四式十五糎自走砲 単語


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四式十五糎自走砲(以下ホロ車と表記)とは、大日本帝国陸軍が第二次世界大戦末期に開発・運用した自走砲である。開発時の秘匿名称はホロ。
(四式砲戦車とも呼ばれるが、ホロ車は砲戦車として開発・運用をされたわけではないので誤りである。)

概要

四式十五糎自走砲は、昭和19年(1944年)頃「根こそぎ動員」の政策の元、旧式火砲を自走化させることで有効活用しようという考えから開発された車両である。(また成形炸薬弾実用化によって旧式火砲への対戦車能力の付与されたことにより再戦力化の目途がたったという点もホロ車及び類似兵器である四式十二糎自走砲の開発動悸の一つである。)
ホロ車の主な任務は、大口径大火力を生かした対戦車戦闘及び、味方部隊への火力支援である。
開発は1944年7月にはじまり、その後各試験を受け12月には開発が完了した。

実戦

ホロ車は、フィリピン防衛戦に投入されることが決まっており、翌年の1945年1月下旬には現地に2両のホロ車が到着した。(本来は三両のホロが到着する予定だったが、空襲により一両のjホロ車と多くの備品が失われている。)
その後、47㎜戦車砲を搭載する九七式中戦車とともに、クラーク飛行場を防衛する任務に就き米軍と交戦し、
複数の戦車を擱座させ、それなりの損害を与えた(ちなみに、対戦車戦闘ともに使用弾は榴弾であり、成形炸薬弾は使われなかった)。
最終的には三両すべて撃破されたが、内一両は損傷が少なかったためアメリカ、バージニア州に運ばれ今も現存しているという。

構造

九七式中戦車の車体から、車体正面上部を取り外し、オープントップ方式の戦闘室を新たに設け、そこに三八式十五糎榴弾砲をほぼ砲架ごと搭載している。似た方式の搭載方を採っている一式七糎半自走砲(以下ホニ車と表記)とは、やや異なる形状をしており、四式中戦車にも使われた溶接技術も使用された。
搭載砲である、三八式十五糎榴弾砲は明治の頃に採用された骨董品ともいえるシロモノであり射程が短かい。

本来であれば、現役で使用される九六式十五糎榴弾砲を搭載するのが理想的であり、実際にその自走砲化の構想・計画は第二次世界大戦の初期のころに存在していた。しかし、いずれの計画も九七式中戦車(以下チハ車)の車体を利用するのではなく、95式重戦車やチハ車の後継車両の車体を利用するといったもので、チハ車体を使うつもりは全くなかった。
なぜならば元々チハ車は日中戦争勃発で増大した要望・需要を一時的に叶えるために採用した暫定的な新中戦車であり、急造かつ車体的な余裕のないチハ車を長期にわたって量産するつもりは無く、自走砲や砲戦車などは将来的には、本命となる中戦車車体を流用(または更新)する予定だった。
ところが、計画は諸事情の問題により全て頓挫、そして戦局はみるみる悪化したため、先述したとおり根こそぎ動員
の一環で、旧式であった三八式十五糎榴弾砲が選ばれたというわけである。

ホロ車はホニ車とは違い、対戦車戦闘も開発当初から重視されていたため、火砲用の照準器だけでなく戦車用の標準機も搭載している。対戦車用であるため搭載砲の射程の短さは問題になりにくかった。
ちなみに、主砲の150㎜砲は、旧式であったことが幸いし後座長(射撃時の反動を軽減させるために一時的に後ろに下がる長さ)が短く、搭載に向けて大改造を施さなくても済み、異例の速さで量産までこぎつけることができた。なお、装弾数は車内に弾薬を16発、車体後半部分の機関部上に設置してある弾薬箱には12発と、合計28発の弾薬を搭載している。
(機関部上に弾薬箱を設置するというスタイルは、砲戦車の原型となった自走式戦車支援砲と同様であり、一種の復古案と言えるのかもしれない。)
他に特徴的な点として、実戦に投入された二両と海没した一両はすべて試作車型であり、それぞれ車体後部に設置してある弾薬庫や防盾など細部が異なっていたという。

もちろん、急造兵器ゆえに欠点もあり、旋回砲塔式とは違い、ホロ車のようなタイプの車両は砲を向けられる範囲が限られていたが、ホロ車は特に狭く主砲のベースになった砲をそのまま搭載したので左右3度ずつしか向けられなかった。なお、ホニは左右22度ずつであった。(上下方向に関してはホニ車もホロ車も戦車と変わらなかった。)
この問題に関しては、防御用兵器であるという理由から目をつぶることになった。
その他の問題としては、射撃による反動が大きく、変速機や足回りの保護のため射撃時にはギアをニュートラルに入れる必要があり、オープントップ方式の戦闘室を採用しているため装甲板の無い、後ろ半分から銃弾やすぐ近くで炸裂した砲弾の破片が飛び込んでくるため、乗員の生存率が低く、実戦においても撃破は免れても乗員が死傷し、戦闘能力が低下してしまっている、(また、ホロ車を鹵獲した米軍からも、ホニ車と比べ開口部が多く爆風による破片や銃弾が吹き込む危険性があるということを指摘されている。)

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関連項目

  • 自走砲
  • 軍用車両の一覧
  • 大日本帝国陸軍
  • 九七式中戦車

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