マルチタスク 単語


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マルチタスク

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マルチタスクとは、以下のようなものを指す。本記事ではそれぞれについて解説する。

  1. (コンピューターが)複数のタスク(プロセス)を同時に実行できるシステムのこと。
  2. (人間に転用して)同時並行的に物事を進めること。

1の概要

シングルタスク

WindowsなどのGUIを備えたOSが存在せず、MS-DOSなどのCUIのOSが主流だった時代には、コンピューターは1度に1つの処理しかできないのが当たり前だった。ワープロソフトを使用している時に表計算ソフトを使用したくなったら、ワープロは一旦終了せざるを得なかったのである。

GUIの登場とマルチタスク

1980年代後半から1990年代にかけてMacintoshやWindowsなどのウィンドウGUI環境の普及により、ブラウザでYahoo!検索しながらプレイヤーソフトで音楽を流すような事ができるようになった。

GUI環境登場時にはマルチコアCPUは一般的ではなく(シングルコアCPUを2つ搭載したデュアルプロセッサーのシステムがなくはないです)、実際には同時に2つの処理を行っているわけではなかった。それぞれのタスクに関する処理を細かく分けて人間の体感より遥かに高速に切り替えながら処理することによって、あたかも同時に遅延なく動作しているように見せていたのである。

マルチコア時代へ

IntelがCore2 Duoを投入した2007年以降、一般向けにデュアルコア・マルチコアCPUが普及し、本当に複数の処理を同時に行うことが可能になった。もっとも、Windowsのタスクマネージャーなどを見れば分かるように、走っているプログラムの数はコアの数よりはるかに多く、タスクを高速に切り替えながら処理しているという状況は同じである。

そのため、例えば端末の処理能力の60%程度を必要とするタスクを2つ同時に実行しようとして遅延が生じたり、システムの自動実行処理によりしばらくユーザー操作を受け付けなくなったり(フリーズ・ハングアップ)することがある。ただ、マルチコアの場合は、空いているコアが一つでも残っていれば完全にフリーズするところまではいかないので、安定性はかなり高くなると言える。

並行処理と並列処理

日本語だと名前が似ていて紛らわしいが、英語では並列処理はparallelism、並行処理はconcurrencyで全く異なる単語である。parallelなのに並行(平行)でないとはこやいかに。

平行処理は複数の処理が共に(con-)現在実行途中な状態(current)にあることで、並列処理は複数の処理が平行(parallel)に並んだ時間軸(列)上で個別かつ同時に実行されることである。

上記で言うとシングルコア時代のマルチタスクが並行処理で、マルチコア時代のマルチタスクが並列処理+並行処理である。

GPUにある何百というコアを用いて並列処理を行うGPGPUは超マルチタスクな気もするが、個々の処理が人間に見える「タスク」ではないからか、あまりそのような呼ばれ方はしない。

関連項目

  • CUI / GUI
  • 並行処理 / 並列処理 / フリーズ
  • マルチコアCPU / GPGPU
  • スレッド / タスク / プロセス
  • プログラミング関連用語の一覧

2の概要

マルチタスクという単語の普及に伴い、複数のことを同時にこなせる人を「マルチタスクな人」、一度に一つのことしか出来ない人を「マルチタスクできない人」「シングルタスクな人」といったように、人間に転用する用法が出現するようになった。

コンピューターからの連想で「マルチタスクな人」の方が「マルチタスクできない人」よりも優秀であるかのように聞こえるが(そして実際にそのような主旨で使われるが)、実際はそうとは言えない。人間はコンピューターほど効率よくタスクを精密に切り分けて切り替えることができないため、基本的にはマルチタスクを実行しようとするとそれぞれの作業効率や質が低下すると言われている。

時にはその効率低下が致命的になることさえある。

ながら運転

人間マルチタスクの危険な例として一般的なものに、スマートフォン操作や通話と並行して運転を行う「ながら運転」がある。実験でも運転中に通話を行うと反応速度が低下することや、走行中スマホをチラ見するコンマ数秒の間に車が何メートルも進んでしまうことが確認されており、マルチタスクが人命を奪いかねない例と言える。

じゃあ、カーオーディオは殺人マルチタスクなの?

「音を聞くこと」と「何らかの作業を実行する」ことでは脳の使われる場所が全く異なると言われており、いわゆる作業用BGMは(もちろん個人差はあるが)むしろ作業に集中するのに役立つ場合があるとされている。コンピューターの場合でもそうだが、処理能力を取り合うマルチタスクは有害だが、処理能力を分け合えるマルチタスクは有益たりうる。

カーラジオ・カーオーディオが昔から利用され続けていることも、音声を聞きながらの運転は危険とまでは言えないことの間接的な証明とみることができる。

とはいえ、周囲の音をかき消すほどの大音量で音楽やラジオを聴いたり、遮音性の高いイヤホン等を使用する行為は都道府県ごとの道路交通規則によって明確に禁止されている場合が多く、その場合は当然違反点数や反則金の対象となる。運転中はしっかりと運転に集中できる範囲内で音楽やラジオを楽しんでほしい。

関連項目

  • 危険運転
  • 歩きスマホ
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