ジャネット・アブー=ルゴド(1928~2013)とは、アメリカの社会学者である。
シカゴ大学、マサチューセッツ大学アマースト校で学位を取得し、イリノイ大学、カイロのアメリカン大学、スミス・カレッジなどで教壇に立つ。パレスチナ系アメリカ人の学者、イブラーヒーム・アブー=ルゴドと1951年に結婚し、4人の子どもがいたが、彼とは最終的に離婚している。
専門は都市社会学で、世界システムの歴史と動態、中東都市研究を発表した。そんな彼女の極めて有名な著作が『ヨーロッパ覇権以前――もうひとつの世界システム』である。
彼女はウォーラーステインの世界システム以前に、13世紀には前近代史システムが存在していたと主張する。中国、インド、イスラーム、ヨーロッパといった文明を縫い合わせたモンゴル帝国の重要性を論じた。そしてこの著作で極めて重要なのが、中東を心臓部、ヨーロッパを「サブシステム」とし、15世紀の中国の後退でインド洋に経済的な「真空状態」が残りヨーロッパ人はそこを埋めたのだ、という主張である。つまり、ヨーロッパは世界史の中では脱中心化された存在であり、「東の没落が西の勃興に先行した」、というのである。
つまりマクニール、ウォーラーステインといったマルクス主義的な世界システム論者の中で、もっとも異なる「中心」と「周縁」像を提示した存在が彼女なのだ。
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最終更新:2024/06/01(土) 14:00
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