概要
今あなたが閲覧しているこのニコニコ大百科は、ウェブ上で百科事典のように情報を網羅するサイトを作ろうという試みが元になっている。似たような志を持つサイトに「Wikipedia」というものがあるが、こちらはより百科事典然としたサイトを作ろうという試みであり、ユーモアを得意とするニコニコ大百科とは一線を画しているが、ある程度信頼されるサイトとして今日まで多くの読者を獲得しているようである。
検索エンジンで調べたい単語と一緒に「wiki」を検索欄に入力すると、その単語にまつわるWikipediaの記事が優先して表示される。このためWikipediaの読者の間では、調べごとをする際に「wiki」も一緒に打ち込むことが通例となっている。
しかし、言葉とは日々新しく生み出されていくものである。当サイトもWikipediaも、常に発生する新しい言葉や概念を完全に網羅できているわけではなく、また執筆をインターネット上の有志が担っているため、解説の需要がある単語を「取りこぼす」ことがある。そうなるとたとえ検索欄に「wiki」と打ち込んでも、調べたい単語にまつわるWikipedia記事がヒットしない場合がある。
そこで、この取りこぼされた需要を満たそうと出現してくるサイトがこの「wiki風まとめ」と呼ばれるものである。
まとめとは
「wiki風まとめ」という単語は「wiki風」と「まとめ」のふたつに分解できる。このうち「まとめ」とは、いわゆるまとめサイトを指している。
まとめサイト、即ちキュレーションサイトとは、何らかの話題について解説を交えて紹介するサイトのことである。もちろん、学術的なものや背景が複雑なものを再構成し、読み手として想定する層にわかりやすいように噛み砕いて解説するものもある。
しかし近年では広告収入目当てで、ネット上で話題になった単語について、TwitterやWikipediaからの情報を引用して著者の感想を添えるだけの、安易なキュレーションサイトが増えている。(詳しくは「いかがでしたか?」をご参照ください。)
wiki風とは
そもそも「wiki」という単語は、別にWikipediaのことを指している言葉ではない。Wikipediaが使用しているシステムの名前が「wiki」なのである。(このことを勘違いしている人間はかなり多い。このことについては当のWikipediaもおかんむりのようである。)
ただし「wiki風」という概念が語られる時には、wikiは単にWikipediaの省略形という意味しか持たない。
その語を素直に解釈するなら、Wikipediaで語られるように、根拠を示しつつ整然と解説することを指すのであろう。実際、そのような試みがあるサイトはいくらか存在している。あるいはwikiのシステムを用いたサイトのような構成で作られた記事を指している場合があるかもしれない。
しかし、こと「wiki風まとめ」という言葉を用いる時に至っては、おおよそ上述したような用法でないことがほとんどである。
wiki「風」まとめ
結論を書いてしまうと、wiki風まとめと書かれているサイトがwikiっぽいことはほとんどない。
何故か。それはこの言葉がもっぱら、wikipedia記事を探してきたユーザーを騙して自サイトへ誘導することを目的として掲げられるからだ。
大事なのはwiki「風」としていることである。ほとんどの場合、既出の情報をただ並べて、それに逐次筆者の感想を添えているだけであるが、どうやらこのように情報を並べて出すことを「wiki風」と言いたいのだそうである。確かに情報が並べてあるという点では一致しているが、Wikipediaはルールとして、主観的なことを書いてはいけないし、出典も提示しなければいけないということになっている。多くの「wiki風まとめ」では、誰が言ったか分からない噂話や、Twitterで交わされた憶測などを平気で引用する。Wikipedia風でもなんでもないのである。
意味の変化
キュレーションサイトバブルは2016年頃にピークを迎えたが、その後もキュレーションサイト専門の会社が複数設立されるなどして、現在でもページは増え続けている。
次第に情報を羅列したもの自体を指すようになったり、しまいにはwiki風まとめという言葉自体も変化して、「wikiまとめ」「wiki経歴」などと呼ばれるようになったりしているが、どんどんWikipediaっぽさからは遠ざかっているのが実情だ。
いよいよwikiでもなんでもないのだが、そのうちwikiという単語自体が「情報の羅列に筆者の主観が乗ったまとめサイト」という意味を帯び始めるのかもしれない。
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関連項目
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