出走(しゅっそう)とは、競馬用語で、競走馬がレースに出場することである。
『ウマ娘 プリティーダービー』でもその用法は変わらないが、本記事では育成モードの目標に設定されている「出走」について記述する。
『ウマ娘 プリティーダービー』は、3年間の育成期間中目標が設定されており、特定のレースに特定の着順以内で入着しなければ目標未達成となり、目覚まし時計でやり直すか、育成終了となる。
そんな中、一部ウマ娘の特定のレースには「出走」という目標が設定されている。これは、出さえすればたとえ最下位であっても目標達成となり、結果にかかわらず次の目標に進むものである。
実際に試してみると、素の状態では惨敗することが多く、事実上の「負けイベント」として用意されていることがわかる。基本的に、史実で惨敗したレースで、『ウマ娘』では距離適性かバ場適性が合っておらず、通常のクリアは困難なレースに設定されることが多い。
元々はハルウララの最終目標「有馬記念に出走」で有名になったネタであり、Pixiv百科事典では「有馬チャレンジ」として記事が作られている。ニコニコ動画にも「ハルウララ有馬記念チャレンジ」のタグが存在する。
ゲームシステム上は捨てていいイベントとはいえ、負ければ担当ウマ娘は落ち込んだり悔しがったり泣き出したりするので、トレーナーの良心が痛むことになる。
真面目に攻略する場合、惨敗しても目覚まし時計が使えないため、再チャレンジには育成を最初からやり直さなければならず、大変な手間がかかる。有馬記念は「秋シニア三冠(秋古馬三冠)」または「春秋グランプリ」が、皐月賞や菊花賞はクラシック三冠がかかる緊張感の中、高難度のレースに挑まなければならない。
しかしながら、プログラム上絶対勝利できない、真の意味での「負けイベント」は現在のところ存在せず、継承やサポートカード、トレーニングを駆使して適性やステータスを上げていけば、勝つ手段はあるようにできている。
また、ちゃんと勝ったときのシナリオも用意されている。
それだけに、各「出走」目標のクリアはトレーナーの悲願といえ、トレーニングや因子ガチャに励んでいる。
以下に、目標が「出走」の各レース、および類似の事実上負けイベントとなっているレース、ユーザーが自主的に設定している超高難度レースについて解説する。
1年目の6月後半に全員が「ジュニア級メイクデビュー(現実でいう2歳新馬戦)」に出走することになるが、目標が「出走」のため、何着であろうがカレンダーは次に進む。ただし1着でない場合、レース予定が全て未勝利戦となり、これを勝利しなければ先のレースに進むことはできない。普通に育てていればまず1着を取れるだろうが作戦「逃げ」以外だと結構(逃げでも極稀に)事故るため侮れない。
次の目標レースまでに未勝利戦を突破できない場合、目標未達成で即育成終了となる。
目標がファン集めなどの理由で2年目(クラシック級)の8月後半まで次の目標レースがない場合(現時点でハルウララとマヤノトップガンが該当)、それまでに未勝利戦を突破できなければ育成終了となる。
育成終了にならないまでも、トレーニングが1回潰れる上、勝利までの間ジュニア級トロフィーを得る機会も失われる。勝ってもファン数は500人しか増えず、実績埋めにもならないため、攻略上は未勝利戦にあえて挑む利点はない。
以上のことから、この「出走」目標は、「1回で勝たなかったことによるペナルティ」として機能する。ただし、確率で「練習上手○」を習得するためデメリットの方が多いにせよ100%ペナルティというわけではない。
また、ハルウララのみ専用の特殊実況が「未勝利戦の最終直線で先頭に出る」ことが条件であるため、メイクデビューで負けないと特殊実況が聞けなかったりする。
以下に、各ウマ娘の「出走」目標について解説する。
あいうえお順。カッコ内は史実での成績である。
以下は「出走」のみを扱うが、スペシャルウィークやマチカネフクキタルなど適性外の距離のレースを規定着順以内でクリアする目標もある(最初の方というのもありそこまで難易度は高くないが)
→ウオッカ(ウマ娘)
史実では、ファン投票1位であったものの11着と惨敗。
ライバルのダイワスカーレットは2着。日本ダービーを制したという偉業にもかかわらず、八大競走中3つで先着を許したことで、JRA最優秀3歳牝馬の称号は彼女に明け渡すことに。
勝ち鞍であるダービーとは100mしか違わないので、史実での敗因は「距離適性が合わなかったから」ではない。不調や故障が重なり、ダービー以降はそもそも翌年の安田記念まで1勝もできていなかったのである。詳しくは実馬ウオッカの記事を参照。
ウマ娘で高難度な理由はゲームの仕様による。ダービー・有馬記念の境である2400mが中距離・長距離の境であり、ウオッカはそれぞれの距離適性がA・Fと極端に差があるためである(史実ではこの有馬記念しか2500m以上の出走経験がないので設定自体は妥当)。適性を上げないと11着どころでは済まない大惨敗になる。
敗北シナリオでは、素直にスカーレットの実力を認める(史実では彼女もマツリダゴッホの2着だが)。そして、上記史実におけるダービー以降の不調を臭わせる発言もする。
→キングヘイロー(ウマ娘)
史実では入着しているが、セイウンスカイ・スペシャルウィークとの3強と謳われた割にふがいない成績から、最強世代でひとり置いて行かれた印象がついてしまった。後には「キングヘイローに長距離は合わなかった」という話の引き合いに出されることになる。
ウマ娘では長距離適性Cとそれなりの適性は与えられているが、何の対策もなしでは入着できれば良い方だろう。勝ちに行くなら継承で長距離適性を上げることは必須で、長距離意識の育成をしたいところだが、あまり対策しすぎると、勝ったはいいがシニア級の短距離・マイル3連戦であっさりゲームオーバーとなる危険もある。
また、ウマ娘では「チームレースの短距離担当」および「レジェンドレースの短距離担当、特にサクラバクシンオー対策」という史実には存在しない使命を負うため、そのための育成であれば菊花賞は捨てて夏秋はバクシン教に入信することになる。
→サクラバクシンオー(ウマ娘)
史実では、初挑戦の1800mで惨敗したことでクラシック三冠を諦め、同期のミホノブルボン・ライスシャワーとは袂を分かつことになった。すなわち、後の短距離王誕生の決め手となったレースである。
ウマ娘でも、ゲームを始めたてであれば、バクシン育成しようにもステータスが足らず惨敗することだろう。しかし、この世界の彼女はマイル適性Bのため、ゲームを進めてサポートカードや継承相手が充実すればそのうち楽勝できてしまう。「出走」目標の中では、おそらく最も攻略が楽である。とはいえ、ジュニア級トロフィーを集めていた、などでバクシン育成が足りず2~3着に終わることもあるので油断大敵。
この状態になったら、三冠を諦めるどころか、名前通り桜花賞が取れてしまう(史実では出走できないが)。ニシノフラワーがかわいそうだがついでにサクラバクシンオーをサクラバクシンジョオーにしてあげよう。
→スマートファルコン(ウマ娘)
史実では、ご存じの通りシンガリ負け。芝を諦めて全国のダートを荒らし回る契機となったレースである。
ウマ娘でも芝適性はEしかなく、素の状態では惨敗必至である。
しかし、バ場不適正のペナルティはパワーであり、中距離適性はAあるので逃げ一択のファル子にとってはウオッカ程影響は大きくなく、芝適性さえ継承でCぐらいまで上げることができれば、1着もさほど難しくはない。
こういった適性外レースの攻略は多くが趣味の範疇にすぎないが、ことこれに関しては、芝適性の獲得でファン数稼ぎが劇的に楽になることや、ファル子が芝戦線にも投入したいほどの長所を持つことから、ガチな育成の範疇でも攻略されることが多い。
→ナリタタイシン(ウマ娘)
史実では、肺出血のため体調が最悪でブービー惨敗。
ウマ娘でもこれを反映し、菊花賞直前に倒れてやる気が3段階下降+練習ベタがつくイベントがある。猶予は1ターンしかないのでリカバリーも限度があり、苦戦は必至である。
しかし、「練習ベタ」はレースに影響するコンディションではなく、絶不調であろうとステータス補正は5%なので、ライバルは相変わらず強いもののそれまでに十分鍛えていれば勝つ見込みはある。次年度にはさらに距離の長い天皇賞(春)が待っているため、「出走」条件に甘えず勝つつもりで育成したい。
→ハルウララ(ウマ娘)
史実では高知競馬場しか走ったことはなく、芝適性とか長距離適性とか以前の競走成績だった。
ウマ娘では、いろいろなレースに出てファンを集めていくうちに、ハルウララ自身が年末最後のグランプリ・有馬記念を大目標に掲げる。それがいかに苦難の道のりであるか知らないまま…。
トレーナーはそれが無謀であると知りつつ、彼女の適性である「ダート短距離」で実績を積み上げ、最終的にはGⅠを勝利するまで育てていく。そして、適性が全くないこのレースを、勝つと信じて送り出す。
シナリオ上ではそうなのだが、芝G・長距離Gではブービーすら絶望的である。
初心者はJBCスプリントであんなに速かったウララが大差最下位に沈む様を見て彼女と共に涙し、中級者はとっととスキップしてURAファイナルズの準備を始めるだろう。勝つ見込みをまるで感じさせない、全ウマ娘中最も負けイベントらしい負けイベントであり、このイベントで多くのトレーナーは「出走」目標の厳しい現実を知ることになる。
一方、絶対負ける設定になっていない以上、継承で適性を上げてステータスを底上げすれば勝つ見込みはわずかながらある。そのため、この目標レースは、サービス開始当初から本作の「エンドコンテンツ」としてあまたのプレイヤーにやりこまれていた。その結果、サービス開始約1週間後というかなり早い時期から攻略したプレイヤーが出始め、専用シナリオもちゃんと用意されていることが判明した。
尚、このレースはスペシャルウィーク、セイウンスカイ、グラスワンダーが強敵として立ちはだかる。キングヘイローの時と異なりエルやオペラオーはモブ枠としての時折参戦だが適性抜きにしても難関であることに変わりない。野良ゴルシまでいたら更に絶望的。
さらなるやりこみプレイヤーは、これを超えるとされる難関・固有二つ名「ハルウララがんばる」や、後述の有馬2連覇に挑む。
「幻の三冠馬」と言われたが、産駒成績などを考慮してウマ娘ではマイル向けになっており(他の競馬ゲームでも概ね同様である)、長距離適性がEに設定されている。そのため、詰まないように長距離の目標レースは出走が目標となっている。
メイクデビュー以外で(分岐によるとはいえ)「出走」目標が2つあるのはフジキセキが初。
→マルゼンスキー(ウマ娘)
史実では、直前に軽度の屈腱炎が再発して出走回避、そのまま引退となる。
ウマ娘ではシニア級までストーリーが進むため、この目標はまだ中盤である。長距離どころか中距離すら未出走ながら、産駒は距離を選ばなかったためか素の長距離適性はCとなっており、意識すれば勝利は難しくない。かといってかまけすぎるとシニア目標のマイルで撃沈する可能性もあるのはキングヘイローと同じ。
なお、歴史の「if」に定評のあるウマ娘でも、史実で期待されていた1歳上の「TTG」との対決は叶っていない(誰もウマ娘化していないので)。
適性に合わない目標レース外のレースのうち、特殊イベントがあるものを解説する。
ハルウララと比べれば屁でもないが、それでもかなりの難関であり、その果てに特殊シナリオが用意されていることから、「有馬記念チャレンジ」のもう一つの筆頭格。
史実では2回出走しており、1998年にはグラスワンダー・セイウンスカイに加えてエアグルーヴ・メジロドーベル・マチカネフクキタルと、自身の引退レースである2000年にはテイエムオペラオー・メイショウドトウと対戦している。
ウマ娘では両者が混ざっており、グラスワンダー・セイウンスカイ・スペシャルウィーク・エルコンドルパサー・テイエムオペラオーが固定で参戦する超豪華仕様であり、実馬が死闘を繰り広げた相手をウマ娘の世界で総決算するかのようなレースである。
菊花賞と同じ理由で彼女には苦難の道のりであるが、勝利すればそれにふさわしい真のエンディングとも言うべき結末を迎える。短距離連戦の合間を縫ってスタミナを鍛えたり回復スキルを取ったりするのはもちろんだが、出走忘れに注意。
なお、アオハル杯とサポートカード「[徹底管理主義]樫本理子」の登場により、スタミナと根性を上げながら体力を回復することが可能になったことや、お出かけイベントを完走すれば「一陣の風」が確定で手に入ることなどから、以前よりは勝ちやすくなった。
これは他の長距離「出走」目標でも同様だが、このイベントはキングの長距離適性がCで上げることがさほど苦でないことや、トゥインクル・レースの最後なので最大まで鍛えた状態で挑戦できることから相対的に難易度が大幅に下がっている。
盲点となっていた人も多いだろうが、クラシック級の時点で有馬記念に出走することも可能。これを制した上で最後の有馬記念を併せて2連覇という果てしない苦行が待ち受ける。
シニア級と違い固定出走枠の強力なライバルこそいないが、適性を上げる機会が1回しかないのが大きな問題となる。
出走すると特殊イベントが用意されている。また、「ハルウララがんばる」のためには芝GⅠにも出走しまくらなければいけないため、勝てずとも出走する価値はあるだろう。
ストーリー中に挟まれるレースにおいて、それがストーリー上敗北する前提の内容である場合、ライバルがすさまじいステータスで登場するようになっている。
いずれも、そのライバルを除く最高着順になればストーリーは先に進むが、勝利することは一応可能なので、やりこみプレイヤーは彼女らに勝つことも目標にしている。
なお、勝利しても特にストーリーは変化しないし、報酬などもない。
適性に合わないレースを、ユーザー自身が自主的に出走するものを解説する。
ウマ娘は「誰がトロフィーを獲ったか」という情報も記録されるため、下記以外にもURAファイナルズも含めた適性外のトロフィーを集めるユーザーも存在する。
シナリオ中口にする「トリプルティアラ」のうち二冠を取らせるチャレンジ。オークスは目標レースの葵ステークスとかぶるため不可能。
サクラバクシンオーと異なり彼女にはマイル適性がDしかないため、桜花賞には継承がほぼ必須。中距離適性Gのため秋華賞は継承してすら大変である。
一方、覚醒レベルを上げるためには桜花賞の優勝レイが必要。普通は(ヴィクトリアマイルと併せて)ウオッカやタイキシャトルあたりからもらうだろうが、たまには自分で取ってみよう。
「長距離だって走れる」と言い張るウマ娘のサクラバクシンオーに、お望み通り長距離を走らせてあげるチャレンジ。特にステイヤーズステークスは、JRA平地競走最長であり、育成中にトレーナーが口走る「1200m×3=3600m」という詭弁を真面目に受け取った結果であるため、冗談で言われたり、実際に走らされたりする。
ステイヤーズステークスはGⅡのため、GⅠ最長の天皇賞(春)のチャレンジも行われている。有馬記念チャレンジもあり。
意気込みの割に忘れられているダートの方も、芝長距離以上に難易度の高い東京大賞典(ダート中距離2000m)を勝たせているトレーナーもいる。
史実のバクシンオーはもちろんそんな無茶はしなかったが、2011年スプリンターズステークスで、ビービーガルダンが放馬の末3600m走った事件が引き合いに出されることがある。
→メジロマックイーン(ウマ娘)
→やきうのお馬さん
逆に長距離ウマ娘にマイルを走らせるチャレンジ。
マックイーン阪神ネタの派生で、阪神ファンの必読紙であるデイリースポーツの名を冠したレースに挑ませる。マイル1600mなので、距離適性がまるで合っていない(デフォルトF)マックイーンは苦戦必至である。
それ以前に、ジュニアステークスはマックイーンの鬼門であるホープフルステークスの直前である。クイーンカップも現実では桜花賞やオークスのステップレースであり、つまりは三冠への準備でクソ忙しい時に出走する羽目になる。したがってこれを目指すならば、ホープフルSで惨敗してもいいようにあらかじめファン数を稼ぎ、2冠は諦めて菊花賞の準備をした方がいいだろう。
史実で多数勝ち鞍を上げている「阪神」を冠したレースのうち、現実での出走が不可能な2レースに出走する阪神チャレンジもあり。
なお、デイリースポーツ発行元の神戸新聞杯は目標レースに設定されている。
史実のマックイーンはどれにも出走しなかったが、神戸新聞杯は現在の菊花賞トライアルであり、現存しない嵐山ステークスの代わりと思われる。
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最終更新:2025/12/09(火) 06:00
最終更新:2025/12/09(火) 05:00
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