アジアインフラ投資銀行 単語


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アジアインフラトウシギンコウ

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アジアインフラ投資銀行 (Asian Infrastructure Investment Bank)とは、2015年に設立を目指している国際機関である。

正式名称よりは略称の「AIIB」「アジア投資銀」の方が多く用いられる(というかニコニコのタグもAIIBの方が多い)。

概要

これまでの欧米主導による金融の流れを補完・脱却する形で、中国が設立を目指している機関。現在は署名式を済ませた段階でまだ設立はされていない。正式な設立は2015年末ごろになる予定である。

設立への参加は、2013年と2014年の2回にわたって中国より提唱される。「2015年3月31日までに参加した国には創設メンバーとしての地位が与えられる」として参加が呼びかけられた。当初はアジア地域の国以外から参加はほとんどないと見込まれていたが、2015年3月12日に突如イギリスが参加を表明する。これまで静観していたG7から初の参加で、それに続くようにフランス・ドイツ・イタリアなどの主要国も参加を表明。日本とアメリカは「運営が不透明である」として留保し続け不参加となり、最終的に創設メンバーは57ヶ国で確定した。

なお署名式には50ヶ国が参加し、7ヶ国が欠席した(この時期に中国が行っていた南シナ海の埋め立てなどに対する影響もしくは抗議の意味と見られている)。

組織

組織概要
資本金 約1000億ドル
(約12兆円)
参加国 57ヶ国
本部 北京
公用語 中国語
理事会 12人
(アジア9人・域外3人)
出資比率 (1) 中国 (30%)
(2) インド
(3) ロシア
議決権 中国 25%以上
(事実上の拒否権あり)
総裁 金立群
(元・政務次官)
運用 2015年末(予定)

本部は北京(予定)、公用語は中国語(北京普通話)となる。資本金は1000億ドル(約12兆3000億円)で全体の75%をアジアなどの「域内」、残る25%を欧州を含む「域外」に割り振っており、出資国のうち中国が約30%で最大の出資国となり、重要案件の拒否権を握っている。原則として国内総生産(GDP)の規模に応じて分配をおこなう。

基本的には、参加国から拠出された資金を機関が集めて管理し、アジアのインフラ投資の対象となる国に投資するというものである。現状では、世界銀行(WB)、国際通貨基金(IMF)、アジア開発銀行(ADB)が行ってきた既存の手法と同じで、目立った変化はない。

ただ、これまでの機関と違うのはそれらを主導する国が中国ということである。IMFの場合は最大の出資国であるアメリカが主導し拒否権を持っている。ADBは日本とアメリカが主導していて代々トップも日本人が務めている。つまりほぼ全てアメリカ主導による金融支配が続いていたことで、中国をはじめ自国の意見が通りにくいという不満を抱えていた国が多かったことが今回AIIBに多く流れる原因となったのではないかといわれている。[1]

公式には「アジアのインフラ投資・整備の資金ニーズに対して、既存の機関ではまかないきれない部分の代替・補完を行う」という目的のもと設立が目指されているが、実質的にはWB、IMF、ADBなどと投資先や活動内容が重複・競合し得ると考えられる。そのため、国際的には「これまでアメリカによってとられてきたアジアの金融の主導権を中国の主導にもっていくため設立しようとしている」と見られているのが現状である。

また、これまでの機関(特にADB)が、「過剰な投資による焦げつき」や「経済性の優先による急速な環境破壊」を懸念しすぎるあまり、投資におよび腰になっていたこともあって、「機動性が低い」と批判が出ていたこともAIIBに流れる理由の一端になったのではないかと思われる。

 

参加国

域内メンバー

東アジア・オセアニア
  • 中国
  • 韓国
  • モンゴル
  • オーストラリア
  • ニュージーランド
南アジア
  • インド
  • パキスタン
  • モルディブ
  • ネパール
  • バングラデシュ
  • スリランカ
ASEAN
  • インドネシア
  • カンボジア
  • シンガポール
  • タイ
  • ブルネイ
  • フィリピン
  • ベトナム
  • マレーシア
  • ミャンマー
  • ラオス
中央アジア・西アジア
  • カザフスタン
  • ウズベキスタン
  • タジキスタン
  • キルギス
  • アゼルバイジャン
  • ジョージア(グルジア)

域外メンバー

欧州
  • イギリス
  • ドイツ
  • フランス
  • イタリア
  • スイス
  • ルクセンブルク
  • オランダ
  • オーストリア
  • デンマーク
  • フィンランド
  • ノルウェー
  • スウェーデン
  • アイスランド
  • マルタ
  • ポーランド
  • ポルトガル
  • スペイン
  • ロシア
中東・アフリカ
  • トルコ
  • イラン
  • エジプト
  • イスラエル
  • ヨルダン
  • サウジアラビア
  • クウェート
  • カタール
  • アラブ首長国連邦
  • オマーン
  • 南アフリカ
南米
  • ブラジル

参加国

不参加

  • 日本
  • アメリカ
  • カナダ
  • メキシコ
  • アルゼンチン

参加申請したけど拒否

  • 台湾
  • 香港
  • 北朝鮮

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関連項目

  • 金融
  • 国際機関
  • 経済
  • 中華人民共和国

関連リンク

脚注

  1. *事実、2015年4月に行われたG20の金融総裁会議では、(中国を含む新興国への警戒感から)発言力の増大を拒否権を使ってまで認めようとしないアメリカに対し、新興国から明確に不満が発せられており、アメリカ抜きの改革案も提案された。財務担当として出席していた麻生太郎も「不満が声高に出たのは前回より多かった」と発言している。(朝日新聞 20150419)
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