BBY-01(宇宙戦艦ヤマト2199)とは、本当の意味でリメイクされた宇宙戦艦ヤマトという軍艦を示す。
このナンバリングは艦番号であり、他の国連宇宙軍の戦闘艦と同様のナンバリング方式である。現代の海上自衛隊、米海軍のそれに近いものである(ユキカゼはDDS-117など)。
対ガミラス戦争が敗色濃厚の一途をたどる中、「イズモ計画」の名称で当初は人類脱出船として建造された。
しかし2198年、イスカンダルからの最初の使者、ユリーシャ・イスカンダルが地球へ到着。彼女からイスカンダルからの救済の意思、波動エンジンの設計図、そしてエンジン起動の要となる波動コアを携えた第二の使者が訪れる時期を伝えられ、亜光速の人類脱出船から超光速の宇宙戦艦への転機となった。
事実上の無限機関ともいえる波動エンジン、その実用化の目処。加えてイスカンダルからの数々の申し出。
半ば博打のような試みであったが人類はそれらに最後の希望を賭け、限られた人数が僅かな日数を生き延びる脱出船ではなく、高性能な航海能力と強力な自衛用武装・防御装置を備えた戦艦としてBBY-01を建造。イスカンダルから提供された申し出の一つである環境再生装置=コスモリバースシステム(旧作のコスモクリーナー)を自力で受け取るべく、最後の戦艦を大マゼランへ向かわせることを決定した。
すなわち、2198年におけるイスカンダルからの最初の使者到着の段階で「イズモ計画」は破棄、この段階より「ヤマト計画」と改名され、BBY-01は恒星間長距離航行戦艦として誕生することになったのである。
建造計画名は「A201-F5」と、旧海軍の大和型戦艦建造計画名(A140-F5)をオマージュしている。
また旧作では「沈没した戦艦大和そのものを改造して宇宙戦艦に生まれ変わらせた」というのに対して、2199では「沈没した戦艦大和の残骸に偽装して、地下より建造を進めた」と設定が変わっている。艦種は「国連宇宙海軍超弩級宇宙戦艦」。
艦番号と艦名も、国連宇宙海軍を示す錨のマークとともに、コスモゼロ用カタパルト付近に記載されている。
特に艦名は平仮名で「やまと」と、これも旧海軍や海上自衛隊の水上艦が艦名をステンシルするデザインを、文字体を含めてそのまま踏襲している。この点からはやはり「日本の戦艦」という印象を視聴者に与えている。
旧作のヤマトが戦艦大和と同様、全長263mとされたのに対して、2199では全長333mと大型化している。
全幅と全長も同様に大型化された。明確にはされていないが、基礎乾燥重量は10万トンを超えると思われる。そしてこれは新規の設定ではなく、実は初代テレビ放送時のスタジオぬえ・松本零士氏のイメージデザインに基づく。「戦艦大和にジェットエンジンをつけて、艦載機を搭載するならこの程度であろう」との構想がベーシックになっている。
旧作では前述の通り、ネームバリューと分かりやすさから戦艦大和と同規模にされたが、2199ではこの没設定を再利用して大型化している。ちなみに全長333mはニミッツ級航空母艦と同じサイズである。
艦内構造もかなり細密に設定された。一例をあげれば後部砲塔と艦載機格納庫の関係が最たるものである。
確かに2199のヤマトは大型化したが、ただ1隻の戦艦に40機以上の艦載機を搭載するにはどうするか?その点をスタッフは考慮し、最も容積を必要とするコスモファルコン戦闘機の格納庫区画を無重力化することで整備その他のスペース問題に対応。それでも補いきれないというニュアンスを付け加えるため、「第二副砲と第三砲塔は三式弾の弾薬庫を有さない」という設定が付与された。
また、かつての艦内万能工場もかなりデチューンされ、資源衛星や敵艦残骸から船体修理素材は加工できるが「シームレス戦闘機やアストロバイクまで何でも作れる」という設定は排除された。但し3Dプリンターをさらに進化させたようなものも搭載し、メイド服や水着程度であれば即座に製造可能でもある模様(加藤隊長の僧衣は私物)。
これはあくまで外観に関する話だが、ヤマトはシリーズ作品ごとにより、微妙に船体デザインが異なる。
手書き時代ゆえの不安定さとも言えるが、出渕監督はその中でもアスペクト比の大きい、スマートなデザインの船体形状を気に入っており、サンライズDIDがオファーを受けて作成したCGモデルに大いに歓喜したと言われている。 実際の外観全般は、CGベースに手書きを重ねたハイブリッドとのこと。
細部の「人間が扱う機械」としての、玉森順一郎氏の細かい書き込みも、非常に精緻なものとなっている。
特にロケットアンカー、戦闘用大型姿勢制御スラスターの細密な挙動。コミック担当のむらかわみちお氏による各種ディスプレイの書き込みは地上波アニメのクオリティとして、一歩飛び抜けたものとなっている。
ある意味では最も初代と違いを見せているのが、波動エンジンである。
これも詳細な設定が為され、十一次元空間から無限のエネルギーを取り出し、艦のあらゆる部署へ供給するという設定に加え、「波動コア」がなければ起動することさえ出来ないという、一種のオーパーツと化している。
それだけに同等系列の技術を使う、ガミラス戦闘艦のエンジンよりも出力は非常に大きい。
しかし最初に起動させるには、地球のすべての電力を集約せねば迅速な起動ができないなど、相応の枷が加えられている。補助エンジンは逆に、それまで国連宇宙軍が使ってきた核融合推進方式と明記された。
また、2199では本来ヤマトに乗り込むはずの幹部クルーが軒並み戦死しているという、重い設定が存在する。
そのため既存の機関には熟達していても、波動エンジン相手には素人に等しい徳川機関長・山崎応急長・藪1曹などが、手探りで波動エンジンを運用、段階的に失敗(最初のワープアウト時のオーバーヒート、同じく最初の波動砲発射の影響と見られるコンデンサの溶解)も交えつつ慣れていく描写が細かく追加された。
起動に際しては地球全土の電力が必要だったが、一度起動してしまえば再起動は比較的容易となっている。
仮に停止したとしても、それまでのエネルギーはフライホイールに多元運動量として保存され、波動砲攻撃やワープ直後などはフライホイールに保存されたエネルギーを用い、波動エンジンは迅速に再起動可能である。
なお、正式名称は「ロ号艦本イ400式次元波動缶」と、旧海軍式の命名になっている。
恐らくであるが「ロ号」は旧海軍大型艦用主機、「イ式」はイスカンダル式、そして「イ400」*は旧海軍最大の潜水艦のそれに因んでの名称と思われる。補助エンジンは「(21)74式」と、既存機関を思わせる古い型番となった。
緊急時はショックカノン、波動防壁のエネルギーをカットしてエンジンに回すことで更に高速運転が可能。
最近公開された星巡る方舟の公式PVラストで盛大なブースターを噴かして加速している模様がそれである。
*2199スタッフはイ400がお気に入りで、UX-01設定の基準、ガ軍甲種資料ナンバリングにも用いられている。
ヤマトはイスカンダルへの長距離踏破艦であり、実際の主任務は戦闘行動ではない。
しかし敵は余りにも強大なガミラス軍であるだけに、相応の重武装が施された。その最たるものは、木星の浮遊大陸を蒸発させ、グリーゼ581の巨大フレアを薙ぎ払った次元波動爆縮放射器=波動砲である。
他にも波動エンジンからエネルギーを供給されることで、莫大なエネルギー量を確保した陽電子衝撃砲(ショックカノン)がヤマトの主武装として挙げられる。
これまでの戦闘艦では、軸線砲として1門搭載がやっとであったショックカノンを、48サンチ3連装3基を主砲、20サンチ3連装2基を副砲として合計15門搭載。これらはガミラス艦の殆どを一撃で破壊可能で、発射速度も早い。
また、旧作の波動カートリッジ弾に類似した「三式融合弾」という主砲・副砲用実体弾も用意された。
これは大気や重力の存在する惑星・準惑星での間接射撃において特に有効で、メ2号作戦で反射衛星砲を粉微塵に破壊。対艦兵器としても十分な威力を持つ。ただし前述のとおり戦闘機格納庫容積確保のため、後部甲板砲塔は実体弾薬庫を持たない。
七色星団回戦の後の宇宙葬では、第二副砲が装薬式の弔砲を放っている。これについては「弾薬庫は持たないが空包射撃は可能」と先行劇場公開のパンフレットで明記されている。
対空兵装も強力で、複数口径の高角速射光線砲が4連装/3連装/連装の合計90門以上も搭載された。
他には艦首・艦尾・舷側などには空間魚雷発射管が多数搭載されている。これらに装填されている魚雷は「ユキカゼ」が戦果をあげた試製魚雷が原型で、威力と同時に機動性・命中精度が非常に高い。
また、現段階では出番がないが、ミサイル発射塔(煙突ミサイル)後部のマスト基部には空間爆雷投射機も搭載。
こちらはかつての波動爆雷のような垂直発射機ではなく、どちらかといえば第二次世界大戦の駆逐艦が搭載していた爆雷投射機(Kガン)に近い形状をしている。正式名称は94式爆雷投射機。
地上波では出番がなかったが星巡る方舟では対空防御兵装として活躍している一幕が見られる。
このように単独でも非常に強力な武装を持つヤマトだが、波動エンジン停止時は著しく弱体化する。
波動砲・ショックカノンなどは波動エンジンからのエネルギー供給なしでは連続稼働できず、三式弾や空間魚雷は強力だが射程や射界が限られるなどの弱点を有する。ヤマトの火力は波動エンジンの安定稼働にかかっている。
余談ではあるが、5基あるショックカノンの内、2199では第二副砲がとにかくよく破壊される。
旧作の魔の艦長席、第三艦橋に近い頻度で破壊されており、ファンの一部からは「第二の第三艦橋」とまで言われる始末である(天一号作戦で、真先に後部艦橋と第二副砲が被弾したことへのオマージュ?)。
…と思ったが実は第一砲塔も結構な頻度で破壊されており、ヤマトに安全な戦闘配置などないのかもしれない。
旧作のヤマトはある意味でご都合主義的な防御力と再生能力を備えていた。
しかし2199では素の装甲、あるいは構造物に被弾すれば、主に甲板員が担当する修理が必要なほどの損傷を生じ、状況によっては損傷状態のまま戦闘を継続するなど、旧作の説明無用の不死身さは鳴りを潜めた。
その上でヤマトに強力な防御力を与えているのが「波動防壁」である、正式名称は次元波動振幅防御壁。
次元波動エンジンの副産物であり、ミサイル発射塔(煙突ミサイル)近隣に防壁発振装置を搭載。そこから船体全体を通じてエネルギーを供給し、随所の波動コイルを用いてエネルギー状の防壁を展開する。
連続稼働時間は20分と短いが、ガミラスの陽電子ビーム砲や空間魚雷さえ阻止するなど、防御力は高い。
但し防御力にも限界は存在し、第5話の反射衛星砲の直撃や第15話の集中砲火のように、限界を超えれば貫通、もしくは稼働停止に追い込まれる。また「こっちの射撃は通るのに、何故相手の攻撃は防げるのか?」…という点も設定がなされており、ショックカノンや空間魚雷発射のタイミングに合わせ、部分的に解除が行われる。
こういった高い部分制御・解除を活用して、第15話のように艦首方向のみに最大展開を行い、可視化できるレベルの強力なバリアを展開することも可能である。普段の出力は80%に抑制され、被弾した時のみ青い発光で確認できる。
23話では15話同様に艦首へ波動防壁を最大出力で展開。前方に立ちふさがるガミラス親衛隊の巡洋艦はおろか、バレラス総統府に突っ込むと言う古の海戦の衝角戦まで披露してくれた。さすがに艦首は傷だらけ。甲板員はイスカンダルに着いても休息する暇がなかっただろう。お疲れ様である。
そしてこのヤマト最大の防御手段をコントロールするのが、信じがたいことにあの第三艦橋である。
第三艦橋自体が波動防壁のコントロール区画であり、艦橋両舷のウィングも波動防壁展開に重要なコンバーターシステムである。船底部が最も頑強に作られているあたりは、第三艦橋防御の意味合いもあるのかもしれない。
ヤマト自体も旧作のチートな防御力は払拭されたが、ガミラス艦と比較すると相当に頑丈に作られてはいる。
第1話の冥王星沖海戦などでは、同士討ちで味方の陽電子砲が直撃したガミラス艦が一撃で爆散しているのに対し、ヤマトは素でも恐らく「キリシマ」の段階で実用化された対レーザー複合装甲多重化などで、かなりの耐久性、防御力を発揮し続けている。
「徹底的な攻撃を受けてから、反撃に転ずる」というのが出渕監督のヤマトのコンセプトである。
それに「ヤマトは強力だがけして無敵ではない」という、それなりの現実味を付与した防御構造といえる。また、これは大和の構造そのものではないが、島大介航海長の、STIGも真っ青な操舵技術も被害抑制に貢献している。
戦闘などで生じたヤマトの損傷は、艦内工場で加工された素材を用いて修理される。
それを榎本掌帆長率いる甲板員たちが(勿論、時系列的には数日は必要なのだろうが)、次の話までにはショックカノンの砲身から波動防壁まで何でも復旧させており、地味だがチートじみたダメコン能力を誇っている。
基本的な周辺警戒は、艦橋横にある横長、縦長のアンテナ2セットの「99式空間電波探信儀」が行う。
これの所管は船務科で、普段は森雪船務長、西条1曹、あるいは岬百合亜准宙尉が交代で操作。作中の描写からして、最低で数十光秒に及ぶ模様である。但し亜空間に存在する目標までは探知できない。
このことはヤマト出港前から考慮され、亜空間戦闘の概念だけは存在したため別途試作装備が搭載された。
波動エンジンのワープ機関エネルギーの一部を亜空間トランスデューサーとして使用する、通称次元アクティブソナーである。搭載箇所はヤマトのバルバスバウに存在する。ただし自ら亜空間へ探知波を発信するため、敵艦に逆探知されるリスクも大きく、13話ではそれにより危機に陥った。
また、ショックカノンや波動砲の射撃指揮には、空間電探だけではなく電子光学式の測距儀も用いられる。
ショックカノンは主砲・副砲全てに測距儀が付属しており、捉えた映像は第一・第二艦橋いずれでも、砲雷長コンソールに表示。陽電子ビームと三式弾の両方において、かなりの精密射撃が可能となっている。
そして15m測距儀をモチーフの、これまで出番がなかった艦橋測距儀は、波動砲測距儀と設定された。
これは2199で初めて行われた設定であり、「主砲と合わせて回転しない艦橋測距儀とは何なのか?」という出渕監督の長年の疑問を、固定軸線砲である波動砲の測距儀と理屈付け、正式な設定とされた。
また、榎本掌帆長や古代戦術長が用いるような、個人双眼鏡タイプのマルチセンサーも多数搭載している。
これについては、絵コンテなどで参加している樋口真嗣氏の「海洋冒険ものには双眼鏡は不可欠」との意見がベーシックである。何気に距離及び方位角自動追尾、目標速度判別機能を備えるなど高性能である。
一年という長時間の航海を想定してか、軍艦としては非常に快適かつ充実した環境を備えている。
食事に関しては波動エンジンのエネルギー供給により成立した「オムシス」という、恐らくは物質リサイクルシステムを用いた食材無限供給システムが備えられ、これが故障しない限りは飢える心配は無い。
実際、その気になれば太陽系赤道祭のような、大規模な立食パーティーさえ開催できる食材を準備できる。
同時に平田一主計長以下、主計科の工夫により国連宇宙海軍カレーなどを始めとした、バリエーションの豊富なメニュー・期間限定メニューさえ準備され、清酒やビールの製造も可能な模様である。
その豊富なメニューには嗜好品である菓子類(マゼランパフェ等)もあり、美味さでメルダを驚かせている。
航宙艦隊司令官のご息女がパフェレベルで胃袋を握られてしまうあたり、ガミラスはメシマズ国家なのだろうか?
そして士官だけではなく、下士官兵レベルでも個室と二段寝台が当然のように準備されている。
現実の軍艦を考えるとかなり贅沢な構造で、他にもサウナや大浴場、さらに乗員の健康と体力維持のため、エアロバイクなども備えたスポーツジム、アンティークなテーブルや植物など落ち着いた内装の士官室のような区画も準備された。娯楽としては岬百合亜がパーソナリティのラジオ放送もある。
スタッフは海上自衛隊の護衛艦で体験航海を受けており、その点を大いに反映した設定となっている。
先ほどの二段寝台も海自における新しい世代の護衛艦が常備しているものであり、これをベースに家庭用の二段ベッド相当に拡張したものが、岬百合亜や原田真琴の居室などで確認されている。
なおこれを居住区に含めて良いか微妙ではあるが、軍規違反者収監用の独房も準備されている。
現在のところの収監経験者は、帰るべき母艦を失ったガミラス軍の軍使ことメルダ・ディッツ少尉。そして彼女との個人的な理由による空戦で、コスモファルコンの無断出撃と捕虜脱走幇助をしでかした山本玲3尉である。
後の16話以降では、反乱に加担した新見情報長や伊藤保安部長、藪1曹なども拘禁されている。おそらくは艦底部に位置するため、七色星団回戦でドメルのはなった雷撃隊の魚雷をもろに喰らい、収容されていた人員はほぼ全滅したと思われる。
これまでヤマトの医務室というのはかなり曖昧な構造とされてきた。作品によりレイアウトも異なる。
2199では歴とした外科手術室・トリアージ待ち負傷者安置区画・病院の一般外来診療室に近い診察室が設定され、13話で遊星爆弾症候群で倒れた沖田艦長のオペを行った、マイクロドローンを用いる水槽式特殊手術室さえ有する。
佐渡先生以外にも原田真琴の他数名の女性・男性看護師が常駐、多数の負傷者応急処置も可能である。
旧作では半ば一体化していた佐渡先生の私室は、畳敷きにブラウン管テレビやちゃぶ台…と随分とレトロなレイアウトであり、この点は初代を想起させるが、医療区画とはきちんと隔離されている。
少なくとも戦闘中の応急処置の最中、ヤマトカクテルを持ち込むような場所ではない…多分。後に本当に心が宿ってしまったのか、AU-09ことアナライザーが「ここは落ち着きます」と旧作風によくやってくることになる。
旧作ではかなり曖昧だった艦載機格納庫も、2199では艦載機の種類によって明確化された。
最も数の多い99式空間戦闘攻撃機コスモファルコンは、無重力化された第二格納庫に予備機含め36機を搭載。
出撃に際しては船底部のハッチから後ろ向きにカタパルトで発艦、着艦もこの区画から行われる。コスモファルコンは小型機だが限られた容積の中で大量の武装や整備機材を搭載するため、あえて重力制御はオミットされた。
第一格納庫は旧作で古代進搭乗機が出撃する区画に相当し、2199ではコスモゼロの専用格納庫となった。第三主砲後方、最上甲板から一層下の甲板に、艦の正中線を貫く構造材と思しき支柱群を挟んで、左舷に古代機、右舷に山本機の配置で格納されている。
こちらは重力制御が為されており、古代進、山本玲の搭乗する2機を格納。出撃時には格納庫両舷ハッチを開放、カタパルトまで誘導された後、LSO(発着艦管制室)のコントロールのもとに発進する。
メ2号作戦では旧作では作画の都合で不可能だった、カタパルト回転の上でヤマト艦首方向へコスモゼロを射出させる描写が追加された。これも出渕監督が長年入れたかった描写の一つのようである。
因みに雪がノラン達にさらわれた時、古代はこの格納庫からカタパルト無しで発艦するという離れ業を見せた。そしてとうとう最後まで第二格納庫に着艦するシーンは見られなかった…
第三格納庫は100式空間偵察機およびSC97空間輸送機「コスモシーガル」の整備運用区画で、第三艦橋直上部の両舷バルジに位置する。
重力制御については不明だが、アームを用いた離着艦方式が行われており、アナライザーがシステムサポートにもあたっている。離着艦に際してはバルジ中央のシャッターが開き、前後の部分もスライドしてして開口部を広げる構造となった。この点の構造は「キリシマ」など他の国連宇宙軍艦艇と同様である。
なにげにヤマト航空隊のメインとなる第二格納庫よりも出番が多かったりする。
ヤマトの艦載機はコスモゼロ2機、コスモファルコン36機、空間偵察機とシーガル各2機の計42機となっている。
これはガミラス軍の正規空母である多層航宙母艦(三段空母)に迫る搭載数で、人類脱出船を原型に往復33万6000光年を航海するにあたり非常に大きな汎用性と冗長性が望まれ、付与された搭載数といえる。
他にも航宙機ではないが、エンケラドゥスで用いたような作業機械・車輌収納区画も艦底部に存在する。エンケラドゥスで破壊されてしまったレーザー掘削機などを搭載した車体は、特2式多目的換装車と呼ばれており、作中では掘削機のみ搭載されていたが、他にも多種多様な機材の換装が可能。搭載定数は6台。
また、第一主砲前部の最上甲板から一層下の区画に、台船様の作業艇も搭載している。こちらの正式名称は作業用装載艇であり、メ2号作戦やカレル163沖海戦直後などに甲鈑部が復旧作業に多用している。
第二副砲後部の区画には、復活篇で副監督を務めた小林誠氏のデザインした「特殊ミサイル艇つくば」と酷似した内火艇が格納されていることも、21話の宇宙葬の場面で確認されている(以下星巡る方舟放映中のため反転)。
そして星巡る方舟で初めて明かされたがイズモ計画派によりキ8型試作宙艇が極秘裏に搭載されていた。
ヤマト計画の頓挫、反乱成功時に惑星探査に用いるための汎用調査艇であり、ヤマト乗員のほとんどが知らなかった機材である。「艇」とされているのは陸上や海上の調査にも携わるためとのこと。
旧作のヤマトでは、水上艦の航海艦橋に相当する第一艦橋以外はほとんど描写されていない。
2199でも最も多用されるのは第一艦橋であるが、これまで存在感が希薄であった第二艦橋も重装甲で覆われた戦闘指揮所(CIC)とされ、激烈な戦闘が想定される場合に第一艦橋要員が移動することになっている。
第三艦橋もただのネタ要素ではなく、波動防壁や慣性制御・ダメージコントロール指揮の中枢となっている。
2199では3つの艦橋は何れも重要な役割を持っており、「もう第一艦橋だけで良くないか」という曖昧さは排除された。なお、第二艦橋(CIC)の内装は、実在する海上自衛隊護衛艦のそれに非常に近いレイアウトである。
因みにアナライザーことAU-09はヤマトのサブコンピュータであり、索敵から艦載機収容までの補助処理も行う。
メインコンピュータは中央電算室に配置され、艦内制御が正常であれば、そこよりほぼ全ての権限にアクセス可能である。処理能力は高速なようだがアナライザーとセットとはいえ集中処理形式で、冗長性は乏しい。
ネットワークシステムを採用しつつも、どちらかのシステムにエラーが生じた場合、システムダウンも生じる。
事実、9話ではアナライザーがネットワーク経由でガミロイドと「会話」し、僅かなスレッド処理遅延が発生しただけで100式空偵のクレーン制御にエラー発生、システムダウンに至った。篠原の高い技量がなければ大惨事であった。
近年のイージス艦を始めとする軍艦は、こういった事態を回避するべく、ネットワーク分散処理を導入している。
この点は2010年代の技術・海上自衛隊の護衛艦をモチーフとしながらも、1974年初代ヤマトの基礎構造を踏襲したというべきであろう。指揮系統は冗長多重化、しかし処理系統は集中化と対照的な構造である。
原作のヤマトは乗員数114名と、戦闘機隊搭乗員の数を含めてもあまりにも少なかった。
2199ではその点を踏まえ乗員数は999名に増大、男女比も7:3となるなど、移民船計画時代の名残も有する。
同時に機関部=第3分隊、航空科=第5分隊など、海上自衛隊水上艦の艦内配置を意識した編成となっており、クルーの階級も自衛隊式となっている(真田志郎=3佐、古代進・島大介=1尉、加藤三郎=2尉など)。
また医療班などは正規の軍人ではない、軍属扱いとなっている。
佐渡酒造医官は2佐待遇、原田真琴衛生士は宙曹(下士官)待遇であり、厳密な意味での軍医や衛生兵ではない。求められる役割は同じであるが、彼らは元々は地下都市中央病院からスカウトされてきた面々である。
同時に治安維持を預かる保安部は、他の戦術科・航海科・機関科などと異なり「科」ではなく「部」である。
保安部長の伊東2尉も公式HPの紹介によると、憲兵や警務隊ではなく、情報部の出身者の模様であり、かなり特殊なセクションとも言える。ヤマト艦内で89式機関短銃を職権で持ち出せる唯一のセクションでもある。
因みにこの89式機関短銃はバースト射撃で、ガミラス警備ロボを無力化出来るほどの大威力を持っている。
戦艦として一番重装甲な部分であるとはいえ、ガミロイドオルタが脱走した時、第二砲塔装備室の隔壁に命中弾が出てしまっており、特に砲雷科は蒼白になったと思われる(装備室直下には三式弾の弾薬庫が存在)。
25話のガミロイド兵多数の襲撃を受けた時の応戦の様子などから、艦内緊急時には艦長、副長などの命令を得て、初めて97式拳銃や89式機関短銃による武装が許されるなど、艦内の小火器の扱いも厳密になっている。
初代では曖昧にされたが、片道十数万光年の航路を正確にワープするための区画も存在する。
乗員たちからは「開かずの間」と言われている自動航法室がそれに該当し、イスカンダルから供与された航海データが、コンピュータに入力されている。この航路データに従い、ヤマトはワープを繰り返している。
場所としては前甲板、第一砲塔前の楕円形突起構造物と、その下部に当たる。
しかしその区画では、森雪に似た女性の霊を見てしまったクルーも多い。第1話の段階で、榎本掌帆長が何らかのカプセルを、自動航法室へと搬入していたが…。
実際はイスカンダルまでのナビゲータとなる筈だった、ユリーシャ・イスカンダルが昏睡状態で収容されている。
彼女は地球での生活のパートナーとなるはずだった、森雪船務長ともどもテロないし大事故に遭遇して意識を喪失しており、ヤマトは彼女の記憶を特殊カプセル経由でトレースし、航路を不確かながら割り出していたのだ。
これは、真田志郎副長が新見薫情報長に、ヤマト計画中断を「出来ない相談」と切り捨てた理由の一つでもある。
道義上許されないことをしてしまったからには、ユリーシャの命がある限りは、万難を排してでも彼女を故郷イスカンダルへ送り届けることも、ヤマトの重要な任務の一つであったが故である。
「テロンの艦にイスカンダル人が乗り組んでいる」という、ガミラスも把握した情報は紛れもない事実だったのだ。
そして、自動航法室は、帰路も大切な役割を果たす。そして、悲痛なあるドラマの舞台となるのである…
このように「人が知恵と勇気で操り、それに伴う限界の存在する戦艦」として再定義されたヤマトだが、強力な艦であることに変わりはない。
航空隊と連携しての冥王星基地攻略作戦などでは、その汎用性と多用途性を十分に発揮している。他にもグリーゼ581のフレア突破、異次元断層からの脱出など、既存の地球艦では不可能な困難を多く乗り越えている。
そしてヤマトがこのように困難を乗り越えてきたのは、クルーのチームワークも大いに貢献している。
旧作に比較すると、どの乗員もかなり冷静で常識的になっており、チームとしても円滑に機能している。その上でオーパーツに等しいヤマトを操り、困難を乗り越えるという、昭和原作本来のコンセプトを見事にリメイクしている。
人馬一体の海洋冒険の主人公として、21世紀の価値観でリメイクされた「宇宙戦艦ヤマト」と呼べるであろう。
イスカンダルが何故、最初にコスモリバース(コスモクリーナー)を地球へと送り届けなかったのか。
このことはヤマトファンの間では長らく疑問とされてきたが、2199では「星の命の記憶を持つエレメントが必要」。つまり宇宙戦艦ヤマトという地球と地球人の記憶を宿す物体が到達せねば、機能できないという形で補完された。
つまりヤマトそのものがコスモリバースとなったのである。システムは奇しくも波動砲及び制御室に搭載された。
そしてこのシステムにはイスカンダルで命を落とした古代守の記憶、魂が宿っていた。ようやく最愛の人と気づいた森雪を失った弟の悲痛さを悼んだ守の記憶は、一度コスモリバースを起動させ森雪を蘇生。
しかしこれによりコスモリバースは機能不全へ陥る。しかしこの時に古代守はこのようにもつぶやいた。
「艦(フネ)をお返しします、沖田さん」と。
その前にも随所で古代守の思念体が幽霊として目撃されていたこと、沖田艦長が古代守の夢を見ていたという徳川機関長との会話から、あるいは沖田艦長へシステムを託すことを事前に告げていたのかもしれない。
そして沖田艦長が赤茶けた地球を前に命を引き取ると同時にシステムは再起動。沖田十三の魂と一体化して、再びコスモリバースとして再起動したヤマトにより、地球は青い姿を取り戻した。星を死に至らしめかねない武器を搭載した戦艦は、地球を救うシステムそのものへ生まれ変わったのである。
宇宙戦艦ヤマト2202ではコスモリバースシステムはヤマト級三番艦「波動実験艦銀河」に移乗され、波動砲を装備した宇宙戦艦として新たに整備されて再び宇宙へ旅立った。
bby-01(宇宙戦艦ヤマト2199)に関するニコニコミュニティを紹介してください。
掲示板
30 ななしのよっしん
2023/01/11(水) 19:57:55 ID: UMdkCKC71G
>>24>>26
同じIDの方がやってるから自演っぽいけど、個人的にその2199ssは見てみたい(本当にあるのかすら怪しいけど)。どのサイト?
31 ななしのよっしん
2023/02/18(土) 19:46:42 ID: Kde44SkUcl
>>9
今更だけど、2199第1章のパンフや公式設定資料earthでユキカゼの対艦砲弾が「敵艦防御フィールド近くで点火・超加速する」みたいに書かれる辺り、三式融合弾(徹甲弾の方)も単なる砲弾じゃないってことなのかも。
そもそも単なる砲弾だと、メ2号作戦で発射した時に(冥王星の重力の関係で)星の反対側にある反射衛星砲には届かず宇宙空間へ飛んでっちゃうし。
一定の場所で加速するようにセット出来たりする機能とか色々内包されてるって考えれば、あの威力や描写にも納得いく。
(基本はほぼ無誘導かつ燃焼薬莢での発射方式で速度は遅いため、高速で動く宇宙艦に対して有効射程が短い代わりに、センサー等での誘導が難しい場面で使いやすかったり、遅い分誘導がききやすいとかだとミサイルとの差別化も出来るかな?)
32 ななしのよっしん
2023/02/18(土) 22:21:57 ID: UMdkCKC71G
そもそも三式融合弾自体が1話で(古代の望遠鏡の数値から)約41000(m?)先のポルメリア級を数秒で仕留めたり、10~20秒で星の反対側の反射衛星砲台まで届いてる所を観るに、
21世紀の化学装薬式の砲弾の常識(精々初速は2000m/s、加えて言うならレールガンですら8㎞/s)が通用しないほど超高性能な代物なんだよなぁ...。
それでもほぼ光速のビームや、常に加速するミサイルに比べたら遅いだろうけど。
急上昇ワード改
最終更新:2024/03/29(金) 11:00
最終更新:2024/03/29(金) 11:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。