引きこもりとは、「引きこもる」という動詞の名詞形。引きこもるから引きこもり。立てこもるなら立てこもり。閉じこもるなら閉じこもり。
人が家や部屋から出ようとしない状態やインドア指向であることをさして「引きこもり」といったり、病的にまで進展すれば「社会的ひきこもり」等といったりする。本稿は主にこちらの意味を記す。
現在は、主に自分の家や自分の部屋から出ない様子、あるいは出てこない人物そのものをさして引きこもりと言う事が多い。大抵はそのような状態の人を指して後ろ暗い意味や否定的なニュアンスで言われたり、自覚的にも無自覚的にも当事者ご本人に対する偏見や差別として使用されてしまったりする。
しかし、一時的に活動的でなかった自分を自虐する日常会話の言葉の一つとして、あるいは一つのライフスタイルの言い方として「ひきこもり」が定着してきた向きとともに、「ニート」のイメージに「引きこもり」も含まれていった経緯などもあるため、社会参加が不可能な状態ゆえ自室から出られない引きこもり状態をさして「ひきこもり」と呼ぶ意識自体は――そもそも定着してたかって言えばそうでもないけど…――やや薄れてきつつあるかもしれない(後述)。
引きこもっている者は、俗称や略称として「ヒキ」「ヒッキー」と呼ばれることがあり、ネットに書き込む程度の事は行える当事者本人が、そうした書き込み等において自称や自己紹介する場合もある。ちなみに宇多田ヒカルの愛称も「ヒッキー」。
最近では「引きこもりとは、社会参加せず、自分の殻に閉じこもってゲームやパソコンに熱中し家や部屋から出ようとしない若者」のように、年長者やワイドショーが若者叩きをするようなニュアンスでの理解がなされていることもしばしば。「けしからん」と若者を批判する名詞の言葉が、常にその時代その時代で移り変わってきた中で、「ひきこもり」もその位置に当てはまってしまい、そうした文脈では良い意味で使われることがあまりない。報道機関でさえも誤った文脈や意味で使用していることが多いので、注意が必要。
また「社会的ひきこもり状態(social withdrawal)」の意味から離れ、すでに日常語としての「ひきこもり」は定着しつつありり、「休日”なのに”出かけなかった」くらいの状態でも「今日はずっとひきこもりだったなぁ~」などともらすように使われたりする。というより、むしろそっちの使われ方の方が多くなってきていて、たとえばTwitterで「ひきこもり」で検索してみても、社会的ひきこもり状態のほうの人を見つけることはかなり難しい。その現状を把握しているガチ引きこもりは、そうして日常語化してしまった「ひきこもり」という言葉をあえて使用しないことも多々ある(そのせいか、自身の引きこもり状態を言い表すにあたって、非常に多彩で斬新な表現をすることがある)。中川翔子とかは結婚することを脱ひきこもりと言ったりして、本来の意味からかけ離れて拡大している現状が見てとれる。それぐらいで「今日はずっとヒキだわぁ~」とか言っちゃうリア充は爆発しろ!
学生でも部屋から出ずに引きこもっていればひきこもり(準ひきこもり、とも)と呼ばれ、社会に籍や所属があるものでも、仕事等に従事せず家などにこもっていれば引きこもりと呼ばれたりする。
以上のように、「引きこもりとは何か」というとき、具体的に一つこれと定義できるような状態像は今のところないが、大きくわけるならば
の3つになると思われる。
ちなみに海外でもすでに「hikikomori」で通用するらしい。
「引きこもりは一体どこにいるの?」「存在するの?見たことない」という素朴な疑問を持つ者がたまにあるが、引きこもりはいつも家の中にいるので見えないのも仕方なく、基本的に不可視に近い状態。
なんとか外に出ることができ、散歩などしていたとしても、その姿は「ひきこもり状態」自体はすでに解除されている状態であるため、「ひきこもりっぽい風体のやつ」と見える場合はあったとしても、「普段ひきこもり状態の生活を送ってる人」には見えない。まれに出かける際にはきっちり見た目を整えて出る引きこもりの人もあるため、そちらもわかりにくい。
夜、あなたが眠っている間に、ひきこもりは街を散歩したりジョギングしたりしているかもしれないよ。夜、そっと耳を澄ませてごらん……。
一応、具体的に場所をあげるなら、本屋、ブックオフ、図書館、レンタルDVD店、コンビニ、夜の公園など、その場を過ごすにあたって一人プレイが可能な場所が、主に居場所として当事者から挙げられることが多いようです。
あと多分ニコニコ動画の生主や動画投稿者なんかにもそれなりにいるとは思うよ。そう、ニコニコならね。
ところで、日本最初の引きこもりは誰かといえば、日本神話に登場する太陽神のアマテラスであろうか。日本で最高位の神様からして引きこもりだったのだから、今の日本に引きこもりが多いのも仕方ないね。
…とも言えそうだが、アマテラスが天岩戸に隠れなければならなかったのは暴力に怒り嘆き悲しんだことがきっかけであった。男性の暴力によって女性が泣く泣く引き下がらなければならなかったこの神話自体が「引きこもり状態は、ジェンダーのありようや社会や一方的な力によって疲弊させられ撤退するしかなくなった結果」という事を語っているとも言えよう。ちなみにアマテラスは、アメノウズメの裸踊りの騒ぎにより、ノコノコと天岩戸から出てきちゃう。日本初のレンタルお姉さんである。アメノウズメ、いいぞもっとやれ。
ひきこもり。その原因はNHK(日本ひきこもり協会)による陰謀であるということはあまり知られていない。佐藤くんの妄想だからね。仕方ないね。
冗談はさておき、引きこもり状態にいたる原因やキッカケはさまざまである。主たるものとして考えられるのは、
などなどである。
特にジェンダーについては、ひきこもりについての問題を語るとき、「ジェンダー」と言葉でははっきり言われないものの、原因としてよく語られる。
ありがちな例としては、「ひきこもりの7割が男性、3割が女性」といったデータを示した上で、男性のひきこもり状態については「男性は社会におけるあらゆる期待値が高いため、それに押しつぶされひきこもる」のような形で、女性のひきこもり状態については「社会的に女性のひきこもりのような状態は許される」という形で、女性のひきこもりの存在については若干軽視されるような言い方をされたりもする。(どこか拗ねていじけたような男性が「女はいいよな、女ってだけで色々許されるもんな」とぼやいてる姿を想像してもらえればわかりやすいだろうか)
しかしそうしてひきこもり問題を語る者が「いま世にあるジェンダーにてつまずかされてひきこもり状態になる事もある」等と論じながら、では「ジェンダーを考えていくべき」という提案をするかと言えば、そうではない事の方が多いようだ。
社会において人の分類はいまや男/女の二つにキッパリ分けられる訳ではなく、性的少数者等もおり、単純に男女二分の上でひきこもり状態を想定し「ひきこもりの多くは男性ガー」「女性は少ない(キリッ」とか論じてしまうと、ただでさえ女性のひきこもり状態がスルーされるのに、更に取りこぼされるひきこもりも出てきちゃうから、ひきこもりを論じたり支援する人はもうちょい色々想定を頼みます。
主にネットに書きこんだりネットで誰かとやり取りできるひきこもり当事者のあいだで「おまえはひきこもりじゃない」「おまえは偽のひきこもりだ」「俺こそが真正ひきこもり」といったような不毛な偽ヒキ論争、応酬が始まることがある。
ひきこもりの社会復帰の道の想像できなさ、寄る辺のなさ、支援へのありつけなさ等が「私こそが本当の弱者であり助けられるべき存在であり、あなたはまだマシな方」という内面性にたどり着くため、と考えられるのかもしれない(筆者の感覚による憶測であるため、根拠はない)。
しかし偽ヒキ論争は実に不毛で、もし真正のひきこもりという人があるとすれば、それはもはやネットで情報を取り込むことも誰かとやり取りすることもかなわない人のことになってしまい、真の「真正ヒキ」(?)になろうとすれば、筋力の弱った全身がために布団の上から動けないような状態や、今から自殺するような人にならねば自称できない事となってしまうだろう。
偽ヒキ論争はただでさえ締め付けられている首を、自らますますなおさらに絞めていくことになるだけなので、偽ヒキ論争に関わってしまったら、早いところ引いた方が得策と思われる。「偽ヒキ論争できてりゃまだ元気な奴だろ」 って言われてみんな「ぐぬぬ」ってなっちゃうよね。
「ひきこもりもなんだか色々ややこしいな」と思ったら、とりあえず「引きこもりは状態像」と呪文を唱えて、それをベースと考えておけばオッケーかも。
「あなたを助けます」という誘惑の手口であらゆる詐欺が世に色々あるように、引きこもり関係もそうしたビジネスがあると思われます。十分気を付けてください。
どことはいいませんが、支援者を称し、引きこもりを呼び込む事業をしながら、「40代引きこもりは詰み。どうにもならない」とか、ほとんど間接的に自○幇助をしてるとしか思えないようなレッテル貼りや偏見差別の再生産、恫喝まがいといった事らの推奨にも近いことを平気でぶちまけるところもあるみたいなので、非常に要注意です。
動画説明文において、自らを「ひきこもりだけど」等と自己紹介した上で、動画を投稿する人はちらほらいるものの、実際にその人がどのぐらいひきこもりなのかはわからない。「わぁい!引きこもりだぁ!仲間だぁ!ヾ(*´∀`*)ノ キャッキャッ」と思ってコンタクトを取ったら「えーマジひきこもりー!?キャハハハハハハ」なんて言われてしまって大火傷、なんてことにならないように気を付けよう。
VOCALOIDやUTAUといった合成音声ソフトを使用し投稿される楽曲動画の世界観において、ソフトの人気キャラである初音ミク等が「パソコンの中にいるキャラクター=パソコンから出てきてくれないキャラクター」という性質を見出されていることもあるせいなのか、時に歌の中の主人公が「パソコンに取りつかれたひきこもり状態」のような形で描写される事も時にある。が、そうした形を取ることにより「ひきこもり状態」を創作し表現しているわけで、直接「ひきこもり」と明言される作品もあるにはあるが、あまり目立たっていない様子。
また概要にて記したような、年長者が「けしからん」と若者をたたくイメージでのひきこもり像を、むしろネタとして逆手に取り、「パソコンもアニメもマンガも大好きな廃人ひきこもりですが何か?」のような内容をストレートな表現で歌を作る向きもある。ただしそうしてネタにできるという時点で、それらの作者がひきこもり状態の問題にまつわる敏感さにおいて自覚的かどうかはわからず、むしろネタとしか思ってない可能性もありうるので、ネタにされて火傷を負ってしまうような当事者は、見なかった振りをするなど、心身に気を付けるべし。
という訳でニコニコも御多分に洩れず、困ってる社会的ひきこもり状態の当事者自体は、見えにくいと思います。だってここ、自分の発想を他者に披露する場所ですから。
だいぶ前のものになるけど、そういえば「ひらきこもり」なんていうこんな本もあったの思い出した。
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最終更新:2025/12/23(火) 19:00
最終更新:2025/12/23(火) 18:00
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