SCP-2159の自己言及がアルファとブラボー両方から報告された。しかし、アルファは"アイテム"という言葉の例を報告したが、ブラボーは"オブジェクト"という言葉の例を報告した。SCP-2159の自己言及は免れないようだ。だが、我々の現行の方法論が進行を行き詰まらせた。
SCP-2159 - SCP財団より,2023/03/16閲覧
SCP-2159とは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。
概要
SCP-2159 | |
基本情報 | |
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OC | Euclid |
収容場所 | サイト-44 |
著者 | MrWrong |
作成日 | 2015年6月24日 |
タグ | 不定形 感覚 聴覚 視覚 観測 |
リンク | SCP-2159 |
SCPテンプレート |
SCP-2159は――そもそもが不確定の外見を伴ったオブジェクトであり、見る者個々の認識にSCP-2159は依存するという特徴を持つ。このため、SCP-2159が同じ物体として通常知覚されないという特性を持つ。このSCP-2159を見た浅草寺の天台宗の僧は観音菩薩の胸像であると主張し、オタクはHUNTER×HUNTERのアイザック・ネテロのスタチューであると主張し、とあるエージェント[1]は東洋の龍に似たカノン砲と主張。別のエージェント[2]は砲骨と主張した。
財団が回収したあともやはり個々に認識は異なっているようで、イチノセ・シキ研究員は額縁入りのミミ・コングが西遊記の観音菩薩を演じている際の写真 (本人のサイン入り)、フジモリ・カルロス博士はグランド・キャニオンのアルバム、Dクラスはカーヌーンやミュージック・ボックス (バイタミンCのGraduation(Friends Forever)が流れると主張)。他にも、SCP-1132-Jの寄稿者はその報告書の紙と述べている。
このように見た目は異なっているものの、約800.3gと228.0cm3の重量および体積を維持しており、物質組成は不明ながら密度も3.51g/cm3 (2d.p.) であり、表面は正に帯電していることが確認できた。
最初に発見されたのは2004年6月3日、東京都渋谷区の代々木公園において、姿を変える物体に関する都市伝説に興味を持った財団がエージェントを派遣した際に、エージェントに化学兵器に見えたことで回収が試みられた。この噂については、幻覚剤が付近で発見されたというカバーストーリーを流布している。発見地点には雷の落ちた音と、10cm四方の穴が見つかっている。
……と、このようにもともとは見るイメージが千差万別であったのだが、だんだんイメージが『2159』という数字に自己言及されるようになった。例えば、イチノセ・シキ研究員の見ているサインは本人のそれではなく、2159にかわっていたり、フジモリ・カルロス博士の見ているアルバムはグランド・キャニオンの写真ではなく、2159を異なるフォントと数字で示したものになっていた。
以下の推論を検討してください。
我々がSCP-2159を収容する前、多くの人々 - 仮に作用者A、Bと呼ぶことにしましょう - は、それぞれ対象を解釈A'、B'と見なしていました。2人の作用者にとって互いの解釈は独立していました。各々の解釈は交わらず、別々にSCP-2159と繋がっていました。
収容後、我々はSCP-2159に番号を与えました。作用者A、Bはまだ独立した解釈A'、B'としてSCP-2159を見ています。しかしながら今、作用者A、Bは彼らの独立した解釈(A'とB')がSCP-2159の部分集合であると認識しています。現在は相互に関連した状態が存在し、SCP-2159という番号がその中心にあるのです。
SCP-2159を識別するという我々の探求において、それに番号を与えるという我々の標準的な対応それ自体が障害となっています。したがって、我々の手順に僅かな修正を加える必要があると考えます。
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つまり、アノマリーにSCP-2159という名称を与えたばかりに、「イメージの本質はSCP-2159である」という認識が刷り込まれそれがイメージに影響を与えてしまったということである。
このことから、フジモリ博士は自分以外のメンバーを再配置し、チームをアルファとブラボーにわけ、アルファにはSCP-2159を単に「アイテム」とのみ呼ばせ、ブラボーには単に「オブジェクト」と呼ばせた。
しかし、アルファは後にSCP-2159がアイテムという言葉に紐付けられた自己言及を、ブラボーはオブジェクトという言葉に紐付けられた自己言及をそれぞれ報告するようになった。そして、最終的にはアルファ・ブラボーの双方のチームからSCP-2159が共通の外見を持つようになったと報告を受けることになる。これはフジモリ博士と、2人のDクラス職員によって別々に示され、第0号解釈としてそれを知覚することになった。これはSCP-2159の基底状態と見られている。
第0号解釈は、『神様の言葉: objetem』(SCP-ENにおける表記でも「神様の言葉」は日本語表記となっている) と書かれたダイヤモンドのタブレットである。
解説
SCP-2159とは、そして第0号解釈とはなんなのか?これについて、本オブジェクトの著者であるMrWrongは明かしている。
まずこのオブジェクトのテーマは『ヘッドカノン』である。SCP Foundationに精通している読者諸兄には耳にタコができるくらい聞いていようが、ヘッドカノンとは「Head (頭) の中のCanon (一次設定・公式設定)」を指す語。よりわかりやすく言えば、『二次設定・非公式設定』のことである。最初はSCP-2159を個々に認識し、それぞれが個々にとっての「正解」として認識していた[3]。しかし、SCP-2159という呼称が与えられると、「2159と呼ぶ、不定形の物体である」というより強いヘッドカノンが与えられたことで、個々のヘッドカノンは変質していく。最終的に、「オブジェクト」と「アイテム」の語に引っ張られて共通解釈にたどり着いてしまう。
帯電していてダイヤモンド製の第0号解釈は、インドラがヴリトラを討伐するときに使った武器であり密教法具である、『金剛杵』である。雷電やダイヤモンドと同じ比重であることもこれを支持している。しかしこれは神様が知覚のポイントとしてこれをベースにヘッドカノンを個々に考えさせていたのであって、当初はそこからくるイメージとして、仏教なり終焉なり神様に関係するなにがしかをそれぞれが想像していた。それがやがて「いや、これはこういうものなんだよ」という答えを与えられることで、「ああ、そうなんだ」と自身の解釈を捨てて、別に公式設定というわけでもないそれを疑いなく「答え」として受け入れてしまうことを示している。
もっといえば、これはSCP Foundationという本来「個々が好きに考えていいよ」というシェアード・ワールドにおいて、あたかもひとつの解釈が「正解」として持て囃される風潮をMrWrongが皮肉ったものでもある。先にSCP-2159について考察したアニヲタWiki(仮)は実際このような指摘をしている。
こんな経験はないだろうか?
「SCP-8900-EXの解釈を『昔は色がなかったのが色がついた』と考えていたが、
いまでは『色のスペクトルが変わって別の色が見えている』という解釈に染まっている」とか。
「SCP-161-JPやSCP-522-JPは『そんなものはないのに、読者に、そんなものがあると思い込ませるオブジェクト』と読んできたが、
いまでは『財団世界には存在する概念について、メタ視点で困惑させるオブジェクトである』と捉えている」とか。
SCP-2159 - アニヲタWiki(仮) - atwiki(アットウィキ)より,2023/03/16閲覧
第0号解釈も、本来は正体でも基底状態でもなく、単に皆が「そうだ」と思っているだけで、SCP-2159の実態は――そう、未だ不明なのだ。
関連動画
余談
関連コミュニティ・チャンネル
関連項目
脚注
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