地獄昇柱とは (ヘルクライムピラーとは) [単語記事]

地獄昇柱(ヘルクライム・ピラー)とは、漫画「ジョジョの奇妙な冒険」に登場する『柱』である。

試練のプロローグは！名づけて『地獄昇柱(ヘルクライム・ピラー)』！

Part2「戦闘潮流」に登場する、作中の超能力「波紋」の持久力を試す修行法。

ヴェネツィアの波紋の修行地「エア・サプレーナ島」の中央にある塔の内部にある円柱で、地上の入り口から塔内に入ると油(オイル)まみれの地階に落とされ、入ってきた扉から脱出できなくなる。この塔から脱出するためには、塔内部に聳え立つ、つるつるに磨きあげられた大理石に油を濡らした柱に、修行者の波紋の力で油に波紋を流して柱に引っ付いて昇らなけらばならない。多くの修行者が死んでいったという、人呼んで『地獄へ昇る柱』。

この柱は、カーズ、エシディシ、ワムウの3人の柱の男たちがローマ皇帝が持つ「エイジャの赤石」を狙い、当時の波紋戦士たちが防衛したものの波紋法は滅ぼされてしまい、それを復興しようとした波紋の修行者らによってA.D.39年に建設された。柱の頂上からは油がとめどなく流れ出して柱や塔内を濡らし、下に落ちた油は潮力を利用して再び柱の頂に押し上げられまた吹き出す永久機関となっている。

高さは塔の地階から数えて24メートル、最大円周7メートル20センチ。上に行くほど円柱はオーバーハングしている形状の為、後半になるほど波紋呼吸法の維持はきつくなる。また、外壁は柱以上のオーバーハングした形状の為、修行者は中央の柱を昇らざるを得ない。

登頂には平然と48時間以上の3日目までかかるほどの長丁場だが、波紋の呼吸を維持できているなら空腹を感じず便意も抑えられる。しかし、体力を使い果たして落下してしまえば墜落の衝撃か飢えによる死が待っているだろう。

この柱の修行の鉄則は『この「地獄昇柱」は波紋だけを好み波紋以外ははね返す』であり、波紋以外の方法で昇る事は「柱」へ対しての冒瀆とされる。

「柱」にひっついて昇る修行、という斬新的かつ画的にも個性的な事から、退屈に思われ不要と断じられがちな漫画の修行編の中でも面白いと評価されており、その有名さからオマージュやパロディとしてもたびたび扱われている。

作中の「地獄昇柱」

生まれつき波紋の呼吸ができるジョセフ・ジョースターだが、正式に波紋の修行を行った事はなかったのだが、二千年ぶりに目醒めた3人の柱の男のひとり、ワムウの顔に一度だけ傷をつけた事を認められ、正式に波紋の修行につんで一か月後に再試合の約束を決める。

ジョセフは、仲間のシーザー・アントニオ・ツェペリと共にシーザーが師事する波紋の達人「リサリサ」の元で修行する事になる。美しき女性だが厳しい波紋使いリサリサは試練のプロローグとしてふたりに「地獄昇柱」の訓練を与える。

この修行はシーザーですら一度でも挑んだ事の無い地獄の訓練。一方ジョセフは何も教わってない状態からこの訓練に挑まされ、ズルして昇ろうとしたがリサリサによって妨害されてしまう。しかし、シーザーの様子から「波紋は指先に一点集中する方が強い」というコツをつかみ、どうにかシーザーの後につける事が出来た。

柱のオーバーハングに悩まされた18～19m地点で、ジョセフは柱に指をひっかけて休めるくらいのヒビを見つけ、一息つけると思って手を伸ばすが、このヒビの中にスイッチが隠されていて、それによって20m地点に超高圧で噴出する油の仕掛けが動いてしまう。

刀剣よりも鋭く切れる油圧のバリアーの仕掛けに、不安な気持ちを抱えながらシーザーは挑む。波紋の性質には物をはじく「正の波紋」と物をくっつける「負の波紋」があり、足で柱に「負の波紋」を一点集中し、逆に油圧バリアーに接触する体の部分に「正の波紋」を集中して防御。この正反対の波紋を体内で同時にコントロールし、シーザーは油圧バリアーを突破。9時間後に61時間の記録で登頂成功した。

シーザーはクリアできたものの、今のジョセフに同じような波紋のコントロールは無理であり、性格的に一か八か突っ込みかねないとシーザーはリサリサに油の噴出を止めるように懇願するが、それを待つ前にジョセフは油圧バリアーに挑戦する。

だが、ジョセフもヤケを起こしたのではない。油圧バリアーの下面を波紋ですべって・・・・塔の壁まで近づき、油圧の弱まった壁付近でバリアーを逆上がり。油のはじける勢いを利用して油面の上へジャンプして3mも上昇(ゲイン)した。いまだかつてこの方法で柱を昇った者は一人もおらず、自分のマイナスを逆に利用する抜け目のなさをリサリサは褒めた。

ジョセフはなんとか壁に引っ付き、あと数十センチのところまできたものの、柱以上のオーバーハングと疲労の限界に達し、波紋の呼吸が乱れ壁から滑り落ちそうになるが、シーザーが伸ばした手によって助けられる。シーザーが助け舟を出す事をリサリサが許可したものの、シーザーの体力も限界だという事を忘れていた。10秒後、ジョセフは「はなすなよ」を13回言った後登頂に成功。

塔脱出後、修行前にはできなかった逆さにしたコップの水を波紋で維持する事が出来るようになり、嫌いな言葉は一番が「努力」で二番目が「ガンバル」だったジョセフも感動してリサリサを先生と認め、さらなる修行であるロギンズとメッシーナ師範代による荒々しいしごきを受けることになる。

トリビア

空知英秋原作のアニメ『銀魂』第147話「全ての大人たちは全ての子供達のインストラクター(2009年3月放送)」では、他のジャンプ作品における修行編の例として、「修行自体が斬新」なイメージ画として「地獄昇柱」の油圧バリアーの噴出するシーンが用いられた。なお、坂田銀時役である杉田智和は後に、TVアニメ「ジョジョの奇妙な冒険(2012年10月～2013年4月放送)」でジョセフ・ジョースターを演じ、作中でこの斬新な修行「地獄昇柱」に挑むことになる。