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京都アニメーション放火事件とは、2019年7月18日(木)に発生した放火事件のことである。
※以下の内容は2019年7月20日16時時点での情報です。
2019年7月18日午前10時半過ぎのこと、京都市伏見区にある「京都アニメーション第1スタジオ」内で、何者かがガソリンのような液体を撒き散らし放火、スタジオが爆発・炎上し、3階建ての建物が全焼した。
事件発生時、スタジオには従業員など74名が居たとみられ、このうち34人が死亡(内訳は男性13人、女性21人)。単独犯行の犠牲者としては、津山事件を超える日本犯罪史上最悪の人数となってしまった。その他、男性17人、女性17人の合わせて34人が負傷し、6人が無事だった[1]。
上の階に向かうほど犠牲者が多く、突入した消防隊の報告によれば、屋上へ向かう階段の前では何人もの人が折り重なるように心肺停止状態で倒れていた模様(1階3人 2階11人 2階から3階への階段1人 3階から屋上への階段19人[2])。また、屋上の扉は鍵のかかっていない状態であった。
建物の入口は普段はセキュリティロックが掛かっているが、事件当日は取材対応のため解除されており、結果的に犯人の侵入を許すこととなった。建物にはスプリンクラーや屋外消火栓は設置されていなかったが、2018年10月17日に第1スタジオの立入検査が実施されており、消防法令上の不備事項はなかったとされている。
犯人とみられる41歳の男は、事件直後に警察に拘束されており「1階で液体を撒き火をつけた」と話している。また、捜査関係者によると、男は「死ね」などと話しながらガソリンのようなものに火をつけた模様。全身にやけどを負っており、身柄確保後、意識不明の重体になっている。
近隣の住宅などでは、事件直後「ドーン!」や「パーン!」という爆発音を複数回聞いたという証言が相次ぎ、高層ビルの少ない京都故に、遠く離れた場所からでも黒煙が上がっている様子が見られた。また、現場ではハンマーや複数の刃物が発見された。
事件前の7月14日、犯人の男は、アパートの隣の部屋の玄関ドアをたたいたり、ドアノブを回したり、部屋の中から壁をたたかれるなどするなど隣人トラブルを起こしていた。隣人が犯人の部屋へ行くと、胸ぐらをつかまれ「殺すぞ」「こっちは余裕ないんだ」「うるせえ」などと10分ほど繰り返されたという[3]。
男が京都に入ったのは事件が起きた7月18日の数日前。到着後、事件現場から南におよそ5キロ離れた宇治市内のホームセンターでガソリンを入れる携行缶や台車、多目的ライターを購入していたことが防犯カメラの映像などから分かっている。さらに事件前日17日の午後2時半ごろには、ホームセンターから北に4キロほど行った「京都アニメーション」の宇治市の本社近くの防犯カメラに特徴の極めてよく似た男が写っている。警察によると、さらに防犯カメラに写ったのと同じ17日には、「第1スタジオ」のすぐ近くの路上を、よく似た男が歩く姿が複数、目撃されている[4]。警察は男が逃走経路を確認していたとみて捜査している[5]。
事件前日の7月17日午後4時半から6時ごろにかけてと事件当日の18日午前6時すぎ頃、事件現場近くの公園で放火した男と体型や服装がよく似た男がベンチで寝ているのが近所の人に目撃されている。この公園ではガソリンの携行缶が入っていたとみられる段ボール箱2つが見つかっている。[6] 。
火災発生の30分ほど前の7月18日午前10時頃、事件現場近くのガソリンスタンドで40リットルのガソリン[7]を購入した男がおり、2つの携行缶にガソリンを入れ、台車で押して行ったという[8] 。事件現場からは他に包丁やハンマーが見つかっている[9] 。
10時30分すぎに火災が発生し、京都市伏見区因幡のアニメ制作会社「京都アニメーション・第一スタジオ」で、「1階で爆発音がして建物全体が燃えている」と通報があった。目撃者によれば「叫び声というかケンカしているような声がした。『オラー』というかケンカしてるような、言い合いしているような。」、男の「死ね」という叫び声がしたという[10] 。
事件当日の11時からはNHKの取材が予定されていたが、事件発生時は取材スタッフは建物内におらず、怪我人はなかった[11]。
亡くなった人の半数を超える19人が、3階から屋上に向かう階段で折り重なるように倒れていて、扉を開けて屋上に避難した人はいなかった。警察が現場検証をして扉の構造などを調べたところ、出火当時は内側から開けられる状態だった。亡くなった人のほとんどは煙を吸い込み、一酸化炭素中毒で死亡している。警察は黒い煙が建物に2つある階段を通って上の階まで一気に充満したため、多くの人が屋上まで逃げることができず、扉の手前で倒れたとみられている[12]。
らせん階段の西側がひどく焼けており、吹き抜け状のらせん階段を炎や煙が一気に3階まで広がった可能性があると見られている[13]。
15時20分頃、火災は鎮圧状態となった[14]。
7月19日6時20分頃、鎮火した。鉄筋コンクリート造り3階建て延べ約700平方メートルの建物はほぼ全焼している[15] 。
京都府警察は放火殺人事件として捜査本部を100人規模で設置した。
17時00分過ぎ、京都府警察捜査本部は記者会見を開き、「事案の重大性を鑑みて」、逮捕に至っていない段階で容疑者の氏名を青葉真司と公表した[16][17] 。
また、同日日夜に京都府警は新たに30代とみられる男性1人が搬送先の病院で死亡したと発表した。死者は計34人になった[18] 。
2019年7月20日、京都府警は現住建造物等放火と殺人などの容疑で青葉容疑者の逮捕状を取った。容疑者は火傷の症状が重く高度治療が必要なため、京都府から大阪府の病院にヘリコプターで移送されたが、警察は容疑者の回復を待って逮捕する方針。
死者34名のうち損傷が激しい5遺体について司法解剖を行った結果、この5名の死因はいずれも焼死と判明した。また発見当時性別不明の1人は女性だった[20]。
犯人は41歳の男性で、さいたま市見沼区在住の青葉真司。事件後は全身火傷を負い、意識不明状態と報道されている[21][22] 。全身に重いやけどを負い、京都市内の病院に入院していたが、7月20日午前、ドクターヘリで、より高度な治療が受けられる大阪府の大学病院に移送された[23]。
男は病院に搬送される時に「自分の小説を盗まれたからやった」という趣旨の供述を行っている[24] 。
捜査関係者によると、埼玉県内の中学校を卒業し、同県内の高校の夜間部に通いながら、県の非常勤職員として勤務。その後は人材派遣会社登録や茨城県内の郵便局に勤務。
中学校で同級生だった女性によると、「とにかく暗くておとなしい性格」「友達は少なく、学校も休みがちで、修学旅行などの行事にも参加していなかった」「教室の中でも存在感はありませんでした。学校生活でのトラブルも特に聞いたことはなかった」という[25]。
2012年6月20日未明強盗事件を起こして、服役後はさいたま市の保護観察施設に入寮。2016年7月頃にはその施設を退寮し、その後は同市のアパートに引っ越す。2018年頃から住民との間でたびたび騒音トラブルを起こしていて、複数回通報もあった。生活保護を受けていて、精神的な疾患があるため訪問看護を受けることもあった[26]。 事件直前の7月14日には近隣トラブルを起こして交番に通報されている[27] 。
東洋大学の桐生正幸教授(犯罪心理学)は、人物像について「攻撃性が非常に高い」、動機については「動機面と結果がちぐはぐ。本人が述べているような理由はある意味、方便というか、本人が持つ強い攻撃性や強い怒りが事件に結び付いた」「その後のプラン、一体何を言いたかったのか、世間、世の中に対する意思表示がない。そういった意味で、非常に動機が不鮮明」と分析している[28]。
京都府警は「被害者支援班」を発足させて、被害者ケアの研修を受けた警察官などおよそ100人が、安否不明者に関する問い合わせや身元確認のためのDNA鑑定に訪れた家族の対応、入院している負傷者の家族の付き添いなどにあたっている[29]。
民間では、アメリカのアニメ配給会社「センタイフィルムワークス」や日本のアニメグッズ専門店「アニメイト」などが、クラウドファンディングや募金活動などで被害者支援を行っている。
現場のスタジオは南北に長い長方形の3階建ての建物。建物1階の南側に玄関、西側には従業員用の玄関がある。玄関を入るとすぐに3階まで続くらせん階段があるほか、建物西側には屋上まで上れる階段があり、エレベーターも設置されている。1階には「音声収録室」、3階には「会議室」などがある他は、建物内を仕切る壁はほとんどなく開かれた空間が広がっている[30]。
八田英明社長によると、第1スタジオは普段、専用カードを使って出入りするセキュリティーがとられているが、事件当日は朝から打ち合わせがあり、来客のためシステムを解除していたという[31]。
医学博士の服藤恵三・元警視庁科学捜査官は、「1階の窓が壊れて飛散していることから、1階部分で爆燃現象、爆発現象が起きたと思われる。2階と3階は外壁が焼け落ちたような状況がみられるため、非常に温度の高い状況が、それも短時間で発生したと推定される。これらの状況からガソリンのような液体がまかれて着火し、急速な火災が起こったと思われる」「通常の火災は室内の温度が1000度以上は上がらないが、ガソリンは場合によって1500度まで上昇する。これは鉄が溶けるような熱さで火炎を浴びただけで息ができなくなる。爆発現象が起きた1階では、状況が分からないまま人々が火炎に包まれ、2階と3階にいた人たちは爆発音は聞いていると思うが、何がなんだかわからないまま炎と煙に襲われて、逃げ場を失ったと思われる」と分析した[32]。
日本火災学会長を務める早稲田大の長谷見雄二教授は、毎日新聞の取材に「『煙突効果』による火と煙の広がりを防ぐため、らせん階段には壁などを設けるよう、建築基準法は定めている。ただし、仮に壁の扉が開いているなどすれば、煙などを完全に防ぐことは難しい」と答えた。
消火活動にあたった京都市消防局は、7月22日の京都市議会総務消防委員会で「現場の建物の防火対策については、2018年の査察でも法令違反はなく、防災訓練も適切に行われていて、十分な対策がとられていた」「建物内部にはらせん階段があったが、煙が上がるのを防ぐ「垂壁」と呼ばれる設備が法令に基づいて、設置されていた」と説明した。また平成26年には防火対策をしっかり行っているとして、消防から表彰されたこともあるという[33]。
建物は2007年10月に新築。京都アニメーションが所有している。消防局によると、消防法で義務付けられている消火器や警報器は備え付けられていた。スプリンクラーは設置されていなかったものの、延べ床面積などに基づけば設置義務はなかったとしている。
複数のアニメ制作会社の関係者によると、近年の制作現場ではデジタル化が進み、原画の段階から紙ではなくタブレット端末を使うスタジオもある一方、今も原画や資料で大量の紙を使うところもあるという。 ある大手幹部は「1クール12本のテレビアニメシリーズを制作するには通常、1班30人の原画班が6班必要。他に作画監督や仕上げ担当もいて、スタジオには人がぎっしり詰まっている」「一般論だが、空間を有効活用するために机をぎっしり並べているところも多い」と話している[34]。
京都アニメーションの八田英明社長は事件後、取材に答えて「会社に対する抗議は日常的にとは言わないですが、少なくはなかった。特に死ねとか、殺人メールがあった」「そのつど、弁護士に相談するなど、真摯に対応してきた」「火災が起きた現場は、会社の核となる場所だった。大げさな言い方かもしれないが日本のアニメ業界を背負って立つ人たちが1人でも傷つき命を落としていくなんてたまったものではない」などと話した[35] 。
一夜明けた19日、八田会見に応じ、社員33人が亡くなった事件について「断腸の思い。堪えきれない。こんな大惨事になるとは夢にも思わなかった」「当社にとって、業界にとっても大きな痛手。1人ひとりが優秀で素晴らしい仲間でした」と八田社長は悔やんでも悔やみきれない胸の内を明かした。「監督が気に入らない」「表現がダメ」などの不特定多数からの匿名メールが多く、その都度、京都府警宇治署に相談していたという。「作品に対してのモノで、会社やスタッフへのモノはなかった」と八田社長は説明した。ただ、数回は宇治署に被害届を提出していたこともあった。本社、スタジオ、ショップの数カ所に防犯カメラを複数設置するなど、対応策をとっていたが「不審者の情報はなかった」との事。 第1スタジオは全焼の為、保管されていた過去の作画や資料なども「一切合切ダメ」と全て焼失。「コンピューターも全部ダメ」と明かし「被害金額?甚大です。詳しくは分からない」という。[36] 。
「Free!」は来年2020年夏公開予定の新作予告映像について、2019年7月19日(金)に最新Verを動画で公開する予定だったが、公開中止となった。(Twitter)
インターネットラジオステーション<音泉>にて2019年7月22日(月)配信予定だったラジオ番組「イワトビちゃんねるRW」第2回は、配信中止となった。(配信ページ・告知ツイート)
毎日放送は19日に、TBS系で20日未明に予定していたアニメ「炎炎ノ消防隊」第3話の放送を見送ると発表した。 毎日放送は「放火と結び付く内容ではないが、(京都の)事件の直後であることを鑑みて休止を決めた」と説明した。[37]
京阪電車は事件を受け、7月20日(土)から開催予定のコラボレーション企画「京阪電車×響け!ユーフォニアム2019」の開催延期を公式HPにて発表した。[38]
精神障碍者を支援する特定非営利活動法人COMHBO(コンボ、地域精神保健福祉機構)は2019年7月20日に声明(ホームページ)を発表し、「事件の背景・動機などの詳細が不明な段階で、あたかも精神疾患とこの犯罪を結び付ける可能性のある報道が今後も続くことがあるのではと、大きな危惧を抱いて」いるとして、精神障碍者に対する報道被害への懸念を表明した。
日本の主要メディアであるNHK[39] や民放各局[40][41] [42] [43] は速報で伝えた。
日本以外では、中華人民共和国[44] や香港[45] 、台湾[46] 、大韓民国[47]、アメリカ合衆国[48] 、イギリス[49] のメディアで速報が伝えられている。
京都アニメーションのファンから「#PrayForKyoani」のハッシュタグなどと共に心配の声が挙がっている[50] 。
アメリカのアニメ配給会社「センタイフィルムワークス」は、支援のためにクラウドファンディングを立ち上げた[51] 。
アニメ制作会社の任意団体「日本アニメーション協会」はTwitterで、「非常に大きな事件ですので、各所機関におかれましては慎重かつ冷静な報道をお願いいたします。」とコメントした[52] 。
アニメーション監督では新海誠、水島努ら、声優では緒方恵美ら多くのアニメーション業界関係者がTwitterでコメントしている[53] 。
Free!ゆかりの聖地である鳥取県と鳥取県岩美町が、募金を開始した。[54] 。また、アニメイトも被害者支援のための募金開始をホームページ、Twitterにて発表した。全国のアニメイト120店舗以上で随時開始し、終了時期は未定としている。[55][56] 。
アニメ制作協力していた「犬夜叉」や「ガンダム」を制作しているサンライズからは公式サイトにて追悼と支援する意を公表した。また、「魔法少女まどか☆マギカ」、「化物語」などを制作しているシャフト、P.A WORKSの会社社長の堀川憲司は公式サイトにて追悼の意を述べると共にアニメーション業界史上最悪の事件としてTwitterでも追悼の意を述べている。[57][58][59][60][61]
政治家では、第25回参議院議員通常選挙の選挙戦の中、各政党代表(安倍晋三首相兼自由民主党総裁[62] ・立憲民主党・枝野幸男代表[63] 、国民民主党・玉木雄一郎代表[64]、日本共産党・志位和夫委員長[65]ら)がTwitterでコメントを寄せた。
海外からは、台湾総統・蔡英文、カナダ首相ジャスティン・トルドーもツイート、フランス大使館[66]、中国大使館[67] 、AppleのTim CookCEO[68] などからTwitterでお悔やみの声が寄せられている。
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最終更新:2025/12/16(火) 04:00
最終更新:2025/12/16(火) 04:00
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