『フルメタル・ジャケット』とは、
以下、1.について記述する。
アメリカ戦争映画としては珍しくいわゆるヒーロー物ではなく、戦地の陰鬱さや悲惨さを描いた傑作。
映画は二部構成になっていて、前半は教練所での新兵教育、後半はベトナム派遣後での戦場の物語になる。演出では、得意のシンメトリー画面や戦場での戦闘シーンに、当時の報道カメラマンが使用したカメラを用いて、戦場を走る兵士の手ぶれ撮影などが行われている。
映画の原作はグスタフ・ハスフォードの小説『The Short-Timers』。日本では映画公開当時に『フルメタル・ジャケット』の題で発売された。
相違としてはハートマン軍曹が「ガーハイム砲兵軍曹」となっている他、映画版では教練所と市街地戦の二部構成になっているのに対し、小説ではケサンのジャングルを舞台にしたパトロールを含めた全三部構成である点が挙げられる。
ベトナム戦争の時代。サウスカロライナ州、パリス・アイランド。
海兵隊訓練キャンプにアメリカ海兵隊に志願した青年たちが集められ、厳しい教練を受ける事となった。主人公であるジョーカーの目を通じ、過酷な実態が描かれる。
訓練生たちはこの訓練により人間性を削ぎ落とされ、極限状態の戦場において兵士である事を求められる。鬼教官のハートマン先任軍曹による容赦ない叱責、罵倒、体罰により心身を追い詰められ、更には連帯責任による懲罰により、訓練生の間では陰湿ないじめが起きる。何をやるにも落ちこぼれ、薄ら笑いを浮かべている事から「微笑みデブ」とあだ名されたローレンスがその標的だった。
しかしいじめを受けた反動でローレンスは射撃の才能を開花。高い評価を得るが既にその精神は異常をきたしつつあり、卒業式の夜に実弾を込めたライフルを振り回すという奇行に出る。かけつけたハートマンを射殺すると、彼はその場で自らの頭を撃ち抜いた。
訓練を乗り越えて一人前の海兵隊員となった青年たちは、ベトナムへと送られた。
ジョーカーは報道部員として現地に降り立ち、同期生のカウボーイが所属する小隊に同行、フエ市街へと派遣される。
最前線での戦闘において小隊長と分隊長が戦死し、指揮系統は混乱。カウボーイが部隊を引き継いだが狙撃手の待ち伏せを受けて犠牲者が出た上、カウボーイも犠牲となる。ジョーカーは復讐を誓って狙撃手が潜むビルへと進むが、狙撃手の正体は若い少女だった。撃たれそうになるジョーカーだったが、駆けつけた仲間が彼女を撃つ。瀕死の少女は自分にとどめを刺すよう懇願し、ジョーカーはその手で拳銃の引き金を引くのであった。
じきに任期は終わり、無事に帰国できるだろう。そんな期待を抱きつつ、ジョーカーたちは「ミッキーマウス・マーチ」を歌いながら、戦場を行軍してゆく。
ニコニコ動画等、ネット媒体では主にハートマン軍曹の「親身なシゴキ」「心温まる叱責」や、「逃げるやつはベトコンだ、逃げないやつは訓練されたベトコンだ」「ホント戦争は地獄だぜ!」でおなじみのヘリ機関銃手がAA化され、台詞が改変されてコメディ化するなど、映画本編よりも有名になっている。
ハートマン軍曹を演じるロナルド・リー・アーメイが元海兵隊の軍人であることは良く知られている。
元々彼は演技指導の為にこの映画に関わる予定であったが、その「シゴキ」があまりにも迫力があったために急遽ハートマン軍曹役として出演することになった。なお、本来ハートマン軍曹役で出演するはずだったティム・コルセリは上記のヘリ機関銃手として出演することとなった。
この功績をアメリカ政府から称えられ、リー・アーメイはアメリカ合衆国軍人の中で”唯一”除隊後の昇進を果たしている。
キューブリック自身が本作品の字幕翻訳をチェック。最初は戸田奈津子が担当したが穏当な意訳だった為、キューブリックはこれを却下し、原田眞人が急遽起用された。
原文の直訳を求めるキューブリックの要求に沿った結果が、あの独特の奇抜な名台詞の数々である。原田は毎晩のようにキューブリックと直接電話で連絡、再度英訳された内容をキューブリックがチェックしていたという。[1]
訓練シーンにおいて「Mama and Papa were laying in bed(ママとパパはベッドでゴロゴロ)...」と歌われているのは「ミリタリー・ケイデンス」。なお歌詞自体はリー・アーメイが即興で作ったそうな。
日本では1988年発売のゲーム『ファミコンウォーズ』のTVCMでパロディとして登場している。
ライトノベル『フルメタル・パニック!』は、本映画のタイトルをもじって命名されており、随所にパロディが見られる。また特撮ドラマ『仮面ライダークウガ』のepisode20で、本作のBGMが使用されている。
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最終更新:2024/06/02(日) 09:00
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