ネアルコ(Nearco)とは、1935年生まれのイタリア生産・調教の元競走馬、種牡馬。牡・黒鹿毛。
種牡馬として空前の大成功を収め、近代サラブレッドの血統を文字通り塗り替えた。
種牡馬の父、「サイアーオブサイアーズ」の代表格。
父Pharos、母Nogara、母父Havresacという血統。生産者はイタリアの馬産家フェデリコ・テシオである。彼が生産した馬には現代のサラブレッドの血統に多大な影響を与えている馬が数多くおり、その代表例が本馬、ネアルコといっても過言ではない。
因みにフェデリコ・テシオは自身が生産した馬に絵画や彫刻などの芸術家の名前を付けており、ネアルコという名前はギリシアの画家ネアルコスに由来する。本馬はフェデリコ・テシオが手塩にかけた配合理論に基づいて、血の偏りを避けて生み出された馬である。テシオのもう一方の傑作、リボーが自家生産馬で固めた配合なのに対して対照的である。
競走馬として1937年にデビューすると、まあ勝つわ勝つわの連勝街道。翌38年にはイタリアのクラシックレースを席巻し、イタリア最高峰のレースであるミラノ大賞典を古馬を相手に優勝。この時点で13戦13勝を挙げ、次戦に世界有数の国際レース、パリ大賞典に出走する。
このパリ大賞典では英ダービー馬ボワルセル、仏ダービー馬シラなど有力馬が多数揃った中1番人気で迎え、結果人気に応え優勝。14戦14勝、無敗。
パリ大賞典の後、ネアルコはイギリスの馬産家であるマーティン・ベンソンに売却(当時の価格で6万ポンドとも)されて渡英。セントレジャーなどへの出走も一旦は検討されたが、結局無敗馬にむざむざ黒星を付けて種牡馬としての格を落としたら一大事だということで現役を引退、イギリスで種牡馬入りすることとなった。種牡馬入りしたネアルコは大人気で、当時の大種牡馬ハイペリオンやフェアウェイらと激闘を重ね、1947~1949年の3年連続で英愛種牡馬リーディングに輝いた。しかし彼の真の凄さは、息子達が種牡馬として活躍したことにある。
1957年に22歳で死去。
細かい事はこちらの記事へ→ナスルーラ
1940年に生まれたナスルーラは確かな血統と素質を持ちながらも荒い気性で知られ、現代でも気性難種牡馬の一頭として認知されているが、そう言われる程種牡馬として大成功を収め、世界的に血が広まった。
特に北米ではボールドルーラーが大流行し、その子孫であるシアトルスルー→エーピーインディを介するラインは、現代の米国で大流行中のミスタープロスペクター系やストームキャット系とは別の第三極を形成している。かのUMAセクレタリアトもボールドルーラーの子供であり、また彼はストームキャット、エーピーインディ、ゴーンウェストの母父として血を後世に残している。
またブラッシンググルームも父、母父の両方で洋の東西を問わず活躍。
欧州ではグレイソヴリンや、ネヴァーベンドの仔ミルリーフやリヴァーマンが活躍。
このように90年代までは世界の主流血統として繁栄したが、90年代に入る頃から緩やかに衰退し、北米ではミスプロ系、欧州ではノーザンダンサー系、日本ではサンデーサイレンス系に取って代わられた。
現在のナスルーラ系は主に欧州のグレイソヴリン系と北米のボールドルーラー系が主流から外れつつも踏ん張っている状況だが、滅亡を危惧されるほど切羽詰まってはおらず、また母系では多くの影響を残しているので血が滅びることはないと思われる。
日本では60年代以降積極的にナスルーラ系種牡馬の導入が進み、特にネヴァーセイダイやプリンスリーギフト系種牡馬の大流行が発生した。特に後者の代表格*テスコボーイは「お助けボーイ」と呼ばれ、トウショウボーイやサクラユタカオーなど競走馬、種牡馬として一流の馬を輩出。
グレイソヴリン系は*トニービンがリーディングサイアーになり、産駒が90年代~00年前半に活躍した。
さらにネヴァーベンド系も*ミルジョージや*リヴリアが輸入され、かなりの成功を収めている。
ちなみに1993年のクラシックを分け合ったBNWはすべてナスルーラ系出身だったりする。
ただし日本ではいずれの後継種牡馬も(日本に輸入される前に欧州で残したカラムーンが系統を繋げた*ゼダーンを除き)代を経るごとに苦戦しており、どのサイアーラインも日本では滅亡が危惧されている。特にスタミナ色が強かったネヴァーセイダイ系は真っ先に滅亡している。
ロイヤルチャージャーは1942年に生まれ、通算20戦6勝。勝ち鞍にクイーンアンSがある。こちらも大種牡馬として成功を収め、特に日本と北米、オセアニアを中心に流行。
現代日本においてロイヤルチャージャーの血脈は大流行している。何故か、ここで父系を下ってみよう。
Royal Charger→Turn-to→Hail to Reason→Halo→*サンデーサイレンス
→Roberto→*ブライアンズタイム
ご覧の通り、現代日本の主流血統たる*サンデーサイレンスはロイヤルチャージャーの直系、つまりネアルコの直系子孫なのである。他にヘイロー系からはタイキシャトル、ロベルト系からはグラスワンダーやシンボリクリスエスなどが輩出されている。ターントゥからもサーゲイロードが輩出され、日本ではニホンピロウイナーの先祖として知られている。
また前述したサーゲイロードの孫にサートリストラムという馬がいるが、彼は南半球のノーザンダンサーと呼ばれる程オセアニアで大活躍を収めた。
ニアークティックは1954年にカナダで誕生した。通算47戦21勝。4歳時にはカナダの年度代表馬に輝くなど、カナダの名馬だったが、種牡馬としても大活躍を収めた。
彼の最高にして最大の実績、それはノーザンダンサーを生み出した事にある。ノーザンダンサーは種牡馬入りすると瞬く間に世界にその血を広めた。活躍馬、後継種牡馬は数えることがアホらしくなるほどいる。
ノーザンダンサーが誕生して50年以上経過するが、その勢いは留まることを知らない。ニジンスキー、ヌレイエフ、リファール、サドラーズウェルズ、ヴァイスリージェント、ダンジグ、ストームバード……。
孫世代? *デインヒル、ガリレオ、デピュティミニスター、ストームキャット……。
最近ではダークエンジェルというノーザンダンサーの5代孫が欧州短距離界を席巻しつつある。
日本ではノーザンテーストが長期政権を維持し、マルゼンスキーやモガミ、ダンシングブレーヴが活躍。またニアークティック直仔のノノアルコが父、母父としてGI馬を輩出している。
早い時期から活躍したノーザンダンサーに目が行きがちだが、他の父系も存続しており、ワイルドラッシュなどがいる。
ご覧の通り、ナスルーラ、ロイヤルチャージャー、ニアークティックの3頭が種牡馬として大成功を収め、更にその子孫も種牡馬として成功したことから、父系母系問わずネアルコの血は世界中に広まった。現代競馬で大流行中のミスタープロスペクター系にも、母系に入り込んで影響力を行使している。
1990年ぐらいまではネアルコフリーな馬はいたが、現代、2010年以降では血統内にネアルコを一切含まない馬はいないと言い切って良いほどである。可能性があるとしたらモンズーン産駒くらいである。モンズーンにも入ってたわ
見つけたら教えて。
Pharos 1920 黒鹿毛 |
Phalaris 1913 黒鹿毛 |
Polymelus | Cyllene |
Maid Marian | |||
Bromus | Sainfoin | ||
Cheery | |||
Scapa Flow 1914 栗毛 |
Chaucer | St. Simon | |
Canterbury Pilgrim | |||
Anchora | Love Wisely | ||
Eryholme | |||
Nogara 1928 鹿毛 FNo.4-r |
Havresac 1915 黒鹿毛 |
Rabelais | St. Simon |
Satirical | |||
Hors Concours | Ajax | ||
Simona | |||
Catnip 1910 鹿毛 |
Spearmint | Carbine | |
Maid of the Mint | |||
Sibola | The Sailor Prince | ||
Saluda |
Nearco 1935
|Nasrullah 1940 →ナスルーラの記事参照
|Dante 1942
||Derring-Do 1961
|||*ハンターコム 1967
||||ダイナコスモス 1983
|||||トロットサンダー 1989
|Royal Charger 1942
||*ロイヤルチャレンヂャー 1951
|||スピードシンボリ 1963
||Turn-to 1951
|||First Landing 1956
||||*ファーストファミリー 1962
|||||ホウヨウボーイ 1975
|||Hail to Reason 1958 →ヘイルトゥリーズンの記事参照
|||Sir Gaylord 1959
||||Sir Ivor 1965
|||||Sir Tristram 1971
|||||*サーペンフロ 1971
||||||ランニングフリー 1983
||||Habitat 1966
|||||*スティールハート 1972
||||||ニホンピロウイナー 1980
|||||||ヤマニンゼファー 1988
|||||||フラワーパーク 1992
|||Best Turn 1966
||||Davona Dale 1972
|Sayajirao 1944
||*インディアナ 1961
|||タケホープ 1970
|*アドミラルバード 1952
||タケデンバード 1969
|*カリム 1953
||イナリトウザイ 1971
|Nearctic 1954 →ニアークティックの記事参照
掲示板
11 ななしのよっしん
2023/03/06(月) 14:14:53 ID: YRgww0PExn
今やゲームではすっかり存在感がなくなったけど、
ダビスタだとネアルコの上位ラインはファロス系でくくられていたな。
ファロスは他のサイアーラインはファリス系があるけど、
1970年代までに非主流として流行った血統で、
現代だと父系は滅亡寸前で実質的に母系で痕跡を残すのみ。
ファロス系は実質ネアルコ系と言っても過言じゃないレベル。
12 ななしのよっしん
2023/03/14(火) 17:44:53 ID: /Hd9dEOham
ネアルコ、ファリス、ブルーピータ―、フェアトライヤルを数多いファラリスの直孫中、最も傑出した四頭という事からとくにファラリスのビックフォアと称している。(P163)
セントサイモン以降の現代までにおける世界のサラブレッド界の二大巨星ともいうべきハイペリオンとネアルコ(P179)
「世界の名馬」(著者原田俊治 1970年発行)から50年経ってこの始末☆(ネアルコ一強)とかやはりヤバい
13 ななしのよっしん
2023/03/16(木) 18:35:44 ID: YRgww0PExn
ハイペリオンやセントサイモンは直系こそ滅亡寸前だけど、影響力自体はだいぶ残ってるしな。
今の直系父系はファロス(実質ネアルコ系)とシックル(実質ミスプロ系)だけで95%以上だと思う。
シックルはエタン系やが細々と活躍馬を出していた十数年前までならネイティヴダンサー系だったけど、
シャーペンアップの直孫の後継種牡馬が全滅状態で滅亡寸前に逆戻りしてしまった。
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最終更新:2024/04/24(水) 19:00
最終更新:2024/04/24(水) 19:00
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