不完全性定理とは、ゲーデルが1931年に発表した定理である。
この定理には
第一「再帰的で(ω)無矛盾な自然数論を充分に表現できる形式系は完全ではない.」
第二「再帰的で無矛盾な自然数論を充分に表現できる形式系は自分自身の無矛盾性を証明できない.」
の二つがある。
(以下、理論=形式系、仮定=公理、主張=論理式(命題)とする。)
要約すると
一つ目は、どんな数学理論にもその理論の中で表現できる主張で正否の判定ができないものが存在する。
この例として、ZFに対する選択公理、ZFC(ZF+選択公理)に対する連続体仮説などが存在する。
二つ目は、数学理論の無矛盾性はその理論又はそれより強くない(より多くの仮定を含まない)理論からは示せないということ。
このことから、理論Aにbという仮定を付け加えた理論A+bがあるとき、A+bからAの無矛盾性が示せれば、bはAでは証明できないことが分かる。
ゲーデルは、数学理論をそれ自体の中で(自然数を使って)表現することで、「この命題は証明できない」と解釈できる命題を理論内で表現しこの二つの定理を証明している。この技法(ゲーデル数化)は現在でいうところのコンパイルなどに相当する(論理式(プログラム)->機械語という意味で)。
チューリングマシンの停止問題は、この不完全性定理をコンピュータの用語に置き換えたものである。
この定理は数学、情報科学、さらには哲学などにも大きな衝撃と影響を与えた。
掲示板
45 ななしのよっしん
2021/09/18(土) 12:50:21 ID: s+H+BN2e90
>ある種のピタゴラスの定理とか、ある種の因数定理みたいなものがあるのか?
あるよ.
よく知りもしないのに,言葉尻にを取らまえて突っかかってきなさんな.
上でも散々書かれているように,不完全性定理の系はただ単一の数学現象のことを指すのではない.
大雑把には,ゲーデルの記念碑的なPAに関するω無矛盾性の文脈においての不完全性定理のことや,ロッサーによる強化された結果を暗黙に指す.
PA以外の形式体系のモデルに関して,先の不完全性定理と同様,あるいは類似現象が成り立つという様々な結果のこと全体を不完全性定理とよぶ.
例えば,数論の算術形式であるPAについての不完全性定理の内容と集合論の一つの形式であるZFCについての不完全性定理では,その結論(現象)を示す主要部分の写像の構成が異なるので厳密には異なる現象を指している.
ただし,証明論の文脈においては同様の現象なので不完全性定理と呼ぶのだ.
46 ななしのよっしん
2021/09/18(土) 12:53:30 ID: s+H+BN2e90
(続き)
さらには,計算理論(形式言語理論も含む)の古典的分野においても,計算可能性という文脈においての「プログラムの停止性問題の非決定性」という定理がちょうど数理論理学のゲーデルの不完全性定理と対応する.これは,コルモゴロフやチャイティンらによる成果だ.
これも不完全性定理の類似物であり,多くの文脈で「不完全性定理の一種」とされている.
実際,第二不完全性定理にはコルモゴロフ複雑性による別解釈・別証明が存在する.
今回の熱力学における成果は,「計算理論における停止問題の非決定性の構造」と「熱平衡に至る熱理論の数理モデル」を対応させることで,解決している.
つまりは,数理物理の問題解決に純粋数学の理論が使われたというありふれたことでしかない.
それとも,数理物理や理論物理は純粋数学の理論を利用してはいけないのかい?
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最終更新:2025/08/01(金) 00:00
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