フレッシュボイスとは、1983年生まれの競走馬。1987年の安田記念などに勝った名馬である。
「雪は止んだ!」であまりにも有名。
主な勝ち鞍
1986年:シンザン記念(GIII)、毎日杯(GIII)
1987年:安田記念(GI)、日経新春杯(GII)
1988年:サンケイ大阪杯(GII)
父フィリップオブスペイン 母シャトーハード 母父ダイハードという地味な血統。まぁ、それほど強調するところが無い血統なので、デビュー前に全然期待されていなかったとしても無理はない。馬体も白の無い鹿毛で地味。なんか牝馬みたいに細い馬だった。性格は穏やかで、賢かったという。
しかし、この馬、デビューしてみるとえらいことレースは派手な馬であった。
デビュー戦はあっさり逃げ切り勝ちだったのだが、二戦目からは後方からの目の覚めるような追い込み、差し切り勝ちを連発する。その際たるものが有名な毎日杯であった。
当時、東上最終便と呼ばれた阪神競馬場で行われる毎日杯。3月だというのに雪が降っていて、枯れたターフを真っ白く雪化粧していた。レースが始まる頃にも雪はバンバン降っており、TV画面でも馬たちが見え辛いくらいだった。
スタートから後方待機したフレッシュボイス。雪に煙る向こう正面でもまだ最後方。しかし、4コーナー手前からグワ~っと前に詰め寄ると、大外をぶん回して4コーナー出口で先頭に並びかける。
そして直線に入ると豪脚爆発。他の馬が止まっているように見える勢いでぶっ飛ばした。実況の杉本清アナウンサーが叫ぶ。「こんなに強いのかフレッシュボイス!また差が開いた!」
そのまま3馬身ちぎってゴール。その異次元の末脚は、彼を追ったTV画面に雪が映らなくなるほど。それを表して杉本アナウンサーが言ったのが有名な、
「雪は止んだ!フレッシュボイス一着!」である。杉本実況の最高傑作の一つに数えられる名フレーズである。え?止んでないよなんていう奴は分かってない。
当然期待されて迎えた皐月賞は惜しい二着。ダービーは外傷が影響して回避。これで歯車が狂ったのか、秋は神戸新聞杯で4着。菊花賞は6着。有馬記念では5着に終わる。
翌年、日経新春杯を勝つ。当然、天皇賞の有力馬誕生というところだったのだが、次の阪神大賞典で4着に終わると、陣営は天皇賞をあっさり諦め、安田記念に向かう。
というのはこの時、フレッシュボイスの馬主、円城和男氏はJRAの写真班のところへわざわざ出向きこう言ったのだという。
「このレースは家のフレッシュボイスが勝つ!だから家の馬を撮る専属のカメラマンをつけてくれ」
は?どや顔で何言ってんのこの人?と言われても無理からぬ注文であった。円城氏にしてみれば、フレッシュボイスは大外から追い込んでくる馬であるので、前を行く馬ばかりを見ていたら良い写真が撮れないかもしれないから、という事だったらしいのだが、普通そんな事は馬主が心配したりはしないのでは・・・。
そもそも、この時フレッシュボイスは4番人気だった。一番人気は当時の短距離界の帝王ニッポーテイオー。テイオーが勝つのはほぼ間違い無いくらいに思われていた。JRAのカメラマンは一応承知したらしいのだが、本気でフレッシュボイスが勝つとは思わなかっただろう。
ところがこのレース、フレッシュボイスは直線でそれこそ馬主が予想した通りの大外も大外。外ラチに近いようなところを最後方からぶっ飛んできてニッポーテイオーを差し切ったのである。馬場は重。細い馬でありながらこの馬は悪い馬場が抜群に上手かったのである。翌月の「優駿」誌にフレッシュボイスのかっちょいい所がちゃんと写っていたかどうかは定かではない。
フレッシュボイスはこの後、翌年の大阪杯に勝ち、更にその翌年の宝塚記念二着(勝ったのはイナリワン)があるものの、GI勝ちは追加出来ないまま引退した。安田記念以降、故障が続いて順調さを欠いてしまったのが痛かった。それと、彼が5歳になった年は、いわゆるオグリブーム元年であり、GI戦線は稀に見るほどの実力馬が揃ってしまったのである。それでも順調であればその中に割って入る実力はあった馬であったのだが。
兎に角、最後方追走から直線で大外ぶん回しという、不器用極まりないレースしか出来ない馬であり、しかも馬場が荒れたほうが良いというおかしな馬であった。安田記念の勝ち馬ではあるのだが、マイル以下の重賞で勝ったのは結局、安田記念とシンザン記念だけ。他に勝った重賞は皆2000m以上。宝塚でも二着しており、マイラーだったのかもよく分からない。故障する前は追い込み馬の癖に意外に安定して掲示板に乗っており、テンのスピードがほんのもう少しあれば三倍くらい勝ってもおかしく無いような末脚を持っていた馬であった。
デビュー二戦以外は徹底して重賞に出る上に、節操無くいろんな距離の重賞を走っていたために「奴は目立ちたがり屋なんだ」と言われていた。目立ちたがりだから大外から追い込んで来るとも。
実際、派手なレースをするので非常に人気があった馬で、特に女性に人気があったらしい。引退後に種牡馬入りしたフレッシュボイスに会いに来る大勢の女性ファンを見て「これが馬の女だったらなぁ」牧場関係者はとつぶやいたという。フレッシュボイスは血統が悪かったせいで牝馬を集めるのに苦労していたのである。
案の定、種牡馬としては成功出来ず、種牡馬引退後は日高シルバーフォースファームで余生を過ごし、2007年死亡した。
毎日杯と安田記念の豪脚は今見ても衝撃である。最近ではあまり語られる事も無い馬であるが、是非動画でその雄姿を見てあげて欲しい。
*フィリップオブスペイン Philip of Spain 1969 黒鹿毛 |
Tudor Melody 1956 黒鹿毛 |
Tudor Minstrel | Owen Tudor |
Sansonnet | |||
Matelda | Dante | ||
Fairly Hot | |||
Lerida 1961 鹿毛 |
*マタドア | Golden Cloud | |
Spanish Galantry | |||
Zepherin | Pylon | ||
Gulabi | |||
シャトーハード 1973 栗毛 FNo.10-d |
*ダイハード 1957 栃栗毛 |
Never Say Die | Nasrullah |
Singing Grass | |||
Mixed Blessing | Brumeux | ||
Pot-pourri | |||
ヤマサンカツヒメ 1964 栗毛 |
タカマガハラ | クリノハナ | |
クモゼキ | |||
セフトニヤ | *セフト | ||
第五デヴオーニア | |||
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最終更新:2025/03/29(土) 08:00
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