行進曲(こうしんきょく)とは、運動会や軍隊など団体が歩速をそろえ行進する間に演奏される楽曲。英語由来の「マーチ」(March)の語も広く用いられている。
行進曲のほとんどは一部例外を除き2拍子で作曲・構成・演奏されている。
4拍子や3拍子の行進曲は実はあまり存在しない。
軍で行進曲を演奏する楽団を軍楽隊と言う。軍楽隊の古い記録としては11世紀のテュルク系民族のものが知られている。この軍楽隊と行進曲はオスマン帝国にも引き継がれ、オスマン帝国と神聖ローマ帝国が鎬を削っていた間に、トルコ風の行進曲としてヨーロッパに輸入された。単なる太鼓やラッパの信号にかわったこれが現代の行進曲の基礎となっている。
戦列歩兵と銃声、砲声の時代、行進曲は軍隊の重要な一部であった。西欧化中の日本では軍楽隊を設立したし、やはり西欧化中のオスマン帝国では伝統的軍とともに軍楽隊も解散させ、西欧風の軍楽隊を逆輸入するほどであった。
しかし、銃や砲の改良などによって密集隊形が散兵にとってかわると、戦場で行進する機会は激減した。数百年にわたって軍の重要な一部であった軍楽隊と行進曲も、現代では行進とともに儀礼的な要素が強いものに変化している。
また、南北戦争や第一次大戦に徴用された兵士などにより、独立して行進曲を演奏する楽団(マーチング・バンド、ドラムコー、吹奏楽等参照)というものも一般的になった。
日本では、戦前・戦中や東京オリンピックの影響下にある運動会やスポーツ中継テーマ曲で触れることが多いため「身体スポーツの音楽」のイメージがある音楽でもある。
特筆すべき行進曲としては、ベートーヴェンとモーツァルトが『トルコ行進曲/Marcia alla turca』の題で作曲ていずれも有名曲となっており、当時の神聖ローマ帝国内でどのように受容されていたかがうかがい知れる。メンデルスゾーンが作曲した『結婚行進曲』は日本の結婚式でもおなじみである。
日本人の作曲では團伊玖磨の『祝典行進曲』、高校野球の始球式・閉会式などで流される『栄冠は君に輝く』、かつて大日本帝国海軍、海上自衛隊、果てはパチンコ店のBGMとして使用されていた『軍艦行進曲』(軍艦マーチとも)などがある。
運動会でも行進時に流されるが、これは学校によって多種多様である。
日本では次に挙げられる行進曲が「世界三大行進曲」とされることがある。
主に歴史的観点や公式的取扱い、実用性等の観点で推挙されているものである。日本の「軍艦行進曲」は昭和期にパチンコ店頭などでBGMとして使われていたこともあり、また旧友についてはドイツの軍隊行進曲として世界にも知られている。
日本では他にK. J. アルフォードの「ボギー大佐」やC. A. ツィマーマンの「錨を上げて」が運動会等の入場曲として聞きなれている他、E. W. エルガーの「威風堂々」やJ. F. ワーグナーの「双頭の鷲の旗の下に」、J. シュトラウスI世の「ラデツキー行進曲」などが芸術的に評価されており、何をもって「世界三大」と位置づけるかは一概には決められない。
余談であるが行進曲について語るスレによれば、軍艦は君が代に次ぐ知名度であるという。
パクリだのトレスだの騒がしく世知辛い世の中になりつつある今日この頃だが、行進曲においてもある曲からインスパイア (本来ノ意味デ) されてるとしか思えないものがいくつかある。
ベートーヴェンのピアノソナタ第12番の第三楽章は、作曲者自身によって「葬送行進曲 ある英雄の死を悼んで」と副題がつけられている。またショパンのピアノソナタ第2番のこれまた第三楽章に「葬送行進曲」と書かれている。ショパンの2番ソナタはベートーヴェンの作品を意識して作られているとも言われている。ちなみに雰囲気はあまり似ていない。
威風堂々は言わずもがな有名だが (しかし1番の中間部以外あまり知られていない、いわんや6曲もあるなんて・・・) 、同じイギリスの作曲家によって威風堂々のそっくりさんみたいな曲が作られており、こちらはイギリスの戴冠式に使われた。タイトルの「Orb and Sceptre」がシェイクスピアの戯曲「ヘンリー五世」から引用している点 (ちなみに「威風堂々 (Pomp and Circumstance)」は同じくシェイクスピアの「オセロ」からの引用) も「いかにも」という感じである。
影響を受けているかどうかはわからないが、中間部のモチーフが非常に似ている。
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最終更新:2024/11/01(金) 09:00
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