ケへへへッ......暇なんだね? とは、小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の「10 ハンター」で発された台詞である。
小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の舞台となる宇宙世紀(U.C.)100年代では、地球連邦の閣僚たちは、地球上で人口が1億以下になるよう居住制限して地球環境が悪化しないように配慮していた。
だが、あろうことか閣僚とその家族、彼らの生活の面倒を見る人々を例外として地球への逆移住を開始し始めており、その一方で警察組織「マン・ハンター」が居住許可証を持たない犯罪者である不法滞在者[1]をスペース・コロニーへと追放していた。宇宙移民法には「全ての人が宇宙に出なければ地球は浄化されない」とも記されているにも関わらず、地球連邦政府は本来完遂しなければならなかった棄民政策を先延ばしにしていたのである。
かつては連邦軍地球方面軍で、要職にあった将軍であるクワック・サルヴァーは上記の流れに不信感を覚え、秘密結社「マフティー・ナビーユ・エリン」を組織した。
マフティーは「地球をクリーンにするために、人類のすべては、地球から出なければならない政策を実施しろ」という主張を地球連邦政府に要求していた。しかし政府がこの要求に応じないとなると、マフティーはモビルスーツを使った閣僚暗殺というテロリズムで地球連邦政府の秩序を乱していた。
少年時代にシャアの反乱を潜り抜け、その後地球連邦軍で軍人となり、退役していた主人公:ハサウェイ・ノアは、直接クワック・サルヴァーと面会して、マン・ハンターが不法居住者を年間数十万虐殺している地球の惨状、それを話すクワックがキナ臭いことを望んでいることを感じ取ってはいたものの、秘密結社マフティーに戦闘員として参加すると、一年と数か月という短期間で、同結社の指導者「マフティー」となっていた。
中央閣僚会議襲撃の為に、ハウンゼンに搭乗していたものの、マフティーを騙るオエンベリ軍の一味のテロ事件に巻き込まれたハサウェイはスケジュールが狂い、東南アジアの都市ダバオを訪れることになった。
ハサウェイは、市街地で勃発したマン・ハンターと不法滞在者の銃撃戦に巻き込まれ、その場から逃れるためにタクシーへ飛び乗った。
アースノイド(地球居住者)のタクシー運転手は世間話の中でマフティーを支持しながらも「何故マフティーはマン・ハンターを攻撃しないのか?」「彼らが主張する全人類の地球外移民化という理想はよく分からない」「ダバオの環境は住民が暮らせる程度には保たれている」と不満を漏らす。ハサウェイはマフティーのリーダーである自らの正体を伏せつつも「マフティーが守ろうとしているのは千年先の地球環境であり、それではダメなのか」と組織の大義を語る。
しかし、タクシー運転手は「マフティーって人は暇なんだね」「(一般市民の)暮らしにそんな先を考えている暇などはない」と言い返してきたのである。
このタクシー運転手が発した「暇」という日常的な言葉は、ハサウェイには衝撃的だった。
ハサウェイが最近まで滞在していた宇宙では、スペースノイド(宇宙居住者)がマフティー・エリンを「救世主」もしくは「ニュータイプの再来」「地球連邦政府を浄化する」と祭り上げていた動きとは対照的だったからである。
ハサウェイはタクシー運転手の言葉に理解を示しながらも、同時に地球連邦政府が組み立てた権力・搾取構造の根深さを目の当たりにしており、テロ行為でそれを破壊するしかないという現実に苛立つのだった。
タクシー運転手は、地球連邦政府に大金を払う事で地球居住許可証を得ている身分であるから、その費用を稼ぐために日々の生活に追われ思考停止している人間である。そんな小市民にとってマフティーとは「かっこうつけて偉い人達をやっつけてくれるのはいいが、学がありすぎて理解出来ない連中」というのが、原作小説の上巻で描かれた内容である。
しかし、中巻からは、地球連邦政府が同統治機構の直轄にいる者が好きに地球に居住できるという『地球帰還に関する特例法案』を可決させようとしているという企みが明らかとなり、それは法律文章上では予見出来ないよう、巧妙に仕組まれていた。
下巻では、マフティー・エリンの妨害も虚しく『地球帰還に関する特例法案』が可決されてしまい、マン・ハンター的行為の合法化、地球連邦政府が正規の居住許可証所持者からでも土地を接収出来てしまうようになった。マフティーを暇人扱いしていたタクシー運転手だったが、『地球帰還に関する特例法案』が可決され一番苦しむ事になるのは、地球に居住していて、連邦政府の閣僚のような特権を持たず、マン・ハンターから身を守る武力も持たないタクシー運転手のような一般市民のアースノイドであった。
ただ、マフティーに大義があるとは言っても、彼らが「地球連邦政府の要人の暗殺」といったテロリズムを行使する秘密結社であることも事実であり、ハサウェイ自身もそれを苦々しく思っている。また、上記の通りマフティーの最終目的は宇宙移民法の完遂である事から、仮にマフティーが目論見通り、地球連邦政府に人類のすべてが地球から出なければならない政策を実施していたとしたら、タクシー運転手は地球を離れ、スペース・コロニーで暮らす事になっていたのであろう。
2021年に小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』を原作にした同名の映画が公開された。タクシー運転手も原作同様登場しており、配信サービスやBlu-ray版などの字幕によれば、台詞は「ヘヘヘヘヘヘッ暇なんだねその人さ」と原作小説から僅かながら改変されていた。
2023年には上記の映画版を地上波用に編集したTVエディションが、毎週日曜午後5時からMBS/TBS系全国28局ネットにて放送された。タクシー運転手の登場シーンはハサウェイがタクシーに乗り込むまでのシーンが僅かながらにカットされた、台詞はほぼ映画版と同様である。こちらは字幕が多少変更された。台詞は「はははっ。 暇なんだね その人さ。」と句読点を付ける、語句間のスペースが空けられた文章となっている。
掲示板
162 ななしのよっしん
2025/03/28(金) 02:33:43 ID: IgHI8ImDrI
革命に成功しても、政治や生活が100%確実に良くなるとは限らないよね
163 ななしのよっしん
2025/03/28(金) 21:59:34 ID: jcSb3Ea94s
まあ地球環境悪化してるのも数度にわたってコロニー落とされたからでもあるからなぁ
164 ななしのよっしん
2025/03/30(日) 16:07:56 ID: BwUG8vrwMJ
結局、ガンダム世界的には月光蝶が一番正しい。
宇宙世紀時点ではシャアのアクシズ落とししか地球人・地球環境を活かす手段はないってのが結論出てるから、まぁ……
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最終更新:2025/03/30(日) 23:00
最終更新:2025/03/30(日) 22:00
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