Zガンダム騒動 単語

ゲキジョウバンゼータガンダムセイユウモンダイ

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Zガンダム騒動とは、Zガンダムにおける新訳劇場版において多くの声優が変更されたことを受けて、俗にガノタと呼ばれる人達がキーボードクラッシャー激怒し、いろいろな問題を誘発した事件のことである。

呼び方にはいくらかバリエーションがあり、Zガンダム声優事件(声優問題)などがある。

概要

これは元々、新たな劇場版が製作決定したのに合わせ、アニメ雑誌においては最初TV版と同様の声優が公開されるも、ファ・ユイリィ役の変更発表を皮切りに、メイン・サブを問わず多くの声優変更が行われたことに端を発する。

これに対して不満の声をあげたファンの声を聞いた島津冴子が、総監督の富野由悠季、音響監督の藤野貞義の了解を得たうえで、島津自身の取材(事実確認)や経緯等の内容をまとめたとされる手記を、自身のホームページで公開。

これに記されていた内容が、さらに騒動に火を付け、あちこちに飛び火したことで騒動がより多くの人の知るところにより、事実虚偽問わず様々な話が飛び交い、戦々恐々とした事態へと発展。

最終的に富野由悠季が、島津の公開した手記の内容と尽くそぐわない内容のコメントを劇場版公式サイトで行ったことで、さらなる憶測を加熱させるも、公開終了と同時に自然鎮火の方向に向かう。

現在、声優変更の理由に関する真実は、闇の中へと消えた。

騒動加熱の要因

発端

元々ガノタとは、作品に対する思い入れやこだわりの強さが特別強いファン・オタクの集まりである。
その思いがぶつかりあうことにより、作品間のファン同士どころか同じ作品のファン同士でも批判合戦が日常茶飯事で繰り広げられていることは、ガノタを自認するものであれば既に理解していることだろうと思う(コメントの中の戦争)。

中でも「声優のキャスティング」とはガノタ問わず、恐らくアニメオタクの多くがこだわりを見せる重要ポイントの一つであり、今でも争いの種となることがしばしばである。
アニヲタなら一度はくぐるであろう代表的な戦場(闘論)の一つであろう。

こうしたアニメファンの性質をまず念頭に置いてもらいたい。
これらの要素を踏まえたうえで、両者が引っかかる事態になったのが、劇場版Zガンダムなのである。

リサーチ不足だったのか、早まって情報を掲載したのかは不明だが、アニメ雑誌(2004年6月刊行・各著名アニメ雑誌)がこぞってキャストを掲載する。
この時発表されたのは、メインキャラに関しては全員TV版当時と同じキャストだった。
これを聞いて安心していたファンだったが、やがてファ・ユイリィの声優変更が発表、その後あれよあれよと変更された。

騒動加熱(今で言う炎上)

不満を覚えたのは当然ファン達である。
このファンの声を聞いた島津冴子は、電話・会談を通して総監督の富野・音響監督の藤野に事実確認を行った。これをまとめ、掲示板で公開、後に手記としてさらに詳しくまとめることになる。

この手記の内容の要点をつまむと

  1. 総監督の富野は島津冴子にフォウをやらせるつもりでいろいろ打診していたが、音響監督の藤野の不手際で島津がオーディションを受ける機会を失っていたことがわかった。
  2. 島津冴子自体は「当時のフォウの芝居に満足がいっていなかった、やれるならまたやりたい」という意思を示していた。
  3. 同時に、監督の意向なら仕方ないとも思っていたが、これは聞いた当時に藤野に否定された。
  4. 富野が「音響監督に騙された」と弁解した。

これを見たファンは大激怒した。
この弁解通りなら、今回の音響監督の仕事はプロとしてあるまじき杜撰さで、かつあまりにも不自然だったからである。
騒動はさらに加熱、当時は今ほどアニメ問題を取り上げていなかったネットのニュースや週刊誌もこれをピックアップした。
さらにこの間、「ゆかなが不倫を思わせる発言を過去にしていた」「騙された=如何わしい営業で決めたから藤野はそう弁解せざるを得なかったんだ」などと虚偽や憶測が飛び交った。
さらに、カミーユ役の飛田展男からアフレコ終了を聞かされたサラ役の水谷優子が、参加出来ないことについてラジオで「残念」という思いを告げたことも、それらを加速させた。

ゆかなもこれを踏まえてなのかは不明だがZガンダムファンに対するコメントを掲示板で発表。
が、頭に血の上ったガノタ相手には、コメントのどれもこれもほとんどが裏目に出た。
役者としての考え方(昔の版を意識してしまうから、あえて旧作は封印して見ていないなど)すらも否定されたことも少なくなかった。
その後も、激しい誹謗中傷を掲示板などで受け、ゆかなのHPは閉鎖を余儀なくされ、ブログ開設まで永らく気軽に交流出来る場が失われた。

事態終息、そして闇の中へ……

こうしたファンの声は一切伝わることなく、劇場版Zガンダムは粛々と公開されていった。
公開されたことで流石に諦め所を感じたファンの一部は、次の段階として「ソフト化の際に、TV版オリジナルキャストによる別バージョンを収録してもらおう」と動き出した。
「DVDでは両方収録される」というデマを、関係者になりすまして拡散した不届き者も現れたほど。

が、それと並行して富野が劇場版の公式サイトにおいて、島津冴子によってまとめられた手記を(言及こそしないまでも否定する……つまりそれらの既に公開された内容と異なる内容を発表した。
これに対して、手記を公開した島津冴子による反論は一切なく、さらに妙な憶測を呼ぶことになる。
が、劇場版が全て公開され、結局円満に終了したことに加え、ファンの加熱しきった熱も既に冷め始めた頃であり、結局この騒動は真実がなんだったのか不明瞭なままに終息した。

このため、未だに事実無根、あるいは真相の判明していないことを事実として語り継ぐ、あるいは真実と思い込んで語り、不穏な話題に利用することが未だにあるのが現状である。

騒動の問題点や、その影響

ファンの問題

まず第一に、アニメにおいて劇場版の再編成にあたり、声優が変更されることは別に不思議なことではない。
むしろシリーズの元祖である機動戦士ガンダムですら(今回と同レベルではいかないが)やはり多くの声優変更が行われている。
また、劇場版を問わずアニメの製作期・メディア形態の違いで、声優が異なることがあるのは、昔から別段不思議な話ではなかったのである。
この点を把握せずに思い込みだけで語るファンが多かったことが、炎上を加速させた。

そのことで虚偽を真実として拡散し、云われのないことで誹謗中傷を行ったファンが多かったことは、いくら愛があろうが到底許されることではない。
結局、事実がどうなのかは不明瞭であるはずなのだが、風評を真実のように話すのは現在でも行われている。 

当事者達の問題

次にスタッフ(あるいは会社)側が、こうした歴史を踏まえたとしても、現在のアニメファン、ないしはガノタに秘められた(?)キャストに対する思い入れを舐めていたのも原因であろう。
島津冴子が手記でも触れているが、当時のフォウの人気はアニメ雑誌でもトップを飾るほど、支持率が高かった。 
その他のキャラのキャスティングに対しても思い入れを持つことは当然で、それに対する配慮が出来ていたかと言えば、これによって生まれた様々な弊害を見れば疑わしいことは間違いない。 

一方で、島津が手記で記したのは、あくまでも関係スタッフ(さらに言えば音響監督の藤野)に対する不信感と不手際への糾弾であり、一切新声優(ゆかな)に対しては触れていなかった。
しかし、この「触れていなかった」ことが、仇となり、逆に騒動に直接言及していない(触れていない)はずのゆかなへの誹謗中傷を、意図せず加速させる原因となってしまったのだ。
それによって起こった損害は上記で語った通りであり、島津側に配慮不足があったことは否めない。
だが、だからといって執筆者の意図するところではない行動に走ったファンが一番問題であることに変わりはなく、ましてや他者を憶測だけで誹謗中傷していい理由にはならないということは、言わずもがなだろう。

逆に言えば、今回の一件で目に見えて被害を受けた新フォウ役ゆかなは、この騒動に限れば関係している様子がなく(とはいえ騒動関係なく「声優変更に対するバッシング」を見据えた書き込みこそはあった)ない。
各当事者の発言だけを見れば、完全にとばっちりを受けた形となった。

騒動が遺した影響

劇場版公開以降、Zガンダム関係のゲームが製作される際に、新たなアフレコに使用される声優は、全て劇場版声優に置き換えられた。
ガンダム無双といった、明らかに絵柄がTV版寄り(もっとも劇場版自体TVの映像を流用しているのだからあながち間違いではないが)の作品でも入れ替えられたことは、一部のファンに衝撃を与えた。
その後、島津冴子版のフォウが使用されたのは、騒動以前に発売されたスーパーロボット大戦GCのリメイクであるXOなど、僅かである。
なお、これはドラゴンボール改以降に発売されたゲーム作品でも見られるキャスティングであり、バンダイそのものの意向である可能性がある。 

また、噂として島津冴子はこの一件が原因で業界を干されたと言われることもあるが、これは手記の中でも元々「最近アニメに出る機会は少ない」と言及していることであり、事実無根である。
つまり、別に今に始まったことではなく、島津冴子自身の事情によるものであるし、干されたというのが事実ならば昨今における「サクラ大戦イベント」に出演することすら叶わないだろう。

後に起こったシンプソンズにおけるキャスト人事騒動が起こった時は、このZガンダム騒動が過去の例としてあがったことがある。
こちらはファンの熱心な行動が活力となり、DVDでオリジナルキャスト版が収録されることとなった。
ただし、こちらはZのような新訳再編集ではなく、これまでの脈々と続いてきたシリーズの特別編的な位置づけであるということ、メインキャストが本業声優でないことがバッシングの理由になっている。
よって、今回と同一の事情ではないことを留意されたし。

風評について

枕営業があったのかどうか?

アーツビジョン騒動(事務所の社長が枕営業を強要した事件)において、ことこのZガンダム騒動との関連性が大きく取り沙汰された
仮に疑惑が事実だとして、全てに当てはまるのだという考えに則ると、ハヤト・コバヤシやカツ・コバヤシなど、変更された男性キャラの声優にもそういった事実があったということになる。アッー!

さらに言うと、その「ゆかなが過去に不倫をほのめかすトークをしていた」というのも、騒動の影響で出た捏造話であり、また、他の声優には特に言及されていない点から見ても「声優変更を快く思わない人間がでっちあげた内容」という検証結果が出ている。
つまりこれは、ネットにありがちな「噂がさも真実のように語られ、広まってしまう」というパターンである。 

島津冴子は干された説

島津冴子が真実を流したために干されたという話が今回の終息状況からあげられているが、前述のようにこれも現状から見て考えにくい話である。
島津冴子は現在特定の事務所に所属しておらず、かつ手記の内容からしても本人が意図的に控えているだけである。
本気で干された状況であれば、ゲームで過去のライブラリを使わない(キャラをそもそも登場させないなどして)だろう。

しかし2012年発売の第二次スーパーロボット大戦Z 再世篇にもライブラリではあるが参戦している。
しかも第二次Zに至ってはパイロットではなくわざわざ召喚技として出しているのだから、「意地でも出したい」という製作者の意図を憶測することが可能なレベルである。
人気があるのだから出るのは当然、と言うことも出来るが、他作品を見ても「人気があってボイス収録されていても、削られている」というキャラはいるので、必ずしもそれが関係しているとも限らない。 

で、結局どっちの証言が本当なの?

富野由悠季が公式サイトに提示した内容が真実なのか、はたまた島津冴子の提示した手記が真実なのかは今のところ明らかになっていない。
社会的に見れば分が悪いのは島津冴子側で、手記もその後削除してしまっているため、手記の信憑性そのものを疑う者もいる。
ただし富野もそうした風評を意図してわざわざ声優に言及したともとれるので、冷静に見ればどちらが真実かを見極める方法は存在しない。 

著者として言えるのは、どちらとも言えない以上、どちらかを真実と盲信し、無闇に胡散臭い風評を広めることは恐らく正しい行為ではないということだけである。(ヒント:マスゴミ)

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各声優や関係者に対する誹謗中傷コメントは迷惑になるのでやめましょう。

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