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アニメソング

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アニメソングとは、アニメで使われる歌などを指す。略して「アニソン」。

概要

アニメ内で使われているオープニング・エンディング曲、および挿入歌を指す。

人によってアニソンの定義は異なり、特にタイアップ系の楽曲について、これはアニソンではないと主張する人も少なくない。しかしどの楽曲も少なからずレコード会社とのタイアップといえなくはないわけで、アニソンの定義とは何か、を以下の記事から改めて考えてみてもいいだろう。

分類

分類といっても、音楽的なジャンル、アニメとの関連性、歌手や作曲家の立ち位置など、様々な側面から分類できるため、一口に分類できるものではない。あくまで下記のものはおおまかなものである。

  • 少年合唱団のみで歌われるもの
  • 70年代の、水木一郎たちアニソン歌手によるタイトルや必殺技を熱唱するタイプのもの
  • 堀江美都子や山野さと子など、児童を意識した童謡風の親しみやすい曲
  • 声優が歌う曲(アニメとは比較的に独立したものと、アニメとの関連性が強調されたものがある)
  • 電波
  • 90年代以降の、影山ヒロノブたちによる70年代の水木一郎たちのアニソンの特徴を継承したハードロック色の強い楽曲
  • アニメと直接的な関連を示す詞はないが、そのアニメのために作られた曲(有名歌手・作曲家によるものも含む。こういった曲は歌手のオリジナルアルバムに入らない場合もある)
  • そのアニメのためというよりも、そのアーティストのためという側面の強い曲(アニメを意識して作られている場合も含む)

歴史

黎明期(60年代)

1963年、国産初のテレビアニメ・鉄腕アトムが放送される。この主題歌は少年合唱団によるもので、メインとなる歌手はいない。この合唱団によって歌われる主題歌というのは、ウルトラマンなど当時の子供向け作品においてはよく見られるが、次第にコーラスとしてだけ使われるようになり、80年代になるころには姿を消した。

黎明期の時代においてはアニメを見て育った大人のアニメファンが存在しておらず、アニメは子供(それも小学生以下の児童)のためのものという認識が当然であった。そのため、主題歌は基本的に子供を対象としたわかりやすく親しみやすいものであった。といっても日本の歌謡シーン自体が親しみやすい楽曲を主流としていたので、それほど一般の曲とかけ離れていたともいえない。もーれつア太郎(1969)のように演歌を主題歌とするものもあった。

オバケのQ太郎(1965)、魔法使いサリー(1966)、ゲゲゲの鬼太郎(1968)、巨人の星(1968)、アタックNo1(1969)と時代を経るに至って、次第に独自のアニソン文化を築きあげていくこととなった。

70年代

1970年、あしたのジョーが放送開始。それまでのアニソンの常識を覆すような泥臭い主題歌、そしてその内容は子供のみならず中高生、大学生以上にまで影響を与え、後々のアニメの方向性を示すものであった。

1972年~73年の科学特捜隊ガッチャマン、マジンガーZ、キューティーハニーの主題歌は現在まで歌い継がれるほどの人気を誇る。これらの楽曲はアニソンのイメージを決定づけ、また水木一郎、子門真人、佐々木功、堀江美都子、大杉久美子といった定番歌手が多くのアニソンを歌うことになった。

また作曲家においては菊池俊輔、渡辺宙明、小林亜星といったTVと密接に関わりのある劇伴作曲家によるものが他の時代と比べて多い。日本の歌謡シーンにおいても少ない人数の有名作曲家が多くのヒット曲を作っていた時代であり、アニソンについてもそれは同じことであった。

1974年、宇宙戦艦ヤマトの放送開始。この作品は多くの熱狂的なアニメファンを形成することになり、児童を対象にしたアニメが当然だった時代に、中高生以上にも見ごたえのあるアニメの需要を認識させることとなり、第一次アニメブームへとつながっていく。

80年代

一部のアニソン歌手と作曲家によるタイトルを連呼するようなタイプのアニソンは、多くの人に愛された反面、アニメというもののイメージを固定化するものでもあった。

宇宙戦艦ヤマト、機動戦士ガンダムのヒットによる第一次アニメブームの時代のなか、もはやアニメは児童のためのものだけではなくなった。さらに時代は80年代バブル期の都会的なセンスを好むようになり、従来のアニソンは少しずつ時代の流れ、そしてアニメの内容とも合わなくなっていった。

TVアニメ放映時の機動戦士ガンダムの主題歌、エンディングテーマは従来のアニソンの延長上にあるものであったが、中高生を中心とした熱狂的なファンの後押しを受けて制作された映画版では、「砂の十字架」「哀戦士」「めぐりあい」といった児童向けではない、大人の鑑賞に耐えうる楽曲が映画を盛り上げた。さらに1985年の機動戦士Zガンダムでは、アメリカの全米No1を記録したことのある歌手ニール・セダカを作曲に抜擢した。

1979年、映画「銀河鉄道999」のゴダイゴによる主題歌は大ヒットを記録。それまでのアニソンとは違う、おしゃれで一般の歌謡曲と比べても遜色ない(というかゴダイゴそのものがアニメを抜きにしてヒットメーカーであった)この楽曲は、アニソンの新しい形を示すことになった。

1983年のキャッツ・アイでは有名歌手の杏里を起用。テレビアニメ初のタイアップともいわれるこの曲は、原作の80年代らしい都会的な作品観にマッチし、大ヒットを記録。同じ原作者によるアニメ・シティーハンターではその傾向にさらに拍車がかかり、TM NETWORKといったアーティストたちが多くの楽曲を提供した(これらの楽曲がシティーハンターという作品を意識して作られたものかは不明である)。

1985年、80年代最大のヒット作といえるアニメ・タッチでは、レコード会社側がプロモーションのため、新人歌手を起用する予定だったが監督の杉井ギサブローの反対により、タッチの世界観を表せる実力のある歌手として岩崎良美が起用された。その後のヒットはいうまでもないだろう。

中高生を意識したアニメでは以上のようなタイアップ傾向が強くみられたが、キン肉マンやドラゴンボールなど少年を対象にした作品ではそのアニメのためだけに作られた主題歌が多かった。70年代のアニソンと比べるとかつての有名アニソン歌手が歌うことは少なくなったことが大きな違いといえる。

アニメのために作られた主題歌にしても、直接的にアニメを描写したような歌詞の楽曲は減少した。富野由悠季監督は井荻麟名義でダンバインまではアニメと直接関連のある詞を書いていたが、エルガイム以降「スターライトシャワー」や「一千万年銀河」とより抽象的にアニメの世界を描いた詞を書くようになった。その他のアニメでも、夢や冒険など別のアニメでも通用するような抽象的な表現でアニメの世界を書いた詞が多くなった。

1980年代後半は、おニャン子クラブのメンバーやユニットによるタイアップ曲が多く見られた。作曲家は豪華であり悪いものではなかったが、その歌唱力については今でもネタにされたりすることがある。

80年代のアニメソングを総括すると、そのアニメのためだけに作られた楽曲よりも、時代の流行や雰囲気を感じさせる楽曲が主流であった。歌詞も抽象的なラブソングなどアニメとは直接関わりの無いものが多くを占めた。しかしながら、歌手はタイアップでも作曲家は実績のある外部のプロによるものが多く、おおまかな作品の傾向は捉えた楽曲がほとんどであったことや、作品自体が旧来のアニソンではそぐわない雰囲気のものが多かったため、否定的な見方をするファンもいるがその人気は70年代までのアニソンと比べて決して劣るものではなかった。

80年代末期~90年代中期

1990年代前半の音楽シーンは、サビのキャッチーさが何よりの特徴として挙げられる。その90年代前半のJ-POPの代表格といえるビーイング系アーティストは、あえて戦略的にテレビの音楽番組には出ることを避け、ドラマやアニメでのタイアップをすることで大きく売上を伸ばした。音楽的には、キャッチーなボーカルのメロディラインとロック色の強いバンド演奏(ハードロック風のバッキングや速弾きが多い)が特徴である。ただし中心人物である織田哲郎については、ちびまる子ちゃんの「ゆめいっぱい」「おどるポンポコリン」、クレヨンしんちゃんの「動物園は大変だ」など幅広い楽曲を手掛けた。

また、日本の音楽シーンにおいて、裏方のプロ作曲家が曲を作る時代から、自分で作詞・作曲をするロックバンドやシンガーソングライダーが増えた時代であった。自ら作詞・作曲をした歌手としてはガンダム0080の椎名恵、幽☆遊☆白書の馬渡松子と高橋ひろ、魔法陣グルグルの奥井亜紀、忍空の鈴木結女などが挙げられる。アニメソングらしいアニメソングとは違うが、ビーイング系のような売れ線の音楽とも違う独特の世界観はそのアニメと密接に結びつき高い人気を誇った。

アニメのために作られたアニメソングらしい楽曲を挙げると、ムーンライト伝説(美少女戦士セーラームーン)、わぴこ元気予報(きんぎょ注意報!)、炎のゴーファイト(ドッジ弾平)などがある。アンパンマンや藤子F不二雄作品など児童向けアニメも数多く作られ、山野さと子やドリーミングといった歌手による童謡風の楽曲もあった。一時アイドル歌手による主題歌の多かった世界名作劇場だがその方向性を変更、ロミオの青い空の「空へ」といった人気曲が生まれた。

全体としてはタイアップから非タイアップまで、幅の広い立場からアニメソングが作られた。音楽的にはメロディラインを重視した歌モノが中心である。また一部を除いて音楽番組などの露出の多い歌手は少なく、仮にタイアップでもアニメソングを歌うアーティストの顔を知らないことが普通だった。そのため現在のアニソンの二極化と比較すると、タイアップと非タイアップによる差は少なく中間的であったといえるだろう。

90年代後期

1995年のエヴァンゲリオンを中心とするテレビ東京系のアニメのヒットから、第二次アニメブームが到来。また、小室哲哉ブームの余波から1996年あたりからアニメソングにおいても打ち込み、テクノ風のエイベックス系の楽曲が多く見られるようになった。

世界名作劇場の終了や藤子F不二雄の死去といった出来事のあった児童アニメでは、アニメ・ポケットモンスターの「めざせポケモンマスター」「ポケモン言えるかな」が大ヒット。ノリのいいポップ性の強い曲が増えた反面、それとは逆に童謡風の親しみやすい楽曲はこのころから減少。児童向けアニソンにおいて大きな転機となった。

「残酷な天使のテーゼ」「ゆずれない願い」といった楽曲が大ヒット。タイアップによる売上の影響力が認知され、エイベックス、GIZA(前ビーイング)、ソニー・ミュージックなど大手レコード会社がアニメに直接スポンサーとして携わるようになる。

第二次アニメブームの中声優人気も上昇し、特に林原めぐみはヒット曲を量産。自身が主役を務めるアニメでは多くの主題歌を歌った。

また1998年のカウボーイビバップでは、キャッチーさが求められがちだったアニソンのイメージを一新。このような楽曲傾向は特にコアなアニメファンに受け入れられ、キャッチーさよりアーティスト性を全面に出した現在のタイアップ曲が受け入れやすくなる素地ともなったかもしれない。

上記の理由から、1996年前後ではアニメソングの楽曲傾向や雰囲気が一変し、現在までのアニメソングの流れを作ることになった。

00年代以降

少子化などの影響による一般層のアニメの視聴率が大きく低迷。それとは逆にエヴァンゲリオンを中心とした第二次アニメブームで育ったオタク層が急激に増加し、アニメ業界は2000年前後から新たなビジネスモデルを模索することになる。

2000年以降のアニメは、レコード会社がスポンサーとなっていることが非常に多い。00年以降のアニソンを分類すると、

  • 「有名歌手、売り出し中の歌手によるタイアップ系」
  • 「アイドル声優による萌え系」
  • 「アニオタに人気のあるアニソン歌手による燃え系」

におおまかに分類されると思われるが、いずれにしても売上(需要)がかなり重視されている。非タイアップ系といわれる楽曲でも、レコード会社によるCMが毎回のように流れることは少なくない。これはアニメの収益モデルにおいて、アニソンが重要な要素を占めていることを表しているといえるだろう(そのためNHKのアニメソングの選考基準については民放のアニメソングとは少し違った傾向を見せる)。

タイアップ系については、以前よりアニメの内容を理解したうえで作詞・作曲するアーティストが増えているといわれる。ただし、そもそもアーティストとしての楽曲の世界観が確立されているバンド(あくまでそのアーティストの固定ファンにも支持される楽曲でなければならない)などによる作詞・作曲による場合が多く、以前と比べて自身のアーティスト性を強く押し出した楽曲が非常に多くなった。歌手はタイアップでも外部の作詞家・作曲家によって作られていた80年代と比べてどちらがアニメに合っているかは意見が分かれるところだろう。

非タイアップ系については、80・90年代までの楽曲よりも、アニソンとしての個性が強いものが増えた(上記の萌え系、燃え系)。

00年代の特徴として、Mステに出演するようなアーティストによる曲(アーティスト性が前面に出された曲)と、強くアニメファンを意識したアニソン(アニメソングであることが前面に出された曲)に二極化したことが挙げられる。90年代(末期除く)の、中間的なアーティストによる楽曲が多数を占めた時代とは対照的といえるだろう。

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