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この記事はとある魔術の禁書目録の重大なネタバレが含まれています。 全体的にピクシブ百科事典の記述と一部似てますが、同一編集者によるもので無断転載ではないです。書き直し大歓迎。 |
コロンゾンとは、
記事では「元ネタとなったコロンゾン」と「禁書目録のコロンゾン」を解説する。
1909年に魔術師アレイスター・クロウリーが召喚した悪魔。
喚起の理論はジョン・ディーのエノク魔術、その中の魔術的宇宙が基となっており、クロウリーが実践したのも、ディーが提唱した30もの「Aethyr(アエティール)」或いはエア、領域から、「天使」「悪魔」等とも表現される高次意識体との交信・接触を試みるものであった。
クロウリーもディーの神秘学に影響を受け、既に「テクス」「リイ」と呼ばれるアエティールへの没入を済ませている。
クロウリーは喚起を一時期中断していたものの、聖守護天使エイワスの「声」を聞いた事で、1909年に弟子のヴィクター・ノイバーグを連れて作業を再開、ノイバーグと共に北アフリカを旅し、残りの「体験」を成功させたのだった。
余談だが1909年は妻ローズ・クロウリーとの離婚で第二子ローラ・ザザ・クロウリーの親権を渡し、『黄金の夜明け』の秘儀を公開して魔術業界を騒然とさせ、そしてかの万物照応表を記した「777の書」の初版が発行された、彼にとって激動の年でもある。
コロンゾンは「黄金の夜明け団」や「銀の星」における実践的な魔術師の修行過程で、カバラの第3セフィラ「ビナー」と第4セフィラ「ケセド」間にわだかまる「ダアト」(深淵と表記されている)を渡る際に、その深淵から結合を妨げる存在とされる。
ビナーは8=3すなわち「神殿の首領(マジスターテンプリ)」の位階に対応しており、コロンゾンの妨害を超越することは、アデプトに課せられた試練である。
天使に一度阻まれ撤退した第14番目《ウティ》のアエティール以外は、喚起作業は特に支障もなく行われていた。しかし第11番目《イクー》と呼ばれるアエティールで、深淵の主「コロンゾン」の危険性を聞き、クロウリー達も万全を期した。
第10番目のアエティールはザクスと呼ばれる
このアエティールは呪われており、霊視を得る者がその事を事前に警告されているため、筆記者のために予防措置を取ることにする。邦訳《霊視と幻聴》より
それは3羽の鳩の血で「魔法陣」を描き、その陣の「三角形」の中に入ったクロウリーと霊的なダメージを負うことなく一時的に同化するという理論であった。
「ZAZAS ZAZAS NASATANADA ZAZAS」と有名な古の呪文を唱えると悪魔コロンゾンが降臨し、陣の中(三角形の外)に居たノイバーグを様々な手法で誘惑し始める。悪魔コロンゾンは美女、賢人、蛇、様々なものに姿形を変えるがノイバーグは動じない。
ここでノイバーグは93の聖守護天使エイワスに祈る。悪魔は「私は天使(エイワス)を知っているぞ。天使と汝らの交渉は全て、不潔な魔女の仮面に過ぎないのだ」と言った。
ノイバーグはこの後、悪魔に呼びかけを命じ、悪魔は自分の本質が「ディスパーション」(拡散,分散)であると告げた。しかし油断したと見たのかコロンゾンは魔法陣の円に砂をかけ、魔法陣の円を消し、人の姿を取ってノイバーグに襲いかかった。
コロンゾンと取っ組み合いになったノイバーグは持っていた魔術剣のおかげでなんとか元いた陣の中に戻すことが出来た。
そしてコロンゾンは「全ての物事は拡散である。拡散こそが物事の本質足り得る。10番目のアエティールは付随物の世界で本質がないのだ」と言う。
コロンゾンはそこからもしばし誘惑を続けたが、幾つか言葉をかわし、やがて鳩の血の効力が切れたのかクロウリーの体から去っていった。
クロウリーはこの作業を乗り越え、「マジスターテンプリ」(8=3)の位階に達した。
1909年にアレイスター=クロウリーが召喚した、既存の「邪悪の樹(クリフォト)」にも収まらない悪魔。
またの名を「ザクス」。カバラ(ゲマトリア)の数秘術において「333」の数価で表される高次存在。人の叡智の獲得を妨げ、世界に汚泥と悪逆を撒き散らす大悪魔であり、「混乱と拡散」を目的とする。
禁書でも史実通り、アフリカ旅行に赴いたクロウリーによって現世に呼び出された。この時にクロウリーが取った方法は、倫理的な問題で推奨されていない生物を材料とした召喚儀礼だった。
かつてクロウリーが『黄金』に所属していた際、真理を解き明かすためクリフォトを基に世界を再計算した上で「鳩の血」を使って魔法陣を形成し、高次元存在の召喚・制御を完璧に成功させている。1909年に行ったコロンゾンの召喚実験も、基本的にはそれと変わらない。
当時、クロウリーは30もの天使と接触する事で「セフィラとセフィラの間」を越えようとした。
そこで10番目の領域にわだかまる『深淵』をまたぐために、その『深淵』と同化することで霊的なダメージを負うことなく目的を達成しようとしたのだという。
喚起対象の30もの天使の内、10番目にわだかまる『深淵』にいた存在がコロンゾンである。
魔法陣形成には三羽の鳩の血が使われ、クロウリー自身を霊媒に召喚されたが、クロウリーの制御すら振り切ってその場に居た弟子のヴィクター=ニューバーグを騙し、殺そうとしている。
だがこれはクロウリー達の予想の範疇だったようで、あらかじめ付き従わせていたニューバーグが適切に機能し、クロウリーの体から追い出されて事なきを得た。
ミナ=メイザース曰く、クロウリーにとってコロンゾンの一件は失敗扱いで、その後は『深淵』を越える事にも見切りをつけたらしい(彼の魔術嫌い、人間である事の挟持と共に『魔神』にならない理由の一つと推測される)。
成否はどうであれ、「獣の魔法名を持つ男」の制御を振り切った悪魔の名が魔術史に刻まれる事になった。
以上が史実を基にした過去話。ここからは禁書の完全オリジナルである。
禁書における大悪魔コロンゾンの暴走は、全てサミュエル=リデル=マグレガー=メイザースが仕組んだ計画だった。
実はクロウリーよりも前にメイザースがコロンゾンの召喚に成功しており、「初めて召喚されたふりをしてクロウリーを破滅に導け」と契約を交わしていた。
1909年に召喚された時に一度失敗したが、メイザースとの契約は切れなかった。
その為、仕方なくクロウリーの2人目の娘「ローラ」(史実で言うローラ=ザザ=クロウリー)に憑依し、「ローラ=スチュアート」と名乗ってクロウリーを始末する為に策を巡らせていた。
スチュアート姓はメイザースが「スチュアート王朝」の復活を願っていた事に由来する偽名。このファミリーネームを名乗るのは一種のサービス精神らしい。
普段はローラの長髪の奥に隠れている。古い民間伝承では「女の髪には魔が宿る」と云うが、純金の髪留めを外すと伝承通り膨大な髪に「悪魔」の顔が浮かび上がり、髪自体が意思を持った生物のように蠢く。
ちなみに、本性を曝け出した後も土御門元春から教わった妙な日本語は変わらなかった…。
初登場…というより正体バレは新約18巻。
しかし、2006年に発売された「電撃BUNKOYOMI」収録の番外編SS『とある三月の二〇一巻』では「サハラの一点で蠢くアレ」として存在が示唆されていた(他にも今後の伏線が散りばめられていたりする)。
また、新約14巻のネフテュス視点で語られた、かつてイシス・オシリス・ホルスと時代を区切った男が召喚した「誰も聞いた事のない大悪魔」もコロンゾンのことである。
クロウリーの「プラン」を妨害する為に直属の魔術師「烏丸府蘭」をスパイとして上里勢力に送り込み、クロウリーにとってのイレギュラーである上里翔流を学園都市に誘導するなど裏で暗躍していた。結果的に言えば、府蘭は恐らくコロンゾンの予想以上に機能し、学園都市のインフラを壊滅状態に追い込んでいる。
エレメントの一件が収束した頃、イギリス清教の回収部隊を都市部周辺に送った。
実はその時に「積み荷」に紛れて秘密裏に都市内に侵入しており、「窓のないビル」にて上条との対決に敗れたクロウリーを「ダモクレスの剣」を突き刺して殺害した。
メイザースとの縁が切れることに歓喜の声をあげたのも束の間。直後にクロウリーは10億人以上に分化してしまう。コロンゾンは全てのクロウリーを殺さなくてはならなくなった。
新約19巻の開幕数ページでクロウリーによって『窓のないビル』と共に宇宙に打ち上げられた。
宇宙でエイワスと交戦しつつ、学園都市を完全に制御する為に烏丸府蘭を霊媒にして操り、学園都市の統合データベースである今代の書庫(バンク)「プロセッサスーツ」を奪取。
囮として浜面仕上に予備のプロセッサスーツを着せたが、そのせいでプロセッサスーツ間の競合が発生して書庫にアクセス不可能となってしまい、仕方なく浜面を狙うことになる。
クロウリー達が府蘭を解放した頃、コロンゾンはエイワスを倒した。そして外宇宙から地球圏に高速で帰還して『窓のないビル』を学園都市に落とし、遂に学園都市を消滅させた。
……かと思われたが、『窓のないビル』は超高速で太陽圏外から地球に戻った為、ウラシマ効果が生じて本来の時系列からズレた「新天地」へと墜落していた。
奇跡的な確率でしか起こり得ない現象だが、クロウリーは計算ずくでコロンゾンを宇宙に放り出したらしい。
エイワス「ならばついでにもう一つ。……浦島太郎の孤独でも味わうが良い、デブリ野郎」
そこにいたのは、暇を持て余していた魔神達だった。
コロンゾンは新天地に迷い込んだ挙句、魔神のオモチャ退屈凌ぎとして戦闘に付き合うことに…。
理屈は不明だが、あの魔神達との戦闘で疲弊しつつも新天地から力技で脱出している(ちなみに娘々とネフテュスもうっかり付いてきた)。
魔神相手に生き残ったのは勿論、上条達が新天地から上里を連れ戻す為に丸々1巻分使ったのに速攻で戻ってくる辺り、流石は大悪魔と言うべきかもしれない。
しかしコロンゾンの帰還直後、クロウリーによって学園都市の機能が凍結され、もはや学園都市を乗っ取ろうが次世代兵器も次世代技術も全て利用できなくなった。
憔悴したコロンゾンは生まれたての子鹿のように地面にへたり込んでしまう。
そして、クロウリーに「宣戦布告」の言葉を叩きつけられた。
「必ず娘(ローラ)は返してもらう。だから孤独の城で首を洗って待っていろ、ゴミ虫」……と。
最後にはクロウリーに頭を思いきり踏みつけられ(※封印の魔術的記号)、学園都市に封じられる。
新約20巻では、予め配備していたクリファパズル545や神威混淆(ディバインミクスチャ)が活躍。後者は実際にクロウリーを負かしたほど効果的な霊装だった。
インデックス
「でも、根拠になっているのは大悪魔コロンゾン自身の言葉しかない。世界の結合を妨げるあの悪魔が、聞かれもしない真実をそのまま話すだって?ありえないんだよ」
「ローラ=スチュアートがイギリス清教最大主教として初めて資料の中に出てくるのは1909年。その後はずっと年齢不詳、変わらぬ美貌の持ち主として歴史の転換点で顔を出している感じだけど…」烏丸府蘭
「何か不審な点でも?アレイスターが大悪魔コロンゾンを呼び出したとされる年と変わらないはずですが」インデックス
「その時、二人目の娘ローラがこんな大きな姿に成長してると思う?最初にリリスが生まれたのだって1904年だったのに」「なら、これは誰?」
抱きしめた娘であるはずの存在に刺されるクロウリー、そして彼の血にまみれるコロンゾン。
悪魔は上条に正体を指摘され、猿芝居をやめ、クロウリーを踏みつけ、狂喜するのだった。
余談だが、新約21巻後に「インデックスのローラ・ザザ・クロウリー説」が一部で話題になった。
というのもローラ=スチュアートのデザイン(容姿)はインデックスが成長した姿で、インデックスとクロウリーは髪や眼の色が一致している為である。まぁ、実際の設定がどうなのかは不明だが……。
件の卒業式SSは、他にもこれでもかと今後重要になる要素・伏線が盛り込まれていて、コロンゾンの初期構想なんてほんの一端に過ぎない。真に恐るべしは鎌池和馬と言うべきか…。
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最終更新:2025/12/10(水) 11:00
最終更新:2025/12/10(水) 11:00
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