「関ヶ原(sekiGAhara)」とは1991年12月に株式会社アートディンクが発売したシミュレーションゲームである。ゲームジャンルは「戦国合戦絵巻」とされており、その名が示すように絵巻の様な戦闘を体験できる。
PC-9801版とFM TOWNS版が発売されており、2000年3月にはWindows版として「ARTDINK BEST CHOICE 関ヶ原」が発売された。
ゲームは二部構成になっている。第一部の「権謀術数編」では日本全国のマップが舞台であり、関ヶ原における合戦を有利に運ぶべく外交工作や情報工作といった権謀術数を駆使することになる。第二部の「関ヶ原の合戦」では第一部の結果が反映された関ヶ原の合戦場で全軍の指揮をとって戦う事になる。この第一部と第二部はどちらからでもプレイでき、第二部から始めた場合は初期設定の戦場で戦う事になる。
1995年6月には第二部「関ヶ原の合戦」モードにのみ特化した「合戦 関ヶ原(KASSENsekiGAhara)」が発売されている。こちらはPC-98版のみの発売で、ゲームジャンルは「戦国合戦シミュレーション」になっている。
現在はWindows版「ARTDINK BEST CHOICE 関ヶ原」がアートディンクの通信販売やベクターPCショップのダウンロード販売で購入できる。またレトロゲーム総合配信サイト「プロジェクトEGG」ではPC-98版(EGGランチャーを通して起動)が購入できる。
ゲーム内時間を調節する事が出来るが、パソコンのスペックにより速さに違いが出る。最近のパソコンでは早過ぎてしまうため、負荷を掛けるなりなんなりしないと早過ぎてプレー不能になるので注意。
プレイヤーの目的は東軍(徳川家康陣営)、西軍(石田三成陣営)のどちらかの勢力を選択して関ヶ原の戦いに勝利することである。
「関ヶ原の合戦」の1ヶ月前、慶長5年(1600年)8月15日から始まり、プレイヤーは関ヶ原の合戦を有利に運ぶために日本全国126名(徳川家康、石田三成、北政所、淀君を除く)の大名を相手取っての外交工作や情報工作、武将移動や商人取引を行う。
東軍の場合は徳川秀忠を、西軍の場合は毛利輝元を史実に反して関ヶ原に到着させれば(もちろん、敵する場合は絶対に到着させないようにして)圧倒的有利な状況で合戦に望む事が出来る。他にも上手くやれば倍くらいの差をつけて合戦を始める事も可能。
第二部は第一部から続けた場合、第一部の結果に基づいた軍勢で合戦を行うことが出来る。それ以外に概ね史実に基づいた布陣と互角の戦力を設定された状況でいきなり第二部から始めることも可能。
リアルタイム(正確には違うが)戦術シミュレーションであり、斜め俯瞰の戦場に小さな人グラフィック(一人100人という設定)がうぞうぞとひしめきぶつかり合うという、まるで合戦絵屏風のような画面で関ヶ原の戦いが再現される。
各武将は基本的にAIで勝手に動き戦ってくれるが、もちろん指示を出す事も可能。前進後退はもちろん、掛れ、引け、待機から勝どき、陣形変化。弁当や酒宴。内応の誘いや暗殺など様々な指示がある。ただ、コマンドがありすぎるせいで操作性は低く、慣れるまでは結構大変である。
みそは、見えないが各武将に体力や士気、忠誠心などのパラメーターがあることで、これによって武将とその軍勢の強さに違いが出るのである。つまり、体力や士気が落ちていれば大兵力を維持していても小軍勢に負けてしまったり、忠誠心が落ちていれば裏切ったりするのだ。
東軍なら家康、西軍なら三成が討たれるとゲーム終了。逆に言うと討たれなければゲーム内時間で何日にも渡って関ヶ原の合戦は続く事になる。
第二部に勝利すると論功行賞画面となり、味方してくれた武将に領地を分け与えることになる。のだが、その結果がエンディングやなにやらに反映されることはまったく無い。
比較的難易度が低い第一部に比べ、第二部は発売当時から鬼畜な難易度で知られていた。
なにが鬼畜かといって、まず勝てないのである。
第一部で首尾よく相手よりも多数の軍勢を集めたとしても、これがまた全然勝てない。徳川だろうが石田だろうがである。ましてや、第二部から始めようものならあれよあれよという間に完敗である。
その鬼畜難易度に当時のゲーマーは衝撃を受けた。当時の戦術級シュミレーションなど力押しで大体なんとかなるものばかりだったのである。
買ったは良いけど一度もエンディングまでたどり着けなかったというゲーマーも数知れない。数回やって「クソゲー!」と叫んでフロッピーを叩き折る者続出。無理ゲーだという噂が祟ったか、売り上げも芳しくなかったらしく、力の入った良く出来たシステムであったにも関わらず続編シリーズは遂に出なかった。勿体無い。
現在でも戦術級シュミレーションゲームとしては他に類例が無い難易度なんではなかろうか。
・以下、ネタばれ注意。
さて、鬼畜難易度の第二部であるが、何の事は無い。このゲームの事をきちんと理解していれば勝てないということも無い。それでも第二部から始めた場合かなり難しいことは確かだが。
ポイントは、前述したがこのゲームには見えないパラメーターに「体力」と「士気」があるという事である。
まず、体力だが、これは戦い続けているとどんどん減っていってしまう。軍勢の数が減っていなくてもだ。この体力が少なくなると戦闘力が衰え、小軍勢に負けてしまったり、大将だけが討ち取られて軍勢が消えてしまったりする。
なので体力が減ったなぁと思ったら回復させる必要がある。どうやったら回復するのかというとコマンド「弁当」か「酒宴」で飯を喰わせるのである。
もちろん、戦闘中に喰わせようとすると「それどころではないわ!」と怒られたり、喰っているところを襲われて大損害を蒙ったりするので、後方の安全地帯まで引いてから喰わせる事。そのためには軍勢のこまめな入れ替えが必要である。
そして士気。これは意外に重要である。具体的に言うと、敵に討ちかかる前に「勝どき」コマンドでエイエイオーとやらせるのである。これだけで戦闘力2割り増しぽい。
この「弁当」「勝どき」をうまく使い、遊兵を作らず(西軍だったら島津軍はとっとと最前列に出てもらう)、敵の大軍勢(西軍なら宇喜田、東軍なら徳川本軍)を相手にするときは複数の軍勢でなるべく側背から攻撃し、チャンスがあれば長駆してでも敵本陣を叩く。というようにやれば、頑張れば勝てる。
なんというか、腹減ると弱くなるとか士気が落ちると駄目になるとか、すっごくリアルなんである。こんなリアルな戦術級シュミレーションはそれまで無かったし、今でも無いんではなかろうか。
ちなみに、裏技として、東軍で始めた場合、
開始早々に小早川秀秋に対して「脅す」コマンドを連打。秀秋がなにを言っても無視して連打していると、裏切ってくれるというものがある(まぁ、それでも勝てなかったりするが)。史実を反映した心憎い演出であろう。ただし西軍で始めた場合には、秀秋は簡単には裏切らないので安心して戦わせてOK。不安なら贈り物をしておけばよし。
各大名に懐柔文(3種類)、脅迫文(3種類)、密約文(3種類)、要請文(4種類)の書類を送る。同じ大名には1日1回、1日に送れる書状数は30~40通程度となっている。
大名には隠しステータスとして4種類(普通・猛将・智将・弱将)の性格が設定されているので、相手の性格に合わせた書状を送る必要がある。
懐柔文 | |
脅迫文 | |
密約文 | |
要請文 |
武将 | 最上義光、山之内一豊、古田重勝、蒲生秀行、織田信包、伊東祐兵、佐久間安政等・・・全42名 |
良い | |
はぐらかし | |
悪い |
武将 | 井伊直政、加藤清正、伊達政宗、徳川家康、福島正則、大谷吉継、島左近、織田秀信等・・・全45名 |
良い | |
はぐらかし |
|
悪い |
|
武将 | 織田有楽、金森長近、京極高知、石田三成、宇喜多秀家、真田昌幸、小西行長等・・・全16名 |
良い |
|
はぐらかし | |
悪い |
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武将 | 徳川秀忠、筒井定次、小早川秀秋、前田利政、丹羽長正、長宗我部盛親等・・・全21名 |
良い | |
はぐらかし |
|
悪い |
|
良い |
|
はぐらかし |
|
悪い |
|
他にも隠しステータスとして11段階の加担度が設定されている。この加担度は数字が小さいほど西軍よりで大きいほど東軍よりとなる。
加担度 | 第一部 | 第二部 |
0 | 豊臣秀頼・淀限定 | - |
1 | 石田三成 | 石田三成 |
2 | 西軍 | 西軍本隊 |
3、4 | 西軍 | 西軍加担軍 |
5 | 中立 | 西軍内応軍 |
6 | 中立 | 東軍内応軍 |
7、8 | 東軍 | 東軍加担軍 |
9 | 東軍 | 東軍本隊 |
10 | 徳川家康 | 徳川家康 |
東軍、西軍共に20名の間者を抱えている。この20名を巧みに操って情報収集や攪乱、押頂を行う。
情報収集 |
相手の国力を探ってこさせます。 |
攪乱 | |
押領 |
19名の商人から武器(弓)、具足(鎧・兜など)、兵糧、鉄砲を購入する。これにより本軍(石田三成軍、徳川家康軍)の編成を調整できる。
ユーザーズ・マニュアルに曰く、「本陣の軍勢は、直接攻撃に出ることは少ないかも知れません。従って、ここで購入する武具は本陣防御用のものとも言えるでしょう。しかし本陣の戦力があまりに情けなくては、他の武将達にあなどられる元にもなりますので、足りない物は買い足しましょう。」とあるが、実際のところ石田三成軍や徳川家康軍の兵力は侮れないものがあるので遊兵にしておく余裕はあまりなかったりする。本軍戦力の弱体化が他の武将に与える影響は不明だが、何か影響はあるのかも知れない。
総大将(石田三成、徳川家康)が軍を編成して大垣城(清州城)に移動を開始する。騎馬隊、鉄砲隊、弓隊、足軽隊、輜重隊を編成できる。輜重隊を多く編成すれば、他の武将に酒として配ることも可能になる。
1995年に発売された第二弾。前作「関ヶ原」における第二部のみに絞った作品となる。
前作同様の部隊を選んでの行動指示に布陣図での移動指示(4点まで)が追加されて、戦闘中の移動指示がやり易くなっている。また信頼性、闘志、体力、功績が表示される様になり、部隊の状況を把握しやすくなっている。
色々と改善されている部分もあるのだが、第一部が無くなったことにより自由度が大幅に減っている。戦闘に絞るのであれば自由に武将、兵力、布陣を選択できるような「俺だけの関ヶ原」を実現できる内容であれば長く楽しめる作品になったと考えられる。
パーセントで表示されるステータス。各隊に細かく設定されており、ある程度の目安と考えた方が良い。
信頼性 | 総大将への信頼性。100%を除けば裏切る可能性あり、低くなるほど可能性が高くなる。 |
闘志 | 戦闘意欲。闘志の高い部隊は良く指示に従い果敢に戦うが、低いと戦闘を拒み数合交えたら退いてしまう。 |
体力 | 兵の体力。低いと討たれやすくなる。 |
功績 | これまでの戦における功績。高いほど強いと言える。 |
表示例 : 左は西軍として布陣済みの島左近で鉄砲と弓の体力が若干低いが全体的に高い。右は東軍の援軍である池田輝政で武将や騎馬隊の闘志や体力が高めだが、数の多い足軽が低めで弓隊に関しては体力がひどい。
島左近 | 西 | 信頼性 | 100 | 池田輝政 | 東 | 信頼性 | 100 | ||
近江佐和山 | 闘 | 体 | 功 | 三河 吉田 | 闘 | 体 | 功 | ||
年齢 | 不詳 | 100 | 100 | 100 | 年齢 | 36歳 | 87 | 82 | 66 |
現況 | 待機中 | 現況 | 援軍 | 到着 | 9月15日 | ||||
総兵力 | 2000 | 99 | 93 | 99 | 総兵力 | 4500 | 79 | 70 | 58 |
騎馬隊 | 300 | 100 | 95 | 100 | 騎馬隊 | 900 | 91 | 83 | 69 |
鉄砲隊 | 200 | 95 | 85 | 96 | 鉄砲隊 | 300 | 83 | 76 | 58 |
弓隊 | 200 | 97 | 89 | 98 | 弓隊 | 800 | 74 | 53 | 57 |
足軽隊 | 1300 | 100 | 95 | 100 | 足軽隊 | 2500 | 77 | 71 | 56 |
武将 | 部隊 | ||||||||
武将名 | 東西 | 信頼性 | 闘志 | 体力 | 功績 | 兵力 | 闘志 | 体力 | 功績 |
徳川家康(本陣) | 東 | 100 | 100 | 63 | 100 | 3000 | 30 | 94 | 95 |
徳川家康軍 | 東 | 100 | 87 | 65 | 86 | 28000 | 90 | 77 | 78 |
石田三成(本陣) | 西 | 100 | 98 | 62 | 66 | 3000 | 30 | 94 | 95 |
石田三成軍 | 西 | 100 | 90 | 68 | 79 | 8000 | 79 | 68 | 79 |
浅野幸長 | 東 | 91 | 71 | 69 | 68 | 5700 | 59 | 57 | 60 |
井伊直政 | 東 | 100 | 92 | 82 | 76 | 3500 | 81 | 77 | 75 |
宇喜多秀家 | 西 | 84 | 86 | 82 | 77 | 17000 | 81 | 81 | 78 |
大谷吉継 | 西 | 100 | 100 | 57 | 72 | 1400 | 100 | 93 | 90 |
織田有楽 | 東 | 83 | 64 | 49 | 55 | 1000 | 44 | 32 | 33 |
加藤嘉明 | 東 | 91 | 72 | 67 | 70 | 2100 | 79 | 74 | 66 |
蒲生郷舎 | 西 | 83 | 74 | 71 | 52 | 2000 | 68 | 73 | 61 |
黒田長政 | 東 | 94 | 84 | 82 | 91 | 5000 | 82 | 73 | 86 |
小西行長 | 西 | 91 | 81 | 78 | 79 | 4000 | 81 | 76 | 82 |
小早川秀秋 | 西 | 41 | 57 | 61 | 36 | 15600 | 74 | 73 | 75 |
島左近 | 西 | 100 | 100 | 100 | 100 | 2000 | 99 | 93 | 99 |
島津義弘 | 西 | 82 | 81 | 62 | 83 | 1500 | 85 | 76 | 85 |
藤堂高虎 | 東 | 64 | 71 | 66 | 68 | 2200 | 73 | 71 | 66 |
福島正則 | 東 | 84 | 86 | 77 | 83 | 6000 | 88 | 81 | 96 |
細川忠興 | 東 | 84 | 81 | 82 | 76 | 4600 | 83 | 73 | 79 |
本多忠勝 | 東 | 100 | 94 | 90 | 87 | 1300 | 95 | 92 | 96 |
軍議の変更点としては3点あり、追加点は「連合編成」と「陣形変更」、削除点は「部隊移動」となる。またグラフィック面で本陣内に武将が集っている画がなくなり、必要最低限の情報が表示されたシンプルな物になっている。
連合を組むと部隊レベルでの陣形はそのままに連合全体が1つの部隊の様に陣形を形成、1つの部隊として操作する事ができる。
ただし軍議が終了すると連合傘下の部隊は連合本隊との陣形を組むために移動を開始するため、あまり無茶な連合を組むと敵陣を突っ切る形で移動を開始、思わぬところで戦端が開かれたりしてしまう。
画面下部を占めていたコマンドは無くなり、対象部隊を選択すると表示される形に変更された。従来の斜め俯瞰画面による直接指示のほかに、関ヶ原全域をカバーした布陣図と呼ばれるウィンドウ上での操作も可能になっている。
布陣図は表示を切り替える事が出来る。この表示は3種類あり、部隊が凸で表される「布陣図」、部隊が兵単位で表される「分布図」、部隊が兵単位で表され移動や陣形変更指示が出来る「作戦図」がある。
この画面では全体から個別の部隊状況を把握でき、4点までの移動指示を出来ることから大幅な操作改善に繋がっている。
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最終更新:2024/12/12(木) 06:00
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