISDNやテレホタイムが全盛の時代。HDDもやっとGB単位が出てきた頃で、サイトスペースも相応に小さかったため、当時の動画制作で主流だったMPEG形式での作品制作・公開はサイズが大きくなりがちで難しかった。Flashはこうして舞台に躍り出たのである。
黎明期に活躍したサイト・職人としては「ポエ山」、「wasabi」、「ドラサイト(後のオラサイト・ラサイト)」、「意味不明島」などが挙がる。当時のネット環境の性質上、いくつかのFlash公開サイトでは著作権違反上等(特にドラサイト)で作品が公開されたため、以降のFlashステージにおいても著作権問題は軽視されやすくなっていった。
その一方で、「catman」「quino」「つきのはしずく」といった本職顔負けの真面目なオリジナル作品もこの頃から生まれ、また「小小作品」に代表される海外作品も少なくなかった。
成長期
21世紀に入ると、2chが大きな盛り上がりを見せ始め、2chAAを使用した動画、2chで起きた事件のまとめ動画が制作されるようになる。
そのきっかけとなるのは2002年1月、2chに作られたFlash動画用の板「FLASH・動画板」であろう。上記の書き込みの通り「FLASH・動画板」設立を提案したのはかーず氏であり、そのため「FLASH・動画板」の父はかーずで、母はひろゆ子(ひろゆき)と言われる。
アスキーアートの発展や2000年前後の社会的動乱を受けて、「FLASH・動画板」はにょきにょき育っていきました。
この頃はFLASH・動画板のみならず2ch全体に勢いがあり、2ch上で流行したフレーズ(「ちんこ音頭」や「巫女みこナース」、「鈴木宗男(ムネヲハウス)」など)は即座にFlash化された。2001年夏に起きた2ch閉鎖危機とUNIX板の住人の努力などもこの時期に動画になっている。板内では「*50レス目のネタでFLASH作れ」「紅白フラッシュ合戦」などの企画が誕生し、それまでの個人サイトでの製作者とは一線を画する「FLASH職人」と呼ばれる数多くの動画製作者が誕生した。他の板との連携も強く、2002年の第1回2ch全板トーナメントや最萌トーナメントなどでは多数の支援動画が制作され、最強の現物支援と評価された。
また2ch外のサイトでは、投稿された画像や動画を評価するシステムを備えていたサイト「Pya!」、「かーずSP」「イイアクセス」などFLASHを中心に扱うニュースサイトも無視できない影響力を誇っていた。
一方で使用音楽の問題は依然根強く、度々問題が起こった。Flash作品「しぃのうた」が、同作品で使われた曲(英語版LUNARの作中曲)が JASRAC登録曲だったために親サイトから削除され、Flash板の住民が激怒して無数のミラーFlashが作られた一件は有名である。
このFLASH全盛期当時に学校のコンピュータ室や自宅でネットサーフィンを楽しんでいた80~90年代前半生まれの人達にとっては、とても思い出深い文化の1つと言える。
全盛期、そして衰退
第1回FLASH★BOMB、第2回紅白フラッシュ合戦(03年)、第2回FLASH★BOMB、第3回紅白フラッシュ合戦(04年)のあったあたりがFLASH製作の全盛期と言われる。職人の参入は留まることなく、動画のレベルは日々高まっていた。イベントでは、これまで真面目なオリジナル作品で2chには縁がないと思われていたような製作者(前述のcatmanの作者など)も名入りで参加するといった盛り上がりを見せた。
往時のネット全域に漂っていた神秘性は薄れたものの、2004年までは間違いなくFLASH全盛期といっていいだろう。
衰退の兆候が見え始めたのは2005年頃、Macromedia社がAdobe社に買収された時であろう。ただでさえ高いと言われていた正式なFlash制作ツールが他のAdobe製品と共に抱き合わせパッケージに組み込まれ、制作の際の敷居が高くなってしまった。
Flash作品の(無断)商用化が激しくなったのもこの頃からである。
以前から2chなどでネタを剽窃していたネットランナー等の雑誌におけるFlash作品の盗用が2005年頃から熾烈になった。その盗用されっぷりは同じような盗用問題を抱えていたふたばよりも酷く、職人の制作意気が大きく阻喪されることになった。
さらにこの頃からMIDIにおける譜面の盗用などによって堪忍袋の緒が切れたJASRACは監視の目をさらに厳しくしたため、JASRAC管理曲が原因で動画が削除される頻度が高くなった。その一方、界隈を牽引していたベテラン層はJASRACを刺激するような動画製作からは距離を置くようになった。このため、JASRAC登録曲を利用したFlashムービーが作りにくくなり、バリエーションの幅が狭くなってしまった。
そして恋のマイアヒを発端としたいわゆるのまネコ騒動において当動画を制作した人物があからさまに2chと対立する路線を採ったため、2chにおけるFlashクリエイター、ひいては板そのものが煙たがられ始めたことでさらに勢いが失墜する。
第3回FLASH★BOMB(05年夏)以降で流行したネタと言えば「代ゼミMAD」「もすかう」程度という有様であった。
衰退の決定打は、誰でも動画を無料で簡単に公開できるサイト「Youtube」の誕生だった。元来Flashは個人用サーバーでの公開で容量・転送量の限界があり、また視聴者のレスポンスが得にくい環境だった。これを打破したYoutubeとその派生サイトニコニコ動画が出現したことにより、とうとうFlashアニメーションはその立場を奪われ、往時の隆盛は失われた。また、この頃になるとコンピュータや回線のスペックも上昇してMPEGなどが容易に扱える環境が整っていったため、かつての長所だった軽さは意味をなさなくなっていた。
Flash黄金期の終焉時期については一意を見ず、MacromediaがAdobeに買収されるあたりまで・・・Flash商用問題まで・・・動画閲覧サイト開設まで・・・という見解まで存在し、はっきりとした時期が定まっている訳ではない。
その後
Flashのサポートは2020年末で終了しており、もはやswf形式ファイルによる動画が新規に公開される機会は無いが、Flashや職人がネット文化に与えた影響は大きい。
中にはFlash職人がプロとなって身を立てたり、黎明期を浴したからこそクリエイターになったという人物もいた。
ニコ動においても影響は大であり、FLASH動画やFLASH職人がニコ動の有名うp主になっている例も多い。「魔理沙は大変なものを盗んでいきました」のカギ氏、「チルノのさんすう教室」の宇田てとら氏、「ミラクルペイント」PV制作のfla3氏などなど、ニコ動でも大活躍しているFLASH職人は判明しているだけでも数多い。また、「VOCALOID2 初音ミクに「Ievan Polkka」歌わせてみた」のOtomania氏もFlash作品に数多く楽曲を提供してきた方。彼らがいなければニコニコ動画の東方ブームは無かったかもしれないし、ミクのトレードマークが長ネギになる事もなかったかもしれない。
現在でもFlashツールを使用し、動画をエンコしたらニコニコ動画に投稿するFlash職人も少なくは無い。
もっと評価されるべき?
そんなわけで、Flash職人の項の掲示板で語り合おうではないか。
忙しい時間の合間に、過去へ思いを馳せるのも良いだろう。時事ネタが多い色褪せない名作と思い出が貴方を待っている
……かもしれない。
Flash黄金時代タグの範囲
上述の通り、Flash黄金時代についての定義は定まっていない。
本タグはYoutubeやニコニコ動画のサービスが開始される2005~2007年以前に流行したFlash動画につけられやすい。
懐かしい人も、初見の人も、ゆっくりしていってね!!!
余談:AS動画、FLASHゲーム
FlashはActionScriptというプログラミング言語を使用することにより、クリックやキーボードの入力に応じて特定の動作をさせる「インタラクティブコンテンツ」を仕込むことができた。
「Flashゲーム」や「Flashノベル」、動画のギミック(マウスカーソルを当てると花が揺れる、リプレイ回数で出てくるキャラが違うなど)はこの機能により作られており、有名な例としては「マテリアルスナイパー」「dotwar」などがあり、またPya!などでは海外製のFlashゲームが大量にアップされていた。
インタラクティブコンテンツを扱えるその性質上、エロ動画においてもFlashは大いに使用された。特にこの頃はFF7やワンピースが流行した時代であり、そこでお世話になったFlashも多いのではないだろうか。
ニコニコ大百科に記事のあるFlash黄金時代の作品
- Hatten
- 赤い部屋
- 片翼の田代
- CATMAN
- ゴノレゴ
- しぃのうた
- DoRaeMooooooooooooN!!!!
- 小小作品
- とらぶるうぃんどうず
- Nightmare City
- なつみSTEP
- num1000
- ニジウラセブン
- VIP先生
- もすかう
- ロイツマ・ガール
- MAD GEAR SOLID
- 千葉!滋賀!佐賀!
- ハクシャクノテンシ
- 楽しい国語
- K
- ネズミーマウスマーチ
- ウォーリーを探さないで
- RSF作品(セガファンタジー、マイケル3部作)
- バスが来ない
関連動画
Flash歴史関連動画
→Flash黄金時代の歴史も参照。
関連項目
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