原子爆弾 単語


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原子爆弾(げんしばくだん)とは、核分裂反応によって爆発する核爆弾(核兵器)の一種。

→核分裂

概要

核分裂の連鎖反応により、瞬間的に莫大なエネルギーを放出する爆弾。
一般に「原爆」と略して呼ばれることが多い。英語では「Atomic Bomb」(アトミック ボム)。

原子爆弾は、第二次世界大戦中、米国によって開発され、同大戦中に初めて使用された。
民間人に対し、交戦中の2国間で使用された例は広島と長崎のみである。

その威力の大きさから国家間紛争において、大きな抑止力となるため、核兵器を保有したり、開発保有を目指す国は多い(相互確証破壊、核の傘)。

原爆=水爆と考えられることが多いが、水素爆弾(水爆)は起爆装置(primary)に原爆を用いているだけで構造は水素爆弾の方が遥かに複雑である。

原子爆弾の原理と構造

核分裂物質(235Uやプルトニウム)をある一定量以上一カ所に集めると、核分裂が連鎖反応を起こす「臨界状態」となる。この状態のまま爆薬を用いて急激に圧縮すると反応が指数関数的に増加する「超臨界」となり、破滅的な大爆発を引き起こす。臨界状態に必要な核分裂物質の量は爆弾の構造によって異なるが、最新の理論ではインプロージョン型の場合プルトニウムで1.5kg。235Uで3kg程度である。

ガンバレル型

広島に投下されたリトルボーイで使用されたタイプ。原理は単純。臨界量の235Uを二つに分け、一方を砲弾状に加工した上で、それらを砲身(ガンバレル)状の筒の両端に入れる。そして「砲弾」を火薬で発射、もう一方のウランの塊にぶつける。これだけ。確実に爆発すると考えられたため実験は行わず、広島での使用はぶっつけ本番であった。欠点は反応の効率が悪いことと、燃料に235Uしか使用できないこと(プルトニウムの場合、わずかに含まれる同位体240Puが先に核分裂するため、十分な核爆発を得られない)。広島の場合使用されたウランのうち反応したのはごく一部で、残りは飛び散って有害な放射性降下物となった。このタイプの原爆は現在はほとんど製造・開発されていない。

インプロージョン型

長崎に投下されたファットマンで使用されたタイプ。球形の核燃料の周囲を爆薬で包み込み、その爆圧で核燃料を圧縮して爆発につなげるというもの。効率よく反応させるためには燃料球全体に均等に爆圧をかける必要があるため、使用される爆薬は爆縮レンズという特殊な構造になっている。反応の効率は極めて高いため現在はウラン型もプルトニウム型もこの方式を使用している。

原子爆弾の投下について

広島(リトルボーイ)、1945年8月6日午前8時15分投下

長崎(ファットマン)、1945年8月9日午前11時02分投下

  • 核分裂性物質は、239Pu(プルトニウム) 8kg
  • 爆発威力は、22kt(TNT火薬換算)
  • リトルボーイに比べ構造より複雑であるため、同じタイプの原子爆弾で事前に核実験を行った後、投下された
  • 関連リンク:長崎市への原子爆弾投下(Wikipedia)

使用された場合の地上への被害(広島型原爆のケース)

少しでも悲惨さを訴える為に、一部残酷な文章表現を用いています。
この様な表現が苦手な方は閲覧にご注意下さい。

熱線

核分裂反応によって、原爆は巨大な火球となりその表面温度は数千℃に達する。
この火球から熱線として放出されるエネルギーは22兆ジュール(5.3兆カロリー)に及ぶ。
爆心地付近ではこの熱線で地上の温度は3000℃を超えたと推定される。

この熱線の影響で広い範囲で建造物が炎上。
爆心地付近の人間は内臓も含め全身の組織から水分が蒸発して即死。原爆犠牲者の遺体がまるで炭のようになってしまっているのはこの為である。一瞬の出来事だった為、路面電車の運転士がハンドルを握ったまま亡くなった例もある。

爆風

急激な温度上昇に伴い、気圧が急上昇。これが爆風を発生させる。
この爆風の速度は約440m/sで木造家屋が一部崩壊すると言われる風速30m/sの15倍。
風のエネルギーは風速の3乗に比例する為、エネルギーで考えた場合3300倍以上に達する。

この爆風で広島では爆心地から半径2kmの範囲の木造建築物が一つ残らず崩壊した。

人的被害も甚大で、爆風によって吹き飛ばされ外傷を負う他、爆風によって周辺の気圧が急激に変化する為、眼球が破裂することもある。
また熱線で火傷を負って脆くなった皮膚に爆風が当たり、皮膚が吹き飛んだ例もある。さらに、爆風で破壊されたガラス片が体中に突き刺さった例はよく知られている。

放射線・放射能汚染

核分裂反応によって非常に強い放射線がでる他、しばらく経って上空に巻き上げられた放射性物質を含む塵が雨に溶け込み、「黒い雨」となって降り注ぎ、地上の土壌や河川までも放射能で汚染される(爆心地直下の土壌は中性子線のために放射化する)。

また、炸裂の瞬間に現場にいなくても、数日のうちに救援活動などのために入市した者は残留放射線の影響を受け被爆した(入市被爆者)。また、母親の胎内で被爆した者(胎内被爆)もいる。

放射線を浴びた人間は遺伝子情報が破壊され、様々な病気を発症する可能性が高くなる。これらは総称して原爆症と呼ばれる。爆心付近で被爆した者は、外傷が少なくても原爆症を発症する者が多く、多数の死者を出した。胎内被爆の場合、脳や身体の発育障害を起こした子供が生まれる場合がある(原爆小頭症)。また、被爆直後に発症しなくても数年後、あるいは数十年後に発症する場合も多く、今なお多くの人が白血病や癌などの病に苦しんでいる。

さらに、被爆者にとっては原爆症をいつ発症するかわからないという恐怖、そして被爆者への周囲からの差別、偏見なども多く、それら精神的な重圧も、放射能汚染が引き起こした深刻な被害といえる。

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関連項目

  • 戦争
  • 核分裂
  • 地球破壊爆弾

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