アムリッツァ星域会戦 単語


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アムリッツァカイセン

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銀河英雄伝説の戦闘
帝国領侵攻作戦
アムリッツァ星域会戦
基本情報
時期 : 宇宙暦796年/帝国暦487年 10月中旬
地点 : 銀河帝国・アムリッツァ星域(恒星アムリッツァ上空)
結果 : 銀河帝国軍の勝利
詳細情報
交戦勢力
ゴールデンバウム朝銀河帝国軍 自由惑星同盟軍
総指揮官
宇宙艦隊副司令長官
ラインハルト・フォン・ローエングラム元帥
宇宙艦隊司令長官
ラザール・ロボス元帥
(在イゼルローン要塞)
動員兵力
ローエングラム直率艦隊
 ロイエンタール艦隊
 ミッターマイヤー艦隊
 ケンプ艦隊
 黒色槍騎兵艦隊
キルヒアイス艦隊(3万隻)
総数約10万隻
 (括弧内は原作に無表記)
第5艦隊(ビュコック中将)
第8艦隊(アップルトン中将)
第13艦隊(ヤン中将)
 第10艦隊(残存部隊)
損害
黒色槍騎兵艦隊の9割
その他僅少
ラインハルトのプライド
第5艦隊の過半数
第8艦隊の壊滅
第13艦隊の半数近く
戦艦<ユリシーズ>の排水処理システム
帝国領侵攻作戦
同盟軍補給部隊の壊滅 - アムリッツァ前哨戦[1]
(レーシング - ビルロスト - ドヴェルグ - ヴァンステイド - アルヴィース - リューゲン - ボルソルン - ヤヴァンハール)
- アムリッツァ星域会戦
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アムリッツァ前哨戦 リップシュタット戦役
救国軍事会議のクーデター

アムリッツァ星域会戦とは、「銀河英雄伝説」の戦闘の一つである。

概要

宇宙暦796年/帝国暦487年、自由惑星同盟軍が帝国領に大挙侵攻した帝国領侵攻作戦における最後の戦闘。

いわゆるアムリッツァ前哨戦ですでに大打撃を受けていた同盟軍は、この決戦における敗北により回復不可能の甚大な損害を被ることとなった。

経緯

作戦全体の詳細については「帝国領侵攻作戦」を参照。

宇宙暦796年/帝国暦487年10月10日、物資を引き上げての焦土作戦を続けていた帝国軍はついに大挙反撃に転じ、物資不足のために戦力を低下させていた同盟軍遠征部隊は随所で潰走を余儀なくされた。

これを受け、同盟軍遠征総司令部は再攻勢を期して10月14日までにイゼルローン回廊の入口に近いアムリッツァ恒星系A宙点に集結するよう各艦隊に指示。呼応した帝国軍もアムリッツァに集結し、ここに決戦、アムリッツァ星域会戦の舞台が整えられた。

戦力

同盟軍遠征部隊は8個艦隊を動員したが、アムリッツァ星域会戦に至るいわゆる「アムリッツァ前哨戦」を経てなお艦隊司令部を維持していたのは、第5艦隊(司令官アレクサンドル・ビュコック中将)、第8艦隊(司令官アップルトン中将)、それに第13艦隊(司令官ヤン・ウェンリー中将)の三個艦隊のみであった。これらの部隊も、敗走の結果、遠征開始時に比して第5、第8艦隊が3割、第13艦隊が1割の損害を出し、数を減少させていた。

司令部を喪った他の同盟軍艦隊の残存部隊の状況はほとんどが不明だが、司令官ウランフ中将が戦死した第10艦隊に関しては3割が撤退に成功し、第13艦隊の指揮下に入った。その他第9艦隊も、司令官アル・サレム中将から指揮を引き継いだライオネル・モートン少将のもと、かろうじて艦隊の全面崩壊を防いでいる。

これらの同盟軍諸部隊の総司令部となるべきロボス元帥の遠征総司令部はいまだイゼルローン要塞を動かず、同盟軍は全体の指揮に問題がある状況で戦闘に臨むこととなった。

一方帝国軍の動員数は約10万隻に達し、アムリッツァ前哨戦を経てなお戦力をほぼ保っていたが、ジークフリード・キルヒアイス中将の指揮する全軍の三割、約3万隻に別行動を取らせていたため、戦闘開始時の総兵力は7万隻程度(ローエングラム直率艦隊含む)であったと考えられる。

戦闘経過

10月14日を期してアムリッツァ恒星系に集結した同盟軍に対し、帝国軍のうちロイエンタール、ミッターマイヤー、ケンプ、ビッテンフェルトらの艦隊はラインハルト・フォン・ローエングラム元帥直率のもと、密集隊形をとって正面から決戦を仕掛けた。これはこのとき帝国軍キルヒアイス艦隊が同盟軍後方への繞回運動をとっており、その意図を隠すためのものであった。一方同盟軍はそれを予測して後背に4000万個の核融合機雷からなる機雷原を設置しており、帝国軍の後背襲撃を遮断妨害しえるはずであった。

戦闘開始直後、恒星アムリッツァの炎の影に隠れていた同盟軍第13艦隊は帝国軍側の意表をついて一挙に突進を開始し、ミッターマイヤー艦隊に火力を集中させた。これにより旗艦<ベイオ・ウルフ>左舷被弾を始めとする痛撃を受けたミッターマイヤーは柔軟な陣形変更によって追撃を阻止しつつも、いっとき後退を余儀なくされる。

第13艦隊の攻撃を受けた帝国軍側はかわって黒色槍騎兵艦隊が突撃を開始し、同盟軍第13艦隊と第8艦隊の間に位置するD4宙域へと強引に侵入を果たした。これに第13艦隊はヤン・ウェンリーの指示で防衛戦を築いて対応したが、第8艦隊は持ちこたえきれず大損害を受けて瓦解。第8艦隊を片付け挟撃状態を脱した黒色槍騎兵艦隊は、第13艦隊へと矛先を転じた。しかし、ヤン・ウェンリーはその一瞬の隙を利用し、黒色槍騎兵艦隊に対し反撃に転じ、至近距離で猛射を受けた黒色槍騎兵艦隊は一挙に崩壊する。

だがその時、すでに3万隻におよぶ帝国軍キルヒアイス艦隊が繞回を完成させつつあった。キルヒアイス艦隊は太陽の磁気重力に想定以上の妨害を受けて遅れつつも、どうにか監視を避けて同盟軍後背の機雷原に迫ったのである。キルヒアイス艦隊は同盟軍の知らない新兵器「指向性ゼッフル粒子」によって瞬時にして機雷原に通路を切り開くと、同盟軍の後背に襲いかかった。

この時点で、アムリッツァ星域会戦の勝敗は完全に決した。
捨て鉢の反撃が帝国軍を一時圧倒した宙域こそあったものの、同盟軍の指揮系統はほとんど崩壊し、ただ第13艦隊のみが踏みとどまって敗走を援護した。ヤン・ウェンリーは得意の火力集中戦術をもって帝国軍の指揮を乱しつつ、弱体化した黒色槍騎兵艦隊を突破し撤退する機を窺っていた。気づいたキルヒアイス艦隊は援護を試みたが、敗走中の同盟艦がとった無謀な行動によってついに援護しえず、ついに第13艦隊の退却を許すこととなった。

結果

アムリッツァ星域会戦を含む作戦全体の結果については「帝国領侵攻作戦」も参照。

同盟軍は、もとよりアムリッツァ前哨戦で大幅に減らしていた遠征戦力を更に失う事となった。前哨戦を経て司令部を維持し得た三個艦隊のうち、第5艦隊と第8艦隊は半数以上が失われ、過半数を残したのは第13艦隊のみであった。直接砲火に撃沈されなかった艦も、恐慌状態に陥った末の無計算の亜空間跳躍で消失、排水処理システムに軽微だが深刻な被害を受けるなど、多くの損害を受けている。

いっぽう帝国軍の損害は全体的に見れば些少であったが、ビッテンフェルト中将の率いる黒色槍騎兵艦隊のみ、戦闘中盤で被った大打撃に加えて極めて大きな損害を被った。最終盤において黒色槍騎兵艦隊は同盟軍第13艦隊の撤退ルートにあり、その猛攻に立ちはだかったものの衆寡敵せず、旗艦以下数隻に至るまで数を減らしたのである。また、司令官ビッテンフェルト中将自身も、功を焦って戦線を危機に晒したことにより自室謹慎処分を受けたが、キルヒアイス中将のとりなしにより罪は免れている。

OVAにおける描写

OVAでは、原作に会戦参加の記述がある指揮官に加え、ラインハルト側にメックリンガー、キルヒアイス艦隊にルッツ、ワーレン両提督が登場している。

ストーリー自体の改変は戦闘序盤、第13艦隊がミッターマイヤー艦隊に一挙猛撃を加えるシーンが中心で、この部分は映画「わが征くは星の大海」のレグニツァ上空戦の描写を受け、同戦闘でラインハルトがとった作戦をヤンが「おかえし」する形で恒星アムリッツァに融合弾を投下、それによって発生したフレアに乗って急加速・襲撃する流れとなった。

また、原作では「すでに同盟軍第八艦隊は瓦解し」とだけ記述されている第8艦隊については、機関部に被弾し恒星アムリッツァへと引き込まれていく旗艦<クリシュナ>の中で司令官アップルトン中将が退艦を拒否するシーンが追加されるなど、原作では不明瞭だった部分の描写が追加されている。

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OVAでは本伝15、16話にかけてアムリッツァ星域会戦を描写している。

関連項目

  • 銀河英雄伝説
  • 帝国領侵攻作戦

脚注

  1. *OVAの地名設定に拠る

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