翔ぶが如く(とぶがごとく)とは、
1972年から1976年にかけて毎日新聞で連載された、司馬遼太郎の歴史小説の中では後期の代表作である。明治六年の政変から西南戦争に至るまでの、上は明治政府・下は市井の人々が、近代日本の転換期にあたるこの時代をどう生きたかを描く群像劇となっており、西郷・大久保以外にも副主人公的な立ち位置の人物が多数登場する。
薩摩出身の人物の中では、特に川路利良と桐野利秋にスポットが当てられている。川路は日本警察の父と呼ばれる反面、西南戦争の原因を作ったためマイナスイメージが強かったが、この小説がきっかけで再評価され始めるようになった。一方、もう一人の重要人物として西南戦争における薩摩軍の実質的な司令官であった桐野利秋にも筆を割いているが、序盤こそ裏表の無い人柄で好意的に描いていたが、西南戦争が始まってからは彼の戦略の無さを痛烈に批判し、次第に冷淡な扱いを受けるようになる。
薩摩以外の人間では、郷里の熊本で民権活動を行った後に、西南戦争で薩摩軍に加わり戦死した宮崎八郎や、元会津藩士では政府軍として仇敵薩摩と戦った山川浩や佐川官兵衛らが登場している。なお、大河ドラマ版では宮崎八郎の遺族が彼を登場させることに反対したため、矢崎八郎太という宮崎をモデルにしたドラマのオリジナルキャラクターに変更されている(劇中で江藤新平の弟子になったり、原作唯一のオリキャラである芦名千絵と恋仲になるのもドラマのオリジナルである)。一方、山川や佐川ら会津の人物は大河ドラマ版には登場しなかったが、2013年に放送された大河ドラマ「八重の桜」でその活躍が描かれた。
二人の主人公である西郷隆盛と大久保利通を、それぞれ西田敏行と鹿賀丈史が演じた。西田・鹿賀両名は、写真や肖像画の本人そっくりと西郷・大久保の子孫からも太鼓判を押された上、ドラマ本編でもその好演が高く評価された。特に大久保は、その政治的業績とは裏腹に、地元鹿児島では西郷を裏切って死に追いやった悪人と忌み嫌われていたが、このドラマが放送されたことで見直されるようになり、現在では鹿児島でも名誉挽回が大分進んでいる。征韓論をめぐって二人が激しく論争をする場面は、大河ドラマの名シーンのひとつとして今でも語り継がれている。
大河ドラマでは珍しく二部構成に分かれており(他にこうした枠組みが取られているのは、三部構成の「炎立つ」のみ)、原作部分は後半の第二部から描かれている。これに対して第一部は明治維新前の幕末が舞台となっており、司馬遼太郎の幕末モノの歴史小説「竜馬がゆく」「最後の将軍」などをベースにした、オリジナルストーリーとなっている。このため、第一部のクレジットは脚本→原作となっている(第二部からは原作→脚本に変更)。群像劇の要素が強かった原作に対して、ドラマは西郷と大久保の生涯を軸として、二人の友情と訣別が物語の核となっている。
幕末の混沌とした状況と複雑な人間関係からか、視聴率はこの前後の作品に比べてやや劣るものの、原作・脚本・キャストが全て骨太に仕上がっているだけあって、ドラマの評価も非常に高い。特に第一部は2008年に放送された「篤姫」と登場人物の大半が重複しているため、見比べるのも面白いかもしれない(「翔ぶが如く」で島津久光を演じた高橋英樹は、「篤姫」でその兄・島津斉彬を演じている)。
唯一問題点を挙げるとすれば、第一部が全29話であるのに対して、第二部は計19話しかなく、膨大な量の原作を駆け足で展開せざるを得なくなるなど、尺不足の感が否めなくなってしまった。台湾出兵などデリケートな国際問題はもちろんのことだが、原作の重要人物である川路利良の出番はほとんど割愛された(原作冒頭のとあるシーンも、当然ながらカットされている)。
掲示板
5 ななしのよっしん
2018/11/26(月) 01:04:15 ID: EOIvdo6lmB
西郷どん見てないけど、周りがことごとく「面白くない。西郷さんがなんで偉くなったのかが分からない。」って評価だったので翔ぶが如く見始めたところ
6 ななしのよっしん
2018/11/30(金) 02:27:55 ID: GwKtYC4rxN
翔ぶが如くの桐野利秋が死に方があっけなかったが西郷どんのよりよかったよ。
7 ななしのよっしん
2023/09/09(土) 11:58:29 ID: iiHAGWPzgU
小説版を語れるニコ百民皆無説
記事筆者ですら「原作小説」の節なのにドラマ版での宮崎の扱いに分量を割いてるし
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最終更新:2025/03/28(金) 06:00
最終更新:2025/03/28(金) 05:00
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